SING LIKE TALKING
1995-08-02


SING LIKE TALKING
2015-02-11


【収録曲】
※編曲のクレジットはされていない。
全曲作詞 藤田千章
5.英語詞 Andrew Ocelot
全曲作曲 佐藤竹善
プロデュース 佐藤竹善
共同プロデュース 13CATS
1.プロデュース 佐藤竹善・西村智彦
5.10.プロデュース 13CATS
7.プロデュース Cat Gray
2.6.ホーンアレンジ 小林正弘
4.ホーンアレンジ Cat Gray
10.オーケストラアレンジ Clare Fischer
                   
1.素晴らしい夢の中で ★★★★☆
2.Keeps Me Runnin' ★★★★★
3.みつめる愛で ★★★★★ 
4.そんな時は ★★★★☆
5.Burnin'Love ★★★★★
6.心の扉 ★★★★★
7.Today ★★★★☆
8.夏の彼方 ★★★★★
9.瞬く星に ★★★☆☆
10.Perfect Love ★★☆☆☆

1995年8月2日発売
2015年2月11日再発(リマスター・Blu-Spec CD2仕様)
ファンハウス
Ariola Japan(2015年盤)
最高位3位 売上35.4万枚

SING LIKE TALKINGの8thアルバム。先行シングル「みつめる愛で」「Keeps Me Runnin'」を収録。今作発売後に「Burnin' Love」がシングル「Spirit Of Love」のC/W曲としてシングルカットされた。前作「togetherness」からは1年4ヶ月振りのリリースとなった。

今作は「ENCOUNTER」で見せたSLTのポップな部分と前作「togetherness」でのファンクやAORを融合させたイメージの作品である。佐藤竹善曰く「ENCOUNTER」→「togetherness」では、新しい方向を見つけ出すために一旦ポップな要素を捨てたという。「togetherness」→今作の間には佐藤竹善のソロアルバム(カバー)「CORNERSTONES」が制作されたが、そこでの作業やミュージシャンとのセッションは今作に大きな影響を与えているようだ。 「ポップでありアーティスティックである」という方向性を目指して制作されたという。

今作のタイトルは「自分の内面を発見する」というような意味がある。「夢」について、それを叶えることよりも、「何故その夢を抱いたのか」と考えることの方が大切ではないかという佐藤竹善の考えが反映されている。

今作は「ENCOUNTER」「togetherness」と続いてきた初登場1位を逃してしまったものの、SLTにとっては最大の売上を記録した作品となった。


「素晴らしい夢の中で」は今作のオープニング曲。日産自動車「ミストラル」のCMソングに起用され、SLTのメンバーも出演した。サイケなテイストも感じさせるポップロックナンバー。西村智彦のギターが冴え渡っている。佐藤竹善曰くハードロックやプログレを意識して演奏させたという。ギター以外のサウンドも凝りに凝っているような感じ。サビはタイアップがあっただけあって、かなりキャッチーである。歌詞はタイトルからも想像できるように、「夢」について描かれている。「素晴らしい夢を いつも 何かでなく 何故かだけに 見たい」というフレーズは今作のテーマやタイトルを象徴しているかのよう。
これまではギタリストとしての西村智彦の実力を発揮する舞台は本人作曲によるインスト曲が多かったが、このような歌モノで存在感を発揮したのはSLTにとって画期的な出来事だったと言えるかもしれない。


「Keeps Me Runnin'」は先行シングル曲。パワフルなバンドサウンドや賑やかなホーンセクションで彩られたサウンドが展開された、爽快なポップロックナンバー。徹底的なまでに作り込まれた隙のないサウンドはSLTならでは。それでもサビを始めとしたメロディーはポップでキャッチー。歌詞はタイトルからも察しがつくように、走り続けることをテーマにしたポジティブなメッセージが並んでいる。「退屈な毎日なんて つぶやいていられない めざす場所が ある」という歌い出しのフレーズから力強さに溢れている。 ベテランと言われるようなキャリアになってもなお、常に新たな音楽に挑戦し続けるSLTの姿勢そのものを表現したような曲だと思う。この曲で語られているメッセージは今となっても強さを失っていない。


「みつめる愛で」は先行シングル曲。テレビ朝日系番組『リングの魂』のエンディングテーマに起用された。流れるようなメロディーが展開されたミディアムナンバー。塩谷哲による美しいピアノが前面に出ており、サウンドを鮮やかに彩っている。そのようなピアノの音色とタイトなバンドサウンドとの絡みは絶妙で、とにかく聴き心地が良い。曲に身を委ねてしまいたくなるような心地良さがある。佐藤竹善の透き通るような歌声もこの曲の心地良さを演出している。歌詞は恋人への想いをストレートに語ったもの。藤田千章ならではの文学的な詞世界が広がっており、全編紹介したいくらい。「せつなくなるのは 愛で 傷跡じゃないから」というフレーズが特に好き。SLTのラブソングの王道と言えるような曲だと思う。SLTの曲の中でも管理人の特に好きな曲として入ってくる。


「そんな時は」はここまでの流れを落ち着けるようなバラードナンバー。AORとジャズとファンクを混ぜたような独特なサウンドが展開されている。派手なホーンが全編に渡って使用されており、曲を盛り上げている。バックではギターのカッティングやエレピが渋く存在感を放っている。しっとりとしたメロディーではあるが、サビは割とキャッチーなものとなっている。佐藤竹善の色気のあるボーカルは男でも聴き惚れてしまうことだろう。歌詞は恋人へのメッセージと取れるような内容である。サビが「そんな時は」というフレーズから始まるのが中々にインパクトがある。意外と歌詞で使われないフレーズだと思う。 この曲はサウンド面を始めとして、前作の作風を引き継いだような印象がある。
 

