桑田佳祐
2002-11-27

【収録曲】
DISC1
全曲作詞作曲編曲 桑田佳祐
2.英語補作詞 岩本えり子
13.作詞 桑田佳祐&サザンオールスターズ応援団
5.9.10.編曲 桑田佳祐&小倉博和
6.7.8.編曲 小林武史 with 桑田佳祐、藤井丈司
11.編曲 桑田佳祐&片山敦夫
1.管編曲 山本拓夫
1.2.12.弦編曲 島健
3.管・弦編曲 島健

1.波乗りジョニー ★★★★★
2.黄昏のサマー・ホリデイ ★★★★☆
3.白い恋人達 ★★★★★
4.踊ろよベイビー1962 ★★★★☆
5.月 ★★★★★
6.哀しみのプリズナー ★★★★★ 
7.Blue〜こんな夜には踊れない ★★★★☆
8.悲しい気持ち(Just a man in love) ★★★★★
9.JOURNEY ★★★★★
10.飛べないモスキート(MOSQUITO) ★★★★★
11.真夜中のダンディー ★★★★★
12.可愛いミーナ ★★★★☆
13.素敵な未来を見て欲しい ★★★★★


DISC2
全曲作詞作曲編曲 桑田佳祐
10.英語補作詞 Tommy Snyder
12.作詞作曲 丸山明宏(美輪明宏)
1.2.3.4.作曲編曲 KUWATA BAND
5.13.編曲 桑田佳祐&小倉博和
6.7.8.編曲 小林武史 with 桑田佳祐、藤井丈司
9.編曲 SUPER CHIMPANZEE
10.編曲 小林武史&Mr.Children
11.編曲 小林武史&桑田佳祐

1.MERRY X'MAS IN SUMMER ★★★★★
2.BAN BAN BAN ★★★★☆
3.スキップ・ビート(SKIPPED BEAT) ★★★★★
4.ONE DAY ★★★★★
5.鏡 ★★★★☆
6.いつか何処かで(I feel the echo) ★★★★★
7.遠い街角(The wanderin' street) ★★★★☆
8.誰かの風の跡 ★★★★★
9.クリといつまでも ★★★☆☆
10.奇跡の地球(ほし) ★★★☆☆
11.光の世界 ★★★★☆
12.ヨイトマケの唄(Live at パシフィコ横浜国立大ホール) ★★★★★
13.祭りのあと ★★★★★

プロデュース 桑田佳祐
2002年11月27日発売
ビクター・タイシタレーベル
最高位1位 売上164.6万枚

桑田佳祐の2ndベスト。前作ベスト盤(公式にはコンピレーション扱い)「フロム イエスタデイ」からは10年半振りのリリースとなった。初回盤は三方背BOX入り仕様でCDケースが2枚別々に入っている。そのため、ブックレットも2冊に分かれている。通常盤は2枚組ケース入りでブックレットは1冊。

今作は「ソロ活動の集大成」と銘打たれている。選曲は事前にファンクラブ投票やサザンの公式掲示板の意見から選考された。純粋なソロ曲だけでなく、KUWATA BANDを始めとしたバンド活動時の曲やライブ音源も収録されている。全曲宮本茂男によるリマスターがされている。

今作と同年にはソロ3rdアルバム「ROCK AND ROLL HERO」がリリースされているが、そちらとは対になる作品となっているため、「ROCK AND ROLL HERO」から選曲されていない。

売上は初動で96.1万枚を売上げ、最終的には165万枚近くを売り上げた。この初動売上は男性ソロアーティストとしては河村隆一の「Love」(102.1万枚)に次いで2位。今作の売上は桑田ソロのアルバムの中で最多である。

楽曲の感想は今作でアルバム初収録となる曲のみにさせていただく。KUWATA BAND時代やSUPER CHIMPANZEE時代の楽曲の感想は「フロム イエスタデイ」を扱う時に書く。


