【収録曲】
1.3.作詞作曲 桑田佳祐
2.作詞作曲 斉藤誠
4.9.作詞作曲 原由子
5.作詞 関口和之
6.7.10.作詞 桑田佳祐
8.作詞 原由子
5.作曲 宇崎竜童
6.7.10.作曲 桑田佳祐&八木正生
8.作曲 HARABOSE
全曲編曲 HARABOSE
6.7.10.編曲 八木正生
1.9.管編曲 新田一郎
2.3.管弦編曲 八木正生
プロデュース 桑田佳祐

1.My Baby Shines On Me ★★★★☆
2.おしゃれな女(Sight of my court) ★★★☆☆
3.I Love Youはひとりごと ★★★☆☆
4.しっかり John-G ★★★☆☆
5.うさぎの唄 ★★☆☆☆
6.がんばれアミューズ ★★★☆☆
7.いにしえのトランペッター ★★★☆☆
8.Loving You ★★★★★
9.幸わせなルースター ★★★★★
10.Last Single X'mas ★★★★☆

1981年4月21日発売(LP、CT)
1986年6月21日発売(初CD化)
1991年5月21日再発
1998年2月25日再発
ビクターインビテーション(オリジナル盤)
ビクター・タイシタレーベル(再発盤)
最高位6位 売上18.5万枚(LP)
最高位11位 売上10.0万枚(CT)

原由子の1st(ソロデビュー)アルバム。ソロデビューシングル「I Love Youはひとりごと」と同日発売された。今作発売後に「うさぎの唄」がシングルカットされた。

サザンオールスターズでキーボードやコーラスを担当する原由子のソロデビューアルバム。プロデュースは桑田佳祐が担当した。独特なイラストが使われたジャケ写が印象的だが、これはサザンのベース担当の関口和之が手がけたもの。
サザンのメンバーはそれぞれソロ活動を行なっているが、原由子はフロントマンである桑田佳祐よりも早くソロ活動を始めたことになる。

編曲にクレジットされている「HARABOSE」は今作のために桑田佳祐を中心に結成されたバックバンド。サザンの活動によく関わっている斉藤誠(当時はこの表記。現在は斎藤誠表記)やメンバーである松田弘も参加している。


「My Baby Shines On Me」は今作のオープニング曲。オープニングにふさわしいポップな曲。サザンのオリジナルアルバムに入っても違和感が無いくらいポップなメロディー。ピアノが主体だが、ホーンも前面に出ている。そのような明るい曲調に反して歌詞はエロ路線。作家でありプロデューサーである桑田佳祐の意向がよく現れている。そのようなエロ路線の歌詞でも原由子の純真無垢な歌声を通すとさらっと聴けてしまう。ボーカリストとしての原由子の実力がよく分かる曲と言えるかもしれない。


「おしゃれな女(Sight of my court)」はボサノバテイストの曲。作詞作曲は桑田佳祐らの後輩である斉藤誠が担当した。斉藤誠がデビューする前の仕事である。ゆったりとしたメロディーが心地良いが、サビはそこそこキャッチーな仕上がり。サウンドはピアノやパーカッションか前面に出ている。歌詞は恋人に甘える女性を描いたもの。複雑な女心が丁寧に、可愛らしく描かれており、斉藤誠の作詞家としての力量がうかがい知れる。


「I Love Youはひとりごと」は今作と同日に発売されたソロデビューシングル曲。ラブホテル街として知られる渋谷の円山町を舞台にした曲。曲調はムードに溢れた昭和歌謡テイストのもの。管楽器や弦楽器の使い方からしてその雰囲気が漂っている。歌詞はど直球のエロ路線。そのせいで放送禁止曲となってしまい、それに伴ってサザンのメンバーとスタッフが女装して抗議デモやゲリラライブを行なったというエピソードがある。なお、警察が出動する事態となってしまった。間奏には歌よりも目立っているのではと言いたくなるようなオカマの会話が入っているが、その声の主は桑田佳祐。本物のそれにしか聞こえないくらい本気でやっている。よくこんな曲をシングル化したなと思ってしまう。


