SMAP
1996-03-03

【収録曲】
2.7.作詞 小倉めぐみ
3.4.9.12.作詞 相田毅
5.作詞 大倉浩平
6.11.作詞 森浩美
8.13.作詞 戸沢暢美
10.作詞 相田毅/中居正広/香取慎吾
1.作曲 L.v.Beethoven
2.3.7.9.作曲 岩田雅之
4.作曲 長岡成貢
5.11.作曲 庄野賢一
6.8.13.作曲 寺田一郎
10.作曲 ZAKI
12.作曲 野崎昌利
1.6.8.12.13.編曲 CHOKKAKU
2.3.7.9.編曲 岩田雅之
4.編曲 長岡成貢・森村献
5.11.編曲 庄野賢一
10.編曲 ZAKI
1.7.ストリングスアレンジ Rob Mounsey
4.8.12.コーラスアレンジ 松下誠
5.10.13.コーラスアレンジ 岩田雅之
4.トランペットアレンジ Jamshied Sharifi
プロデュース 鎌田俊哉、野澤孝智

1.Theme of 008 piano sonata no.8 ★★★★★
2.気になる ★★★★★
3.俺たちに明日はある ★★★★☆
4.わかってほしい ★★★★☆
5.どんないいこと ★★★★★
6.お茶でもどうかな? ★★★☆☆
7.それじゃまた ★★★★☆
8.恋にうつつのCrazy ★★★☆☆
9.声を聞くよりも ★★★★☆
10.Slicker's Blues ★★★★☆
11.EAO ★★★☆☆
12.恋があるから世の中です ★★★☆☆
13.胸さわぎを頼むよ ★★★★☆

1996年3月3日発売
ビクターエンタテインメント
最高位2位 売上55.9万枚

SMAPの8thアルバム。先行シングル「どんないいこと」「俺たちに明日はある」「胸さわぎを頼むよ」を収録。前作「SMAP 007〜Gold Singer〜」からはミニアルバム「BOO」を挟んで約8ヶ月振りのリリースとなった。初回盤は三方背BOXケース入り仕様。

今作は6人体制のSMAPのラストアルバム。今作発売から2ヶ月後にリリースされたシングル「はだかの王様〜シブトクつよく〜」を最後に、森且行がオートレーサーになるという夢を叶えるために脱退することとなる。

今作は前作に引き続きニューヨークで大部分のレコーディングがされた。ジャズやフュージョンの界隈で世界的に著名な海外の超一流ミュージシャンを多数起用しており、豪華なバックトラックを楽しめる。前作と比べると、演奏の実力を見せつけるようなミディアムテンポの曲が増えているのが特徴。


「Theme of 008 piano sonata no.8」は今作のオープニング曲。今作のタイトルにちなんで、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第8番」のインスト。ピアノソナタと曲名に入っているが、この曲にはピアノが登場しない。迫力のあるストリングスとバンドサウンドで構成されている。聴いているだけで耳が幸せになるかのような贅沢な音を楽しめる。今作のオープニングを飾るにふさわしい風格を持ったインスト。 インストだからと飛ばしてしまうのは勿体無い。いや、愚かである。


「気になる」は勢いのあるファンクナンバー。後にベスト「WOOL」に収録された。ホーンが使われた派手なイントロから既に引き込まれてしまう。太いベースの音色も絶品。その勢いのまま曲の最後まで聴かせる。歌詞はタイトル通り、ついつい気になってしまうものについて描かれている。1番ではナイター中継が伸びたせいで見られなかったドラマの続き、2番では買い物している途中に見たジャケット、最後には別れた恋人のことを気にしている。このストーリーの発展ぶりが凄い。一つ一つは全く関係ないのに上手くまとまっている。サウンドが管理人の好みなので評価が高くなっている。


