浜田省吾
2003-09-26


【収録曲】
全曲作詞作曲 浜田省吾
全曲編曲       星勝&浜田省吾
プロデュース 浜田省吾、鈴木幹治&星勝

1.君に捧げるlove song ★★★★★ 
2.PAIN ★★★★☆

3.悲しみの岸辺 ★★★★★
4.ガラスの部屋 ★★★★☆
5.A LONG GOODBYE ★★★★★
6.NEW YEAR'S EVE ★★★★☆
7.Give Me One More Chance ★★★★★
8.君の名を呼ぶ ★★★★☆

9.紫陽花のうた ★★★★☆
10.永遠の恋人 ★★★★☆
11.星の指輪 ★★★★★

12.初秋 ★★★★★
13.我が心のマリア ★★★☆☆


2003年9月26日発売
クリアウォーター
最高位3位 売上24.5万枚


浜田省吾の4thバラードコレクション。先行シングル「君に捧げるlove song」を収録。バラードベストという訳ではない。初回盤はデジパック仕様である。SACD仕様でリリースされた。今作のリリース同日に過去のバラードコレクションのリマスター再発がされた。

浜田省吾と言えば力強く激しいロックだというイメージを持っている方も多いかもしれないが、切なさ溢れるバラードも浜田省吾の大きな魅力の一つである。そのような曲たちに光を当てたバラードコレクションは今作の他に3作ある。1983年リリースの「Sand Castle」、1989年リリースの「Wasted Tears」、1991年リリースの「EDGE OF THE KNIFE」。


バラードコレクションシリーズは全て再録されている。原バージョンとの違いもこのシリーズの魅力の一つである。


「EDGE OF THE KNIFE」は10代、「Sand Castle」は20代、「Wasted Tears」は30代を主人公にしていた(その年代を主人公にした楽曲が主に収録されている)が、今作では40代以上の大人を主人公にした楽曲が並んでいる。タイトルは「人生の秋」を意味しているという。ちなみに、浜田省吾本人は「最後のバラードコレクションになる」と話している。


全曲リアレンジされているが、元のバージョンよりもアコースティックなサウンドが強調されている印象がある。


楽曲の感想は今作が初収録となる曲のみにさせていただく。


「君に捧げるlove song」は先行シングル曲。今作のために書き下ろされた新曲。亡くなってしまった妻が夢の中に現れたという内容のバラード。曲調はミディアムテンポ。優しいメロディーが展開されている。この歌詞のストーリーについてはフィクションらしい。亡くなった父が、母親が亡くなったことを悲しんでいたという夢を見て作ったという。PVには石田ゆり子が出演した。そのPVも楽曲同様素晴らしい完成度で、感動させるようなものになっている。「目を閉じれば君がいる どの部屋にも…思い出と呼ぶには切なくて リアル過ぎて ふいに胸がつまる」というサビの歌詞が印象的。「ここで強く生きてく ここでひとり生きてく」というラストの歌詞が何とも力強く、悲しい。管理人が歌詞の世界を完全に理解できるようになるのは当分先だろうが、それでも大好きな曲である。歌詞の中のことを実体験した訳でもないのに聴く度に泣きそうになる。



「永遠の恋人」は24thシングル「アヴェ・マリア」のC/W曲。このシングルはエイズ研究のために収入を全額寄付した、チャリティ色の濃いものだった。A面もこの曲もアルバム未収録だった。リアレンジされているため、シングルバージョンは現在もアルバム未収録。しっとりと聴かせるバラード。サウンドはささやかながらもしっかりと主張するアコギとストリングスが前面に出ている。クリスマスソングである。「永遠の恋人」のことを「清らかな心と 燃える瞳」と表現している。この表現も浜田省吾ならでは。クリスマスの時期になると、大切な人を思い浮かべながら聴きたくなる曲。


そこそこヒットしたので中古屋ではそこそこ見かける。浜田省吾ならではの文学的な歌詞が展開された曲が多い。ファン人気の高い曲ばかりなので、ライトリスナーにもおすすめできる。バラードコレクションという形ではあるが、一つのオリジナルアルバムのような感覚で聴けてしまう。年を重ねる度に共感できたり、良いと思える曲が増えたりすると思う。犬と女性が夕日を眺めているジャケ写のデザインも素晴らしい。今作の世界観をこれ以上無いほど上手く表現していると思う。今作は 大人になってからの人生のサウンドトラックと言った感じだろうか。


★★★★★