電気GROOVE
1991-11-21

【収録曲】
1.7.9.作詞 ピエール瀧
2.6.作詞 石野卓球、ピエール瀧
3.4.5.10.11.作詞 石野卓球
12.作詞 電気GROOVE
全曲作曲 石野卓球
7.作曲 ピエール瀧
8.作曲 細野晴臣
12.作曲 良徳砂原
プロデュース 電気グルーヴ、朝本浩文、渡辺省二郎

1.B.B.E.(Bull Beam Express) ★★★★
2.俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(甲) ★★★☆☆
3.MUD EBIS(Chimimix) ★★★★☆
4.メカニカル娘 ★★★★☆
5.オールスター家族対抗蛇合戦 ★★★☆☆
6.俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(乙) ★★★☆☆
7.ちょうちょ ★★★★☆
8.COSMIC SURFIN'(Ecstasy bathroom mix) ★★★★★
9.東京クリスマス ★★★★☆
10.モンキーに警告 ★★★☆☆
11.ボクの姉さん ★★★★☆
12.ビーチだよ!電気GROOVE ★★★☆☆

1991年11月21日発売
Sony Records/トレフォート
最高位36位 売上不明

電気グルーヴの2ndアルバム。先行シングル「MUD EBIS/COSMIC SURFIN'」を収録。1stの「FLASH PAPA」からは約7ヶ月振りのリリースとなった。

前作リリース後にCMJKが脱退して新たに砂原良徳(当時は良徳砂原名義)が加入した。一部では砂原が参加しているが、殆どは石野卓球とピエール瀧の二人で制作されたアルバムと言える。

今作のみならず初期の電気グルーヴの作品に言えることだが、テクノというよりもヒップホップの要素の方が強い。それも「バカ」という言葉が似合うようなお笑い路線的な楽曲が多い。今作だけ聴いたらただのコミックバンドだと思ってしまうほど。
初期の電気グルーヴについて後に石野卓球は「でたらめな凄さや、わけわかんない感じでやっている。」と語っている。

ジャケ写は1988年に世田谷の中学校で起きた机「9」文字事件が元ネタになっている。色々な憶測を呼んだ事件だが結局いたずらや愉快犯的な事件だったという。


「B.B.E.(Bull Beam Express)」は今作のオープニング曲。ボーカルはラップ調。サウンドはロックテイストを感じさせるもの。サウンドがかなり格好良い。歌詞はこの頃の電気グルーヴの王道と言えるナンセンスな世界観溢れるものになっている。全編通してクスッと笑えるフレーズなのだが、管理人が好きなのは「近所の子供を追い掛け回してデマを吹き込みお風呂で得意顔」というフレーズ。冴えない男の日常を極めてシュールに、コミカルに描いている。


「俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(甲)」は30秒程度のとても短い曲。それでも歌詞はある。これまたシュールな歌詞。「集めてパンティーはいてよスキャンティー」というフレーズが好き。タイトルがインパクト抜群である。


「MUD EBIS(Chimimix)」は先行シングル曲。シングルバージョンとは別ミックス。ピコピコした電子音が前面に出ている。歌詞は「ドラ息子 ダメ息子 バカ息子」を痛烈に批判したもの。成金の子供を描いたものである。歌い出しから「身なりはきれいだけどイヤな奴」と言ってのける。聴いているとクスッと笑える、これぞ初期の電気グルーヴと言える曲。


「メカニカル娘」は後にベスト盤にも収録された人気曲。囁くようなボーカルが展開されている。タイトル通り「メカニカル娘」について歌われている。「主食はウランとガソリンでダイナモじかけ」らしい。サウンドもまさにメカニカルの一言。「モノの考えは2進法」というフレーズが印象的。メカニカル娘だけでなく、人間にも言えるフレーズだと思う。


「オールスター家族対抗蛇合戦」はタイトルのインパクトが凄まじい曲。民族音楽のようなアレンジになっている。「蛇合戦」について歌われたナンセンスな歌詞。子供の声も使われている。「蛇合戦」という発想が割と狂っている。もし本当にあったとしたら、どのようなことをするのだろう。蛇を投げ合うのだろうか?想像しただけで気持ち悪くなってしまう。


「俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(乙)」は2曲目の続編。ボーカルはラップ調になっている。「家のカセットデッキはドルビー」という歌詞は懐かしい雰囲気に溢れている。「俺のマミーはハイテクノロジー」というフレーズが好き。


「ちょうちょ」はピエール瀧作詞作曲による曲。いかにもピエール瀧らしいふざけた曲になっている。サウンドはヒップホップテイスト。歌詞はシュールそのもの。全編通して意味不明かつバカさ溢れるものになっている。「バックスクリーン バイト警備員でおっかけまわしてひっかきまわして鬼ごっこ お客にピース 選手にもピース とっつかまってもテレビのカメラに笑ってピース」という歌詞が好き。その光景を想像すると中々にバカである。


「COSMIC SURFIN'(Ecstasy bathroom mix) 」は先行シングル曲。「MUD EBIS」とは両A面シングルだった。電気グルーヴのメンバーが多大な影響を受けた存在であるYMOの楽曲のカバー。作曲は細野晴臣。当時リリースされたYMOのライブ盤「FAKER HOLIC」にちなんだもの。歌詞は「うっ」という声と喘ぎ声のような声が入るだけ。ほぼインスト同然。ライブテイク風のアレンジになっている。


「東京クリスマス」はバブル時代の空気を感じさせる曲。この曲もボーカルがラップ調になっている。「赤のポルシェ」「赤プリ」といったいかにもバブルと言えるフレーズが登場したかと思えば以降は下ネタ。デートの約束をしたのに女性は来なかった。そして男はテレクラを使うことにした。「とんがりハットではしゃぐバカップル チキンをくわえたイイ女 それ見て軽くちょっとひとエレジー」という歌詞が印象的。終始コミカルながらも悲しくなるような歌詞になっている。 寂しいクリスマスを過ごすお供として聴いていただきたい。


「モンキーに警告」はピコピコした電子音が印象的なダンスナンバー。これまたボーカルがラップ調である。歌詞はタイトル通り「モンキー」への警告をするものになっている。「ガタガタぬかすとパンチくらわすぜ 痛くてビックリして涙チョチョぎれる おサルの鉄拳モンキーパンチ」という歌詞が印象的。サウンド面で結構ハマれる。


「ボクの姉さん」は今作では数少ない落ち着いた雰囲気のある曲。サウンドはレゲエテイスト。「姉さん」との思い出を綴った感動的な曲…になるはずなんてない。確かに歌詞の一部はそのような歌詞が出てくるが、何よりインパクトが凄いのは「姉さん元は男の姉さん」というフレーズ。インパクトというより破壊力と言った方がいいかもしれない。


「ビーチだよ!電気GROOVE」は今作のラストを飾る曲。当時加入したばかりの砂原良徳が作曲した。今作な帯には「日本盤のみボーナストラック」と記載されている。なお今作は日本盤のみで海外盤は存在しない。セリフが多く入っている。爽やかな夏の曲になるはずもなく、おふざけ満載の楽曲になっている。「電気GROOVE」のフレーズが歌詞の中に登場しているのが印象的。この曲の最も印象的な部分はセリフ。「最近、オレサマちゃんさぁ、海へ来すぎちゃって、段々自分が海のような気がしてきたんだよね〜 でも、泳げないんだよね〜」というセリフがインパクト抜群。結局溺れてしまって助けを求めている。曲のラストには救急車のサイレンの音が入っている。何とも恐ろしい終わり方である。


ヒット作ではないが中古屋ではよく見かける。初期の電気グルーヴを象徴するようなおふざけ曲満載のアルバム。後の作品に見られるような本格的なテクノやハウスが展開されているわけではなく、ヒップホップやラップがメイン。オープニングの「B.B.E.」の完成度が今作収録曲の中では群を抜いている。それを聴くと他の曲があまり良く感じられない。どうしようもなく笑いたくなったら聴くことをおすすめする。

★★★☆☆