【収録曲】
全曲作詞作曲 桜井和寿
全曲編曲       小林武史&Mr.Children
プロデュース  小林武史&Mr.Children

1.hypnosis ★★★★☆
2.Marshmallow day ★★★★★
3.End of the day ★★★★☆
4.常套句 ★★★☆☆
5.pieces ★★★☆☆
6.イミテーションの木 ★★★★☆
7.かぞえうた ★★★☆☆
8.インマイタウン ★★★★☆
9.過去と未来と交信する男 ★★★★★
10.Happy Song ★★★★☆
11.祈り〜涙の軌道 ★★★☆☆

(初回盤のみ)DISC2 DVD
1.hypnosis
2.Marshmallow day
3.常套句
4.祈り〜涙の軌道

2012年11月28日発売
トイズファクトリー
最高位1位 売上77.6万枚

Mr.Childrenの17thアルバム。先行シングル「かぞえうた」「祈り〜涙の軌道/End of the day/pieces」「hypnosis」を収録。「かぞえうた」「hypnosis」は配信限定シングルだった。前作「SENSE」からは約2年振りのリリースとなった。初回盤は4曲のPVが収録されたDVDが付属。

今作がリリースされた2012年はMr.Childrenのデビュー20周年の年。今作の前にはベスト盤「Mr.Children 2001-2005 <micro>」と「Mr.Children 2005-2010 <macro>」を同時リリースしている。2012年はアルバムのリリースが精力的に行われたことになる。

今作は既発曲が11曲中実に8曲。これまでシングルでリリースしたきりだった曲やテレビ番組やCMで使われていた曲を多数収録している。ここまで既発曲が多い作品も珍しい。20周年イヤーに間に合うように急いで制作したのだろうか?

実に長いタイトルが印象的。「偽物のブラッドオレンジ」というような訳になるのだろうが、意味はよく分からない。タイトルが長いので略し方が色々とある。「ブラオレ」「オレンジ」がメインだが、頭文字だけとった「aibo」というものもある。


「hypnosis」は今作のオープニングを飾る配信限定シングル曲。日本テレビ系ドラマ『トッカン-特別国税徴収官-』の主題歌に起用された。流麗なストリングスとピアノが前面に出たミディアムテンポの曲。美しいメロディーとサウンドだが、バンドサウンドがかなり控えめになっているのが気になってしまう。葛藤の中で生きていく人を描いた歌詞。「すべてが思い通りにならぬことくらいは 知っているつもり でもすんなり受け入れられもしないから」という歌詞が印象的。決意表明のようになっている曲なのでかなりの力強さがある。


「Marshmallow day」は爽やかなポップナンバー。資生堂の「MAQuillAGE」のCMソングに起用された。PVも制作されているため、シングル同然の扱いを受けていると言える。サウンドはピアノとホーンが前面に出ている。とても軽快なサウンドで聴いていて心地良い。どことなく「エソラ」を思わせる曲だが、仮タイトルは「エソラ超え」だったという。そう思ったわけである。多幸感のある歌詞になっている。サビでの韻の踏み方には驚かされる。「このまま死んでしまえるならそれが良い 君の吐息 甘い雰囲気に埋もれて」というフレーズは最早甘ったるいレベルである。この曲について一番驚いたことは、マシュマロを英語で書くとかなり長くなること。初見は読むのに少し時間がかかった。


「End of the day」は先行シングル曲。「祈り〜涙の軌道」「pieces」とはトリプルA面シングルだった。初期を思わせるポップな曲。高揚感に溢れたイントロが素晴らしい。歌詞は少し暗めなイメージのものになっている。「もう可哀想なくらいに 自分がちっちゃく見える」というフレーズが印象的。サウンドはピアノやストリングスが前面に出ている。バンドサウンドはベースとドラムはそこそこ聞こえるが、ギターがかなり奥の方に追いやられている。曲は良いのだがそれだけが残念。


「常套句」はしっとりとしたバラードナンバー。フジテレビ系ドラマ『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』の主題歌に起用された。ドラマタイアップということもあってか、非シングル曲ながらPVが制作されている。主題歌とは言っても、メインキャスト皆で歌っていたMONGOL800の「あなたに」の方が目立っていた印象。サウンドはストリングスがメイン。比較的アレンジはシンプルな感じである。サビでは「君に会いたい」と繰り返し歌っている。そのフレーズはラブソングではありふれたもの、つまりは 「常套句」と言ってもいい言葉である。その辺りを皮肉ってつけたタイトルなのかと勘ぐってしまう。


