JUDY AND MARY
2001-02-07

【収録曲】
全曲作詞 YUKI
1.4.5.6.8.9.12.作詞 Tack and Yukky
全曲作曲編曲 TAKUYA
7.作曲 五十嵐公太
プロデュース TAKUYA

1.Rainbow Devils Land ★★☆☆☆
2.WARP 省略
3.Brand New Wave Upper Ground ★★★★★
4.カメレオンルミィ ★★★★☆
5.PEACE ★★★☆☆
6.LOLLIPOP ★★★★☆
7.あたしをみつけて ★★★★☆
8.mottö ★★★★★
9.ラッキープール ★★★★★
10.Sugar cane train ★★★★☆
11.ガールフレンド ★★★★★
12.ひとつだけ -ver.WARP- ★★★★★

2001年2月7日発売
Epic Records
最高位1位 売上88.7万枚

JUDY AND MARYの6thアルバム。先行シングル「Brand New Wave Upper Ground」「ひとつだけ」「Mottö」「ラッキープール」を収録。今作発売後に「PEACE -strings version-」がシングルカットされた。前作「POP LIFE」からは約2年8ヶ月振りのリリースとなった。初回盤は三方背BOX入り仕様。

これまで作曲を担当してきた恩田快人による曲は遂に一曲も収録されず。五十嵐公太による曲が一曲ある以外は全てTAKUYAの曲。TAKUYAは一部の楽曲で作詞にも関わってきたが、今作では12曲中実に7曲がTAKUYAとYUKIの共同作詞(Tack and Yukky名義)である。2ndアルバム以降は佐久間正英とJUDY AND MARYのプロデュースで制作されてきたが、遂に今作ではTAKUYAの単独プロデュース、編曲となった。バンドの主導権が完全にTAKUYAの元に渡ったことがはっきりと分かる。

今作発売前にはJUDY AND MARYの解散が発表された。シングル「Brand New Wave Upper Ground」をリリースした頃には恩田快人が他のメンバーに「このまま続けていくことはできない」という旨の申し出をした。恩田快人は自身が脱退しても3人で続けてほしいと思っていたようだが、結果として解散を前提として今作が制作されることとなった。
「最高のアルバムができたから解散」とメンバーは語った。そして、今作発売から1ヶ月後の2001年3月7日、8日の東京ドーム2days公演をもってJUDY AND MARYは解散した。 最終日のライブの模様はDVD化されている。


「Rainbow Devils Land」は今作のオープニング曲。打ち込みを用いた実験性の強いロックナンバー。JAMがそうだったのかは不明だが、多くのバンドにとって禁じ手とも言える存在である打ち込みドラムを使ってしまった。シンプルな四つ打ちドラム。しかし、生演奏もしっかり入っている。そのコントラストがかなりはっきりしている。TAKUYAは打ち込みを使おうか迷ったのだろうか?迷っていなければ完全に打ち込みだけにしたと思う。無機質なサウンドと淡々としたメロディーは聴いているととてもJAMの楽曲とは思えない。異質な印象があり、どうしても馴染めない曲。


「WARP」は今作のタイトル曲。50秒程度の短いインスト曲。次の曲への繋ぎとしてのインスト。サウンドエフェクトが入っている。ラストには逆再生させたYUKIの声が入っている。何を言っているかは分からない。別に聴き流しても構わないと思う。


「Brand New Wave Upper Ground」は先行シングル曲。大塚製薬の「ポカリスエット」のCMソングに起用された。活動再開後の最初のシングル。初のマキシシングルでのリリースとなった。今作リリース前にベスト盤「FRESH」に収録された。鋭いギターサウンドがイントロから炸裂している。シングルは2月にリリースされたが、曲自体は夏をイメージさせる爽やかなもの。ボーカルはどこまでも突き抜けていくような雰囲気がある。サビは開放感に溢れている。「振り向かずに行くわ シャツのすそはためかせて進め」という歌詞が印象的。今作では数少ないJAMの王道と言える曲。


「カメレオンルミィ」は次々に曲調が変わるのが特徴的な曲。タイトル通りカメレオンのように変化する。その曲調の変化に対応していくリズム隊も凄い。特にドラムは同じ曲とは思えない程にパターンがくるくると変わっている。歌詞はかなり散文的で意味が分からない。韻を踏むことだけを考えたような感じ。素人が聴いていても間違いなく言葉を乗せるのが難しいと思うような曲なので散文的になるのは仕方がない。 JAMが演奏の面でも超一流のバンドであったことを証明してくれるような曲である。


「PEACE」は今作発売後にシングルカットされた曲。「strings version」とリアレンジされてのシングルカット。それがリリースされたのはラストライブ翌日の3月9日。現時点でJAMにとって最後のシングル。ピアノが前面に出たしっとりとしたバラード。ピアノはTAKUYAが演奏しているようだが、ギターと同じように不思議なフレーズで演奏している。この曲最大の特徴はYUKIとTAKUYAのツインボーカル。今作以前の楽曲にもTAKUYAのコーラスが所々に入っていて「ん?」となるような歌声を披露していたわけだが、それが遂にツインボーカルとしてYUKIと肩を並べたのである。TAKUYAのボーカルは決して上手くは無い。 それを抜きにしてもバンドサウンドを殆ど排除してしまっているのは悪印象。


