FLYING KIDS
1994-11-30

【収録曲】
全曲作詞 浜崎貴司
全曲作曲編曲 FLYING KIDS
プロデュース FLYING KIDS

1.ジェットコースター ★★★★☆
2.風の吹き抜ける場所へ (Growin' Up, Blowin' In The Wind) ★★★★★
3.セクシーフレンド・シックスティーナイン ★★★☆☆
4.男の子でも女の子でも ★★★★★
5.君に告げよう ★★★★☆
6.天使気分はジゴクの底まで ★★★★☆
7.星屑のふたり ★★★★☆
8.ザケンジャネーヨ ★★★☆☆
9.思い出のハイスクール ★★★★☆
10.僕が言える事のすべて ★★★★☆

1994年12月5日発売
ビクターエンタテインメント
最高位16位 売上6.6万枚

FLYING KIDSの8thアルバム。先行シングル「風の吹き抜ける場所へ (Growin' Up, Blowin' In The Wind)」「君に告げよう」を収録。前作「FLYING KIDS」からはベスト盤を挟んで1年2ヶ月振りのリリースとなった。

今作はFLYING KIDSにとっての最大のヒット曲「風の吹き抜ける場所へ (Growin' Up, Blowin' In The Wind)」が収録されたためか、アルバムの中では最多の売上を記録した。

今作辺りからFLYING KIDS=ファンクバンドというイメージが変わり始めた。先行シングル曲を聴いていただくとわかるが、かなりポップス色が強くなっている。ファンクバンドとしてのFLYING KIDSが好きな初期のファンは今作辺りから離れてしまったと思われる。


「ジェットコースター」は今作のオープニング曲。爽やかなポップナンバー。イントロにはジェットコースターを思わせる音が入っているのが特徴。ギターのアルペジオの涼しげな音がこの曲の爽やかさを表現している。歌詞はストレートなラブソング。ジェットコースターを想起させるようなフレーズはほぼ登場しない。「くちうつしの愛を君に伝えたくて」というフレーズは中々インパクトがある。しかし、全体的には優しい雰囲気漂う歌詞となっている。オープニングというには少し地味な印象があるが、それでも良い曲。


「風の吹き抜ける場所へ (Growin' Up, Blowin' In The Wind)」は先行シングル曲。「'94 丸井 夏のキャンペーン『水着&ゆかた』」のCMソングに起用され、FLYING KIDSにとっての最大ヒットシングルとなった。チープな感じのシンセの音色によるイントロからこの曲に引き込まれる。どことなく南国をイメージさせるような涼しげなサウンドが展開されている。歌詞は夏を舞台にしたラブソング。「ティーンエイジドリーム」とあるので青春時代の恋模様を描いているのだろうか?ヒットしたのも頷けるくらいポップでキャッチー。FLYING KIDSにしては珍しいほどに毒が無い。ポップス路線のFLYING KIDSを代表する名曲だろう。


「セクシーフレンド・シックスティーナイン」は重厚なハードロックナンバー。アルバム曲ではあるが、三菱自動車「FTO」のCMソングに起用された。歪んだギターサウンドが前面に出たヘビーなサウンドはとても格好良い。タイアップがあったためか、サビはかなりキャッチー。語りかけるような浜崎貴司のボーカルがインパクト抜群。歌詞はタイトルからも何となく想像がつくかもしれないが、エロ路線。燃え上がるような情熱を感じさせる詞世界である。歌詞を見ているだけでも恥ずかしくなってしまう。この手のエロ路線の曲はFLYING KIDSの裏の王道と言えるかもしれない。


「男の子でも女の子でも」は爽やかなポップナンバー。パワフルなバンドサウンドとホーンが絡んだサウンドがとても心地良い。FLYING KIDSはシンセでホーンの音を表現することが多いが、この曲では外部ミュージシャンを起用して演奏されている。キャッチーなサビのメロディーは素晴らしい。歌詞は恋愛に対しての考えや姿勢は男女変わらないと主張するメッセージ性の強いもの。普通の人が説明すると難しくなってしまいそうな内容を簡単な言葉でサラッと表現してみせる浜崎貴司の作詞の能力には脱帽。後追いで聴くとこの曲がシングルでは?と思ってしまうほどの完成度。 ポップス路線のFLYING KIDSの良いところを凝縮したようなイメージがある。


