東京Qチャンネル
1996-09-19

【収録曲】
全曲作詞 須藤まゆみ
8.14.15.作詞 割田康彦
全曲作曲編曲 割田康彦
4.作曲 須藤まゆみ
4.編曲 今剛
5.編曲 小西貴雄・割田康彦
12.編曲 小西貴雄
14.編曲 割田康彦・小沢正直
4.コーラスアレンジ 割田康彦
9.ストリングスアレンジ 渡辺俊幸
11.ブラスアレンジ 武田和大
プロデュース 東京Qチャンネル・小沢正直

1.SWitch on Ⅱ 省略
2.Radio Heart Beat ★★★★★
3.遊びに行こう! ★★★★★
4.close[klóus] ★★★★★
5.素直なままで恋をしようよ ★★★★★+1
6.やさしいドイツ語講座 省略
7.寿・結婚行進曲 ★★★★☆
8.スパゲッティ ★★★☆☆
9.横浜WALK ★★★★☆
10.一歩すすんだドイツ語講座 省略
11.Vamos a Fiesta! ★★★☆☆
12.月夜の星 ★★★★☆
13.「いつか」は今日だった ★★★★★
14.HGDEDG♭ 省略
15.原色の国〜Where shall we go?〜 ★★★★☆
16.花咲く頃に… ★★★☆☆

1996年9月19日発売
東芝EMI
最高位不明 売上不明

東京Qチャンネル(T.Q.C.)の2ndアルバム。先行シングル「素直なままで恋をしようよ」『「いつか」は今日だった』を収録。今作発売後に「寿・結婚行進曲」がシングル「僕は君が好きだよ」のC/W曲という形でシングルカットされた。前作「SWitch on!」からは1年3ヶ月振りのリリースとなった。

東京Qチャンネルはボーカルの須藤まゆみ(通称すどぱぁ)、キーボードとギターの割田康彦(通称割さん)の2人からなるグループ。1994年にデビューし、1998年に活動を休止した。その後、須藤まゆみは数多くのCMソングの歌唱や作詞家として活躍。割田康彦は作曲家、編曲家、音楽プロデューサー等多方面で活躍している。2人とも世間的に知られた存在ではないように感じるが、その実力は高く評価されている。須藤まゆみの歌声を聴いたことがない人はかなり少ないと思う。管理人の場合はこんにゃくゼリーで有名なオリヒロのCMソングを歌っているというイメージが強い。
↓二人の詳細なプロフィールはこちらを参照。


東京Qチャンネルはコミカルな要素も取り入れつつ、質の高いポップスを作り続けたグループである。独特なグループ名から、何となく取っつきにくいと感じてしまうかもしれないが、いざ聴いてみるとJ-POPの王道を極めたような曲ばかり。大きなタイアップがあればチャートの上位に食い込んでいても何ら違和感が無いくらいである。

今作は東京Qチャンネルの2ndにしてラストアルバム。今作以降はシングルを数作リリースして活動を休止することとなる。2006年にはこれまでの楽曲及び、アルバム未収録で埋もれていたシングル曲やC/W曲で構成されたゴールデン☆ベストがリリースされている。余談だが、1stアルバムのタイトルは「SWitch on!」で今作は「SandWich」。どちらもSとWが大文字になっているのが特徴。須藤まゆみのSと割田康彦のWを表しているのだろうか?


「SWitch on Ⅱ」は今作のオープニング曲。曲とは言ってもラジオ番組風の小芝居である。最早曲なのかも分からない。次の曲への長めのイントロだと思って聴くと良いだろう。とはいえ、T.Q.C.の持ちネタの幅広さがよく分かる曲?になっていると思う。


「Radio Heart Beat」は実質的なオープニング曲。すどぱぁの伸びやかで可愛らしい歌声が聴こえた瞬間にT.Q.C.の世界に引き込まれてしまう。流れるようなポップなメロディーは聴いていてとても心地良い。歌詞とメロディーがぴったりと合っている感覚がたまらない。歌詞はタイトル通りラジオについて描かれている。テレビではなく、ラジオ。深夜に何となくラジオを聴きたくなる時の感情が上手く表現されていると思う。「どんな時も ひとりじゃない」このフレーズはリスナーに寄り添ってくれるようなラジオの魅力を一言で表したものだと思う。ポップで優しい。この曲のようなポップスこそT.Q.C.の王道なのだろう。