「LOLLIPOP」は可愛らしい雰囲気に溢れたポップロックナンバー。曲はイントロ無しで始まる。可愛らしい雰囲気があるのだが演奏はギターを始めとしてアバンギャルドそのもの。歌詞は別れた恋人との思い出を振り返っているもの。「きっと 忘れてやらない きゅっと 胸しめつけるけど じゃあね 上を向いてね あたしは あなたの かわいい ロリポップガール」という歌詞が印象的。この部分は跳ね上がるようなメロディーに乗せられており、聴いていてとても心地良い。他のアルバムに入っていたら埋もれているかもしれないが、王道な曲が少ない今作に入っていることで印象が良くなっている。


「あたしをみつけて」は今作唯一の五十嵐公太作曲による曲。JAMで五十嵐公太が作曲した最後の曲。大塚製薬の「ポカリスエット」のCMソングに起用された。五十嵐公太の曲は恩田快人が作るものにも、TAKUYAが作るものにも似ていない独特なメロディーがある。サウンドはシンプルなバンドサウンド。アコギとドラムが前面に出ている。「あなたの光で あたしをみつけて」というサビのフレーズが印象的。優しい雰囲気がたまらない曲である。


「mottö」は先行シングル曲。日本テレビ系情報番組『The独占サンデー』のテーマソングに起用された。曲はパンクテイスト。変態じみたギターフレーズが展開されている。3分程度の短い曲だが、短い中に歌詞が詰め込まれている。「愛をもっと 自由をもっと」「今をもっと 生きるmottö」と張り上げて歌うサビの部分はインパクト抜群。バンドが終わりに近付いても全力疾走で駆け抜けたJUDY AND MARYの姿を象徴するような曲。


「ラッキープール」は先行シングル曲。フジテレビ系ドラマ『2001年のおとこ運』の主題歌に起用された。解散前最後のシングルとなった。シーケンサーから入るイントロ。サビまでは抑えるように静かな雰囲気で進んでいき、サビで思い切り弾ける…という曲調。底抜けに明るい訳ではなく、ダークな雰囲気も持っているのが特徴。夏真っ盛りの曲というよりは夏の終わりのような感じ。「ずっと続く水平線まで 大きく手を振ろう まだ見ぬ明日も風まかせ」という歌詞が印象的。「まだ見ぬ明日も風まかせ」のフレーズはTAKUYAが「ジュディマリっぽくない」と反対したという。解散後にリリースされたファン投票によるベスト盤では「Over Drive」「そばかす」の2大名曲に次いでの3位を獲得しており、解散直前のシングル曲ではあるがファン人気はとても高いようだ。


「Sugar cane train」は先行シングル「ひとつだけ」のC/W曲。優しいメロディーに抑え目のバンドサウンドが乗っている。幸せな雰囲気のあるラブソング。「あたしが破レツしちゃうくらい 両手で強く抱きしめてね 本当は淋しいくらい 不安になるの 今すぐ抱きしめて キスしても恐いよ」という歌詞が印象的。とても可愛らしいフレーズである。いつも通りのJAMの楽曲と言ったところ。地味なようでいてしっかりと存在感を放っている。 


「ガールフレンド」は先行シングル「mottö」のC/W曲。日本テレビ系情報番組『The独占サンデー』のテーマソングに起用された。とても爽やかな雰囲気の曲。階段を登っていくようなサビのメロディーが聴いていて心地良い。自然を思わせる描写が多く使われた歌詞。「ゆるいカーブ曲がれば 緑の山へ続く 追いかけた 我を忘れて 紙ヒコーキ 風に漂う 2人をのせて」という歌詞が印象的。ポップでとても明るい曲なのだが、切なさ溢れる歌詞である。


「ひとつだけ -ver.WARP-」は今作のラストを飾る先行シングル曲。アルバムバージョンでの収録。ボーカルが再録されている。今作のラストというのは、JUDY AND MARYのオリジナルアルバムのラストを飾る曲ということでもある。パンク色の強いロックナンバー。何度も転調する独特なメロディー。「さよならは言わないでね 願いはひとつだけ 夏を待ってる」という歌詞が印象的。最後には今作のタイトル曲「WARP」が流れて終わる。今作を通して聴いて、この曲まで来るとJUDY AND MARYの終わりを実感させられる。JAMの王道全開の曲ではあるが泣きたくなるような悲しさがある。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。TAKUYAがほぼ全曲の作曲、全曲の編曲、プロデュース、多くの曲の作詞に介入していることもあり、やりたい放題にやってしまっている印象がある。最早「YUKIをゲストボーカルに迎えたTAKUYAのソロアルバム」と言った方が違和感が無い。シングル曲はそうでもないが、アルバム曲ではバンドサウンドが目立たない曲も多くある。「最高のアルバムができたから解散」という宣言もTAKUYAが傑作だと思ったから発表したのではないか。JUDY AND MARYでやらなくても良いようなこともしており、解散も当然だと思える作品。
「再結成してほしいバンドランキング」というようなことをすると大抵JUDY AND MARYは上位に入って来るが、今作のような作品がラストだと再結成は無いような気がしてならない。聴いていると虚しくなるような作品である。伝説のバンド・JUDY AND MARYの最後の輝きが感じられる。

★★★★☆