木根尚登
1996-11-25


KINE NAOTO supported by TETSUYA KOMURO
2013-09-11
(再発盤)

【収録曲】
1.4.作詞 木根尚登
2.作詞 小室哲哉
3.6.作詞 前田たかひろ
5.7.作詞 山本英美
8.作詞 神沢礼江
9.作詞 小室みつ子
全曲作曲 木根尚登
4.5.作曲 小室哲哉
プロデュース 小室哲哉

1.REMEMBER ME?(original mix) ★★★★★
2.Close to the night ★★★★☆
3.Still feel loneliness ★★★★★
4.Wish on the hill ★★★★☆
5.SATURDAY MORNING.6A.M. ★★★★☆
6.Bless this love(original mix) ★★★★★
7.Tenderness ★★★★★
8.Sad Emotion ★★★★☆
9.Time Passed Me By ★★★★★
10.REMEMBER ME?(asian spices mix) ★★★☆☆

1996年11月25日発売
2013年9月11日再発(リマスター、Blu-Spec CD2)
EPIC・ソニーレコード
最高位14位 売上約3.1万枚

木根尚登の4thアルバム。先行シングル「REMEMBER ME?」を収録。前作「liquid sun」からは約1年振りのリリースとなった。タイトル曲については「REMEMbER ME?」という表記もあるが、今作で使われている表記に沿って書いた。

今作はTM NETWORK時代の盟友・小室哲哉が制作に関わった。今作の名義は「KINE NAOTO Supported by TETSUYA KOMURO」となっており、ジャケ写や背表紙もこの名義で記載されている。小室哲哉は「あくまでもサポーターであってプロデューサーではない」と考えており、その考えが名義に反映されていると言える。

これまでの作品では全曲の作曲を木根尚登自ら手がけていたが、今作では小室哲哉が2曲の作曲を担当した。小室哲哉は作詞でも関わっており、全面的なサポートを受けて今作が制作されたことがよく分かる。


「REMEMBER ME?(original mix)」は先行シングル曲にしてタイトル曲。小室哲哉が制作に関わった最初の曲である。イントロやアウトロに挟まれているコーラスが特徴的だが、小室哲哉と華原朋美が参加している。当時の小室哲哉は打ち込みを多用していた印象が強かったが、意外にもサウンドはアコースティックな感じのものになっている。木根尚登の音楽の特徴であるフォーク色の強いサウンドやメロディーを損なわない音作りがされている。歌詞は昔の恋人を振り返っているもの。曲からどことなく哀愁が漂っているのは木根尚登の歌声のためだろうか?この切なくて渋い雰囲気がたまらない。木根尚登の楽曲の魅力がこの曲に集約されているように感じる。


「Close to the night」は1996年に大賀埜々に提供した曲のセルフカバー。歌詞は一部変更されている。コーラスには小室哲哉と華原朋美が参加した。しっとりとした聴かせるバラードナンバー。それでもサビはキャッチー。アコギやピアノが主体となったシンプルなバンドサウンドが切ないメロディーとマッチしている。間奏にはストリングスも挟まれている。作詞は小室哲哉が担当した。歌詞はストレートなラブソングとなっている。「抱きしめた君の朝に 僕の夜がすりぬけてく」という表現が印象的。木根尚登の渋い歌声が曲に力強さを与えているように感じる。


「Still feel loneliness」は重厚なバラードナンバー。後にベスト盤「THE BEST OF NAOTO KINE 15 GOODIES」に収録された。木根尚登の自信作らしく、曲ができた瞬間にひそかに自画自賛したとか。洋楽のテイストの濃いメロディーである。力強いバンドサウンドで構成されたサウンドなので、メロディーがより美しく感じられる印象がある。作詞は小室哲哉プロデュース作品で活躍していた前田たかひろが担当した。木根尚登曰く「自分の言葉で心情を吐露するよりも、誰かの言葉を借りたいと思った」とのこと。青春時代の恋を振り返っているものと解釈している。ここまでバラード続きだが、全く飽きない。それだけ引き込まれるメロディーやサウンドなのだろう。


「Wish on the hill」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。作曲は小室哲哉が担当した。ピアノが主体となったシンプルなアレンジがされており、木根尚登の歌声が生かされている印象がある。ほぼピアノとアコギのみのサウンド。歌詞はストレートなラブソング。「いつまでも君と歩いていたい」と歌い上げるサビは聴きどころ。一切の無駄を省いたようなシンプルなサウンドのためか、歌詞に力強さがこもっているように感じられる。


