YUKI
2002-03-27

【収録曲】
全曲作詞作曲 YUKI
2.7.作詞作曲 日暮愛葉
4.作曲 Carole King、Toni Stern
5.作曲 太田朝子
6.作詞作曲 YUKI、DON
10.作曲 Andy Sturmer
1.編曲 YUKI、日暮愛葉
2.7.編曲 日暮愛葉
3.編曲 YUKI、湯浅篤
4.12.編曲 YUKI、會田茂一
5.編曲 ミト
6.編曲 YUKI、DON
8.編曲 YUKI、Russell Simins
9.編曲 YUKI
10.編曲 Andy Sturmer、John Fields
11.編曲 亀田誠治

1.眠り姫 ★★★★☆
2.the end of shite ★★★★☆
3.66db ★★★★☆
4.サヨナラダンス ★★★★☆
5.惑星に乗れ ★★★★★
6.Rainbow st. ★★★★☆
7.I U Mee Him ★★★☆☆
8.忘れる唄 ★★☆☆☆
9.愛に生きて ★★★★★
10.プリズム ★★★★☆
11.ふるえて眠れ ★★★★☆
12.呪い ★★★★☆

2002年3月27日発売
エピックレコードジャパン
最高位3位 売上29.8万枚

YUKIの1stアルバム。先行シングル「the end of shite」「プリズム」を収録。今作発売後に「66db」がシングルカットされた。

JUDY AND MARY解散後、ガールズバンドMean Machineで活動した。このバンドはボーカルを女優の伊藤歩、ギターにラジオパーソナリティのちわきまゆみ、ベースに元JAGATARAのYUKARIE、ドラムとコーラスでCHARA、同じパートをYUKIという不思議な構成だった。Mean Machineからはシングル2作とアルバム1作をリリースしている。

YUKIがソロデビューしたのはJUDY AND MARYが解散してから1年近く経過した2002年の2月から。今作にも収録されている「the end of shite」でデビューした。


「眠り姫」は今作のオープニング曲。ミディアムテンポのロックナンバー。サウンドは重厚なベースが前面に出ている。歌詞は自分の心の中にある闇を眠り姫に例えているもの。「緑の中へ 逃してあげるよ 私のベイベー 真っ赤な手 真っ赤な手 真っ赤な手のママ 抱いてよ。」というラストの歌詞が何とも意味深。曲全体を通してモヤモヤした雰囲気が感じられる。JAM時代とは明らかに異なる感じの曲になっている。JAMとは決別し、ソロとしての姿勢を示しているようである。


「the end of shite」は先行シングル曲。本人も出演した、トヨタの「WiLL VS」のCMソングに起用された。激しいサウンドが展開されたハードロックナンバー。作詞作曲は日暮愛葉が担当した。YUKIが作詞作曲のいずれにも関わっていないシングル曲は現時点ではこの曲のみ。シングルのジャケ写やPVが何ともエロいことでも知られている。この曲、歌詞も実に挑戦的。「ねえ見て もっと触れてみてよ 知ってる あたしの奥の方までずっと 好きにしていいの」という歌詞が顕著。JUDY AND MARY時代とはまた違ったロックになっている。

↑シングルのジャケ写。


「66db」は今作発売後にシングルカットされた曲。作詞作曲編曲をYUKI自らが行なっている。ドラムとコーラスにはフィッシュマンズの茂木欣一が参加した。ここまでの流れを変えるようなエレクトロニカテイストの曲になっている。歌詞はファンタジックなものになっている。途中までは静かに進んでいくが、後半から激しい曲調になる。その変わりようが凄い。曲調が変わる瞬間は何度聴いても鳥肌が立つ。一回聴いただけでは良さが分かりにくい。聴けば聴くほどハマるような曲になっていると思う。


「サヨナラダンス」はノリの良いポップロックナンバー。作曲はキャロル・キングが担当した。相当な大物である。YUKIに対する一般リスナーのイメージに答えたような曲になっていると思う。サウンドはギターが前面に出ている。歌詞は応援歌のような感じ。失恋した自分を励ましているイメージ。可愛らしい歌声と歌詞に乗せられるロックサウンドとのギャップがたまらない。


「惑星に乗れ」はメルヘンな世界観が展開されたロックナンバー。編曲はクラムボンのミトが、ギターには高野寛が参加した。ロックとエレクトロを混ぜたような独特なサウンド。歌詞は幸せな雰囲気溢れるもの。「あなたへと 続く天の川を消えないうちに 渡ろう 土星の輪 触るぐらい 浮かんだ2人 猿のように ひとつぶの惑星に 乗れ!乗れ!」という歌詞が印象的。とてもノリの良い曲なので、シングルカットするならこの曲が良かったような気がする。


