竹内まりや
1999-06-02

【収録曲】
全曲作詞作曲 竹内まりや
全曲編曲       山下達郎
3.6.ストリングス編曲 服部克久
プロデュース  山下達郎

1.恋の嵐 ★★★★☆
2.OH NO,OH YES! ★★★★☆
3.けんかをやめて ★★★★★
4.消息 ★★★★☆
5.元気を出して ★★★★★
6.駅 ★★★★★
7.-TIME STRANGER- TEKO'S THEME ★★★☆☆
8.色・ホワイトブレンド ★★★★☆
9.夢の続き ★★★★★
10.時空の旅人 ★★★★☆

1987年8月12日発売
1988年12月21日再発(ゴールドCD、LPジャケット仕様)
1992年10月22日再発(リマスター)
1999年6月2日再発
MOON RECORDS
最高位1位 売上104.3万枚(オリジナル盤の合算)※LP11.3万枚、CT37.6万枚、CD55.4万枚
最高位50位 売上2.9万枚(1992年盤)

竹内まりやの7thアルバム。先行シングル「恋の嵐」「時空の旅人」「夢の続き」を収録。今作発売後に「AFTER YEARS/駅」「元気を出して」がシングルカットされた。前作「VARIETY」からは約3年4ヶ月振りのリリースとなった。

山下達郎と竹内まりやは1982年に結婚した。その後、竹内まりやは1984年に出産を経験した。ちょうど同時期に「VARIETY」をリリースしていた。育児のために活動を休止していたが、その合間を縫ってアイドル歌手を始めとしたアーティストへの楽曲提供を始めた。作家としての竹内まりやのキャリアがスタートしたのである。今作は提供曲のセルフカバーが多数収録されている。それは後に竹内まりやのスタンダードとなり、 提供相手のバージョンと共に愛され続けることとなる。

河合奈保子や中森明菜、中山美穂、薬師丸ひろ子といった著名なアイドルへの提供曲のセルフカバーを多く収録したためか、かなりのロングヒットを記録。今作のカセットテープは213週に渡ってチャートインし、CDのオリジナル盤は177週に渡ってチャートインしている。実に4年越しでミリオンを達成した。世代や年代を超えて愛される竹内まりやならではの記録と言える。


「恋の嵐」は今作のオープニングを飾る先行シングル曲。TBS系ドラマ『となりの女』の主題歌に起用された。竹内まりや本人曰くこの曲は「多くある不倫をテーマにした曲の発端」なのだという。タイアップ相手のドラマの雰囲気を歌にしたら不倫を描いた曲になったようだ。そのような歌詞に反して曲調はとても明るい。「ふと触れた指先に 心が揺れる夜は 秘め続けた想いさえも 隠せなくなる」という歌い出しは不倫の本質を捉えていると言える。曲調と歌詞のギャップがクセになる。


「OH NO,OH YES!」は1986年に中森明菜に提供した曲のセルフカバー。1986年リリースのアルバム「CRIMSON」に収録された。今作発売後に「けんかをやめて」がシングルカットされた際にはC/W曲となった。しっとりと聴かせるバラードナンバー。サウンドは打ち込みが多く使われ、AOR色の強いものになっている。「道ゆく恋人達はなんて幸せそうなの いとしい胸に崩れて 遅すぎた出逢いを涙でうめて行く」という歌詞が印象的。この曲も不倫を描いている。中森明菜のバージョンも素晴らしいが、こちらはさらにアダルトなイメージがある。


「けんかをやめて」は1982年に河合奈保子に提供した曲のセルフカバー。結婚して活動休止していた時に提供した。河合奈保子が歌番組で「スマイル・フォー・ミー」を歌っているのを見た竹内まりやが「この子はしっとりした歌を歌ってもきっと似合うだろうなあ」と思ったという。歌詞の内容は二人のボーイフレンドを天秤にかけて「けんかをやめて」と呼びかける何とも身勝手なものである。河合奈保子のバージョンは小悪魔のようなイメージで可愛らしいのだが、こちらは高飛車な女性を想起させる。それは竹内まりや本人も認めているようで、「Mariya's Songbook」のライナーノーツで「奈保子ちゃんが歌うとすごく可愛いのに、私が歌うとひどく傲慢な女性に聞こえるのはなぜだ(笑)?」と自虐している。歌い手が変わっただけで曲のイメージがかなり変わるということは、二人とも表現力に優れた歌手だということが分かる。これもまたセルフカバーの面白さと言える。


