東京Qチャンネル
1995-06-28

【収録曲】
全曲作詞 須藤まゆみ
7.9.13.作詞 割田康彦
全曲作曲編曲 割田康彦
6.作曲 割田康彦・須藤まゆみ
3.編曲 小西貴雄
8.編曲 渡辺俊幸
9.編曲 門倉聡
10.編曲 割田康彦・中村圭三
11.編曲 萩田光雄
5.13.ストリングスアレンジ 渡辺俊幸
プロデュース 東京Qチャンネル・小沢正直

1.SWitch on! 省略
2.Say!Happy Birthday(Album version) ★★★★☆
3.Bran-new day ★★★★★
4.vs.ヘクトパスカル!〜ずぶぬれ行進曲〜 ★★★★☆
5.空からの雫 ★★★★☆
6.SQUALL ★★★★★
7.お茶菓子 ★★★☆☆
8.29歳 ★★★★☆
9.東京ワンルーム物語 ★★★☆☆
10.最後の一撃〜Final Game,Final Round〜 ★★★★☆
11.普通の日々 ★★★★☆
12.Say!Happy Birthday(LaLaLa version) 省略
13.翌日 ★★★☆☆

1995年6月28日発売
東芝EMI
最高位不明 売上不明

東京Qチャンネルの1stアルバム。先行シングル「普通の日々」「Say!Happy Birthday」「最後の一撃〜Final Game,Final Round〜」を収録。

東京Qチャンネル(略称T.Q.C.)はボーカルの須藤まゆみ(通称すどぱぁ)、キーボード、ギターの割田康彦(通称割さん)の二人からなるユニット。1994年に結成され、1998年に活動を休止した。活動休止後、須藤まゆみは数々のCMソングの歌唱や他のアーティストのコーラスとして活躍している。作詞家としても活動している。割田康彦は作曲家、編曲家、音楽プロデューサー等で活躍している。お互いにその活躍ぶりが前面に出ることはあまり無いのだが、その実力は高く評価されている。

東京Qチャンネルはコミカルな要素を取り入れた質の高いポップスを作るのを得意としていた。独特なグループ名から、何となく取っつきにくいと思ってしまうかもしれないが、いざ聴いてみるとJ-POPの王道中の王道と言いたくなるような曲ばかりである。何かしら大きなタイアップがあればチャートの上位に入っていても何ら違和感がないくらい。


「SWitch on!」は今作のオープニング曲。曲とは言っても、テレビCMや相撲の勝敗などのパロディー。最早曲なのかも分からない。しかし、聴き手をアルバムの世界に引き込んでくる印象。アルバムそのもののイントロだと考えて聴くと良いと思う。


「Say!Happy Birthday!(Album version)」は先行シングル曲。TBS系バラエティ番組『どうぶつ奇想天外!』のエンディングテーマに起用された。突き抜けるような明るさを持ったポップナンバー。イントロのベースを始め、意外とバンドサウンドが主張したサウンドとなっているのが特徴的。サックスもサウンドを彩っている。タイトル通りのバースデーソングである。大切な人の誕生日を祝う内容なのだが、「生まれてきたその日のこと自分自身覚えてない記念日」「だけどたぶんその人にとって一番重大な記念日」などと誕生日を様々な言葉で言い換えているAメロがとても印象に残る。自分の誕生日を大切にしたくなるような曲だと思う。


「Bran-new day」は先行シングル「最後の一撃〜Final Game,Final Round〜」のC/W曲。編曲は小西貴雄が担当した。前の曲と同じく、イントロからワクワクするようなポップな曲である。キラキラとした印象のキーボードの音や曲の要所を飾るブラスなど、とても多彩な音作りがされている。「おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンド」とはまさにこの曲のようなサウンドのことだろう。歌詞はポジティブな雰囲気溢れるもの。明るい朝をイメージさせるような詞世界となっている。喜びを表現しているかのように生き生きとしたすどぱぁのボーカルもこの曲の世界観を構成している。そのため、一日の始まりに聴きたくなるような曲である。


「vs.ヘクトパスカル!〜ずぶぬれ行進曲〜」はコミカルな歌詞が特徴的なポップナンバー。跳ね上がるようなブラスの音が前面に出ており、とても楽しげな雰囲気を持ったサウンドとなっている。弾むようなメロディーもインパクトがある。聴いているとついついそれにノッてしまう。歌詞はタイトルからも想像がつくかもしれないが、台風の日を舞台にしている。彼氏のところに逢いに行くために台風で荒れている中を歩く女性が描かれている。間奏には丁寧に台風中継やニュースを模した小芝居も入っている。すどぱぁの可愛らしい歌声はメロディーやサウンドとぴったり合っている印象がある。このような、 ふざけているようでいて作り込まれたポップスは東京Qチャンネルにしかできない芸当だろう。


「空からの雫」はここまでの流れを落ち着けるようなバラードナンバー。サウンドはアコギが前面に出ているが、ストリングスも入っている。間奏には雨の音も入っている。ゆったりとしたメロディーは雨の日ならではのどんよりとした空気を表現しているかのよう。歌詞は雨の日を舞台に、昔の恋人のことを思い出している女性を描いたものとなっている。女性の後悔が伝わってくるような繊細な描写がされた歌詞である。すどぱぁの伸びやかなボーカルはどこか憂いを帯びているように感じられる。この曲のような聴かせる曲もしっかりやってのけるT.Q.C.の音楽性の幅広さには驚かされる。


