SING LIKE TALKING
1995-03-25
↑ジャケ写が掲載されていない。

↑ジャケ写
【収録曲】
全曲作詞作曲 佐藤竹善/藤田千章
全曲編曲       SING LIKE TALKING
プロデュース  米田恵一

1.TRY AND TRY AGAIN ★★★★☆
2.Dancin' With Your Lies ★★★★★
3.君がいなければ ★★★★☆
4.PLATED PLANNER ★★★☆☆
5.Dancin' With Your Lies (I'm Hot Version) ★★★☆☆
6.FAIR~JUST THE TWO OF US~ ★★★★☆
7.EVENING BYZANTIUM ★★★★☆
8.11月の記憶 ~RAINING BLUES~ ★★★★★
9.WHAT TIME IS IT NOW? ★★★☆☆
10.眠りに就くまで ★★★★☆

1988年11月1日発売
1995年3月25日再発
ファンハウス
100位圏外 売上不明

SING LIKE TALKINGの1stアルバム。先行シングル「Dancin' With Your Lies」を収録。今作発売後に「TRY AND TRY AGAIN」がシングルカットされた。

1986年に彼らは「ヤングジャンプ・サウンド・コンテスト '86」にエントリーした。当時は6人組で、バンド名は決まっていなかった。佐藤竹善はエントリーする際、暫定的に「SING LIKE TALKING」という名前を付けた。曲名のような変わったバンド名だが、これは佐藤竹善がたまたま見ていたテレビ番組でやっていた、女優の李麗仙のインタビューに出ていた「彼女の演技は歌うように語り、語るように歌う」というテロップが印象に残っていたからだという。

「ヤングジャンプ・サウンド・コンテスト '86」の全国大会でSING LIKE TALKINGは「TRY AND TRY AGAIN」を演奏し、見事グランプリを獲得した。ファンハウスのディレクターで、コンテストの審査員をしていた武藤敏史に見出されてデビューが決定。1987年1月にファンハウスと契約した。その後は他のアーティストへの楽曲提供をしたり、コーラスに参加したりして修行を積んだ。1987年の年末から今作のレコーディングが始まった。しかし、それを始める直前に 佐藤竹善、藤田千章、西村智彦以外の3人がレコード会社の判断で脱退した。当初は西村智彦も外されるはずだったが、佐藤竹善と藤田千章が説得した結果、残留したという。

1年弱のレコーディングの末に完成した今作は1stとは思えない程に作り込まれた、上質なポップスが展開された作品となっている。ポップス、ロック、AOR、ソウル、ファンク等幅広いジャンルを取り入れたSLT独自の楽曲は1stから楽しむことができる。とても一言では表現できないSLTの音楽性は最早「SING LIKE TALKING」というジャンルと言っても過言ではない。


「TRY AND TRY AGAIN」は今作のオープニングを飾るタイトル曲。今作発売後にシングルカットされた。前述の通り、デビューのきっかけとなった曲である。横浜ゴムの「インテック」のCMソングに起用された。キーボードの冷たい音色が前面に出たミディアムテンポのバラードナンバー。「しくじりからが始まり 言い効かせて Try again」という歌詞が印象的。デビューのきっかけとなるのも頷けるような完成度の高い曲である。 SING LIKE TALKINGの歴史が始まった曲として大切に聴いていきたい存在。


「Dancin' With Your Lies」はデビューシングル曲。ノリの良いファンクナンバー。イントロが一分近くあるのが特徴。キレの良いギターのカッティングとベースが前面に出ている。後のライブではこの曲から「Rise」へと繋がるパターンが多い。それはライブの盛り上がるところの一つである。グルーヴ感の凄さはとてもデビューシングルとは思えない。演奏に負けない佐藤竹善のボーカルも流石と言ったところ。


