浜田省吾
1990-06-21

【収録曲】
全曲作詞作曲 浜田省吾
2.作曲 町支寛二
4.作曲 梁邦彦
5.作曲 江澤宏明
6.作曲 古村敏比古
7.作曲 板倉雅一
1.2.3.8.編曲 町支寛二
1.ストリングス編曲 水谷公生
4.編曲 梁邦彦
5.編曲 江澤宏明
6.編曲 古村敏比古
7.9.10.11.編曲 板倉雅一
12.編曲 板倉雅一、浜田省吾
プロデュース 浜田省吾

1.二人の夏 ★★★★☆
2.GEAR UP 409 ★★★★☆
3.LITTLE SURFER GIRL ★★★★★
4.曳航 ★★★★☆
5.プールサイド ★★★★☆
6.HOT SUMMER NIGHT ★★★★☆
7.HARBOR LIGHTS ★★★★★
8.CHAMPAGNE NIGHT ★★★☆☆
9.SNOWBOUND PARTY-Tonight Visitors OK!- ★★★★☆
10.MIDNIGHT FLIGHT-ひとりぼっちのクリスマス・イブ- ★★★★★ 
11.SNOW ON THE ROOF-Just Like You And me- ★★★★☆
12.SENTIMENTAL CHRISTMAS ★★★★★

1987年6月28日発売
1990年6月21日再発
CBSソニー(1987年盤)
ソニーレコード(1990年盤)
最高位2位 売上11.9万枚

浜田省吾の11thアルバム。先行シングル「二人の夏」を収録。前作「J.BOY」からは約8ヶ月振りのリリースとなった。ミニアルバム「CLUB SURFBOUND」とは同時発売された。

今作は1985年にリリースされたミニアルバム「CLUB SNOWBOUND」と、今作と同時発売された「CLUB SURFBOUND」を1枚にまとめたもの。最高位は2位だが、この時1位を獲得したのは「CLUB SURFBOUND」である。

「CLUB SNOWBOUND」はクリスマスソングで構成されている。幼少期に好んで聴いていたという1960年代のオールディーズポップスの影響を受けて作られたようだ。「自分のアルバムでやるのは気恥ずかしいから、企画ものとして制作した」とのこと。

「CLUB SURFBOUND」はタイトル通りサーフミュージックがメイン。これは浜田省吾が敬愛するビーチボーイズの影響を受けたという。当時の浜田省吾のバックバンドであった「The Fuse」のメンバーが1曲ずつ作曲と編曲を担当しているのが特徴。「バンドメンバーにお返しをしたい」という浜田省吾の意向によるもの。


「二人の夏」は先行シングル曲。愛奴時代の楽曲のセルフカバー。浜田省吾がソロデビューする前に所属していたバンド、愛奴の1stシングル曲だった。イントロに新たに波の音が入っているほか、歌詞も新たに追加されている。元のバージョンよりもしっとりとした味わいの曲になっている。ボーカルもゆったりと丁寧なイメージ。元のバージョンの荒削りな感じも良いが、こちらの上質な「二人の夏」も良い。


「GEAR UP 409」は町支寛二がリードボーカルを務めた曲。そう書くと語弊が生じるが、実際は浜田省吾と町支寛二のツインボーカルのような状態。美しいファルセットボイスを聴かせてくれる。町支寛二の歌声は浜田省吾の楽曲に欠かせないものである。夏の空気を思わせる、とても爽やかな曲。歌詞は二人の地元である広島を舞台にしたもの。彼女に自分のバンド仲間を紹介するという内容。ビーチボーイズの楽曲名も歌詞に登場している。二人の仲の良さが伝わってくるような曲である。


「LITTLE SURFER GIRL」は先行シングル「二人の夏」のC/W曲。ビーチボーイズの影響を受けたようなとてもポップな曲。曲調だけでなく、タイトルからもそれがうかがい知れる。浜田省吾の自信作でもあり、「5本の指に入るくらい好きな曲」と語っている程。凝ったコーラスワークと分厚いサウンドが展開されているのが特徴。歌詞は夏の恋を描いたもの。「この夏 最高の波は この恋さ」という歌詞が印象的。浜田省吾の曲にしては珍しいくらいに弾けた印象の曲。遊び心を持ったこの作品でなければ作っていなかったのではと思うような曲である。


「曳航」はメロウな雰囲気溢れるバラードナンバー。作曲と編曲は梁邦彦が務めた。ピアノやシンセサイザーが前面に出た、少し冷たい響きのあるサウンドが展開されている。AOR色の強いサウンド。夏の終わりを想起させる歌詞が特徴。「君の港を 見つけるまで 傍にずっと居てあげよう」という歌詞が印象的。浜田省吾が作る曲とはまた違った味わいがあり、その違いを感じながら聴くと面白い。


