JUDY AND MARY
1994-01-21

【収録曲】
全曲作詞 YUKI
12.作詞 恩田快人
全曲作曲 恩田快人
2.作曲 YUKI
全曲編曲 JUDY AND MARY
プロデュース JUDY AND MARY

1.JUDY IS A T∀NK GIRL ★★★★☆
2.LOVE ME DO ★★★★☆
3.SLAP DUSH! ★★★☆☆
4.POWER OF LOVE ★★★★☆
5.BLUE TEARS ★★★★★
6.BABY "Q" ★★★★☆
7.彼女の大切なもの ★★★★☆
8.LOLITA A-GO-GO ★★★☆☆
9.MAKE UP ONE'S MIND ★★★★☆
10.DAYDREAM ★★★☆☆
11.あいたくて ★★★★☆
12.GLAMOUR PANKS ★★★☆☆

1994年1月21日発売
Epic/Sony Records
最高位23位 売上18.9万枚

JUDY AND MARYの1stアルバム。先行シングル「POWER OF LOVE」「BLUE TEARS」を収録。今作発売後に「DAYDREAM」がシングルカットされた。

JUDY AND MARYは1992年、YUKIと恩田快人の二人で結成され、後に五十嵐公太が加入した。オリジナルメンバーだったギターの藤本泰司がソロアルバムを制作する考えがあったということで脱退。翌年にはオーディションを行い、TAKUYAが加入した。そして、1993年9月にシングル「POWER OF LOVE」でメジャーデビューを果たした。

バンド名は「快活でポジティブな女の子」だという"JUDY"と「少しひねくれ者のネガティブな女の子」の"MARY"という女の子の二面性を表したもの。それがYUKI自身と当てはまったようだ。「女の子が歌うポップで切ないサウンドをバンドでやる」という恩田快人のイメージはそれで固まったという。

今作はロリータパンク色の強い作風になっている。作曲は恩田快人がほぼ全曲を手がけており、この頃は恩田快人がバンドの主導権を握っていたことが分かる。

今作の帯に書かれていたキャッチコピーは「夢を追い続ける全ての人へ」というもの。よく意味が分からない。後にYUKIが「意味が分からなかった」と振り返っているほど。


「JUDY IS A T∀NK GIRL」は今作のオープニング曲。タイトルはバンドの自己紹介のようでもある。勢いに溢れたパンクナンバー。後にリリースされたライブ盤にも収録されていたので、ライブでよく演奏されていたのかもしれない。迫力のある演奏に負けずに、突き抜けていくようなYUKIのボーカルが素晴らしい。「いつも大切なものは通り過ぎて つかまえることが できないの」という2番の歌詞が印象的。10代の少女のモヤモヤした感情を吹き飛ばすような曲である。


「LOVE ME DO」はJAMの歴史を通じて唯一のYUKI作曲による曲。意外と複雑な感じのメロディーである。前の曲に比べるとゆったりとした曲調。歌詞はファンタジックなイメージのもの。とりあえず可愛らしい世界観である。歌詞カードには記載されていないが、曲中には語りの部分がある。「大好きな彼に夢中でいたいの……」というサビのフレーズが印象的。


「SLAP DUSH!」は攻撃的なパンクナンバー。曲の長さはわずか1分30秒。とにかく勢いか凄く、聴いているとついつい体が動いてしまう。「根拠も、何もない あふれる自信は 膨張している 宇宙のようだわ」という歌詞が印象的。1stならではの若さやパワーに溢れた曲だと思う。


「POWER OF LOVE」は1stシングル曲。記念すべきJUDY AND MARYのデビュー曲である。パンクなサウンドではあるが、シングル曲らしくそこそこポップ。イントロのギターとベースが交互に演奏される部分が好き。しかし、どこがサビなのか分かりにくい曲の構成である。「死んだ小鳥」「アトムの世界に続く」というようなインパクトの強いフレーズが登場している。「明日 世界が終わっても…… 歌い続けて見せるから」という歌詞が印象的。デビュー曲らしいと思う。


