【収録曲】
1.作詞 岩田雅之
2.6.作詞 小倉めぐみ
3.5.9.作詞 相田毅
4.8.11.12.作詞 森浩美
7.10.作詞 久保田洋司
13.作詞 庄野賢一、えのきみちこ
1.2.作曲 岩田雅之
3.5.作曲 野崎昌利
4.作曲 長岡成貢
6.9.10.作曲 谷本新
7.作曲 久保田洋司
8.作曲 CHOKKAKU
11.作曲 太田美知彦
12.作曲 Mark Davis(馬飼野康二の変名)
13.作曲 庄野賢一
1.2.13.編曲 岩田雅之
3.編曲 小林信吾
4.10.編曲 長岡成貢
5.6.8.12.編曲 CHOKKAKU
7.編曲 清水信之
9.11.編曲 重実徹
4.8.10.コーラスアレンジ 松下誠
5.コーラスアレンジ 岩田雅之
6.11.コーラスアレンジ 佐々木久美
プロデュース JOHNNY H.KITAGAWA


1.Theme of 006 省略
2.働く人々 ★★★★★
3.イルカに逢った夏 ★★★★☆
4.渋滞の楽しみ方 ★★★★☆

5.M・A・S・H ★★★☆☆
6.それが痛みでも ★★★★☆
7.もっと君のこと ★★☆☆☆
8.僕の冷蔵庫 ★★☆☆☆
9.情けないくらい恋をしよう ★★★★☆
10.My Childhood Friend〜鏡の中のRadio ★★★★☆
11.歯が痛い! ★★★★☆
12.オリジナル スマイル(スペシャル・エディション) ★★★★★+1
13.Hey Hey おおきに毎度あり(アルバム・バージョン) ★★☆☆☆


1994年7月7日発売
ビクターエンタテインメント
最高位2位 売上25.5万枚


SMAPの6thアルバム。先行シングル「Hey Hey おおきに毎度あり」「オリジナル スマイル」を収録。前作「SMAP 005」からは5ヶ月振りのリリースとなった。初回盤はデジパック仕様。

「SMAP 004」辺りから楽曲の完成度に力を入れ始めていたSMAPだが、遂に今作からニューヨークでのレコーディングが始まった。ジャズやフュージョンの界隈で世界的に名の知れた実力派ミュージシャンを多数起用するようになった。今作ではまだ数曲しか参加していないものの、次作からは多数の曲に参加するようになる。

演奏だけでなく、詞世界の面でも変貌を遂げている。アイドルソング=キラキラしているというイメージがあるが、今作ではそれがかなり控えめ。メンバーと同世代の若者を対象にしたような日常を描いたものが増えている。これはアイドル及びアイドルソングのイメージを大幅に変えたと言える。



「Theme of 006」は今作のオープニング曲。SMAPのアルバムのテーマ曲はインストであることが多いが、この曲には少しだが歌詞がある。アルバムのテーマ曲に歌詞があるのは3rdアルバムのテーマとこの曲のみ。サックスが前面に出た派手なサウンドが展開されている。サックス以外は全て打ち込みによるもの。オープニングではあるが早速サウンドの格好良さに引き込まれる。



「働く人々」は実質的なオープニング曲。ド派手なファンクナンバー。ニューヨークの超一流ミュージシャンで演奏された最初の曲。マイケル・ブレッカーによるサックスやジェームス・ジナスによるベースは思わず聴き惚れてしまう。歌詞はタイトル通り働くことについて描かれている。野音でのライブが終わって帰る途中、ビルにまだ明かりがついている様子を目にする。そして、働くことの意味や大切さを再確認するという内容。アイドルソングとしてはありえないほど現実的な内容の歌詞である。サウンドだけでなく、アイドルソングの革命と言えるような詞世界にも着目すべき曲。Smappiesによる演奏が最初にされた曲なので、SMAPの歴史においても重要な曲だろう。


「イルカに逢った夏」は木村拓哉と森且行の2人によるボーカル曲。SMAPの中でも歌唱力が良かった2人なので、ボーカルに安定感がある。2人で歌ってはいるが、どちらかというと森且行の方がメインで歌っている。この曲はニューヨークのミュージシャンと日本人ミュージシャンが混ざった形で演奏されている。どちらも素晴らしい演奏を披露している。手数の多いタイトなドラムや跳ね上がるようなトランペットはとても聴き心地が良い。歌詞は夏に出逢った彼女をイルカに例えて描いたもの。告白できずに2人は別れてしまった。切ない物語である。そのような詞世界を彩るサウンドやメロディーは絶品。この曲も聴きどころが沢山ある。


「渋滞の楽しみ方」は爽やかなポップナンバー。ブラスとキーボードが前面に出たサウンドは爽快そのもの。脇を固めるバンドサウンドにも一切の隙がない。歌詞はタイトル通り、渋滞に巻き込まれてしまったカップルを描いたものとなっている。サビでは「どんな事も君といれば楽しめるよ」と堂々歌い上げている。マイナスな状況なのにこのポジティブぶりはまさにアイドルと言ったところ。微笑ましい歌詞と明るいサウンドがぴったり合っており、聴いていてとても楽しめる曲である。


「M・A・S・H」はヒップホップテイストの強い曲。ここまでの流れからは一転して、サウンドは全編打ち込みによるものである。サビ以外はラップ調で歌われている。歌詞は別れる寸前のカップルを描いたもの。2人で映画を観たのが最後の思い出となってしまった。「どんな出会いなら 二人別れずに済んだの」というフレーズから青年の後悔が伝わってくるような内容となっている。それにしてもタイトルがよく分からない。何かの略称なのだろうか?