「波乗りジョニー」は2001年にリリースされた6thシングル曲。桑田佳祐自身も出演したコカ・コーラの「No Reason」のCMソング、キャンペーンソングに起用された。シングルはミリオンを達成した。タイトルはサザン結成前から考えついており、「いつかこのタイトルの曲を作りたい」と思っていたとか。しかし、タイトルについては「波乗りジョニー」か「愛よ、もう一度」のどちらにしようか悩んでいたらしく、事務所の受付のお姉さん達に聞いた結果「波乗りジョニー」にしようと決めたという。ぐうの音も出ないほどの売れ線ポップナンバー。サウンドは軽快なピアノがメイン。特にイントロのピアノの高揚感はとてつもないものがある。夏が始まる気配をこれ以上無い程に感じさせてくれる。軽快なメロディーの中に詰め込まれた歌詞が特徴。口ずさんでみるととても心地良い。全編通して一切の隙がない圧倒的な完成度を誇るポップスになっている。 売れるべくして売れた曲だろう。


「黄昏のサマー・ホリデイ」は2001年にリリースされた6thシングル「波乗りジョニー」のC/W曲。英語補作詞としてクレジットされている岩本えり子は桑田佳祐の実のお姉さん。今作がサザン、桑田ソロでの初仕事だった。英語の部分全てをやってもらうわけではなく、作詞に行き詰まった時に電話で相談してアイデアを得るという形だったようだ。 イントロには風鈴や蝉の声が入れられている。曲調、歌詞からどことなく懐かしい雰囲気や哀愁が漂っている。サビでは「ジリジリ」「ムレムレ」「ギラギラ」「グルグル」といった擬音が英語のような表記で使用されている。 蒸し暑い夏の光景が浮かんでくるような曲である。


「白い恋人達」は2001年にリリースされた7thシングル曲。桑田佳祐自身も出演したコカ・コーラの「No Reason」のCMソング、キャンペーンソングに起用された。シングルは前作に引き続きミリオンを達成した。タイトルの元ネタはフランス映画『白い恋人たち』だという。その映画を映画館で観た帰りの電車の中で思いついた曲なのだとか。桑田は「冬が来るたびに愛される曲にしたかった」と語っているが、その言葉の通り冬の定番バラードソングとなっている。この曲も超がつく程の売れ線ポップスである。クリスマスの時期の街角の光景が浮かんでくるような歌詞が展開されている。その時期は何故か歩いている人々もキラキラ輝いて見えるものだ。日本語と英語を混ぜたサビはキャッチーそのものな上に、ストリングスやホーン等によるサウンドの盛り上げ方もキレッキレである。この曲もまた隙のないポップスと言える。 冬になる度に愛され続ける曲だろう。


「踊ろよベイビー1962」は2001年にリリースされた7thシングル「白い恋人達」のC/W曲。曲調や歌詞はビートルズの影響を強く受けている。ビートルズの楽曲のタイトルがちりばめられている。タイトルの"1962"はビートルズがメジャーデビューした年のこと。とても軽快なメロディーが展開されている。ハーモニカが使われており、その軽快さをさらに強調している。C/W曲にしておくにはもったいない程の曲だと思う。A面が強過ぎるので仕方がないが。


「可愛いミーナ」は2002年にリリースされた8thシングル「東京」のC/W曲。コカ・コーラの「No Reason」のCMソング、キャンペーンソングに起用された。桑田佳祐は「CM部分しかないから発売しない」とリリース直前まで語っていた。サザンの楽曲と言った方が違和感が無いような、夏を舞台にしたポップなラブソング。とは言っても失恋モノバラードである。男の哀愁漂う歌詞が展開されている。「タバコの煙が 目に沁みただけさ ハートがせつない 本気の恋だった」というフレーズが印象的。A面にならなかったのが不思議に感じられる曲。