「BLUE TEARS」は2ndシングル曲。1996年にはフジテレビ系番組『めちゃ×2イケてるッ!』のエンディングテーマに起用され、2006年には映画『シムソンズ』の主題歌に起用された。恩田快人はこの曲のメロディーが頭の中で鳴っていたのでJUDY AND MARYを結成することを決めたのだとか。そう考えるとJAMの原点とも言える曲である。後の楽曲にも通じるようなポップさを持っている。どこか懐かしく、切なくなるようなメロディーはJAMならでは。歌詞は冬を舞台にしている。「夜空に浮かぶ 氷の月は つま先から ふるえだして 限りなく 白い雪の ジオラマになる……」という歌詞が印象的。初期のJUDY AND MARYを代表する名曲だと思う。


「BABY "Q"」は今作の中では大人びた雰囲気を感じさせるポップロックナンバー。タイトルは「BABY QUEEN」の略。TAKUYAによるギターのカッティングがとにかくキレが良い。終始ソロを弾いているかのようでありながら、他のサウンドやボーカルを殺さないというTAKUYA特有の変態じみたギタープレイはこの頃から展開されていた。歌詞はエロ路線。「シーツの中に隠してる 女の子の野望を うーんと おしえてあげるわ」というフレーズが顕著。おしえてもらいたいものである。


「彼女の大切なもの」は切なさを感じさせる歌詞が展開されたパンクナンバー。サウンドはドラムが前面に出ている。曲は2分半程度とかなり短め。日常のワンシーンを切り取ったような歌詞。「わからないことが 多過ぎて 時々 逃げ出したくなるの それでも 平気な 振りをして ボリュームを上げて 走り出す」という歌詞が印象的。


「LOLITA A-GO-GO」は先行シングル「BLUE TEARS」のC/W曲。攻撃的な雰囲気を持ったポップロックナンバー。間奏のギターソロが破壊力に溢れている。タイトル通りの危うい少女性を描いたような歌詞が展開されている。「くらくらしちゃう 危険な香り 危なすぎちゃう 秘密かかえる 少女の胸は 今日もときめく ないものねだり」という歌詞が印象的。


「MAKE UP ONE'S MIND」は先行シングル「POWER OF LOVE」のC/W曲。少々重さを感じさせるようなテンポから曲は始まる。そこから明るい勢いのある曲調になり、そのまま進んでいく。そのようなサウンドや曲調に反して、歌詞は迷いを想起させるもの。「たどりつけない 走りだせない 今すぎやらなきゃ 信じていても はかないけれど あきらめないで」という歌詞が印象的。


「DAYDREAM」は今作発売後にシングルカットされた曲。恩田快人曰く「追いつめられているような緊迫感と気持ちが、一番でていた頃の曲」とのこと。恩田快人の言葉通り、ポップな曲調ではあるが緊迫感がある。シングルカットするには合わなかったような気もする。サビはキャッチーなのだが、それ程印象に残る訳でもない。「清らかなままで いられない都会に 夢のように さけびは届かないままで…」という歌詞が印象的。


「あいたくて」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。ゆったりとした曲調が心地良い。ここまで勢いのある曲ばかりだったので、その落差が凄い。繊細な歌詞が展開されている。「さよならも うまく言えなくて 夜明けの雨に かき消されていく いつまでも輝くあなたでいて 5月の空を見上げて」という歌詞が印象的。アルバムが終わりに向かっていくことが実感できる。


「GLAMOUR PANKS」は今作のラストを飾るハードなパンクナンバー。恩田快人が作詞を担当した。全編英語詞である。ボーカルもいつもより力が入っている感じ。曲中にはシャウトしている部分がある。JUDY AND MARYの曲の中ではかなり異質なイメージがある曲。


ヒット作ではないが中古屋ではそこそこ見かける。全編通してロリータパンクの要素が強い曲が並んでいる。後のJUDY AND MARYのようなポップな曲はあまり無い。12曲だが一曲一曲がかなり短いので全体を通しても40分足らずととてもコンパクト。1stならではの勢いや若さを感じられる作品だと思う。

★★★☆☆