L-R
1995-12-16


【収録曲】
全曲作詞作曲 黒沢健一
5.作詞作曲 黒沢秀樹
7.9.作詞作曲 木下裕晴
プロデュース 岡井大二

1.MAYBE BABY ★★★★★
2.GAME ★★★★★
3.BYE ★★★★☆
4.DAYS ★★★★☆
5.僕は電話をかけない ★★★☆☆
6.TALK SHOW ★★☆☆☆
7.HANGIN' AROUND ★★★★☆
8.KNOCKIN' ON YOUR DOOR ★★★★★
9.OVER&OVER ★★★★★
10.DAY BY DAY ★★★★☆
11.LIME LIGHT ★★★☆☆
(↓2017年盤のみ収録)
12.KNOCKIN' ON YOUR DOOR (Single Mix)
13.BYE (Single Mix)
14.DAY BY DAY (Single Mix)
15.GAME (Single Mix)
16.DAYS (Alternate Mix)

1995年12月16日発売
2017年2月8日再発(リマスターUHQCD)
ポニーキャニオン
最高位5位 売上51.4万枚

L⇔Rの6thアルバム。先行シングル「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」「BYE」「DAY BY DAY」を収録。今作発売後に「GAME」がシングルカットされた。前作「LACK OF REASON」からは1年2ヶ月振りのリリースとなった。初回盤は三方背BOX入り仕様。2017年にはL⇔Rデビュー25周年記念の一環としてオリジナルアルバムのリマスター再発が行われたが、今作のみ「Let me Roll it! 25th Anniversary Complete Edition」と銘打たれている。

先行シングル「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」が月9の主題歌に起用されたことがきっかけでミリオンを達成。その後の2作のシングルも20万枚前後のヒットを記録する中でリリースされた今作は、初のチャートトップ10入りを果たし、アルバムではL⇔R史上最大の売上を記録した。

「全曲シングルカットできる」というコンセプトの元で制作されたため、全編通してポップそのものな作品となっている。ライトリスナーにもとっつきやすい作品になっていると思う。


「MAYBE BABY」は今作のオープニング曲。黒沢健一がアイドルグループMelodyに提供した「運命'95」の歌詞を書き換えたバージョン。「運命'95」の作詞はGO-BANG'Sのボーカルの森若香織が担当した。ノリの良いポップロックナンバー。黒沢健一の伸びのあるパワフルな歌声がこの曲のノリの良さを演出している。軽い感じの曲調ではあるがとにかくサビがキャッチー。バックではカントリーテイストの音も鳴っている。曲全体を通して細部まで作り込まれた感じが漂っている。歌詞は語感を重視している印象がある。タイトルでも韻を踏んでいるところからも分かる。 とびきりポップな今作のオープニングを飾るにはうってつけの曲だろう。


「GAME」は今作発売後にシングルカットされた曲。「CDTV」の月間主題歌に起用された。リカットシングルながらも15万枚程度の中ヒットを記録した。シングルバージョンとは若干異なっている。ノリの良いロックンロールナンバー。いきなりサビから始まるキャッチーな構成はインパクトがある。アコギをかき鳴らしたAメロや独特なベースラインが特徴的。シタールのような音も使われており、バラエティ豊かな音作りがされている。そのような曲に反して歌詞はどことなく闇を感じさせる。突然大ヒットして人気バンドとなったことへの迷いがうかがい知れるようなものになっている。「それでも知っていたかった 回りだしたルーレットに僕は賭けるよ」というフレーズは顕著。 とにかくポップでキャッチーなので今作の中からシングルカットするならこの曲が適任だったと言える。


「BYE」は先行シングル曲。特に表記はされていないが、アルバムバージョンでの収録。ミリオンを達成した大ヒット曲「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」の次のシングルがこの曲。この曲もサビ始まりで、L⇔Rならではのキャッチーなメロディーが炸裂したポップスになっている。それでいてどこかひねくれた感じのサウンドになっている。ビートルズの「"Hello,Goodbye"」のパロディーのような歌詞が特徴的。タイトル通り別れをテーマにした歌詞なのだが、これ程明るい曲調だと全く切なさが無い。 この曲だけ聴くと普通に良い曲なのだが、大ヒット曲の次に出すシングルとしては少し地味だったという印象が否めない。L⇔Rが不当に一発屋扱いされてしまう原因の一つになっていると思う。


「DAYS」はミディアムテンポのしっとりとした曲。後にベスト盤「Singles&More Vol.2」に「Alternate Mix」として収録された。アコギが主体となったシンプルなサウンドが心地良い。懐かしさや切なさを感じさせるメロディーが素晴らしい。数々の思い出を振り返るように一言一言を丁寧に歌う黒沢健一のボーカルがこの曲の世界観を何よりも表現している。歌詞は恋人と過ごした日々を振り返っているもの。「いつも一番大事な物が手に入るとは僕は思わない 握りしめてる夢のかけらが壊れてしまわないように」という歌詞が好き。ちなみにこの曲、 黒沢健一が高校生の時に作った曲らしい。黒沢健一の天才ぶりがよく分かる。


「僕は電話をかけない」は黒沢秀樹ボーカル曲。作詞作曲は黒沢秀樹によるもの。後にベスト盤「Singles&More Vol.2」に「Alternate Mix」として収録された。1960年代や1970年代のフォークソングを彷彿とさせる曲調。アコギ主体のアコースティックな音でしっかり聴かせている。黒沢健一の力強いボーカルと、弱々しさすら感じさせるくらい繊細な雰囲気を持った黒沢秀樹のボーカルとの対比が面白い。歌詞は電話や手紙、TV、めがね、電車と色々なものを否定するもの。それらに関してのユニークな解釈がされており、それもこの曲の詞世界の魅力の一つ。 黒沢健一が歌ったとしても、黒沢秀樹ほどにこの曲の世界観を表現することはできないかもしれない。兄弟なのだが、それほど作り出す曲の感じが違っている。