「Rainbow st.」は打ち込みが多用されたダンスナンバー。作詞作曲及びラップではズボンズのDONが参加した。ハウスやエレクトロ色の強いサウンドが展開されている。疾走感のあるメロディーが聴いていて心地良い。歌詞は五感を重視したようなもの。口ずさむとかなり気持ちが良いと思われる。この曲の一番の聴きどころはYUKIのラップ調のボーカル。とても可愛い。今までの曲には無かったような曲調なので新鮮な感覚がある。


「I U Mee Him」はオルタナロック色の強い曲。作詞作曲は「the end of shite」と同じく日暮愛葉が担当した。ハードなバンドサウンドとバイオリンが絡むサウンドはとても格好良い。歌詞は英語詞が多めである。かなり珍しいYUKIの低音ボーカルを楽しめる曲。日暮愛葉とYUKIが作詞したものとは世界観がどことなく違うのが分かる。


「忘れる唄」はラップ調のボーカルが特徴的な曲。作詞作曲の両方をYUKIが行なった。ギターを中心としたサウンドが展開されているが、音の数は少なめ。曲調は非常に独特。歌詞はかなり散文的で意味はよく分からない。「だんだん 虹を忘れて だんだん 日々を忘れて だんだん 意味を忘れて だんだん 君を忘れて」という歌詞が印象的。相当地味な曲調なのでこちらとしても「忘れる唄」となってしまっている。


「愛に生きて」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。演奏にはスピッツが参加している。スピッツを聴いていると、すぐに彼らが演奏していると分かるような記名性の高いバンドサウンドである。あくまで演奏だけでコーラスには参加していない。作詞作曲はYUKIが行なった。歌詞はストレートなラブソングである。「近い未来 哀しい事があなたをおそうとしても 私が愛してるから 美しい瞳で 見てほしい」という歌詞が印象的。優しいメロディーにスピッツのバンドサウンドがぴったり合っている。今作収録曲の中では一番好き。  


「プリズム」は先行シングル曲。イントロの美しいピアノが特徴。2012年に紅白歌合戦に出演した際にはこの曲を披露した。JUDY AND MARYが解散してからすぐに歌詞を書き始めた頃の曲らしく、ソロ活動をすることへの期待や不安、かつてのバンドメンバーへの感謝が綴られた歌詞になっている。「花咲く丘まで 口笛吹いてこう いじわるな人が とやかく言うけれど 私は、どこかで まちがえたかしら? 今はわからない 答えは 空の上」という歌詞が印象的。ソロ活動をすることへの複雑な感情がうかがい知れるような曲になっている。その点では今作の作風が最も顕著に現れていると思う。実質的なタイトル曲と言えるだろう。


「ふるえて眠れ」はゆったりとしたバラードナンバー。作詞作曲はYUKIが行なった。ベース及び編曲で亀田誠治が参加した。サウンドはアコギが前面に出たフォーキーなもの。亀田誠治にしては珍しく派手なアレンジはしておらず、シンプルなバンドサウンドを響かせた曲になっている。おどろおどろしいタイトルとは裏腹に、歌詞は恋人への優しいメッセージになっている。「世界中の人があなたをにくんでも 亡くした人を想い 泣く夜も いつもそばにいるから 体ごと伝えてよ」という歌詞が印象的。聴く度に心に染みるような曲になっていると思う。  


「呪い」は今作のラストを飾る曲。作詞作曲はYUKIが行った。重厚なバンドサウンドが展開されたバラードである。これまた恐ろしい響きのタイトルだが、ホラー的な要素は無い。恋心を呪いに例えた歌詞になっている。「愛しいこののろいから とかれる日はくるの? あの魔法は もう とけてしまったの?」という歌詞が印象的。7分と少しの長尺なバラードだが、飽きずに聴ける。ラスト以外に置き場所の無いような曲だと思う。


ヒット作ではないが中古屋ではよく見かける。ポップス、ロック、エレクトロニカ、ハウスなど様々な曲調を盛り込んだ作品になっている。JUDY AND MARY時代のイメージのままで聴くとかなり面食らってしまうことだろう。突き抜けたようなテンションの曲が少ないので幾分か地味な印象を持ってしまう。一回聴いただけでは良さが分かりにくい作品だろう。何回か聴くと自然とハマってくるはず。

★★★★☆