【収録曲】
全曲作詞作曲 草野正宗
全曲編曲       長谷川智樹withスピッツ
プロデュース  スピッツ&高橋信彦

1.魔法 ★★★☆☆
2.田舎の生活 ★★★★☆
3.ナイフ ★★☆☆☆
4.海ねこ ★★★☆☆
5.涙 ★★☆☆☆

1992年4月25日発売
2002年10月16日発売(リマスター)
2008年12月17日発売(SHM-CD)
ポリドール(オリジナル盤)
ユニバーサルミュージック(2002、2008年盤)
最高位100位圏外 売上不明

スピッツのミニアルバム。前作「名前をつけてやる」からは5ヶ月振りのリリースとなった。「99ep」を除くと現在でもなお唯一のミニアルバムであり、オリジナルアルバムのカウントからは外されることが多い。

今作は「名前をつけてやる」に収録された3rdシングル曲「魔女旅に出る」でオーケストラアレンジを担当した長谷川智樹と共同で制作された。スピッツの音楽性を広げる目的で制作されたようだ。

そのような経緯で制作された作品だけあって、ストリングスやホーンが前面に出ており、スピッツならではのバンドサウンドは控えめである。そのため、草野マサムネのソロ作品のような味わいがある。


「魔法」は今作のオープニング曲。ホーンが多用された壮大な曲。ドラムを始めとしたバンドサウンドもかなり力強く、オープニングながらもラストのような風格がある。リズムアレンジはスピッツが行ったようだ。歌詞はファンタジックなもの。「胸の谷間からあふれ出た歌は果てしない闇を切り開く魔法」という歌詞が印象的。何故胸の谷間から歌があふれ出るのだろうか?よく意味がわからないが、意味がわかったらどこか違う世界に入り込んでしまいそうである。


「田舎の生活」はゆったりとした曲調が心地良い曲。フジテレビ系アニメ『ハチミツとクローバーII』の最終回の挿入歌に起用された。アコギとストリングスが主体となった静かながらも上質なサウンド。マリンバも使われている。歌詞はタイトル通り田舎の情景が浮かんでくるようなもの。岐阜県の付知川をモチーフにしているとされる。「必ず届くと信じていた幻 言葉にまみれたネガの街は続く」という歌詞が好き。草野正宗の繊細な詞世界がよく現れたフレーズだと思う。終始盛り上がりの無い少し地味な曲ではあるが、聴く度にその懐かしい雰囲気に癒される。


「ナイフ」はゆったりとした曲調の重厚な曲。ストリングスとギターが前面に出ており、静謐ながらもかなり壮大。歌詞は極めて難解で意味不明。初期スピッツならではのよく分からない世界観が展開されている。「ナイフ」をどう解釈するかでかなり意味が変わってくると思う。草野のボーカルは終始ぼそぼそと呟くような感じである。長尺な上に盛り上がりが無いので聴いているとかなり眠くなる。そのせいかどうにも馴染めない。ライブで演奏されたとしてもイマイチ盛り上がれない自信がある。


「海ねこ」は今作の中では唯一のアップテンポの曲。独特なベースのフレーズを楽しめるイントロが特徴的。この曲はイントロや間奏でホーンが使用されている。今作の収録曲の中では比較的バンドサウンドが主張している。歌詞の中にタイトルのフレーズは一切登場しない。何の例えなのだろうか?「今日 一日だけでいい 僕と二人で笑っていて」という歌詞が印象的。今作の中では明るいと言える曲だが、他のアルバムだと極めて地味な曲という扱いをされていることだろう。


「涙」は今作のラストを飾る曲。フジテレビ系アニメ『ハチミツとクローバー』の挿入歌に起用された。この曲はバンドサウンドが使用されておらず、ストリングスと草野のボーカルのみで構成されている。歌詞はファンタジックな雰囲気のあるものになっている。「月のライトが涙でとびちる夜に」という歌詞がインパクト抜群。ストリングスとボーカルのみで構成されているということは草野マサムネ以外のメンバーが参加していないということ。今作が草野マサムネのソロ作品と言われる所以はこの曲にあると言える。


決して売れた作品ではないので中古屋ではたまに見かける程度。現在ではリマスター盤が出回っているのでそちらを聴くことをおすすめする。初期から現在に至るまでの作品を聴いていくと今作だけかなり浮いており、異色な作品であることが分かる。恐らく多くの方が違和感を抱く作品だろう。管理人は今作を中古で入手した直後に一回聴いただけで、後はこれを執筆するために聴き直しただけ。あまり馴染めない作品である。これをフルアルバムで聴いていたら間違いなく疲れてしまうので、ミニアルバムという形のリリースで本当に良かったと思う。

★★★☆☆