山下達郎
1999-06-02

【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 山下達郎
プロデュース         山下達郎

1.高気圧ガール ★★★★★
2.スプリンクラー ★★★★★
3.GET BACK IN LOVE ★★★★★
4.風の回廊(コリドー) ★★★★★ 
5.アトムの子 ★★★★☆
6.エンドレス・ゲーム-Endless Game- ★★★★☆
7.踊ろよ、フィッシュ ★★★★☆
8.ターナーの汽罐車-Turner's Steamroller- ★★★★☆
9.土曜日の恋人 ★★★★★
10.ジャングル・スウィング -Jungle Swing- ★★★☆☆
11.世界の果てまで ★★★★☆
12.おやすみロージー -Angel Babyへのオマージュ- ★★★★☆
13.クリスマス・イブ ★★★★★+2
14.さよなら夏の日 ★★★★★ 
15.蒼氓(そうぼう) ★★★★★
16.パレード ★★★★★

1995年11月13日発売
1999年6月2日再発
MOON RECORDS/east west japan
MOON/WARNER MUSIC JAPAN(再発盤)
最高位1位 売上117.4万枚

山下達郎の2nd公認ベスト。ムーン・レーベルに移籍してから初のベスト盤。公認ベストとしては1982年リリースの「GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA」以来となる。初回盤は三方背BOX入り仕様。

今作はリリース予定だったアルバムの代わりとしてリリースされた。1995年の秋に「Dreaming Boy」というタイトルのオリジナルアルバムをリリースするはずだった。作業も7割5分程進んでいた。アルバムのリリースに合わせてタイアップも決まっていたが、それが延期になってしまったため、新譜リリースのローテーションが乱れた。その代わりとしてベスト盤制作の声がかかった。山下達郎は当初難色を示していたものの、丁度その時期に「世界の果てまで」がドラマ主題歌に起用されることが決まったため、曲数が揃った。後に山下達郎は 「結果的にこの時期にベスト盤をリリースしたのは最良のタイミングだった」と語っている。

選曲は山下達郎が行ったが、曲順は妻である竹内まりやが選んだ。ダイナミックレンジやコード進行を考慮しつつ曲順を考えていたものの、頭がこんがらがったので竹内まりやに第三者的な目線で選んでもらったという。最初の2曲は「高気圧ガール」「スプリンクラー」、ラストは「パレード」ということだけ伝えてあとは竹内まりやが選んだようだ。

楽曲の感想は今作が初収録となる曲のみにさせていただく。


「スプリンクラー」は1983年にリリースされた11thシングル曲。「MELODIES」リリース直後にシングルのみでリリースされて、今作が初のCD化となった。リリース当時は「夏男・タツローらしくない」と批判もされたようだが、山下達郎本人は詞、曲、アレンジ共に気に入っているという。曲の所々で入れられているエレキ大正琴の音が印象的。エレキ大正琴とベースが前面に出たサウンドが非常に格好良い。曲中に入っている雨の音は太田裕美のライブ用素材テープの中に入っていたSEが使われているという。歌詞については、本人は「女性不信に満ちたもの」と語っている。舞台は地下鉄の表参道駅なのだそう。「君なしでは生きられない 悲しい言葉さ 言い出したらそれで終り」というフレーズが印象的。 「愛情なんてものはそんなこと言うようになったらもう破綻している」という山下達郎の思想が現れた名フレーズだと思う。


「ジャングル・スウィング -Jungle Swing-」は1993年にリリースされた25thシングル曲。日産の「スカイライン」のCMソングに起用された。昔から「ボ・ディドリー・ビート」と呼ばれる曲を作ってみたかったらしく、それがきっかけで作られた。歌詞は山下達郎にとってのメインテーマである「都市生活者の孤独」をテーマとしている。曲のイメージは黒澤明監督の映画『野良犬』の中で笠置シズ子が「ジャングル・ブギー」を歌うシーンだという。「9th」のフレーズが歌詞の中に登場するが、これはタイアップ相手のスカイラインが当時9代目だったから。独特な曲調が心地良く、意外とハマれる。しかし、どことなく地味な印象。この曲の一つ前のシングルの「MAGIC TOUCH」が管理人の大好きな曲だからだと思う。


「世界の果てまで」は1995年にリリースされた27thシングル曲。読売テレビ、日本テレビ系ドラマ『ベストフレンド』の主題歌に起用された。今作収録にあたってリミックスされた。山下達郎本人曰く、作家的な意思が出た、山下達郎の作品としては異質な印象の曲なのだという。ミディアムテンポのバラードナンバー。歌詞については「冬に向かう季節、青山の絵画館通りあたりの、雨の日の情景を描きたかった」と語っている。「冬の気配が近付いて来る とまどう街の灯も 雨で冷たい」という歌詞が印象的。繊細な情景描写が展開されている。シングル曲としては少し地味な印象。


「パレード」はボーナストラック扱いで収録された曲。元々はシュガー・ベイブ時代からのレパートリーで、1976年リリースの「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」に収録されていた。1994年にフジテレビ系番組『ポンキッキーズ』のエンディングテーマに起用されたことで、20年の時を超えてシングルカットされることとなった。今作のために大瀧詠一がリミックスしたバージョンでの収録。「ちょっとしたおまけ」として収録したようだ。聴いているだけで楽しくなれるような明るくポップな曲調。お祭り騒ぎというテンションではないが、それでも楽しげな雰囲気に溢れている。ラストに配置されていることで、この曲の印象がより良く感じられる。


大ヒット作なので中古屋ではよく見かける。今作の内容はDISC跨ぎではあるが全て「OPUS」に収録されている。ムーンレーベルに移籍した後の曲なので、「クリスマス・イブ」以外は大ヒット曲が無い。世代ではない方はそれ以外分からないという方が多いかもしれない。作風が内省的になっているので前作ベストと比べると幾分か地味な印象があると思う。落ち着いてさらに上質さを増したポップスを楽しめる。今なら「OPUS」を聴いた方が良いのは事実だが、入手するならこちらの方が手軽。

★★★★☆