FLYING KIDS
1995-11-01

【収録曲】
全曲作詞 浜崎貴司
全曲作曲編曲 FLYING KIDS
6.編曲 FLYING KIDS・根岸孝旨
8.編曲 FLYING KIDS・OTO
プロデュース FLYING KIDS

1.HOME TOWN ★★★☆☆
2.暗闇でキッス〜Kiss in the darkness〜 ★★★★★
3.ガードレールにもたれて ★★★★★
4.とまどいの時を越えて ★★★★★
5.愛してる ★★★★☆
6.Christmas Lovers ★★★★☆
7.森の中へ ★★☆☆☆
8.やりたいことをやりたい ★★★★☆

1995年11月1日発売
ビクターエンタテインメント
最高位14位 売上6.5万枚

FLYING KIDSの9thアルバム。先行シングル「とまどいの時を越えて」「暗闇でキッス〜Kiss in the darkness〜」を収録。今作発売後に「Christmas Lovers」がザ・スパイダースの楽曲のカバー「バンバンバン」との両A面でシングルカットされた。前作「Communication」からは11ヶ月振りのリリースとなった。

FLYING KIDSは元々ファンクバンドとしてデビューしたが、前作「Communication」辺りからポップ色を強めた曲が増えた。その結果、セールスは上昇したものの、ファンクバンドとしてのFLYING KIDSを求めるファンからは敬遠されることとなってしまった。今作はポップな作風がメイン。

今作は先行シングル2曲がスマッシュヒットしたためか、アルバムの中でも2番目にヒットした作品となった。最大ヒット作は前作である。


「HOME TOWN」は今作のオープニングを飾るタイトル曲。激しいギターサウンドが前面に出たロックナンバー。そのようなサウンドに負けない浜崎貴司のパワフルなボーカルも凄い。メンバーによるコーラスワークもかなり凝っているのが特徴的。歌詞はタイトル通り町について描かれている。「イレズミのフリーター」「自殺する小学生」「生真面目なロック歌手」「欲望のビル」等とても殺伐とした光景が広がっている町のようだ。その状況を抜け出すために「叫んでごらん」と提案する内容。オープニングにふさわしく、聴き手を盛り上げるような曲である。


「暗闇でキッス〜Kiss in the darkness〜」は先行シングル曲。TBS系音楽番組『COUNT DOWN TV』のオープニングテーマに起用された。優しいギターサウンドが心地良い爽やかなポップナンバー。装飾音は少なめに、バンドサウンドが主体となったポップスである。サビはとてもキャッチー。歌詞は別れた恋人に対しての後悔が語られたものになっている。そして、復縁を目指す内容。明るい曲調の割に歌詞は暗め。FLYING KIDSの楽曲にあったアクはかなり抑えられているのでライトリスナーでも聴きやすい曲だと思う。 ポップス路線に転換したFLYING KIDSの代表曲だろう。


「ガードレールにもたれて」は爽快なギターポップナンバー。力強いバンドサウンドが前面に出た比較的ロック色の強いサウンドではあるが、メロディーはとてもポップでキャッチー。歌詞は応援歌的な内容のものになっている。「火薬のピストルを空に掲げてスタートの合図 出口を探す旅にでようぜ 遥か彼方をみつめて」という歌詞が印象的。勢いの良いメロディーやサウンドも素晴らしいが、どこまでも伸びていきそうな浜崎貴司のボーカルがこの曲を何よりも彩っていると思う。シングルと言われても違和感の無いような曲。


「とまどいの時を越えて」は先行シングル曲。資生堂の「ヘアエッセンスシャンプー」のCMソングに起用された。サックスによるノリの良いイントロから引き込まれてしまうような爽快なポップナンバー。FLYING KIDSにはブラスを担当するメンバーはいないので外部ミュージシャンが演奏している。タイトでパワフルなバンドサウンドもこの曲を盛り上げている。流れるようなメロディーは聴いていてとても心地良い。歌詞はポジティブなメッセージが並んだもの。「行こう振り向かず 目をそらさずに」というサビ頭の歌詞はとても力強い。 突き抜けるような明るさを持った曲であり、FLYING KIDSを代表する名曲だと思う。


「愛してる」はここまでの流れを落ち着けるようなバラードナンバー。ピアノやパーカッションが前面に出たサウンドで聴かせる。ゆったりとしたメロディーや一言一言を丁寧に歌う浜崎貴司のボーカルがこの曲の世界観を表現している。歌詞はタイトルからも分かるように、ストレートなラブソングである。「虚ろだった日々にサヨナラをして、これからは花が咲く道をゆこうよ」という歌詞が印象的。結婚式でも使えそうな、多幸感のある曲になっていると思う。


「Christmas Lovers」は今作発売後にシングルカットされた曲。関西セルラーのCMソングに起用された。タイトル通りのクリスマスソング。FLYING KIDSにとっては数少ない本格的なクリスマスソングである。多幸感溢れる歌詞が展開されたポップな曲になっている。イルミネーションで彩られた街を想起させるような繊細な描写がされている。きっとその街を恋人たちは手を繋いで歩いているのだろう。思わず微笑ましくなってしまうクリスマスソングである。一人でクリスマスを過ごす方の場合は聴かない方が良いと思う。多幸感が切なさや虚しさに変わってしまう。


「森の中へ」は2分半程の小曲。アコギとベースが主体となったシンプルなサウンドで聴かせる。虫の鳴き声も所々に入っている。その涼しげなサウンドのせいか、本当に森に入ってしまったような感覚に襲われる。歌詞は森の中にいる「君」に会いに行くというもの。ファンタジー小説のようである。短めな曲なのだが、その独特な雰囲気が印象に残る。 


「やりたいことをやりたい」は今作のラストを飾る曲。ここまで来てやっと今までのFLYING KIDSらしさを感じさせるファンクナンバーである。浜谷淳子の無邪気さを持ったコーラスが曲を彩る。歌詞はタイトル通りのことが語られている。せっかくの休みなのに立ち上がれない。今の暮らしを抜け出してやりたいことをやりたい…切実な願いが語られている。のんきなようでいてかなり真面目で社会派。FLYING KIDSならではの詞世界だと思う。長時間労働やらブラック企業やらと問題になっている今聴くと歌詞がさらに沁みてくる。


FLYING KIDSのアルバムの中では割と売れた方なので中古屋ではよく見かける。全8曲、収録時間33分程度とミニアルバムと言っても良いほどコンパクトなので聴きやすさは抜群。全編通してポップな曲が多めなのでFLYING KIDSを聴き始めるという方にもおすすめできる。FLYING KIDSは王道なポップスをやっても、黒くて格好良いファンクをやっても素晴らしい曲揃いのバンドである。殆どの作品は安価で入手できるので興味がある方は是非とも手に取ってみてほしい。

★★★★☆