「遊びに行こう!」は先行シングル『「いつか」は今日だった』のC/W曲。弾けるような明るいメロディーにポジティブな歌詞が詰め込まれたポップナンバー。すどぱぁ自身によるコーラスワークもこの曲の明るさを演出している。一回聴いたらすぐに耳を離れなくなってしまいそうな、キャッチーさを極めたサビも絶品。歌詞は夜に遊びに行く女性の心が描かれたもの。「"好きなこと順"に 並べ変えたら 寂しさを 忘れ物にしに行こう」という歌詞が好き。夜更かししている時の何とも言えない高揚感を絶妙に表現した詞世界が展開されている。そのためか、この曲を聴くとどこかに出かけたくなってしまう。管理人はオープニングからの2曲であっという間にT.Q.C.にハマってしまった。


「close[klóus]」はここまでの流れを落ち着けるようなバラードナンバー。すどぱぁが作曲まで手がけている珍しい曲。編曲はギタリストの今剛が担当した。そのためか、他の曲よりもギターがかなり目立っている。タイトルに発音記号まで入っているのがインパクト抜群。このような遊び心はT.Q.C.ならでは。歌詞は恋人と出逢えた女性の喜びが描かれたもの。すどぱぁの優しく力強い歌声が歌詞の良さを実感させてくれるようである。しっとりとしたメロディーではあるが、サビはしっかりとキャッチーに仕上げる。すどぱぁのコンポーザーとしての実力もうかがい知れる曲になっていると思う。


「素直なままで恋をしようよ」は先行シングル曲。フジテレビ系ドラマ『明日はだいしょうぶ』の主題歌に起用された。恐らく東京Qチャンネルの楽曲の中では最も知られた曲だろう。キーボードやホーンが前面に出たイントロから既に名曲だと予感させてくる。歌詞は恋人に出逢えた女性の幸せな気持ちが伝わってくるようなものになっている。「あなたがくれる笑顔の力でどんな毎日も生まれ変わるよ」というサビ頭のフレーズは恋愛の本質を突いているかのようである。流れるようなメロディーにぴったり合うようにポジティブな歌詞が乗せられている。これぞJ-POP!と言いたくなるような名曲である。1990年代ガールポップシーンを代表する曲だと思う。


「やさしいドイツ語講座」はタイトル通りのドイツ語講座。曲というよりはその手の番組風の小芝居と言った方が良いだろう。ドイツ語での音階の言い方を学べる。日本語→英語→ドイツ語の順番で違いが分かる。このドイツ語講座は続き物となっており、今作の中にもう2回挟まれている。今作を陰で彩る存在となっているので飛ばすのはもったいない。


「寿・結婚行進曲」は今作発売後にリリースされたシングル「僕は君が好きだよ」のC/W曲としてシングルカットされた曲。沢山のセリフや小芝居で彩られたポップな曲。歌詞はタイトル通りのウエディングソング。しかし、ただのウエディングソングではない。新婦の友人という視点で歌詞が展開されている。しかもストーリー性に満ちている。結婚式に参加する前から始まり、最終的に新郎新婦が誓いのキスをする。聴いていると、まるで主人公になったかのような感覚に襲われる。それだけ繊細でリアルな描写をしているということである。 聴いていると楽しくなれるポップス。東京Qチャンネルの魅力を体現した曲だと思う。


「スパゲッティ」はコメディー路線の曲。55秒程のとても短い曲。作曲編曲のみならず作詞も割さんが手がけている。料理が苦手な女性の得意料理、それはスパゲッティ。スパスパと繰り返すサビは凄まじいインパクトがある。一回聴いたらしばらく耳を離れなくなること間違いなし。そして、スパゲッティを食べたくなることだろう。


「横浜WALK」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。AORのテイストを持った曲になっている。丁寧な打ち込みサウンドとストリングスで編み込まれたサウンドは上質そのもの。歌詞は横浜を舞台に、複雑な関係の男女が描かれている。「港の見える公園」「中華街」「観覧車」のような横浜を想起させるようなフレーズが多く登場する。横浜に住んでいるわけではないが、まるで横浜の市街地を歩いているかのような感覚になれる。T.Q.C.はポップな曲だけでなく、このようなバラードも素晴らしい。