「TALK SHOW」はポエトリーリーディング風の曲。ボブ・ディランのようでもある。単純なメロディーと重厚なアコギの音をバックに、語りかけるように歌う黒沢健一。歌詞は語感を重視した感じのものになっている。散文的な歌詞ではあるが、全ての部分に共通して入ってくる「片をつけようぜ why don't you do it」というフレーズはインパクトがある。L⇔R=ポップでキャッチーというイメージを壊してくるような曲である。そのような曲を求めてくるリスナーへの挑戦状とも取れるような曲になっていると思う。


「HANGIN' AROUND」は木下裕晴作詞作曲による曲。跳ね上がるような曲調が楽しげなポップロックナンバー。ベース担当が作った曲だけあって、低音が前面に出たサウンドになっている。ベースとギターサウンドが主張している。Aメロ、Bメロ、サビとメロディーの変化が激しいのが特徴。歌詞はシニカルな雰囲気が漂うもの。何度も歌われる「そう家に着けば いつだって君 Lonely 僕にしてみれば もう いい加減 Sorry」という歌詞が中々耳に残る。黒沢健一、黒沢秀樹、木下裕晴とメンバー皆が作詞作曲できるバンドだが、三者で作る曲の感じが全く違う。しかし、ポップでキャッチーなメロディーを作り出すところは共通。それが面白く、L⇔Rの魅力であるのかもしれない。

  
「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」は先行シングル曲。特に表記は無いが、アルバムバージョン。シングルバージョンよりもまろやかになっている感じ。サビの部分(特に歌い出し)の歌い方の違いはわかりやすいと思う。フジテレビ系月9ドラマ『僕らに愛を!』の主題歌に起用され、ミリオンを達成した大ヒット曲。L⇔Rにとって最初で最後のチャート1位を獲得した曲でもある。ドアをノックするような音から始まり、キャッチーさを極めたようなサビが入る。打ち込みによるホーンが前面に出た明るいサウンドが特徴。歌詞は次のステージを目指していく勇気を貰えるようなものになっている。「眠れない夜には 時計はいらない それが僕の出した答えさ」という歌詞が印象的。黒沢健一の圧倒的なポップセンスが分かるような曲であり、大ヒットしたのは必然的と言える。しかし、あまりにもこの曲だけが売れ過ぎてしまったのが残念。名曲と言えるのは事実なのだが、この曲のせいでL⇔Rが一発屋扱いされていると思うと複雑な気持ちになる。この曲が好きならL⇔Rの他の曲も聴いてみてほしいと思う。


「OVER&OVER」は木下裕晴作詞作曲による曲。後にベスト盤「Singles&More Vol.2」に収録された。跳ねた感じのポップロックナンバー。「HANGIN' AROUND」と同じく、低音が前面に出た重厚な音作りがされている。ベースとキレの良いギターサウンドがしっかりと主張している。低音を強調するのはベーシストの宿命のようなものなのだろうか?単純なサビの繰り返しによるメロディーはかなりキャッチー。歌詞はネガティブな雰囲気を感じさせるものになっている。それでも、キャッチーなメロディーが聴いていてとても心地良い。L⇔Rの歴史の中で木下裕晴による曲は数曲あるが、その中の最高傑作と言っても良いと思う。


「DAY BY DAY」は先行シングル曲。フジテレビ系ドラマ『木曜の怪談』の主題歌に起用された。このドラマの内容を知らない管理人には、タイトルに『怪談』と入っているドラマに何故この曲がタイアップされたのか甚だ疑問である。特に表記は無いが、アルバムバージョンでの収録。ミディアムテンポのポップな曲。爽やかで、どこか懐かしい雰囲気を持ったメロディーが特徴的。歌詞は繰り返していく日々について語られたもの。この曲だけ聴くととても良い曲だと感じるのだが、シングルにするには少し地味だったという印象が否めない。「BYE」と並んでL⇔Rの低迷に繋がった原因だと思っている。


「LIME LIGHT」は今作のラストを飾る曲。ミディアムテンポのバラードなのだが、全体的にサイケデリックな感じの音作りがされている。浮遊感を感じさせるような独特なサウンドが特徴的。何よりもインパクトがあるのは、全身から絞り出すような黒沢健一のボーカル。人によっては不気味に感じるかもしれない。歌詞は散文的でよく分からないが、失恋ものバラードだと解釈している。「僕」や「君」をすぐに消えてゆくライムライトに例えている。ラストはサビを繰り返し歌いながらフェードアウトしていく。儚い程に美しい雰囲気のある曲なのでそのような終わり方が最も良いと思う。ライブのラストでもよく歌われていたのも頷ける。この曲ほど「終わり」を想像させる曲はそうは無いだろう。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。大ヒットした影響か、全編通してポップでアクが少ない感じの作品になっている。マニアックな曲は一部あるが、それ以上にポップな面が目立っている。これまでの作品と比べるとかなり落ち着いてしまった印象がある。一般J-POPリスナーでも聴きやすいくらいにL⇔R側がレベルを落としたという感じがする。とはいえ素晴らしいポップアルバムなのは事実。L⇔Rに興味があるなら聴いておくべき。

★★★★★