L⇔R
2017-02-08
(リマスター盤)






(オリジナル盤?)





【収録曲】
全曲作詞作曲 黒沢健一
3.作詞作曲 黒沢健一・黒沢秀樹
4.作詞作曲 L⇔R
6.作詞 Brian Peck
7.8.作詞 黒沢秀樹
10.作曲 黒沢健一・黒沢秀樹
全曲編曲 L⇔R
Orchestration & Add.Arrangement by 遠山裕、岡井大二
プロデュース 岡井大二

1.Lazy Girl レイジー・ガール ★★★★★
2.7 Voice セブン・ヴォイス ★★★★☆
3.Bye Bye Popsicle 一度だけのNO.1[version] ★★★★★
4.Holdin'Out[You & Me together] ホワッツ・ラブ ★★★★★
5.Love is real? 想像の産物[version] ★★★☆☆
6.Motion Picture モーション・ピクチャー ★★★★☆
7.I Can't Say Anymore アイ キャント セイ……… ★★★★☆
8.PACKAGE…I missed my natural パッケージ [ALTERNATE MIX]  ★★★★☆
9.With Lots of Love Signed All of Us ロッツ オブ・ラブ ★★★☆☆
10.[Fresh Air For My]Dounut Dreams ドーナッツ・ドリームス ★★★★☆

1992年4月25日発売
1993年4月16日再発
1997年7月25日再発
2009年4月1日再発(SHM-CD)
2017年2月8日再発(リマスター・UHQCD)
ポリスター
最高位84位(初登場96位) 売上1.1万枚(オリジナル盤)
最高位107位 売上0.05万枚(2017年盤)

L⇔Rの1stフルアルバム。今作発売後に「Lazy Girl/Bye Bye Popsicle〜一度だけのNO.1〜」が両A面シングルとしてシングルカットされた。デビューミニアルバム「L」からは5ヶ月振りのリリースとなった。オリジナル盤の初回盤は三方背BOXケース入り仕様。

今作の前にリリースされたミニアルバム「L」は5000枚限定生産だったので、今作が本格的なデビュー作と言える。当初は黒沢健一、黒沢秀樹、木下裕晴の3人だったが、今作の制作にコーラスとして参加していた嶺川貴子が正式メンバーとして加入して4人組となった。

「L」に収録された5曲中3曲はアルバムバージョンとして収録されている。[version][ALTERNATE MIX] と表記されているのがそれ。

今作から6thアルバム「Let me Roll it!」までは「L」と「R」で繋ぐタイトルである。「Lefty in the Right」というタイトルは「少数派の意見を尊重しよう!」というような意味が込められているようだ。左利きは少数派の象徴なのだろう。


「Lazy Girl レイジー・ガール」は今作発売後にシングルカットされた曲。アルペンのCMソングに起用された。美しいコーラスワークや行進しているかのようなドラムの音が特徴的なポップナンバー。最早イントロからポップでキャッチーそのもの。疾走感溢れるメロディーでそのまま終わるかと思いきや突然転調し、黒沢健一の美しいファルセットやメンバーのコーラスワークも聴かせる。その起伏はジェットコースターのようである。メロディーと歌詞が一体となって進んでいく感じは聴いていてとても気持ち良い。 様々な洋楽からの影響を表現しつつも、元ネタを知らなくても名曲だと感じさせてくれる。黒沢健一の圧倒的なポップセンスを痛感させてくるような曲である。


「7 Voice セブン・ヴォイス」はひねくれた音作りがされたポップナンバー。民族音楽かと思ってしまうようなイントロから引き込まれる。うねるようなメロディーかと思えばしっとりとしたメロディーになり、それがキャッチーなメロディーになる。極めて複雑なのにポップ。黒沢健一の頭の中を見てみたくなるようなメロディーラインである。ボーカルもメロディーの変化に対応して聴かせる。力強くなり、優しくなり、明るくなる。まさに7色の声。黒沢健一のボーカリストとしての力を知らしめるような曲である。2分46秒程度と短い曲なのに、何曲も聴いたような感覚に襲われる。


「Bye Bye Popsicle 一度だけのNO.1[version]」は今作発売後にシングルカットされた曲。「Lazy Girl」とは両A面だった。前の曲からは繋がって始まる。この繋がりがたまらない。聴く度に鳥肌が立ってしまう。鮮やかなイントロから既にこの曲に魅かれる。後半のストリングスが入って急加速する部分にも圧倒される。カラフルなサウンドに、ポップなメロディー、シニカルな印象の歌詞…どれを取っても素晴らしい。フェードアウトする終わり方も曲にドラマチックな雰囲気を与えている。どんなに年月が経っても古びない魔法をかけられてしまったかのような極上のポップス。L⇔Rの原点にして王道中の王道。L⇔Rの楽曲の魅力はこの曲に集約されていると言っても過言ではない。