「俺たちに明日はある」は先行シングル曲。木村拓哉が浜田雅功と共に主演したTBS系ドラマ『人生は上々だ』の主題歌に起用された。特に表記はされていないが、アルバムバージョンで収録されている。曲の出だしに入っていたギターがドラムに変更されている。他は特に変化はないと思われる。木村拓哉が出演したドラマの主題歌ということもあってか、木村拓哉のみソロが与えられている。サックスやキレの良いギターサウンドを主体に聴かせるサウンド。歌詞は強気で前向きな雰囲気を感じさせるもの。上手くいっていなくても頑張って生きていくという姿勢が現れた歌詞になっている。6人時代のSMAPの楽曲の中では最も売れた曲なのだが、どこか地味な印象が否めない。何故だろうか?


「わかってほしい」はミディアムテンポのファンクナンバー。ホーンとピアノが主体となったサウンドで聴かせる。手数の多いパワフルなドラムも迫力満点。歌詞は男性が女性に求めることについて描かれている。タイトルからもその感情を察することができる。少ない給料の中でも彼女に付き合う男には求める物が沢山ある。「もう少しさ労って バチも当たらない あからさまに 言えない わかってほしいよ」と歌い上げるサビはインパクトがある。他にも、彼女に割り勘を求めている。アイドルとしてはかなり異色な詞世界ではあるが、幸か不幸か今でも通じる歌詞である。むしろ今の方が説得力を増しているように感じる。


「どんないいこと」は先行シングル曲。カルビーポテトチップスのCMソングに起用された。特に表記はされていないものの、アルバムバージョンで収録されている。イントロに指パッチンの音が入っていたが、それがカットされてアカペラで始まるようになっている。主な楽器を生音に変更したのが最も大きな違いだろうか。当時のシングル曲の中では珍しくミディアムテンポの曲。しっとりとした曲調と上質なサウンドでリスナーを引き込む。歌詞は日常の風景を淡々と描写していくもの。そのような歌詞ではあるが、不思議と切なさを感じさせるようになっているのが特徴。「どんないい時でも どんな言い訳でも ほんとうの事だけ映して消える いつでも」というラストの歌詞が印象的。どこか悟ってしまったような雰囲気がある。後追いだととてもシングル曲には思えないが、逆にその地味さに魅かれる。とても好きな曲。


「お茶でもどうかな?」は森且行のソロ曲。森且行にとってはこの曲が最後のソロ曲である。比較的明るい曲調のバラードナンバー。サウンドはギター以外は全て打ち込みで構成されている。歌詞は別れた恋人に2年振りに再会した男の感情が描かれたもの。そして、男は復縁を考えている。何とも都合のいい男である。聴いていると感じるのは森且行の歌唱力の高さ。SMAPの中ではナンバーワンだったのではないか?5人体制のSMAPに慣れてからこの曲を聴くと、改めて森且行の歌の上手さを実感させられる。


「それじゃまた」はタイトル通りのお別れソング。SMAPが出演したNTT東日本「テレチョイス」のCMソングに起用された。ミディアムテンポの曲調が聴いていて心地良い。サウンドはバンドサウンドを主体にしつつも、ストリングスを派手に取り入れている。歌詞は大切な人に別れを告げているもの。「2つ3つ バカをみても続けてたいから やるだけやったよねと 気がすむ日まで続けるだけです」という歌詞が好き。ニューヨークでレコーディングされるようになってからは上質で大人びた雰囲気の曲が多めだったが、その時代の楽曲の中では珍しく親しみやすい曲になっていると思う。


「恋にうつつのCrazy」は今作の中では数少ない爽やかなポップナンバー。馴染みやすいポップな曲調とそれをがっちりと固める隙のない演奏とのギャップが特徴的。サウンドはホーンが前面に出ている。歌詞は好きな人ができた男の気持ちが描かれたもの。タイトルは男のことなのだろう。「大逆転は恋の常識 信じてみなよ」というラストの歌詞が印象的。曲や歌詞のテーマだけなら初期のアルバムにも収録されていそうな感じなのだが、演奏一つでこうも変わるのかと驚かされる。


