FIELD OF VIEW
1995-10-10


【収録曲】
全曲作詞 浅岡雄也
2.10.作詞 坂井泉水
1.5.6.7.8.作曲 多々納好夫
2.10.作曲 織田哲郎
3.4.9.作曲 浅岡雄也
1.3.5.9.編曲 安部潤
2.10.編曲 葉山たけし
4.6.7.8.編曲 池田大介
プロデュース BMF

1.セピア ★★★★★
2.突然 ★★★★★
3.恋が愛に変わってゆくまでに ★★★★☆
4.きっと離れていても ★★★☆☆
5.THINK OF MYSELF ★★★★★
6.迷わないで ★★★★★
7.Moon Light ★★★☆☆
8.とまどいの季節 ★★★★☆
9.明日のために ★★★☆☆
10.君がいたから ★★★★☆

1995年10月10日発売
ZAIN RECORDS
最高位1位 売上62.8万枚

FIELD OF VIEWの1stアルバム。先行シングル「迷わないで」「君がいたから」「突然」を収録。

FIELD OF VIEWは1994年にviewとしてデビューし、2枚シングルをリリースしたものの、1995年にFIELD OF VIEWと名前を変えて再デビューしている。「迷わないで」はview時代の2ndシングルだが、ボーカルを再録し、ミックス変更をしている。

今作はキーボード担当の安部潤が参加した最初で最後の作品である。今作ではアレンジャーとしても活躍しているが、今作の後にリリースされた3rdシングル「Last Good-bye」を最後に脱退することとなる。

今作はFIELD OF VIEWにとって唯一のチャート1位獲得作品でもある。一番ヒットしたアルバムなのだが、曲先行で売れたという印象が強い。「君がいたから」「突然」の2作の売上よりも大幅に下降してしまった。


「セピア」は先行シングル「君がいたから」のC/W曲。1996年に春東映アニメフェア 『ドラゴンボール 最強への道』のCMソングに起用された。アレンジは安部潤が担当した。アップテンポのバラードナンバー。イントロでの力強いギターサウンドからこの曲に引き込まれることだろう。ポップで爽やかなメロディーにもかかわらず、それに乗せられる歌詞は切なさに溢れている。別れた相手にもう一度会って、別れたという現実を突きつけられる…という内容なのだが、中々に救いどころが無い。主人公の男性の未練がましさや心理描写が特徴的である。この曲は多々納好夫によるメロディーが冴え渡っている印象。 C/W曲という立場はとても勿体無いと感じる曲であり、オープニングを飾ったのも納得である。


「突然」は先行シングル曲。大塚製薬「ポカリスエット」のCMソングに起用され、FIELD OF VIEWにとって唯一のミリオンを達成した。当然最大ヒット曲。晴れ渡る空を想起させるような爽やかなメロディーや浅岡雄也の歌声に彩られたポップナンバー。どこまでも突き抜けるような歌声である。キーボードの独特なリフも印象的。作詞は坂井泉水が担当した。男性の、彼女を想う純粋な心が綴られた歌詞はまさにFOVのイメージに合っていたと言える。特に好きなのは「何かを求めれば何かが 音を立てて崩れてく たとえ今日が終わっても 明日を信じて行こうよ」というフレーズ。メロディー、アレンジ、歌詞、ボーカルと全てにおいて圧倒的な爽やかさを持った曲であり、その点は他のアーティストの追随を許さない。まさに売れるべくして売れたような名曲。ビーイングや90年代J-POPを象徴するような曲だと思う。



「恋が愛に変わってゆくまでに」はハネた曲調が心地良いポップロックナンバー。作詞作曲は浅岡雄也が担当した。シャッフルのグルーヴを出すためにドラムのループが入れられているとか。曲のテーマは「前向きな恋愛」である。歌詞はそのテーマに沿って、シンプルな恋心が語られている。互いの気持ちを知ってから、ただの友達ではいられなくなった。素直に心を伝えることの難しさを実感する…ラストの「すれ違ってしまうこともあるけれど 君だけは失くしたくないよ」というフレーズには男性の率直な感情が現れているように感じる。外部提供曲に劣らない完成度を持った曲だと思う。


「きっと離れていても」は先行シングル「突然」のC/W曲。力強さや壮大さが感じられるバラードナンバー。浅岡雄也のデモテープの中では最も初期に作られていたようだ。そのような経緯を持った曲のためか、view時代の曲のような雰囲気がある。歌詞はタイトルからも察しがつくように、遠距離恋愛をテーマにしている。離れていても二人の想いは変わることはない。また笑顔で会う日を楽しみにしている…遠距離恋愛をテーマにした曲ならよくあるような歌詞なのだが、力強いバンドサウンドや浅岡雄也のボーカルにかかれば切なさや説得力が増している。 C/W曲という位置らしく、聴くたびに良さがわかるような曲だと思う。


