CHAGE&ASKA
2001-07-18


【収録曲】
全曲作詞作曲 飛鳥涼
3.作詞作曲 CHAGE
5.作詞 飛鳥涼 作曲 CHAGE
6.11.作詞 澤地隆 作曲 CHAGE
10.作詞 青木せい子 作曲 CHAGE
1.編曲 飛鳥涼・十川知司
2.7.8.9.編曲 澤近泰輔
3.編曲 村上啓介
4.6.10.11.編曲 十川知司
5.編曲 近藤敬三
12.編曲 飛鳥涼・BLACK EYES
プロデュース CHAGE&ASUKA 山里剛

1.LOVE SONG ★★★★★
2.PRIDE ★★★★★

3.SHINING DANCE ★★★☆☆
4.HOTEL ★★★★☆
5.Break an egg ★★★★☆

6.さよならは踊る ★★☆☆☆ 
7.砂時計のくびれた場所 ★★★★☆

8.天気予報の恋人 ★★★★★
9.Don't Cry,Don't Touch ★★★★☆
10.絶対的関係 ★★★☆☆
11.流れ星のゆくえ ★★★★☆
12.WALK ★★★★★


DISC2
1.作詞作曲 飛鳥涼
2.作詞 松井五郎 作曲 CHAGE
3.作詞 田北憲次 作曲 CHAGE
3.作曲 瀬尾一三(追想の主題)
4.作詞 飛鳥涼・松井五郎 作曲 飛鳥涼
1.編曲 原田真二
2.3.編曲 服部克久
4.編曲 S.E.N.S.


1.MOON LIGHT BLUES ★★★★☆
2.嘘 ★★★★☆
3.終章(エピローグ)〜追想の主題〜 ★★★★★ 
4.熱い想い ★★★★★
※「嘘」〜「終章(エピローグ)」〜「追想の主題」は組曲形式。


1989年8月25日発売
1993年12月17日再発(APO-CD)
1999年12月16日再発
2001年7月18日再発
2009年10月21日再発(SHM-CD)
ポニーキャニオン(1989年盤・1993年盤)
東芝EMI(1999年盤)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ(2001年盤・2009年盤)
最高位1位 売上30.1万枚
最高位232位 売上0.06万枚


CHAGE&ASUKA(現CHAGE and ASKA)の
12thアルバム。先行シングル「WALK」「LOVE SONG」を収録。1992年にどちらもシングルで再発された。前作「ENERGY」からは約9ヶ月振りのリリースとなった。C&Aにとっては初の2枚組オリジナルアルバム。


今作はC&Aのデビュー10周年記念作である。オリジナル盤のリリース日は丁度デビュー日。2枚組の作品だが、DISC2は過去の楽曲のリアレンジ、再録バージョンが収録されている。


今作の売上は2ndアルバム「熱風」以来となる1位を獲得した。前作ではC&A史上最低のセールスを記録したが、今作で一気に逆転を果たした。次作以降も売上を伸ばしていった。大ヒット前夜の雰囲気に溢れている。


前作での名義はデビュー当初から使用してきたチャゲ&飛鳥だったが、今作ではCHAGE&ASUKAとなっている。しかし、翌年の6月にはCHAGE&ASKAに改名している。この理由は渡英した時に現地の人に「アスーカ」と読まれてしまったからだという。結果的にCHAGE&ASUKA名義でリリースされた唯一のオリジナルアルバムとなった。再発盤ではCHAGE&ASKA名義に変えられているものもある。


