【収録曲】
全曲作詞作曲 飛鳥涼
3.9.作曲 CHAGE・村上啓介
5.8.10.作詞作曲 CHAGE
6.作曲 CHAGE
1.2.3.9.編曲 村上啓介
4.10.編曲 重実徹
5.12.編曲 澤近泰輔
6.編曲 十川知司
7.編曲 松本晃彦
8.編曲 山里剛
11.編曲 清水信之
プロデュース CHAGE&ASKA 山里剛

1.もうすぐだ ★★★★★
2.青春の鼓動 ★★★★☆
3.Sea of Gray ★★★★☆
4.river ★★★☆☆
5.濡れた夢 ★★★★☆
6.I'm a singer ★★★☆☆
7.One Day ★★★★★
8.ピクニック ★★★☆☆
9.港に潜んだ潜水艇 ★★★★★
10.NとLの野球帽 ★★★★★
11.好きになる ★★★★☆
12.On Your Mark ★★★★★

1996年4月22日発売
ポニーキャニオン
最高位2位 売上46.3万枚

CHAGE&ASKAの18thアルバム。先行シングル「On Your Mark」「river」を収録。「On Your Mark」は「HEART」と「NATURAL」のトリプルA面シングルだったが、2曲は前作に収録された。前作「Code Name.1 Brother Sun」からは10ヶ月振りのリリースとなった。

前作「Code Name.1 Brother Sun」とは連作である。こちらは全て大文字。予定では1995年の晩秋〜冬にリリースされる予定だったものの、ツアーを通して心境が変わり、既にレコーディングを終えた曲に手直しをしたり新たに曲を書いたりしたため延期されることとなった。

前作にワンコーラスだけ収録され、今作でフルコーラス収録される予定だった「君の好きだった歌」は結局収録されなかった。その代わりとしてブックレットの中にASKAの散文詩が掲載されている。結局、2010年にリリースされたASKAのセルフカバーアルバム「君の知らない君の歌」でフルコーラスバージョンが収録された。

今作以降は「MTV UNPLUGGED」に出演したり、海外アーティスト+英語詞カバーによるトリビュートアルバム「one voice THE SONGS OF CHAGE&ASKA」をリリースしたりした後に互いにソロ活動を活発化させるようになった。

1991年リリースの「TREE」から4作連続でアルバム首位獲得を達成していたが、最高位2位となり、遂に今作で途切れてしまった。シングル、アルバム含めポニーキャニオンから新作がリリースされるのは今作が最後となった。


「もうすぐだ」は今作のオープニング曲。JALのCMソングに起用された。シングル候補だったようだ。ギターサウンドが前面に出たポップな曲。CMソングに起用されただけあってサビはキャッチー。歌詞は人が何かをやり遂げようとする時の "あと少しだ!" という瞬間やそのような状況に到達する一歩手前のドキドキ感、気持ちの昻りを表現したという。「走れ走れ 時は短い 希望の淵を」というサビの歌詞が印象的。アルバムのオープニングにふさわしく、ワクワクさせてくる曲である。


「青春の鼓動」はビートルズを彷彿とさせるポップロックナンバー。今作のレコーディングの最後に作られた曲だという。CHAGEのコーラスワークがぴったり合っていて聴いていて楽しい。歌詞は青春時代の恋愛の思い出を振り返ったもの。これまでの楽曲では「青春」「希望」というフレーズを敢えて使ってこなかったというが、それを破った形となる。この曲には「青春」以外には無いだろうと考えたようだ。ASKAにしては珍しいくらい直球な歌詞である。 「若い日を 若いとは思わず 恋をした 恋をした」という歌詞が印象的。聴いた人それぞれが青春時代を思い出せるような曲になっている。


「Sea of Gray」はCHAGEと村上啓介の共作による曲。CHAGEがプログレをCHAGE&ASKAでやりたくなったらしく、それで作られたようだ。曲調の変化が顕著に現れているのが聴いていてよく分かる。ライブ映えするような曲だろう。力強いバンドサウンドとバイオリンが前面に出ている。「苛立ちを押さえながら 与えられた時代を行く 湿ったビルから吹く風に 俺たちは時代を泳いで行く」という歌詞が印象的。今までに無かった作風であり、ロック色の強い今作ならではの曲だと言える。


「river」は先行シングル曲。TBS系ドラマ『リスキーゲーム』の主題歌に起用された。しっとりとしたバラードナンバー。聴いていて眠くなるくらいゆったりとした曲調である。元々はミディアムテンポだったが、ASKAの意向でスローバラードになったという。歌詞はストレートなラブソング。このようなバラードは世間が思うチャゲアスの楽曲の王道と言った感じだろうが、以前のバラード程に心を揺さぶってくる感じはあまり無い。シングルにするには少し地味な印象が否めない。


「濡れた夢」は1994年リリースの36thシングル「めぐり逢い」のC/W曲。CHAGEの作詞作曲による曲。CHAGEはこの曲について「自分の中のチャゲアスのイメージを壊しにかかった曲」と語っている。曲はギターとピアノが前面に出たロック色の強いものなのだが、凄いのは歌詞。タイトルが何とも意味深だが、これは男性特有の現象である夢精の比喩で、歌詞はそれについて描かれている。確かにイメージを壊しにかかっている。 CHAGE曲らしくアルバムの作風から外してくる…と思いきや意外にも格好良い曲である。