「声を聞くよりも」は木村拓哉のソロ曲。ホーンやピアノが前面に出たしっとりとした曲調で、ジャズやAORのテイストを強く感じさせる曲になっている。バックを彩る繊細なギターサウンドも素晴らしい。歌詞は恋人との気持ちのすれ違いを描いたもの。電話をするよりも直接会って話したくなるという心を繊細に描写している。「声が聞こえても 気持ちが聞こえない それは言葉じゃないだろう」という歌詞が印象的。木村拓哉が至って普通の恋愛模様を歌うというギャップが特徴的。


「Slicker's Blues」はヒップホップテイストの曲。今作の中では唯一ニューヨークでレコーディングされていない曲。そのため、サウンドは全て打ち込みで構成されている。メンバー全員が歌っている曲なのだが、その中でも中居正広のラップ調のボーカルが冴え渡っている。「リズム感は良い」と言われがちではあるが、この曲を聴いているとそれを実感する。歌詞は仕事に追われる男の心を描いたもの。独り身の寂しさを感じさせる歌詞はとてもアイドルのそれとは思えない。しかも、後半には割と直球なエロ描写も入っている。 アイドルの常識を色々と打ち破ってくるような曲である。


「EAO」は稲垣吾郎と森且行のボーカル曲。タイトルのフレーズにインパクトがあるが、これはディアマンテスの「野茂英雄のテーマ HIDE〜O」で使われる「HIDE〜O」をもじったもの。「野茂英雄のテーマ」はジャマイカ民謡「バナナ・ボート」を改変したカバーだが、原曲では「イデ〜オ」と歌っている。ただ単に語感が良かったから使ったのだろう。そのような背景の曲のためか、曲調がボサノバテイスト。涼しげなサウンドが特徴。歌詞は恋人と別れたい男の心を描いたもの。「嫌いとかじゃなく 面倒になる 突然に襲う気持ち 隠しながら会うよ」という歌詞が印象的。何とも身勝手な男である。そのような歌詞に反して爽やかな曲調なのが憎い。


「恋があるから世の中です」は力強いロックナンバー。激しく唸るようなギターサウンドが最後まで曲を引っ張っている。ギター以外は全て打ち込みで構成されている。歌詞カードに表記されていないものの、香取慎吾によるラップが入っている。歌詞はタイトル通りのメッセージ性の強いもの。お金や名誉、仕事や出世があるから世の中が成り立っているのではない。恋があるからなんだというメッセージが込められている。激しいギターサウンドに負けてしまいそうなボーカルは中々にインパクトがある。


「胸さわぎを頼むよ」は今作のラストを飾る先行シングル曲。木村拓哉が出演した、カネボウ化粧品の「テスティモ」のCMソングに起用された。特に表記はされていないが、アルバムバージョンで収録されている。恐らく生音が追加されたという違い。この曲もミディアムナンバー。お洒落なピアノやホーンと、一切の乱れの無いバンドサウンドで曲を彩っている。歌詞は彼女の気持ちが分からない男の気持ちを描いたもの。「謎だらけで切ない」というラストの歌詞には男の心が集約されているようである。シングル曲には思えない程に落ち着いている。アルバムの中の隠れた名曲くらいの位置の方が適任だったように感じる。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。オリジナルアルバムの中ではかなり売れた作品なので他のアルバムと比べても見かける頻度が高いと思う。前作同様バックトラックが非常に豪華なのでそれだけでも楽しめる。むしろそちらに集中して聴く方もいるかもしれない。楽曲は質の高いアイドルポップがメイン。アイドルとしては異質な程に楽曲のクオリティを追求した時期の作品と言える。「名盤」との誉れ高い前作に比べるとあまり語られる機会が無い気がするが、今作もかなりの良作。前作を聴いてハマった方は是非今作も聴いていただきたい。

★★★★☆