「LOVE SONG」は今作のオープニングを飾る先行シングル曲。1992年にはJAL'92の沖縄キャンペーンソングに起用され、シングルが再発された。再発盤は約50万枚のヒットとなった。美しいメロディーが心地良いミディアムナンバー。まさにASKAの真骨頂と言えるような曲である。イントロから引き込まれること請け合い。ゆったりとした曲調だが、圧倒的な力強さを持っている。この曲のリリース当時はバンドブームに湧いていた。その状況の中で、 自分達の音楽が流行に振り回されることなく、温もりのある曲を作り続けていきたいという願いが込められた歌詞。「ひどいもんさ 生きざまぶった 半オンスの拳が うけてる」という歌詞からはバンドブームへの冷ややかな視線が感じ取れる。歌詞の中の「君」はファンのことを指しているのかもしれない。C&Aの代表曲の一つと言っていいだろう。


「PRIDE」は今作のタイトル曲。1994年公開の映画『ヒーローインタビュー』の挿入歌に起用された。重厚感溢れる壮大なバラードナンバー。ピアノが前面に出ている。歌詞はラブソングの範疇ではあるが、彼らなりの生き方についての考え方も語られている。「何が真実か 分からない時がある 夢にのり込んで 傷ついて知ること」という歌詞が印象的。かなり男らしいイメージの曲なので、男性からの支持が多いと思う。数多くあるC&Aの楽曲の中でも屈指のファン人気を誇る曲だけあって、一度聴いただけで心をグッと掴まれるような感覚がある。



「SHINING DANCE」はCHAGE作詞作曲による曲。ここまでの流れを変えるようなロック色の強い曲。ファンクのようでもある。歌詞は全てカタカナと英語で表記されている。そのせいで非常に歌詞が読みにくいものの、何となくエロ路線なのは分かる。打ち込みを使ったサウンドは今聴くと少々古臭く感じてしまうが曲自体は割と格好良い。しかし、曲の置き場所はもう少し何とかならなかったのだろうか?CHAGEの曲はアルバムの曲に幅を持たせるような役割になってしまっている。アクの強い曲担当になっているイメージ。



「HOTEL」はノリの良いポップロックナンバー。後にベスト盤「Yin&Yang」に収録された。途中まではマイナーコード、サビからメジャーコードという構成。スリリングな展開の曲である。サウンドはギターが前面に出ている。歌詞はアダルトな雰囲気を持ったもの。ノリの良い曲だが、歌詞は部屋の様子が想像できるほどに濃厚な味わいがある。「朝も夜もない部屋 たどり着く場所がある 海の響き懐かしむ アンモナイトになるまで」というサビの歌詞が印象的。



「Break an egg」は先行シングル「LOVE SONG」のC/W曲。アルバムバージョンでの収録。1992年にシングルが再発された際にはC/W曲が「ロマンシングヤード」に差し替えられてしまった。作詞をASKA、作曲がCHAGEという形で制作された。サウンドはアコギがメイン。少し地味な印象があるが、サビではポップでキャッチーなメロディーになる。タイトルの意味はよく分からないが、自分の殻を破って成長することだと解釈している。「いつか夢を抱いた腕で 青い空の壁を破れ」という歌詞が印象的。C/W曲という位置が勿体無い気もするが、その位置だからこそ尚更良い曲だと感じられるのかもしれない。



「さよならは踊る」はCHAGE曲。独特なハネたメロディーが展開されている。レゲエのようなサウンドである。昔の映画でも見ているかのような気分になる。男女の別れを描いた歌詞。女目線の歌詞である。「それにしても偶然 星よりきれいな涙を用意してた…」という歌詞が印象的。CHAGE曲=マニアックという風潮があるが、そう言われても仕方がない感じがしてしまう。この時期ばかりはCHAGEの曲がASKAの曲に負けてしまっている印象が否めない。


「砂時計のくびれた場所」は壮大なロッカバラード。1991年にはTBS系スペシャルドラマ『拝啓オグリキャップ様』の主題歌に起用された。曲名のインパクトが強い。字だけ見ると?となるタイトルだが、実際に砂時計を見ると納得できる。微妙な関係の二人なのだろう。「空を追い駆けて みたくなった 勇気じゃない あなたの愛で」というサビの歌詞が印象的。切なくも力強い名バラードである。ASKAの才能が爆発している。