「Burnin' Love」は今作発売後にシングル「Spirit Of Love」のC/W曲としてシングルカットされた曲。Earth,Wind&Fireを彷彿とさせるポップなファンクナンバー。ライブでもよく盛り上げ担当として演奏される定番曲。賑やかなホーンやキレの良いギターのカッティングが前面に出ている。沼澤尚によるドラムは「グルーヴ」という言葉を何よりも体現しているかのよう。ドラムの演奏がよくわからない管理人でもこの曲のドラムには魅かれる。佐藤竹善の歌声は非常に格好良い。特に全編英語詞によるサビでは思わず惚れ惚れしてしまう。歌詞は情熱的な愛情が描かれたもの。「激しくて構わない 恋は 狂おしい程 いい」というフレーズが顕著。ポップで、格好良くて、お洒落で…SLTのファンクの代表曲と言える存在の曲だと思う。


「心の扉」は先行シングル「Keeps Me Runnin'」のC/W曲。NHKの「衛星放送&Hi-Vision」 イメージソングとして起用された。幻想的な雰囲気を感じさせる、しっとりと聴かせるバラード。サビまでは音の数は少なく、佐藤竹善のボーカルを限りなく引き立てている感じ。サビになるとバンドサウンドやホーンが主張して一気に盛り上がる。このサウンドの変貌振りには圧倒されてしまう。とにかく豪華で上質なサウンドと言ったところ。歌詞は恋人への想いを直球に述べたもの。恋人に出逢ったことで自分の中にあった「心の扉」が開いた。「いつもそばにいて 時間(とき)を重ねても」と力強く歌い上げるサビは絶品。 ファン人気が高いというのも頷ける。SLTの隠れた名バラードと言える存在の曲だろう。


「Today」はサイケな雰囲気を持ったポップナンバー。爽やかなメロディーが心地良いのだが、サウンドはかなり複雑なものとなっている。西村智彦によるツィターなる楽器がフィーチャーされている。他にもギターが前面に出ており、アコースティックテイストの強いサウンドである。他の曲と比べてコーラスワークが凝っているのも特徴の一つ。歌詞は失恋をテーマにしたもの。主人公は失恋を受け入れて前向きに生きていこうとしている。「今日ではかなく 恋に幕は降りていく 悔しいけど 諦めよう」という歌い出しの歌詞から中々に攻めてくる。そして、ラストの 「現在(いま)さえ 寄り道だから」というフレーズはポジティブそのもの。歌詞のテーマの割にかなり明るい雰囲気が漂っている。そのギャップに引き込まれる曲である。


「夏の彼方」は上質なサウンドが展開された聴き心地の良いバラードナンバー。全編通して、儚さすら感じさせるほどに美しいピアノの音色が前面に出ている。力強いバンドサウンドとピアノの相性は抜群で、お互いが最高のバランスで共存している。繊細さや切なさに満ちたメロディーもたまらない。歌詞は恋人との別れをテーマにしたもの。タイトルからも想像できるかもしれないが、夏の終わりが舞台となっている。「さよならをほほえんで贈ろう 勇気を持って」というサビのフレーズは何とも切ない。ただでさえ辛い別れをほほえんで告げる。主人公の心の辛さが伝わってくるようである。夏の終わり~9月くらいになると聴きたくなる一曲。 この曲はメロディー、サウンド、歌詞とどれを取っても好き。SLT屈指の名バラードだと思っている。


「瞬く星に」は美しさ溢れるバラードナンバー。Stevie Wonderの「Innervisions」の影響を受けて作られたという。この曲では西村智彦は参加しておらず、Dean ParksとDavid T. Walkerの二人が参加している。世界的なギタリストと言える二人が一堂に会して演奏している。まさに豪華そのもの。演奏の上手い下手がよくわからない管理人でもこの曲のギターには圧倒される。この曲でのギターは西村智彦も影響を受けたようだ。歌詞は星が見える夜を舞台に、恋人同士の心の駆け引きを描いたもの。「空いっぱいに瞬く星は 深い闇で初めて映える」というフレーズはどこまでも広がる星空を想像させる。スケールの大きい壮大なバラードという印象がある。


「Perfect Love」は今作のラストを飾る曲。ストリングスが主体となった壮大なバラードナンバー。ストリングスアレンジは前作でも参加していたClare Fischerが担当した。全てを包み込むような優しさを感じさせるストリングスの音色に負けない、佐藤竹善の美しいボーカルは絶品。神秘的な雰囲気すら感じさせるほど静かな曲なのだが、その中に圧倒的な力強さがある。歌詞もどこか深遠な世界観を持ったものとなっている。ラスト以外に置き場所が無いと断言できるくらいの重厚なバラードである。 一回聴いたらどうしても満足してしまう印象。しばらく聴きたいとは思わなくなる。


SLTにとってのヒット作ということもあり、中古屋ではよく見かける。前作でのファンクやAORの要素と、これまでのポップさが共存しており、多くのファンが満足できるような内容になっていると思う。相当マニアックで作り込まれたような曲ばかりだが、それでも不思議と親しみやすい。これはSLTならではの魅力。「ポップでありアーティスティックである」という姿勢は後のSLTの作品でも維持されている。今作はSLTのキャリアの中でも特別な存在にあると言えるだろう。

★★★★★