「それが痛みでも」は木村拓哉と森且行の2人によるボーカル曲。「イルカに逢った夏」では森且行がメインだったが、こちらは木村拓哉がメインで歌っている。この曲もサウンドは全編打ち込みで構成されている。歌詞は青年の迷いや悩みを描いたものとなっている。同世代の若者なら誰もが共感できるような内容だと思う。「まいにちまいにち過ぎてゆく 退屈していても まいにちなんかを感じたい それが寂しさでも」という歌詞が印象的。内省的な詞世界はとてもアイドルソングとは思えないが、そのギャップに引き込まれる曲である。



「もっと君のこと」は稲垣吾郎のソロ曲。清涼感漂うポップナンバー。サウンドは全編打ち込みによるものだが、リゾートソングのようなテイストの音作りがされている。歌詞は片想いしている青年の心情が描かれたものとなっている。「もっと」や「知って」が繰り返されるサビは中々にキャッチー。稲垣吾郎の少し危なかっしいボーカルが歌詞の中の青年の心を絶妙に表現しているように感じる。涼しげなサウンドともマッチしていると思う。



「僕の冷蔵庫」は草彅剛と香取慎吾の2人によるボーカル曲。この曲も全編打ち込みによるサウンドが展開されている。歌詞はレトロタイプの冷蔵庫を愛用している様子が伝わってくるような微笑ましいものとなっている。チョコミントアイスを入れ、コーラを冷やし、氷を出して頭を冷やす…生活感漂う詞世界は中々にインパクトがある。2人の若さ溢れる不安定なボーカルがこの曲の詞世界にリアリティーを与えているように思う。とにかく声が若い。


「情けないくらい恋をしよう」はここまでの流れを変えるようなハードロックナンバー。SMAPのメンバー皆が出演したロッテ「ビッグコーン」のCMソングに起用された。全員で歌われているものの、歌詞カードには「t.kimura&smap sing」と表記されている。確かな木村拓哉のボーカルが他のメンバーよりも目立っているような印象がある。力強いバンドサウンドは聴きどころ。サウンドは激しいギターサウンドが前面に出ている。日本人ミュージシャンによって演奏されているが、青山純、伊藤広規、土方隆行と豪華なメンバー。歌詞はタイトル通り「情けない恋をしよう」と提案するものとなっている。パワフルなサウンドと歌詞がピッタリと合っている印象。


「My Childhood Friend〜鏡の中のRadio」は中居正広のソロ曲。演奏という面を除いたら一番のトピックや聴きどころがこの曲ではないかと思う。重厚なバラードナンバー。ピアノが前面に出た流麗なサウンドをバックに、しっとりと歌い上げている。後の枯れきった歌声をイメージしてしまうが、この頃はまだ枯れていない。しかも言うほど下手でもない印象。歌詞は両想いであることに気がついた男女を描いている。付かず離れずな何とも言えない距離感が伝わってくるようである。何よりも歌声が枯れてしまう前の中居正広のソロ曲というのが極めて貴重。資料的に価値のある曲だと思う。


「歯が痛い!」は中居正広、草彅剛、香取慎吾の3人によるボーカル曲。ニューヨークのミュージシャンが演奏に参加している曲。バンドサウンドは日本人ミュージシャン、ホーンはニューヨークのミュージシャンで演奏されている。そのような分厚いサウンドをバックに、歯が痛いと歌い上げているのはシュールそのもの。デートの途中でいきなり歯が痛くなってしまったようだ。ふざけているような曲なのだが、サウンドが凄く豪華。このようなことをできてしまったのは当時のSMAPだからなのだろう。


「オリジナル スマイル(スペシャル・エディション)」は先行シングル曲。木村拓哉が出演した大塚製薬「オロナミンC」のCMソングに起用された。何が「スペシャル・エディション」なのかというと、アコギをバックにサビを木村拓哉がソロで歌う部分が入っていること。イントロの前に入っている。シンセによる跳ね上がるようなホーンの音色が特徴的なポップナンバー。元気や勢いに溢れた曲である。歌詞は同世代の若者を励ますような内容だが、どの世代にも言えるような普遍的な言葉が使われている。どんな時でも笑顔でいること。そのメッセージは誰もが良いと感じるようなものだと思う。そのためか、東日本大震災の後によく復興支援として歌われていた。いつ聴いても励まされるような応援歌である。 ボーカル、歌詞、メロディー、アレンジの全てが一体となってポジティブな世界を作り上げている。まさに名曲。これからもこの曲に励まされるのだろう。


「Hey Hey おおきに毎度あり(アルバム・バージョン)」は今作のラストを飾る先行シングル曲。SMAPが主演した映画『シュート!』の挿入歌に起用された。他にも初期の曲が使われていたが、その中でも唯一の新曲だったようだ。SMAPにとって初となるシングル1位を獲得した曲。関西弁が多用されたヒップホップテイストの曲となっている。メンバーすら「だっせ〜!」等と批判していたほどらしいが、それでも売れてしまった。アルバムバージョンなのだが、シングルバージョンからはアレンジャーまで変更されており、大幅に変わっている。 しっかりまとまり過ぎてシングルバージョンにあったノリの良さがかなり失われてしまった印象。この曲に関してはシングルバージョンの方が良かった。


そこそこ売れた作品なので中古屋では見かけやすい。一部の曲ではあるが海外のミュージシャンを起用しており、サウンドがかなり豪華。次作以降はさらに豪華なサウンドを楽しめる。しかし、親しみやすい曲やボーカルのおかげで、マニアックで取っつきにくい内容というわけではない。中居正広のソロ曲が収録されているという、音痴ネタを解禁してからの作品ではありえないようなトピックもある。サウンドだけではなく、色々と聴きどころがある作品である。


★★★★☆