「消息」は今作唯一の新曲。ミディアムテンポのバラードナンバー。サウンドはAOR色の強いものになっている。元彼の消息について語っている歌詞。別れてから行方が分からないようだ。元彼が新たな彼女を見つけて元気に過ごしていることを聞いた主人公はやきもちを妬く。これが女心というものなのだろうか。「知らない同士なのね ただそれだけ」という歌詞が印象的。竹内まりやらしい曲だと思う。もう少し評価されても良いように感じる。


「元気を出して」は1984年に薬師丸ひろ子の提供した曲のセルフカバー。薬師丸ひろ子が1984年にリリースしたアルバム「古今集」に収録された。竹内まりやバージョンは1988年にシングルカットされた。SEIKOの「ドルチェ&エクセリーヌ」のCMソングに起用されたほかにも多数のタイアップがある。コーラスには薬師丸ひろ子が参加している。失恋してしまった友達を励ます女性を描いている。意外にもこのようなシチュエーションの曲は無い。「人生はあなたが思うほど悪くない 早く元気出して あの笑顔を見せて」という歌詞が印象的。若い層からの知名度も高く、gooが行った「竹内まりやの一番好きなシングルランキング」で1位を獲得しており、代表作と言っても過言ではない。 この曲に励まされた方は多いだろう。これからもこの曲に励まされる方が出てくるだろう。


「駅」は先行シングル曲。1986年に中森明菜に提供した曲のセルフカバー。中森明菜バージョンは「CRIMSON」に収録された。「AFTER YEARS」とは両A面シングルだったが、そちらは次作「Quiet Life」に収録されることとなる。竹内まりやバージョンは1991年公開の映画『グッバイ・ママ』の主題歌に起用された。余談だがこの映画の監督は秋元康。彼にとって初の監督作品だった。中森明菜のバージョンはアルバムの片隅の曲だったため、竹内まりやのバージョンの方が有名だと思われる。駅を舞台に、男女の切ない感情を描いたバラード。曲調はマイナーコードであり、非常に暗い雰囲気がある。竹内まりやの王道のバラードと言える曲。 セルフカバーという概念を超えて、現在では竹内まりやの代表作として扱われることが多い。


「-TIME STRANGER- TEKO'S THEME」は先行シングル「時空の旅人」のC/W曲。アニメ映画『時空の旅人』の挿入歌に起用された。「テコ」というのはタイアップ相手の映画の主人公である少女、早坂哲子のあだ名なのだという。全編英語詞による曲。曲調はとてもポップなものになっている。サウンドは打ち込みがメイン。要所をサックスのソロが飾っている。聴いていると感じるのは竹内まりやの英語の発音の上手さ。とにかくそれに尽きる。


「色・ホワイトブレンド」は1986年に中山美穂に提供した曲のセルフカバー。中山美穂のバージョンは資生堂の1986年の春キャンペーンのCMソングに起用された。弾むような明るい曲調が心地良い曲。タイトル通り、歌詞には「white」のワードが多く使われている。とても可愛らしい雰囲気に溢れている。明日が待ってるから 後ろは振り向かないわ」という歌詞が印象的。管理人の好みではこちらのバージョンの方が好きである。


「夢の続き」は先行シングル曲。1987年公開の映画『ハワイアン・ドリーム』の主題歌に起用された。1992年盤からは1989年にリミックスされたバージョンに差し替えられている。そちらの方は聴いたことが無いので違いは分からない。サウンドは打ち込みがメイン。サックスやトランペットも使われている。山下達郎のコーラスワークが冴え渡っており、とても清涼感のあるポップスになっている。英語詞のサビが聴いていて心地良い。ベスト盤には収録されていないが、そのような機会があれば再評価される曲だと思う。


「時空の旅人」は先行シングル曲。アニメ映画『時空の旅人』の主題歌に起用された。この曲も全編英語詞による曲。歌詞についてわざわざ訳す気は起きないが、恐らくラブソングだと思う。曲調は壮大な感じである。ギターソロがその力強さを演出している。それを演奏しているのはFENCE OF DEFENSEの北島健二である。映画の主題歌、そして今作のラストにふさわしい力強さのある曲だと思う。


ヒット作なので中古屋ではそこそこ見かける。セルフカバーが多めなのでライトリスナーにも聴きやすい作品だと思う。ベスト盤の次に聴くのにもおすすめ。ソングライターとしての竹内まりやにも触れることができる。普遍性を持った素晴らしいポップスばかりである。

★★★★★