「一歩すすんだドイツ語講座」は「やさしいドイツ語講座」の続編。音階をドイツ語で発音するとどうなるのか?くだらないと思ってしまいそうなネタではあるが、それを大真面目にやる東京Qチャンネルの姿勢に引き込まれる。次のドイツ語講座が最終回となる。


「Vamos a Fiesta!」はカーニバルやサンバテイストの曲。ブラジルの雰囲気を強く感じさせる曲である。タイトルのフレーズを含め、サビにはスペイン語が多用されている。バンドサウンドとホーンによる力強いサウンドも聴きごたえがある。歌詞は情熱的な踊りや歌で盛り上がる人々を想起させるようなものになっている。「繋ぐ手と手が 願う永遠 言葉も越えて ひとつになるの」という歌詞が印象的。ただブラジルのテイストを取り入れたというだけではなく、それをしっかり東京Qチャンネルらしく味付けしてポップスに仕上げる辺りが凄い。


「月夜の星」はここまでの流れを落ち着けるようなバラードナンバー。編曲は割さんではなく、小西貴雄が担当した。サウンドはキーボードが前面に出ている。ストリングスも曲を美しく飾っている。曲調はかなりゆったりとしている。歌詞は失恋した後の女性の気持ちが描かれたもの。寂しい夜を過ごしているのが伝わってくるような、切なさ溢れる詞世界が展開されている。「星の数くらいに 出逢いはあるという でもこの都会(まち)じゃあまり 星は見えないよ」というフレーズは本当に切ない。情感のこもったすどぱぁのボーカルが何よりもこの曲の切なさを演出している。


『「いつか」は今日だった』は先行シングル曲。TBS系報道番組『ブロードキャスター』のエンディングテーマに起用された。再び流れを明るい方向に持っていくようなポップな曲。T.Q.Cならではの弾けるような明るさを持ったポップスである。歌詞は「新しい自分に気がついた」日を迎えた女性の心情が描かれている。今が素晴らしいと言えるような日々を過ごせるのは本当に幸せなことだと思う。聴き手に寄り添ってくれるような優しいフレーズがとびきり明るいメロディーに乗せられている。聴いているだけで気持ちが晴れてくるような曲だと思う。


「HGDEDG♭」は「一歩すすんだドイツ語講座」の続編。今作のインタルード的な存在として陰で存在感を発揮してきたドイツ語講座の最終回。タイトルの音階をドイツ語で読むと「はーげーでーえーでげーす」となる。それをピアノをバックにして大人数で合唱している。シュール過ぎる。かなりインパクトがある。コメディー路線の極致と言える。


「原色の国〜Where shall we go?〜」は先行シングル「素直なままで恋をしようよ」のC/W曲。再びのバラードナンバー。この曲も作詞作曲編曲を割さんが担当している。キーボードが主体となった落ち着いたサウンドが心地良い。間奏の力強いギターソロは必聴。歌詞は異国情緒を漂わせるようなものである。そして、内省的な雰囲気も持っている。「遅すぎても だめ 急ぎすぎても だめ 近くて遠い明日をこの手にすることは」という歌詞が印象的。思わず聴き入ってしまうような美しい曲である。


「花咲く頃に…」は今作のラストを飾る曲。ピアノ主体のバラードナンバー。何となく沖縄のテイストを感じさせるような曲になっている。すどぱぁによる民謡のような歌い回しがこの曲の世界観を彩っている。歌詞カードの字体も他の曲よりも厳かな感じ。歌詞は春が来たことを別れた人に告げているようなものになっている。春は出逢いの季節だけでなく、別れの季節でもある。それを実感させてくれるような詞世界が展開されている。春の切なさを美しく切り取った曲だと思う。


あまり売れた作品ではないので中古屋ではたまに見かける程度。しかし、知られないまま埋もれてしまうにはあまりにも勿体無い作品である。気になった方は中古屋をハシゴしてでも探していただきたいと思う。もし無ければインターネットで購入していただきたい。女性ボーカルの王道J-POPが好きなら間違いなく損はしないはず。出費以上の満足があるだろう。テレビやラジオのチャンネルのように、バラエティ豊かな音楽を楽しめる。1990年代J-POPの隠れた名盤と言える存在の作品だと思う。

私事となるが、東京Qチャンネルはツイッターでいつもお世話になっているフォロワーさんに紹介していただいた。素晴らしいアーティスト及び作品に出会う機会を与えてくださったフォロワーさんに感謝して今回のブログを終えます。

★★★★★