「Holdin'Out[You & Me together] ホワッツ・ラブ」は起伏に富んだメロディーが特徴的なポップナンバー。作詞作曲はL⇔Rとクレジットされている。「ため息ばかりついているのかい?」と囁くような歌い出しからこの曲の世界に引き込まれてしまう。囁くようなボーカル、叫ぶようなボーカルなど、この曲もまた黒沢健一のボーカリストとしての表現力の凄さを感じさせてくる。何重にも重ねられたコーラスワークも曲を彩っている。ロック色の強い曲なのかと思いきや、サビはとても優しくポップなメロディー。全く予想のつかない曲の展開は聴き手をワクワクさせてくる。 何回聴いても初めて聴いた時のような新鮮さがある曲だと思う。


「Love is real? 想像の産物[version]」はどんよりした雰囲気を感じさせるバラードナンバー。闇の中に沈んでいくような暗さがある。自分の心の内に入り込んでいくような感じ。一般受けを捨てたようなマニアックな曲。それでもメロディーは儚いほどに美しい。今にも消え入りそうな黒沢健一の歌声もこの曲の危うさを引き立てている印象がある。聴いているとこちらもこの曲の世界に引きずり込まれるようである。サイケではあるが芸術的な曲だと思う。このようなサイケな曲はL⇔Rのもう一つの魅力と言える。


「Motion Picture モーション・ピクチャー」はウェストコーストロックのテイストを持った曲。作詞はブライアン・ペックが担当したため、全編英語詞である。ビーチ・ボーイズからの影響を強く感じさせる。ブラスや勢いの良いバンドサウンドが絡むイントロからワクワクさせられる。英語詞の意味は分からないが、全ての音やメロディーとぴったり合って流れていくような感覚があるため、聴いていてとても心地良い。爽やかで格好良い仕上がりとなっている。


「I Can't Say Anymore アイ キャント セイ………」は凝ったコーラスワークが特徴的なポップナンバー。L⇔Rの前身であるラギーズ時代から演奏されていたという。跳ね上がるようなメロディーや囁くような黒沢健一のボーカルが印象的である。作詞は黒沢秀樹が担当した。語感を重視したような感じなので意味はよく分からない。恋人へのメッセージのようになっている印象。この曲も歌詞とメロディーが一体となっている感覚がある。何よりも聴きどころなのは嶺川貴子のコーラス。透き通るような歌声であり、最早神秘的な雰囲気すら感じさせる。嶺川貴子が在籍していた頃のL⇔Rにしかできなかったと言える曲。


「PACKAGE…I missed my natural パッケージ [ALTERNATE MIX]」はとっ散らかった雰囲気溢れるポップロックナンバー。非常に音の数が多くてごちゃごちゃした感じなのだが、そのサウンドが聴きどころ。今作収録曲の中ではかなり実験性の強いサウンドだと思うが、それでも曲のキャッチーさは失っていない。作詞は黒沢秀樹が担当したが、その歌詞も独特そのもの。これまた語感の良さを重視した仕上がりなのだが、とても皮肉めいた詞世界となっている。「Fashion 全てのことが」というフレーズはそれが顕著。とっ散らかっていてもしっかり聴かせて楽しませる辺りはL⇔Rならでは。


「With Lots of Love Signed All of Us ロッツ オブ・ラブ」は30秒程度の小曲。全曲英語詞によるもの。アカペラで歌われている。美しいコーラスワークにはただただ聴き惚れるばかり。短いからといって飛ばすのはナンセンス。次の曲と繋がっているので長いイントロだと考えて聴くと良いと思う。


「 [Fresh Air For My]Dounut Dreams ドーナッツ・ドリームス」は今作のラストを飾る曲。前の曲からは繋がって始まる。これもまた繋がり方が絶妙。ふわふわとした感じのメロディーが展開されている。不思議な音色のシンセがサウンドにアクセントをつけている。複雑に張り巡らされたコーラスワークは絶品。黒沢健一の澄み渡るような歌声がこの曲の美しさを何よりも演出している。この曲までの全ての曲を包み込むような雰囲気があり、ラストにふさわしい曲だと思う。


あまり売れた作品ではないので中古屋ではたまに見かける程度。10曲入りで全35分程度ととてもコンパクトな作品である。1曲1曲が複雑に作り込まれているのだが、ポップでキャッチーを極めたような曲が並んでいる。音が左右に分離しているような独特な音作りがされているのが特徴。後半は少しマニアックな要素が強くて取っつきにくい印象の曲もあるのだが、それすら気にならない。1stというにはあまりにも完成され過ぎているアルバムである。管理人の中ではポリスター所属時代のアルバムの中で今作は一番好きな作品。

★★★★★