久保田利伸
1993-09-22


【収録曲】
全曲作詞作曲 久保田利伸
2.作詞 川村真澄、久保田利伸
3.作詞 BROTHER KORN
7.作詞 川村真澄
14.作詞 JOHN HOLT
15.作詞 ORAN JUICE JONES
2.作曲 Rod Antoon,久保田利伸
プロデュース  久保田利伸


1.夢 with You〜A CAPPELA〜 ★★★★★
2.Dance If You Want It ★★★★★

3.GIVE YOU MY LOVE ★★★★☆
4.Love Reborn ★★★★☆
5.雨音 ★★★★★
6.Be wanabee ★★★★★
7.High Roller ★★★★★
8.君に会いたい ★★★★☆
9.Indigo Waltz'93(DEDICATED TO MICHAEL C.HOFFMAN) ★★★★★ 

10.MAMA UDONGO〜まぶたの中に…〜 ★★★★★
11.Keep On JAMMIN' ★★★★☆
12.ふたりのオルケスタ ★★★★☆

13.夢 with You ★★★★★
14.Moving Target ★★★★★
15.Forever Yours ★★★★☆


1993年9月22日発売
2009年9月2日発売(Blu-Spec CD)
ソニーレコード
最高位1位 売上79.2万枚


久保田利伸の2ndベスト。前作ベスト「THE BADDEST」からは約4年振りのリリースとなった。初回盤はBOX入り仕様。


今作は1989年にリリースされてミリオンを達成した大ヒット作「THE BADDEST」の続編である。タイトルについて「BADの最上級はWORSTだろ!」「ベスト盤なのにBAD?」という旨のツッコミをされることが多いが、タイトルの「THE BADDEST」というフレーズはアメリカの俗語で「最高」「イケてる」と言った感じの意味がある。久保田利伸ならではのファンキーなネーミングである。


今作は1988年リリースの3rdアルバム「Such A Funky Thang!」から1993年リリースの11th、12thシングル(同日発売)「夢 with You」「ふたりのオルケスタ」までの楽曲から選曲されている。一部リテイクやリミックスバージョンで収録されているが、ほぼオリジナルバージョンで収録されている。


楽曲の感想については今作が初収録となる曲のみにさせていただく。



「夢 with You〜A CAPPELA〜」は今作のオープニング曲。タイトル通り「夢 with You」のア・カペラバージョン。多重録音によるアカペラ。完全にアカペラというわけではなく、パーカッションやアコギも少し入っている。久保田利伸の歌唱力をこれ以上ない程よく味わえる。元のバージョンでも十分過ぎるほど圧倒的な歌唱力を披露しているが、こちらではさらに凄みを増している。こちらのバージョンもとても良い。



「GIVE YOU MY LOVE」は1990年にリリースされた6thシングル曲。「バヤリースオレンジ」のCMソングに起用された。作詞はBROTHER KORNが務めた。ファンキーな雰囲気漂うポップな曲になっている。サウンドはベースとキーボードが前面に出ている。当時流行していた高級楽器シンクラヴィアも使われている。時代性を感じさせる。「Give You My Love」と繰り返すサビはとてもキャッチーで印象に残る。



「Indigo Waltz'93(DEDICATED TO MICHAEL C.HOFFMAN)」は1989年にリリースされた2ndミニアルバムの表題曲。ミニアルバムとはいっても今で言うマキシシングルである。「MICHAEL C.HOFFMANに捧げる」という旨のサブタイトルだが、この人物が誰かは分からない。再録されている。元のバージョンよりもしっとりした印象がある。色気のある歌声は聴いていてとても心地良い。元のバージョンよりもこちらのバージョンの方が好き。


「ふたりのオルケスタ」は1993年にリリースされた12thシングル曲。「'93コカ・コーラ」のCMソングに起用された。ポップなR&Bナンバーになっている。サウンドは全編打ち込みで構成されている。歌詞はポジティブな雰囲気に溢れている。「すべてを空に投げ込み 女と男になろう」というフレーズが印象的。それなりに知られたシングル曲であるがアルバムでは今作でしか聴けない。


「夢 with You」は1990年にリリースされた11thシングル曲。フジテレビ系ドラマ『チャンス!』の主題歌に起用された。ちなみに、このドラマの最終回では久保田利伸が出演した。三上博史が主演を務めたが、本城裕二というドラマの役名でこの曲を歌い、シングルもリリースされている。三上博史バージョンの方が久保田利伸バージョンよりも少し売れた。シンバル以外の全てのサウンドは打ち込みで構成されている。しっとりしたバラード。歌詞はストレートな愛の言葉が並んでいる。「原色の夢を 不器用な夢を 雨の朝も 悲しい季節も 信じつづけて with You」というサビの一部の歌詞が印象的。比較的ヒットしたためか、久保田利伸のバラードの中でもかなり人気がある曲だと思う。



「Moving Target」は初CD化となる曲。フジテレビ系ドラマ『あいつがトラブル』のエンディングテーマに起用されたが、長らく音源化されていなかった。全編英語詞によるファンクナンバー。サウンドは打ち込みだけで構成されている。とてもファンキーな曲である。久保田利伸の伸びやかなボーカルを楽しめる。英語詞だけあって言葉が綺麗に流れるような感覚がある。ここでしか聴けないのが勿体無く感じられる。隠れた名曲と言って良いだろう。



「Forever Yours」は1991年にリリースされた8thシングル曲。大同生命のCMソングに起用された。アメリカの歌手、Alyson Williamsとデュエットしている。意外にも久保田利伸は紅白歌合戦への出場は1回のみだが、そこで歌ったのがこの曲。全編英語詞によるバラード。美しいメロディーと上質なバンドサウンドが展開されている。歌詞は対訳が無いのでなんとも言えないが、恐らくストレートなラブソングだろう。二人のとてもソウルフルなボーカルがこの曲の世界観を構成している。アルバムでは今作でしか聴けない。



ヒット作なので中古屋ではよく見かける。入門用ベストとしては2011年リリースの「THE BADDEST〜Hit Parade〜」が一番おすすめできるが、今作は未だに価値を失っていない。今作でしか聴けない曲があるので、資料的な価値はある。前作ベストの時期の曲よりも本格的なR&Bやファンクが展開されている。今作以降の楽曲はニューヨークに拠点を移してからの曲であり、より本格的なR&Bになる。人によってはとっつきにくさも感じるだろう。その二つの中間の時期の曲のため、割と聴きやすい。入門の次の段階で聴くことをおすすめする。


★★★★☆