「天気予報の恋人」はミディアムテンポの明るいバラードナンバー。1994年にはSUBARUの「VIVIO」のCMソングに起用され、2000年放送のフジテレビ系月9ドラマ『天気予報の恋人』では最終回に挿入歌として使用された。そのためか、非シングル曲ながらも知名度がそこそこある。ストリングスが効果的に使われて曲を盛り上げている。何重にも重ねたアコギの音色が心地良い。歌詞は、恋人に不安な感情を抱いてしまう男を描いている。「君の愛は信じてる 天気予報くらいにね」という歌い出しは初めて聴いた時に圧倒された。 信じたり疑いたくなったりする絶妙なラインを見事に突いた表現だと思う。彼女のことを疑ってはいるものの、曲は多幸感を感じさせる。そのギャップがハマれる要因なのかもしれない。ベスト盤に収録されたのも頷ける名曲。



「Don't Cry,Don't Touch」は父親としてのASKAの姿を感じられる曲。曲はとてもノリが良い。打ち込みとベースが前面に出たサウンドはかなりファンキー。ガラスが割れるような音も入っている。我が子の様子を見て素直な想いを書いたという。子育てに振り回されている様子が伝わってくる。とても微笑ましい歌詞である。「何を伝えにやって来たの 恋も知らないはずなのに」という歌詞が印象的。振り回されているものの、なんだかんだ言って子供のことが大好きなのだろう。


「絶対的関係」はCHAGE曲。ツイストのリズムを使いたくて、ザ・ピーナッツのイメージを意識して作ったという。CHAGEはサラッと歌っているものの、かなり複雑なメロディーである。歌いにくそうだ。探りあいをしつつ愛し合う恋人たちを描いている。この曲もまたアダルトなイメージの歌詞。二人のハモりがとても美しい。10年やって来ただけあって素晴らしいハーモニー。曲そのものよりもハモりのインパクトが強かった。



「流れ星のゆくえ」はCHAGE曲。コンサートのラストを意識して作ったというだけあって、しっとりと聴かせるバラードである。浮遊感のあるサウンドメイキングがされている。多幸感溢れるラブソング。「甘い愛のあとは深い夜 見つめながら 流れ星のゆくえを聞かせてあげよう」という歌詞が印象的。歌詞だけでなく、CHAGEのボーカルも非常に甘い雰囲気がある。寝る前に聴きたくなるような優しさがある。今作収録のCHAGE曲の中では一番好きな曲。


「WALK」は今作のラストを飾る先行シングル曲。1992年にはSUBARUの「VIVIO」のCMソングに起用され、シングルが再発された。ASKAはこの曲を作った頃から流行を狙うことをやめ、自分の音楽を追い求めるようになったという。「自分たちにとって『WALK』はとても必要な曲だった」という位置付けをしており、C&Aの歴史を振り返る上でも重要なポジションにある。美しいメロディーがとにかく心地良いミディアムバラード。歌詞はストレートに恋人への気持ちを語っている。「君が微笑みくれると 弱い男を見せられそうさ 君が涙に濡れると 大切なもの 守れそうさ」という歌詞が印象的。普遍性を持った愛の言葉と美しいメロディー。C&Aの代表曲の一つだろう。


DISC2の曲の感想は省略させていただく。



ヒット作なので中古屋ではよく見かける。サウンド面ではほぼ全曲の編曲を澤近泰輔と十川知司で分け合う形になっている。二人は1990年代に大ヒットした時期のメインアレンジャーとして活躍していた。1990年代以降のサウンドの基礎が今作で作られた。ASKAによるミディアムテンポのバラードは冴え渡っており、まず外れがない。「LOVE SONG」「PRIDE」「天気予報の恋人」「WALK」とベスト盤に収録された人気曲が多く収録されている。ライトリスナーにも聴きやすいアルバムだと思う。

★★★★☆