「君に告げよう」は先行シングル曲。しっとりとしたバラードナンバー。イントロではシタールが使われているが、サウンドはシンセが主体となっている。それでも温かみのあるサウンドとなっており、浜崎貴司のボーカルをしっかり聴かせる。恋人に優しく語りかけるようなボーカルはこの曲の温かみや美しさを何よりも演出していると思う。歌詞は直球なラブソング。「これからも続く道を二人で行こうよ」というラストの歌詞が印象的。シンプルではあるがグッと心を持っていかれるようなバラードである。


「天使気分はジゴクの底まで」はミディアムテンポのポップナンバー。おどろおどろしいタイトルではあるが曲調やサウンドからは何ら恐ろしさは感じない。重厚なバンドサウンドでしっかり聴かせる。うねるようなベースラインがたまらない。歌詞は恋人たちが愛し合う光景を描いたもの。どことなく官能的な世界を持った歌詞である。浜崎貴司のボーカルも艶かしい感じになっている。この曲の官能的な世界観はボーカルによるものが大きいのかもしれない。「セクシーフレンド・シックスティーナイン」よりも生々しいエロソングだと思う。


「星屑のふたり」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。ピアノが前面に出た落ち着いたサウンドが心地良い。その後ろを隙のないバンドサウンドが飾っている。美しいメロディーには思わず聴き惚れてしまう。歌詞はロマンチックなものになっている。恋人たちが「ずっとこのままでいさせてよ」と星にお願いする内容である。月明かりに照らされたプールサイドに忍び込んで愛し合うという設定もかなりドラマチック。浜崎貴司の繊細な部分が出たような詞世界となっている。美しさと力強さを併せ持った、隠れた名バラードだと思う。


「ザケンジャネーヨ」はノリの良いファンクロックナンバー。2分半の短い曲の中に言葉が詰め込まれている。パワフルなバンドサウンドと野性味溢れるボーカルがこの曲の聴きどころ。タイトルのフレーズを連呼するコーラスはインパクト抜群。浜崎貴司と浜谷淳子のツインボーカルが冴え渡っている。歌詞は青春時代を過ごしている少年や少女の怒りを表現したものになっている。タイトルからも察しがつくかもしれない。言葉にまでグルーヴを感じてしまうくらい勢いに溢れている。ポップス路線しか知らない聴き手の場合、びっくりしてしまいそうな曲である。


「思い出のハイスクール」は爽快なポップロックナンバー。ハネたバンドサウンドが前面に出ており、とても心地良い。バックを飾るキーボードの音色も曲を彩っている。歌詞はタイトル通り高校時代の思い出が描かれたもの。憂鬱な気分と楽しいこととの対比がされた歌詞になっている。「教室を抜け出してラブレター届けよう」といういかにも青春時代!と言いたくなるようなフレーズも登場する。青臭さと懐かしさを感じさせる詞世界だと思う。シングルにしていても良かったのではと思うような曲。後半に配置したことでさらに印象に残りやすくなっているように感じる。


「僕が言える事のすべて」は今作のラストを飾る曲。ラストにふさわしい落ち着いたバラードナンバー。フィンガーチップスやアコギが前面に出たサウンドで聴かせる。ここまで賑やかな曲が多かったのでぐっと静かになった印象がある。この曲も浜谷淳子のコーラスが活躍している。特にサビではツインボーカルと言いたくなるほど。歌詞は恋人へのメッセージのような形になっている。「きっともっといいことが きっともっとあるはずさ」というサビの歌詞が顕著。この曲がラストに配置されていることで、聴いた後の余韻が残るようになっていると思う。


FLYING KIDSのアルバムの中では売れた方の作品なので中古屋ではよく見かける。アルバムの統一感は気にせず、一曲一曲に力を入れて作られた作品という印象がある。それだけ聞くととっ散らかった作品に感じてしまうかもしれないが、それが今作では魅力となっている。ポップス路線に振り切った作品のため、ファンク路線の作品よりもアクが少ない。ライトリスナーにも聴きやすい作品だと思う。FLYING KIDSはポップス路線でもファンク路線でも名曲揃いなのでどちらも聴いていただきたい。

★★★★☆