「pieces」は先行シングル曲。「祈り〜涙の軌道」「End of the day」とはトリプルA面シングルだった。映画『僕等がいた』の後編の主題歌に起用された。壮大なロッカバラード。比較的バンドサウンドが前面に出ている印象がある。この曲に関してはストリングスとバンドサウンドの絡みのバランスが取れていると思う。ただ、映画の主題歌というには少し地味な気がする。何度か聴かないと良さが感じられないように思う。何回か聴くと自然とハマってくる。


「イミテーションの木」は今作では数少ない新曲。メッセージ性の強い歌詞が展開された曲。実質的なタイトル曲と言えるだろう。ピアノ主体のサウンドが展開されている。ピアノから始まってバンドサウンドが合流するという近年のMr.Childrenの王道のような構成。何かが偽物だったとしてもそれには人を癒す力がある。だから偽物にも価値はある…という旨の歌詞。槇原敬之の曲の歌詞のようである。「イミテーションの木の下を 少年が飛び跳ねている それを見た誰かの顔がほころぶ 情熱も夢も持たない張りぼての命だとしても こんなふうに誰かをそっと癒せるなら」という歌詞が印象的。「HOME」の頃の作風を思わせる曲である。


「かぞえうた」は配信限定シングル曲。今作収録曲の中では最も初出が古い。東日本大地震の復興支援として作られ、配信でリリースされた曲。ピアノから始まり、後からバンドサウンドが入って盛り上がっていく壮大なサウンド。ストリングスが使われていないのが新鮮。歌詞は被災者へのメッセージのようになっている。「僕らは思っていた以上に 脆くて 小さくて 弱い でも風に揺れる稲穂のように 柔らかく たくましく 強い そう信じて」という歌詞が印象的。「きぼうのうた」になり得るような力強さと優しさを持っている。


「インマイタウン」は今作では数少ない新曲。今作に連動したライブでは収録曲の中で唯一演奏されなかった。ピアノが主体になったミディアムテンポの曲。ジャズのようなゆったりとしたリズムが心地良い。年末の忙しい雰囲気に包まれた街を描いた歌詞。その光景が浮かんでくるようである。「処が変われば 己も変われる 戯けた姿も生きる道 瞳を閉じれば 自由は広がる」という歌詞が印象的。年末の街を歩きながら聴くと良いかもしれない。


「過去と未来と交信する男」は今作では数少ない新曲。打ち込みが前面に出た異色の楽曲。かつての「光の射す方へ」を彷彿とさせる。うねうねとしたベースラインが非常に格好良い。他人の過去と未来を見ることができる能力を持った男が描かれた歌詞。話の内容が本当なのか嘘なのかは分からない。ただ、それを信じようとする心が大切なのかもしれない。今作の中ではかなり浮いて聴こえるが、それが逆にクセになる。一回聴いただけだと違和感を覚えるかもしれないが、それ以降は自然とハマってしまう。中毒性の高い曲である。


「Happy Song」は楽しげな雰囲気に溢れたポップナンバー。フジテレビの『めざましテレビ』の2012年のテーマソングに起用された。ピアノにストリングスが多用された曲だが、タイトル通りハッピーな気分になれる曲。一日に希望をもたらしてくれるような曲になっていると思う。管理人としても当時はタイアップ相手の番組を観ていたので印象深い。しかし、何と歌っているか全く聞き取れなかったことを覚えている。今作のCDを購入して歌詞カードを見てから納得した。


「祈り〜涙の軌道」は今作のラストを飾る先行シングル曲。映画『僕等がいた』の前編の主題歌に起用された。ストリングスが多用された王道バラードナンバー。とても流麗なメロディーとサウンド。「さようなら」と3回歌うサビはインパクト抜群。「君が泣いて笑って その度心を揺らす もっと強くありたいって想いで 胸は震えている」という歌詞が印象的。映画とセットで聴くと感動させてくるような曲だと思う。ラスト以外に置き場所が無かったような壮大なバラード。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。ピアノやストリングスがバンドサウンドを殺した、管理人の界隈で言う所の「コバチル」現象が頂点に達している。何と半数以上の曲でストリングスが使われている。ピアノから始まり、ピアノ主体の伴奏の後ろにストリングスが入る…このような構成の曲がやたらと多い。そこそこ聴きやすい作品なのは事実だが、同じようなサウンドが多過ぎるので流石にお腹いっぱいである。バンドである以上はバンドサウンドが目立ってほしい。今作ではバンドサウンドが添え物になってしまっている。サウンドが好きではないという理由で評価を下げた曲が多かった。曲自体は洗練されたものばかりなのでそれだけが残念でならない。

★★★★☆