「THINK OF MYSELF」は爽快なポップロックナンバー。携帯電話「アステル関西」のCMソング、1996年の春東映アニメフェア『ドラゴンボール 最強への道』のCMソングに起用された。ところどころでシンセが使われているが、基本的にギターを前面に出したアレンジがされている。歌詞はストレートなメッセージが並んだ応援歌。当時の彼らと同年代の人たちというよりは、中高生を対象にしたような内容だと思う。自分の将来への答えを出せずにいることへの焦りや自分に自信を持つことの大切さが語られている。 シングル曲と言っても違和感の無いようなキャッチーさを持っている上に、聴き手の誰もが背中を押されるような優しいメッセージが込められている。今作のアルバム曲の中では一番好きな曲。


「迷わないで」はview時代の2ndシングル曲。チバビジョンコンタクトレンズのCMソングやテレビ朝日系番組『目撃!ドキュン』のエンディングテーマに起用された。前述した通りボーカルやコーラスが再録され、ミックス変更がされている。演奏自体はview時代の音源と同じらしい。ポップさと力強さを併せ持ったメロディーが展開された曲。歌詞は彼女を慰めるようなものになっている。「守りたい愛があれば 強くなる 優しく満たされて 勇気になる」というフレーズが好き。主人公の男性の誠実な人柄が伝わってくるような歌詞だと思う。view時代もFIELD OF VIEWとなってからも曲の世界観はそこまで変わっていなかったことがわかる曲である。


「Moon Light」はダークな雰囲気を持ったロックナンバー。今作の中では唯一となるマイナー調の曲となっている。ポップな曲が並んでいる今作の中では少し印象が違う曲である。パワフルなバンドサウンドが前面に出ているのだが、ところどころでズシンズシンと響くシンセドラムの音が何とも時代性を感じさせる。その音に関しては「90年代!」と言いたくなる雰囲気がある。歌詞は恋人たちのすれ違っていく心が描かれている。「ただ愛を ひたむきに信じられた あの頃は戻らない…」というサビ終わりの歌詞は何とも切ない。 この曲に関しては「爽やか」というよりも「格好いい」という印象が強い。


「とまどいの季節」は爽やかなポップロックナンバー。バンドサウンドが主体だが、他の曲と比べるとキーボードが前面に出ている感じ。浅岡雄也曰く、アルバム曲の中で最も作詞に時間がかかったのがこの曲だという。「一字言葉を変えるだけで曲の世界が変わってしまう作詞の奥深さを実感した」とのこと。歌詞は昔の彼女が親友と付き合っていることを知った男性の心情が語られている。素直に二人を応援したり祝ったりしたいのにできない複雑な心情。社会人になってからの話として描かれているが、学生時代の延長線上と言った感じの雰囲気がある。このようなストーリーを実際に体験してみたいと思っているが、中々に難しそうである。


「明日のために」はしっとりと聴かせるバラードナンバー。デモテープの段階から浅岡雄也と安部潤の二人で作り込んだというだけあって、全体的に力が入ったような仕上がりである。シンプルなのに自然と心に沁み入るようなメロディーやサウンドが展開されている。キーボードが比較的前面に出ている。歌詞は彼女と別れた男性の決心が描かれている。「誰かを傷つけて 生きるしかないなら もう強さはいらない」と歌い上げるサビは鳥肌が立つこと必至。何度も聴くには少し重い印象が否めないものの、ふとした時に聴くと心をグッと掴まれるような曲だと思う。


「君がいたから」は今作のラストを飾る先行シングル曲。フジテレビ系ドラマ『輝く季節の中で』の主題歌に起用された。FIELD OF VIEWと改名してから初のシングルながらも90万枚近い大ヒットを記録した。爽やかなメロディーや作り込まれたサウンドが心地良い。作詞は坂井泉水が担当した。楽しい日々を送る前向きな人を対象にした歌詞のようでいて、孤独を感じている人への共感も含まれている。辛い状況にあっても、「君がいたから」何とかやっていけるという感情も描かれている。当時の坂井泉水の男性への理想や願望を詰め込んだような歌詞になっていると思う。 FIELD OF VIEWの王道と言ってもいい上にかなりヒットしたにも関わらず、あまり語られない地味な曲という印象が否めない。それでも好きな曲。


そこそこ売れた作品なので中古屋ではよく見かける。「爽やか」を極めたようなポップスを楽しめる作品となっている。それは浅岡雄也の歌声によるところも大きい。FIELD OF VIEWについて「男性版のZARD」という比喩も見受けられるが、そう言ってもいいだけの爽やかさや普遍性があると思う。当時のビーイングを引っ張っていた作家が多数楽曲制作に関わっているが、その中でも多々納好夫が作曲した曲はどれもFIELD OF VIEWのイメージに合っているという印象がある。1990年代のJ-POPシーンを牽引したバンドの一つとして、今作を聴くのも良いと思う。

★★★★☆