「君がいなければ」はしっとりと聴かせるバラード。キーボードが中心のサウンドが展開されている。間奏のサックスのソロがたまらない。コーラスワークが比較的凝っているのが特徴的。「何もかも 動けやしない 始まらないに 決まっている」というサビの歌詞が印象的。初期ならではの無機質な感じのサウンドの曲だが、後のSLTのような隙のないサウンドだと逆に魅力が薄れてしまうかもしれない。


「PLATED PLANNER」はロック色の強い曲。意味がよく分からないタイトルがインパクト抜群。キーボードとギターが前面に出たサウンド。歌詞は日本語の後に横文字が来るスタイルが多用されている。どことなくスカした印象がある。サビの裏声がとても美しい。佐藤竹善はいとも簡単なように歌っているが、実際はとてつもなく難しいと思われる。


「Dancin' With Your Lies (I'm Hot Version)」は「Dancin' With Your Lies」の別バージョン。今作のレコーディング前に脱退した、プログラミング担当の佐藤達郎による別バージョン。ターンテーブルが使われている。地味に佐藤竹善のボーカルも歌い直されている。元のバージョンよりもテンションが高い感じ。しかし、アルバムの本編、それもアルバムのど真ん中に置く必要は無いと思う。どうにも今作の中で浮いている印象が否めない。どのアーティストにも言えることだが、同じ曲のリミックスバージョンはリミックスアルバムかシングルのC/W曲に入れるのが妥当ではないだろうか。


「FAIR~JUST THE TWO OF US~」は今作の中でも群を抜いてポップな曲。今作の収録曲はあまりそのような曲が無いので際立ってポップに聴こえる。軽快な曲調がとても心地良い。サウンドは打ち込みが多く使われている。曲自体は後のSLTを思わせる。「本当に大切な 何かを待っている ここでならすぐにも 見つかるはずなのに」という歌詞が印象的。佐藤竹善の若さ溢れるボーカルを楽しめる。


「EVENING IN BYZANTIUM」は重厚なファンクナンバー。ベースとギターが終始メインでサウンドを引っ張っている。ギターソロではマイケル・ランドウが参加している。歌詞はタイトル通り、イスタンブールを舞台にして描かれている。異国情緒漂う歌詞である。この曲は今でもライブで演奏されることがある。サウンド面が凝っているからだろうか。歌詞の意味はよく分からないが、サウンドだけでもハマれる魅力がある。


「11月の記憶 ~RAINING BLUES~」はファン人気の高いバラードナンバー。今作発売後にシングルカットされた「Dancin' With Your Lies」のC/W曲。後にバラードベストに収録された。サウンドは冷たさを感じさせるキーボードの音色が前面に出ている。間奏の感傷的な響きのサックスも印象深い。メロディーとボーカルがとにかく美しい。聴き惚れてしまうこと請け合い。雨の日や、冬が始まる頃に聴きたくなる。 初期SLTを代表する名曲である。


「WHAT TIME IS IT NOW?」はデジタルサウンドを取り入れたロックナンバー。当時大人気だったTM NETWORKを彷彿とさせる曲である。フェードアウトして終わるのだが、この終わり方はSLTの楽曲の中では珍しい。ノリの良い曲なのだが、SLTとしてはかなり異色なイメージの曲である。流行りに乗っかってみた印象が否めない。


「眠りに就くまで」は今作のラストを飾るバラード。ピアノを中心としたゆったりとした曲。SLTのアルバムのラストはこのような曲が並ぶことが多い。未来への願いや希望が込められた歌詞である。「いつか わかって いつか 変わって 遠くまで行ける」というサビの歌詞が印象的。タイトル通り、寝る前に聴きたくなる曲である。


中古屋ではたまに見かける程度。前述の通り、1stとは到底思えないような圧倒的な完成度を誇る曲が並んでいる。様々なジャンルを取り入れた音楽性ではあるが、普遍的なポップスとして違和感無く落とし込んでいる。そこがSLTの音楽性の凄いところ。佐藤竹善のボーカルの若さが印象深い。後のSLTの楽曲と比べると物足りない印象の曲が多いが、それは仕方がない。

★★★★☆