「SATURDAY MORNING.6A.M.」はフォーキーなテイストの強いバラードナンバー。作曲は小室哲哉が担当した。アコギが主体となったシンプルなアレンジで聴かせる。ゆったりとしたメロディーにこのサウンドはとても合っている。作詞は山本英美が担当した。歌詞は東京に慣れてしまった男女の心情が語られたものとなっている。そして、二人が出逢った町に帰ろうと提案している。自分の故郷の空気や匂いが伝わってくるような繊細な描写がされている。シンプルではあるが、だからこそ心に沁みてくる。


「Bless this Love(original mix)」は今作の中では比較的ポップな曲。アコギやシンセが主体となった爽やかなサウンドが聴いていて心地良い。段々バンドサウンドが盛り上がっていくような構成になっているためか、聴き手も段々と盛り上がる印象がある。間奏のエレキギターのソロはとても格好良い。作詞は前田たかひろが担当した。歌詞は恋をしている男性の心情が描かれたもの。「永遠の愛は もう誓わない ずっと守っていけるはずだから」というラストの歌詞は力強さに溢れている。切なくも幸せな雰囲気を感じさせる。 ここまでのしっとりとしたバラードから一転したような感じで、イントロから引き込まれてしまう。


「Tenderness」は再びのバラードナンバー。この曲もアコギが主体となったフォーキーなサウンドで聴かせる。この曲は2番からバンドサウンドが前面に出て盛り上がる構成となっている。中盤からはロック色が強くなる印象がある。作詞は山本英美が担当した。歌詞は好きな人へのメッセージのようになっている。辛いことは全て自分に打ち明けてほしい、傷ついたとしても今あることを見つめていたい…タイトル通り、優しさや親切心に溢れた詞世界である。木根尚登の歌声のおかげか、誠実な男性を描いた歌詞にさらに説得力がこもっているように思う。


「Sad Emotion」はTM NETWORK時代の楽曲のセルフカバー。元のバージョンは「GORILLA」に収録されている。TM NETWORK時代の木根尚登の楽曲は小室哲哉の曲とは対照的に切なさや懐かしさを感じさせるバラードが多く、「キネバラ」と呼ばれてファンから愛されていた。このセルフカバーは小室哲哉の提案で実現したようだ。元のバージョンよりもテンポを上げて、アコギが主体となったサウンドには変更されている。歌詞は別れた恋人のことを思い出している男性を描いたもの。優しいと感じるか、忘れることができない弱い人と感じるかは聴き手次第。管理人は前者だと解釈したので曲の印象が良い。


「Time Passed Me By」はTM NETWORK時代の楽曲のセルフカバー。元のバージョンは「Self Control」に収録されている。当時小室哲哉から「ビートルズのYESTERDAYくらいの名曲を書いてよ」と言われて作ったという。そのためか、親しみやすさと美しさを併せ持ったメロディーが展開されている。木根尚登のTM時代の自信作というのも頷ける。歌詞は時の流れのせいで大人になってしまう少女への想いが描かれたもの。切なさに溢れた詞世界やメロディーがたまらない。ソングライターとしての木根尚登の実力が分かるような曲である。


「REMEMBER ME?(asian spices mix)」は先行シングル「REMEMBER ME?」のC/W曲。リミックスはJohn van nestが担当した、わざわざ収録したのは疑問だが、ボーナストラックのようなものだと思われる。タイトル通り中華風のアレンジがされている。曲の長さは8分程度となり、元のバージョンの2倍ほど長くなっている。元のバージョンを壊さないような味付けになっているので、リミックスがあまり好きではない方でも親しみやすい仕上がりになっていると思う。


そこそこ売れた作品なので中古屋ではよく見かける。全編通してシンプルながらも心に沁みるようなラブソングが展開されたアルバムとなっている。リリース当時、ダンスミュージックに傾倒した小室哲哉が制作に関わったとは思えないほどにアコースティックな作風である。ソロとしての木根尚登の魅力を知るなら今作がおすすめ。繊細なメロディー、渋い歌声、懐かしさを感じさせる歌詞など、木根尚登は魅力が数多くある。 ソングライターとしての実力は小室哲哉と比べても遜色のないくらいだと思う。どうにも過小評価されている印象が否めない。是非とも聴いていただきたい作品である。

★★★★★