「プールサイド」はしっとりとしたバラードナンバー。作曲と編曲はベースの江澤宏明が務めた。サウンドはシンセが前面に出ている。この曲もまた無機質な響きのサウンドである。歌詞はプールサイドを舞台に、結婚から3年を迎えた若い夫婦を描いている。ベース担当が作曲したためか、歌詞に「ベース」のフレーズが登場するのが特徴。「サーフミュージックなんて ブルジョアの BGMさ」という歌詞が印象的。リゾートソングのイメージに合っている。落ち着いてはいるが爽やかな曲である。


「HOT SUMMER NIGHT」は熱い雰囲気漂うポップな曲。作曲と編曲はサックスの古村敏比古が担当した。サウンドはシンセとサックスが前面に出ている。ポップなのだがロックンロールのテイストも感じさせる曲。歌詞は冴えないダンスバンドでサックスを演奏していた男を描いている。場末のパブや小さなホールでしか演奏できなかった男だが、ある女性と出会ったことでスポーツアリーナで演奏できるようになったが、彼女への心は冷めていく…という歌詞。小説のように情景が浮かんでくる。「聞こえるか おれの吹くサキソフォン 君のために 泣いてる」という歌詞が印象的。男の感情が伝わってくるような切ないバラードである。


「HARBOR LIGHTS」は過ぎた夏を回想したバラードナンバー。「CLUB SURFBOUND」ではラストを飾る曲だった。作曲と編曲はキーボードの板倉雅一が担当した。サウンドはピアノやシンセが前面に出ている。スローな美しいメロディーが聴いていて心地良い。歌詞は失恋もの。「愛が 君をとらえて 孤独に気づくまで でも君 最後まで 僕の涙に気づかなかった」という歌詞が印象的。浜田省吾が作る曲とは違う雰囲気がある。今作の浜田省吾以外が作った曲の中では一番好き。


「CHAMPAGNE NIGHT」は「CLUB SNOWBOUND」のオープニング曲。1分と少しの非常に短い曲。浜田省吾と町支寛二の歌声のみで構成されている。寒い冬の日を過ごす恋人達を描いた歌詞。二人のコーラスワークがとても美しい。オープニングにふさわしくワクワクさせてくる曲である。


「SNOWBOUND PARTY-Tonight Visitors OK!-」は爽やかなロックンロールナンバー。サウンドはバンドサウンドとサックスが前面に出ている。クリスマスの日を舞台にしている。ダンスパーティーをするものの、パートナーがいない男が女性を誘う内容の歌詞。とても楽しい雰囲気に溢れた曲である。クリスマスの時期特有の浮かれた雰囲気が味わえる。


「MIDNIGHT FLIGHT-ひとりぼっちのクリスマス・イブ-」はタイトル通りの切ないクリスマスソング。キーボードが前面に出たサウンドが展開されている。全体的に分厚いサウンドになっており、「ウォール・オブ・サウンド」と言える。飛行機で旅立とうとする彼女を引き止められなかった男の後悔が語られている。男の計り知れない悲しみが伝わってくる。「降り出した みぞれまじりの雨が 雪に変ってゆく 誰も皆 愛する人の待つ場所へと 帰ってゆく」という歌詞が印象的。切ないクリスマスソングの定番である。歌詞、サウンド、ボーカルの全てが合わさって切ない世界観を作り出している。クリスマスを一人で過ごす際のお供にどうぞ。


「SNOW ON THE ROOF-Just Like You And me-」は町支寛二がメインボーカルを務めた曲。浜田省吾がバックボーカルを務めるという珍しい曲。しかし、聴き慣れた歌声なので違和感は全く無い。曲は楽しげな雰囲気に溢れたポップなもの。子供達を連れてスキー場に出かけた夫婦を描いた歌詞。久し振りに二人の愛を確認したようだ。「何もいらないんだぜ 高価なプレゼントなんて 君が おれにとって 最高の贈り物さ」という歌詞が印象的。情景が浮かんでくるような、ドラマチックな歌詞である。実際に言ったらダサいかもしれない。


「SENTIMENTAL CHRISTMAS」は「CLUB SNOWBOUND」のラストを飾る曲。しっとりとしたバラードナンバー。バンドサウンドだけでなく、ストリングスも使われている。クリスマスを舞台にしたバラード。クリスマスで騒がしい街の様子が浮かんでくるような歌詞が特徴的。世界平和への願いも込められており、これはジョン・レノンの「Happy Xmas (War Is Over)」を彷彿とさせる。クリスマスにふさわしい、優しい雰囲気に溢れた曲である。


ヒット作ではないが中古屋ではそこそこ見かける。リマスター盤は現在出ていない。「企画ものとして制作した」というだけあって肩の力を抜いて作られたような印象がある。バンドメンバーに楽曲提供を依頼したり、町支寛二をメインボーカルに据えた曲があったりすることからもそれがうかがい知れる。ビーチボーイズやフィル・スペクターからの影響を前面に出した曲が多く並んでおり、山下達郎のアルバムを聴いているような感覚になる。前半が夏、後半が冬の曲なのでとっ散らかっているように感じるかもしれないが、意外と合っている。夏や冬を過ごすお供として聴くのが良いと思う。

★★★★☆