「しっかり John-G」は今作と同日に発売されたデビューシングル「I Love Youはひとりごと」のC/W曲。サザンの作品を通じても初めての原由子作詞作曲による曲。フォーク色の強い曲調で、ゆったりとしている。サウンドはアコギとシンセが前面に出ている。歌詞は恋人と別れる前の女性の気持ちが描かれたもの。哀愁漂う原由子のボーカルがこの曲の世界を彩っている。決して派手な曲ではないが、聴くと自然に心を引かれるような感覚がある。


「うさぎの唄」は今作発売後にシングルカットされた曲。作詞はサザンのベース担当である関口和之が、作曲は宇崎竜童が担当するという形で作られた。民謡と演歌を混ぜたような独特な曲調は中々にインパクトがある。何度も挟まれる「ハイッ!」という原由子の掛け声も相まって楽しげな雰囲気がある。子供のような無邪気さを持った原由子の歌声が印象的。これまたよくもシングルカットしたなあと思うような曲である。とても売れ線の曲ではない。それどころか、思い切り逆行している。インパクトがあるのは事実だが。


「がんばれアミューズ」はジャズテイストの曲。ホーンが前面に出た上質なサウンドが展開されている。そのようなおしゃれな曲に反して歌詞はサザンの所属事務所であるアミューズについて語られている。タイトルからしてそれが顕著である。「大里社長」「山本専務」「池田部長」と当時の上層部と思われる人物の名前が登場するのが特徴。しかも彼らに物申すような歌詞もある。壮大な内輪ノリソングと言ったところだが、桑田佳祐の作詞家としての凄さがよく分かる曲である。


「いにしえのトランペッター」はジャズテイストの曲。作曲は桑田佳祐と八木正生の共作。前の「がんばれアミューズ」もジャズテイストのサウンドだったものの、この曲はさらにゆったりと聴かせるサウンドが展開されている。タイトル通りトランペットがフィーチャーされている。間奏では桑田佳祐によるルイ・アームストロングのモノマネを楽しめる。相当地味ではあるが聴きどころが多く、不思議とクセになる曲。


「Loving You」は今作発売後にシングルカットされた「うさぎの唄」のC/W曲。ヤマハ発動機の「パセッタ」のCMソングに起用された。後に原由子のベスト盤のタイトルとしても使用され、それにも収録されている。作曲はHARABOSE名義でクレジットされている。シンプルなバンドサウンドが前面に出たポップな曲。デュエットしているわけではないが、桑田佳祐がソロで歌っている部分があるのも特徴。ここまで色々と外すような曲ばかりだったので飛び抜けてポップな曲だと感じられる。爽やかな歌声とメロディーは聴いているととても気持ち良い。ベスト盤のタイトルに使われるあたり、原由子のソロ活動の中で重要な扱いをされているのだろうか?


「幸わせなルースター」は原由子作詞作曲による曲。ウエストコーストロックのテイストを感じさせるポップロックナンバー。今作の中ではかなりロック色が強い部類。開始1分10秒くらいまでは「おしゃれな女」のインストによるリプライズが入っている。それが終わってからこの曲が始まっていく。ちなみに、トラック分けはされていない。バンドサウンドと同じくらいピアノやホーンが主張している。原由子の力強いボーカルが特徴的。歌詞は一夜限りの愛を求める女性の心が描かれたもの。激しいバンドサウンドと狂おしい感情が綴られた歌詞との相性は抜群。この曲をシングルカットした方が良かったと思うのだが…


「Last Single X'mas」は今作のラストを飾る曲。タイトル通りのクリスマスソング。しっとりとした美しいメロディーと上質なストリングスが展開されている。作詞は桑田佳祐が担当した。プロポーズと解釈できなくもないような歌詞である。「独身最後のクリスマス」というようなタイトルが特徴的だが、今作リリースの翌年には実際に桑田佳祐と原由子が結婚している。この曲を作った頃には結婚の話が決まっていたのだろうか?


中古屋ではたまに見かける程度。サザンではあまり分からない、原由子のボーカリストとしての実力が分かるアルバムとなっている。本当に表現力豊かである。様々なジャンルを取り入れた、良い意味でとっ散らかった曲も特徴的。これは桑田佳祐の卓越したソングライティング能力が現れていると言える。サザンではできない実験性を今作で取り入れている。サザンのアルバムに挟まれる原由子ボーカル曲が好きなら今作を聴いてみるのが良いだろう。まず失敗はしないはず。

★★★★☆