「SQUALL」はフュージョン色の強い曲。曲は割さんとすどぱぁの共作となっている。この形で作られた曲は少ない。力強いベースやキレの良いギターサウンドが前面に出たサウンドは格好良さを感じさせる。間奏をバッチリと決めるサックスも絶品。歌詞はカップルが南国で過ごしている光景を想起させるようなものとなっている。1番ではスコールで天気が大荒れになっている様子、2番ではスコールが止んで天気が元通りになった様子を想像できるような描写がされている。この丁寧なストーリー仕立ての詞世界が特徴。 サウンド面に於いて、T.Q.C.には珍しく「格好良い」という印象を持つ曲となっている。サウンドが管理人の好みなので評価が高めになっている。


「お茶菓子」は1分と少しの小曲。作曲、編曲のみならず作詞も割さんが手がけている。ガットギターが前面に出たシンプルなサウンドで聴かせる。何となく和風な雰囲気のサウンドになっていると思う。歌詞は突然親しい人が部屋に来た光景が描かれている。最近お客さんが来ていなかったので、お茶菓子を切らしてしまっていた。次は必ず用意しておく…という内容。ストーリーが詰め込まれた歌詞となっている。短い曲ではあるが聴きどころが多い。


「29歳」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。「いわき信用組合企業」のイメージCMソングに起用された。編曲は渡辺俊幸が担当した。温かみを感じさせるキーボードの音色と実力派ミュージシャンによる力強いバンドサウンドが絡むサウンドは聴きごたえがある。流麗なストリングスも脇を固めている。歌詞は昔の恋人や自分自身を振り返っている内容。今作発表当時のすどぱぁは29歳〜30歳くらいだったようなので、その頃の感情を素直に綴った詞世界になっているように感じる。切ない歌詞と歌謡曲テイストの曲調がマッチしている。 T.Q.C.屈指の名バラードだと思う。


「東京ワンルーム物語」は先行シングル「普通の日々」のC/W曲。編曲は門倉聡が担当した。ジャズのテイストを感じさせる音作りがされている。ピアノやウッドベースが前面に出たサウンドとなっている。作詞は割さんが担当した。歌詞は独身女性の暮らしを描いたものである。全編通して気だるい雰囲気に溢れた詞世界となっている。すどぱぁが作詞したわけではないのに、女性の心情が上手く表現されている印象がある。同じ境遇の女性なら共感できる内容だと思う。割さんの作詞家としての実力をうかがい知れるような曲である。


「最後の一撃〜Final Game,Final Round〜」は先行シングル曲。編曲は割さんと中村圭三の共同で行われた。勢いの良いシンセの音色やエレキギターの音色が前面に出た、比較的ロック色の強いサウンドが展開されている。歌詞は男をフった女性を描いたもの。それを野球や相撲、ボクシング、サッカーに例えている。そのためか、野球、サッカー、相撲の実況を模した小芝居が入っている。シンセでコンバットマーチを演奏しているという細かな遊び心も特徴的。親しみやすさを持った王道なポップスでありながら、様々な小細工を施しているのはT.Q.C.ならでは。


「普通の日々」は先行シングル曲。東京Qチャンネルにとってのデビュー曲である。TBS系ドラマ『家族A』のエンディングに起用された。このドラマは視聴率が低かったため、早めに打ち切られてしまったという。編曲は萩田光雄が担当した。しっとりと聴かせるバラードナンバー。安定感のあるバンドサウンドとストリングスが絡む上質なサウンドが心地良い。歌詞はストレートなラブソング。サビでは「あなたを愛してる 愛し続けてく」と堂々歌い上げている。恋人がいることで、何気ない日々も良いものに感じられるのかもしれない。多幸感のある詞世界と言える。シングルというには少々地味な印象が否めないが、それでも引き込まれる曲である。


「Say!Happy Birthday(LaLaLa version)」は2曲目のリプライズ。38秒ととても短い。普通のバージョンと何が違うかというと、サビの部分にラララのコーラスが入っているというだけ。アルバムのインタルードのようなものだろう。


「翌日」は今作のラストを飾る曲。ピアノが主体となったシンプルなバラードナンバー。ストリングスも入っており、曲を厳かな雰囲気を持ったものに仕上げている。作詞は割さんが担当した。歌詞は彼氏と別れた女性の心情が語られたもの。タイトルから想像すると、別れた次の日に思ったことが語られているのだろう。相手のことを忘れられないもどかしさが表現されており、とても切ない歌詞である。ラストにふさわしい雰囲気を持った曲だと思う。


あまり売れた作品ではないので中古屋ではたまに見かける程度。しかし、知られないまま埋もれてしまうのはあまりにも勿体無いと感じる作品である。全編通して完成度の高い、作り込まれたポップスを楽しめる。グループ名の通り、テレビのチャンネルのようにバラエティ豊かなポップスが展開されている。女性ボーカルによる王道J-POPが好きな方ならまず聴いて損は無い。この記事を読んで興味を持った方がいれば、中古屋をハシゴしてでも探してみてほしいと思う。インターネットを使って入手する方法もある。恐らく出費以上の満足感があるはず。

★★★★☆