電気グルーヴ
1991-04-10

【収録曲】
全曲作詞作曲 石野卓球
1.作詞 石野卓球、ピエール瀧
3.作詞 電気グルーヴ
7.作詞 石野卓球、野口雨情
3.4.作曲 CMJK
7.作曲 石野卓球、中山晋平
9.作曲 石野卓球、CMJK
プロデュース Tim Oliver、Tony Martin、Simon Crompton、Darrin Tidsey、Andy Birkinshow、Mark Hall

1.ウィー・アー ★★★★☆
2.生ゴミOH2 ★★★★☆
3.マイアミ天国 ★★★☆☆
4.M.O.C. ★★★☆☆
5.カフェ・ド・鬼 ★★★★★
6.ビコーズ ★★☆☆☆
7.ラガモン〜証城寺の狸ばやし ★★★★☆
8.CATV ★★★★☆
9.Bingo! ★★★☆☆
10.電気ビリビリ ★★★★★

1991年4月10日発売
Sony Records/トレフォート
最高位33位 売上不明

電気グルーヴのメジャー1stアルバム。

今作はマッドチェスターブームの発祥地であるマンチェスターでレコーディングされた。プロデュースに記載されている人物は現地のミュージシャン。テクノやハウスをふんだんに取り入れた作品となっている。今作のレコーディングでメンバーが体験したことは、後の作品作りに多大な影響を与えることとなった。

今作を最後にCMJKが脱退するので、CMJKが参加した最初で最後のアルバムとなる。不思議な名前だが、「カット・マスター・ジュン・キタガワ」の略。かつて石野卓球やピエール瀧が「朝鮮民主主義人民共和国」の略と発言していたが、これは大きな嘘である。脱退以降も定期的に電気グルーヴの作品に参加している。


「ウィー・アー」は今作のオープニング曲。ラップ調のボーカルが特徴的な曲。サウンドはシンセベースが前面に出ている。歌詞はこの頃の電気グルーヴの王道と言えるネタをふんだんに取り入れたもの。「毎日お経でライムの稽古Butライムとかぼすはちょっと違う 全部嘘まったくの嘘信じるものほど救われない」という歌詞が好き。ネタに走るかと思いきや鋭い風刺を入れてくる辺りは電気グルーヴならでは。タイトル通り、電気グルーヴのスタイルを表明するような曲になっていると思う。


「生ゴミOH2」はネタ路線のテクノポップナンバー。もはやタイトルからしてふざけている。歌詞はゴミのような人を堂々とバカにしているもの。全編通して人を馬鹿にしている歌詞だが、特に「人だかゴミだかわからねえ様な とんでもねえツラしているくせに 化粧や洋服 アクセサリーと金ばっかかけてる オガクズ女 のべつまくなし一年中 毎晩毎晩 遊びに遊んで ゴルフにエステに海外旅行 その金 全部嘘親の金 理想のダンナは金持ちだなんてふざけるな」という歌詞が好き。散々人を罵倒した挙句、「箸にも棒にもかかりゃあしないよ そう言う自分が生ゴミだ」と言って締める。この潔さがたまらない。この頃の電気グルーヴらしいアングラ感がよく現れている。  


「マイアミ天国」はCMJKによる曲。レトロゲームのようなピコピコ音が前面に出て聴こえる。この曲もネタ路線の歌詞だが、自分たちの楽曲制作の様子を少しだけ紹介しているようにも感じられる。「人にばれなきゃオリジナル 濃いも薄いもミクスチャー 人のモノでもサンプリング 全部まとめていただき」という歌詞が顕著。テクノやハウスは基本的にサンプリングありきの音楽なので仕方がないだろう。元ネタは分からないが、この曲も何かをサンプリングして作っていると思われる。


「M.O.C.」は「マイアミ天国」と同じくCMJKによる曲。ハウステイストの強いサウンドが展開されている。サウンドは打ち込みメイン。歌詞は日本語について色々と皮肉ったもの。「貧しい美学のここ日本 やっぱり演歌の国日本 だからロックの人でも歌詞で泣かすから みんなヒット出すバラードソング」という歌詞が印象的。かなり痛烈にヒットチャートの音楽を批判しているように感じる。タイトルが何の略かは分からない。


「カフェ・ド・鬼」は後にベスト盤にも収録された人気曲。電気グルーヴサイドも気に入っているのか、様々なバージョンが作られている。疾走感のあるテクノポップナンバー。歌詞はタイトル通り鬼を主人公に描いている。全編通して鬼の大食漢ぶりが描かれているが、特に「メインディッシュにはカムチャッカ半島 食後のデザート アンドロメダ星雲」という歌詞が印象的。想像するとシュール過ぎる。ベスト盤に収録されたり、別バージョンが多数作られたりしていることから、初期電気グルーヴの代表曲だと思う。


「ビコーズ」はここまでの流れを変えるような落ち着いた曲。今作の中では珍しく、バンドサウンドが前面に出た曲。特に歪んだギターサウンドが前に出ている。歌詞は石野卓球とピエール瀧の自己紹介のようになっているもの。「卓球 Fuck you ありがと Thank you」と韻を踏んでいる。歌詞は少なめでサウンドを聴かせる印象の曲。アルバムの繋ぎのような曲だと思う。 


「ラガモン〜証城寺の狸ばやし」は童謡のカバー。サブタイトルに入っているのが原曲。野口雨情が作詞、中山晋平が作曲した。歌詞の一部分だけを残し、あとは全て石野卓球が作詞している。曲は原曲の面影を感じさせないヒップホップテイストに変貌している。歌詞は下ネタが多用されている。「アタックかけても女はバイバイ 頭の中は欲望でいっぱい 毎晩夢にはでっかいオッパイ」という歌詞が印象的。思春期の少年特有のイカ臭さが伝わってくるような曲になっている。


「CATV」は後にベスト盤に収録された人気曲。歌詞は1行だけで、あとは音のみ。他には何と歌っているのか分からない声が入っているくらい。実質インスト曲である。マッドチェスターの作風に影響を受けたようなハウスナンバー。聴いているとついつい体が動いてしまう。


「Bingo!」は石野卓球とCMJKの共作による曲。ハウス色の強い曲になっている。歌詞はタイトル通りビンゴゲームについて語られたもの。「身ぐるみはがされた負けたら財産親の総取りで ハイ!ビンゴ 孫の代までも返済だ」という歌詞がインパクト抜群。聴いているとビンゴをやりたくなること請け合い。


「電気ビリビリ」は今作のラストを飾る曲。インディーズ時代に作られていた曲。ファンキーなシンセベースが前面に出たサウンドが展開されている。歌詞は極めてナンセンスなネタが並べられている。「うるせぇ ボケなす 大魔神 あら おととい来やがれこのカメ虫 なんで とっとと帰ってメシでも食べて ママの下着でフィーバーしろよ」という歌詞のインパクトが凄い。インディーズ時代からは大幅に歌詞が変えられているようで、これでも大分マシになっている。聴き比べてみるのも面白いだろう。 


あまり売れなかったので中古屋ではたまに見かける程度。様々なサンプリングが施されたハウスが展開されたアルバムになっている。インディーズで実績を積んでいたとはいえ、1stとは思えない程に洗練された曲が並んでいる。後に今作をリメイクした「FLASH PAPA MENTHOL」がリリースされるが、そちらも素晴らしい出来栄え。「MENTHOL」とセットで聴くことをおすすめする。

★★★☆☆