「素敵な未来を見て欲しい」は新曲。サザンの公式サイトでファンから応募した『大切な人に贈りたい言葉』を参考にし、桑田が言葉を組み合わせたり書き足したりして作詞した。そのため、作詞のクレジットに"サザンオールスターズ応援団"とある。優しい雰囲気溢れるポップな曲になっている。サウンドについては、全ての楽器を桑田自ら演奏している。"クリスマス"や"聖夜(よる)"というフレーズが使われており、クリスマスソングと言える。「愛する誰かを守りたい 不安だらけの世の中だけど 見えない翼を広げたい 明日未来へ羽ばたくために」というサビの歌詞が印象的。シングルと言っても違和感の無いような曲になっているが、 今作でしか聴けないというところに特別な価値を感じさせる。


「奇跡の地球(ほし)」は1995年に桑田佳祐&Mr.Children名義でリリースされたチャリティーシングル曲。Act Against AIDS 1995のキャンペーンソングや、『LIVE UFO '95』のイメージソングに起用された。このプロジェクトはAct Against AIDSによる患者救済活動の一環。桑田佳祐とMr.Childrenという史上稀に見る豪華なコラボが果たされた訳だが、これは小林武史を通して実現したのだろう。歌詞はエイズや戦争をイメージさせるものになっている。政府や民衆を皮肉ったような歌詞もある。サウンドはバンドサウンドの他にもホーンやクラヴィネットが使われている。終始シャカシャカしたような音が入っている。そのせいか、どことなくアクの強いサウンドになっている印象。どうせなら思い切りポップな方に行くか、ロックな方に行くかのどちらかにしてほしかった。"豪華なコラボ"と言っておいて難だが、言うほどコラボ感が無い。作詞作曲を桜井和寿と桑田佳祐で分担したり、共作したりすればコラボした感じが出ていたと思う。


「光の世界」は初CD化曲。奥田民生とのコラボ曲。1994年頃に桑田の自宅スタジオである"猫に小判スタジオ"で行われたとされるが、今作まで未発表だった。アコースティックサウンドが前面に出たロックナンバー。1番を桑田佳祐、2番を奥田民生が歌っている。どちらも渋くて味のあるボーカルである。「すべての悲しみを 現在(いま)さら誰が知る? 愚かな知恵さえも 弱気を弄ぶ そして未来は人の数だけ重い」という歌詞が印象的。日の目を見て良かったと思う曲。


「ヨイトマケの唄」は丸山明宏(美輪明宏)の楽曲のカバー。2000年に行われたAct Against AIDSでのライブ音源。NHKでライブが放送された時にはこの曲だけ放送されなかったというが、公式掲示板でのリクエストが多かったため今作で日の目を見ることとなった。本家程の圧倒的なパワーは無いが、聴きやすさで言うならこちらの方が上だと思う。


「祭りのあと」は1994年にリリースされた5thシングル曲。日本テレビ系ドラマ『静かなるドン』の主題歌に起用されたほか、キリン「JIVE」のCMソングに起用された。ライブでもよく演奏されている。アンコールのラストで演奏されることが多い。失恋してしまった弱気な男を描いた歌詞が展開されている。大人の男の渋さや哀愁が溢れている。「野暮でイナたい人生を 照れることなく語ろう 悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ」という歌詞が印象的。この曲の中の男のようになりたいと思える。情けないようでいてとても男らしくて格好良いのである。この曲がベスト盤のラストに配置されているのが素晴らしい。


大ヒット作なので中古屋ではよく見かける。2012年には桑田ソロの決定盤と言える「I LOVE YOU -now & forever-」がリリースされたが、そちらはKUWATA BAND時代等の楽曲は収録されていない。今作でしか聴けない曲も多く、未だに価値を失っていない。「I LOVE YOU -now & forever-」を聴いた方にも今作を聴いていただきたいと思う。そして、「TOP OF THE POPS」桑田佳祐の世界に浸ってほしい。

★★★★★