「I'm a singer」はCHAGE作曲によるロックナンバー。ASKAが作詞したものの、メインボーカルはCHAGE。サウンドはギターサウンドとキーボードがメインになっている。歌詞についてASKAは、成功することへの意気込みが強いロンドンのシンガーの生活感がよく現れた歌詞と語っている。「運命に勝ちたいじゃない」というサビの歌詞の一節が印象的。他の曲には見られない、ギラギラした雰囲気が前面に出ている。


「One Day」はここまでの流れを変えるようなポップな曲。TBS系音楽番組『COUNT DOWN TV』の1996年5月度オープニングテーマに起用された。2002年には小畑由香里がこの曲をカバーし、TBS系ドラマ『一獲千金 夢家族』の主題歌に起用されてシングル化している。サウンドはブラスが多用されている。仮タイトルが「ブラスがいっぱい」だったらしく、それも頷けるようなサウンドになっている。歌詞は冴えない一日を描いたもの。「誰にだって訪れるさ どうしたって悪い日は 冗談と本気がいつもランデブー あとは天に祈ろう」という歌詞が印象的。今作の中では異質なくらいポップな曲だが、管理人の中では大好きな曲である。


「ピクニック」はCHAGE作詞作曲による曲。CHAGEが今作の中で最後に書き上げた曲なのだという。国内ツアー終了後に作り、肩の力が抜けた曲ができたようだ。フォークロック色の強いシンプルなサウンドが展開されている。はっぴいえんどの世界観をCHAGEなりに解釈したものらしい。確かにサウンド含め、歌詞からも懐かしい雰囲気が溢れている。楽しげな感じがよく現れているので聴き手も楽しめるような曲になっていると思う。


「港に潜んだ潜水艇」はCHAGEと村上啓介の共作による曲。MULTI MAXのサウンドをチャゲアスでやり、ASKAが歌うというCHAGEがやってみたかったという考えが反映された形になっている。ギターサウンドが前面に出た爽快なポップロックナンバーである。歌詞は元々CHAGEが作詞していたようだが、最終的にASKAの詞になった。男の闘争心や決意を描いた男臭いイメージの歌詞だが、これはチャゲアスの王道とも言えるテーマ。荒ぶる男の心がよく描かれた歌詞になっている。サウンド含めて歌詞も格好良い。


「NとLの野球帽」は先行シングル「river」のC/W曲。CHAGEの作詞作曲による曲である。バンドサウンドとシンセのバランスが取れた派手なロックサウンドが展開された曲。タイトルの「NとL」は西鉄ライオンズのことを指しており、「野球帽」は「ベースボールキャップ」と読む。CHAGEの少年時代を振り返ったような歌詞になっており、1969年の福岡を舞台にしている。熱苦しい感じだがそれがたまらない。曲やボーカルを含めてどことなく長渕剛の楽曲のような感じがするが、それは気にしてはいけない。CHAGE曲の代表曲だと思う。余談だが「MTV UNPLUGGED」でも披露されており、そちらのバージョンも素晴らしい。ライブ盤を聴いている限りだと一番盛り上がった曲だという印象がある。


「好きになる」は壮大なロッカバラード。NHKドラマ新銀河『妻の恋』の主題歌に起用された。シングル化する話もあったが、アルバムで聴かせたい曲という考えがあったためそれは見送られた。バンドサウンドが前面に出た力強いサウンドが展開されている。サビでのコーラスワークが美しく、それも聴きどころ。歌詞はタイトル通り恋人のことを好きになる瞬間を描いたもの。「現在がすべてと思いたい 過去は嘘でもかまわない」という歌詞が印象的。「river」よりもシングルらしい雰囲気があると思うので、アルバムの中に埋もれているのが勿体無く感じられる。


「On Your Mark」は今作のラストを飾る先行シングル曲。「HEART」「NATURAL」とはトリプルA面シングルだった。その2曲は前作に収録された。 「アメリカン・フェスティバル'94」のテーマソングに起用されたほか、スタジオジブリの短編アニメ映画『On Your Mark」の主題歌に起用された。非常に壮大な曲調であり、ラストにふさわしい風格を持っている。ピアノとバンドサウンドが絡んだ力強いサウンドは聴く度に鳥肌が立ってしまう。「未来に前向きな、疾走感のある曲」というテーマ通りの曲になっている。少年時代特有の無邪気な心を描いた歌詞も素晴らしい。ラスト以外に配置のしようがないような曲である。管理人の中ではチャゲアス屈指の名曲。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。前作同様ギターサウンドが前面に出たロックナンバーが並んでいる。何よりのトピックはCHAGEとASKAで作曲を半分ずつ分け合っていること。今までの作品はどうしてもASKAの方が多めになっていたが、これは大きな変化と言える。しかも今までのCHAGE曲は「アルバムの幅」担当、悪く言えば外れ曲になりがちだったが、今作でのCHAGE曲はいつもよりもアルバムの作風を牽引している感じ。大ヒットしたアルバムに比べると突出したヒット曲も無いため地味な扱いをされがちではあるが、それが功を奏して アルバム全体としての完成度が高まっている印象。

★★★★★