【収録曲】
全曲作詞 坂井泉水
全曲作曲 織田哲郎
3.4.12.作曲 栗林誠一郎
6.作曲 坂井泉水
11.作曲 小澤正澄
1.2.3.8.9.11.編曲 葉山たけし
4.12.編曲 明石昌夫
5.6.7.10.編曲 池田大介
プロデュース 坂井泉水

1.マイ フレンド ★★★★★
2.君がいたから ★★★★☆
3.サヨナラは今もこの胸に居ます ★★★★★
4.LOVE〜眠れずに君の横顔ずっと見ていた〜 ★★★★☆
5.DAN DAN 心魅かれてく ★★★★☆
6.眠り ★★★☆☆
7.心を開いて ★★★★★+2
8.突然 ★★★★☆
9.今日も ★★★☆☆
10.Today is another day ★★★★★
11.愛が見えない ★★★★☆
12.見つめていたいね ★★★★★

1996年7月8日発売
B-Gram RECORDS 
最高位1位 売上165.5万枚

ZARDの7thアルバム。先行シングル「愛が見えない」「サヨナラは今もこの胸に居ます」「マイ フレンド」「心を開いて」を収録。前作「forever you」からは約1年4ヶ月振りのリリースとなった。

今作は坂井泉水プロデュースによる最初の作品。作曲家陣の名前を見ると、織田哲郎が作曲を担当した曲がかなり多いのが分かる。今までの作品は栗林誠一郎の方が多く作曲を担当していたが、今作は織田哲郎が逆転した。そのようになっているのは今作のみ。これまで多くの楽曲の編曲を担当してきた明石昌夫も今作が最後の参加となった。

今作は既発曲が多いのが特徴。栗林誠一郎(Barbier名義)やFIELD OF VIEWに歌詞を提供した楽曲のセルフカバーが多いのもよく分かる。オリジナルアルバムではあるがベスト盤のような感覚のある作品だと思う。

今作のタイトルは小説・映画『風と共に去りぬ』の主人公であるスカーレット・オハラの「After all, tomorrow is another day!」(「明日は明日の風が吹く!」や「明日という日がある!」と訳されることが多い)という言葉をもじったものだとされている。今作がリリースされたのは1996年。アトランタオリンピックが開催された年である。そして、『風と共に去りぬ』の舞台はアトランタ。タイトルはそこから繋げていったのかもしれない。


「マイ フレンド」は先行シングル曲。テレビ朝日系アニメ『SLUM DUNK』のエンディングテーマに起用され、「揺れる想い」以来のミリオンを達成した。現在に至るまでのZARDの代表曲の一つと言って良いだろう。ZARDの楽曲のパブリックイメージと言えば「爽やか」「ポップ」だと思うが、そのイメージに沿った突き抜けるようなポップナンバーである。歌い出しが終わった途端に入ってくるシンセのキラキラした音色がたまらない。そのシンセの音色はこの曲のみならず、90年代のJ-POP全体から溢れ出すきらめきを象徴するような音色である。親しみやすく爽やかなのにどこか切ない織田哲郎によるメロディーも素晴らしい。歌詞は想いを寄せていたが、友達→恋人という段階を経ることなく別れてしまった人への想いを歌ったもの…と解釈している。しかし、そのような関係で終わったことへの未練や後悔は一切語られておらず、純粋な気持ちでその相手を応援している。主人公の女性の優しく美しい心が伝わってくる。 「負けないで」ほど応援歌として語られる機会は少ない印象だが、この曲も背中をグッと押してくれるような力強さや、聴き手の心を包み込んでくれるような包容力を持った曲だと思う。言うまでもなく名曲。


「君がいたから」はFIELD OF VIEWに歌詞を提供した曲のセルフカバー。FOVバージョンが主題歌となったフジテレビ系ドラマ『輝く季節の中で』の挿入歌に起用された。アレンジは比較的原曲に近いものとなっている。原曲でも全面的に取り入れられていた、輝きを放つようなシンセの音色が使われている。清涼感溢れるアコギの音色も素晴らしい。恐らくこのバージョンがレコーディングされたのは1995年の春かそれより前。他の曲と比べると歌声がかなり違って聴こえる。優しく微笑みながら歌っているような柔らかい歌声。シングルで言うと「心を開いて」の辺りでより素に近付いた歌い方になったと思う。歌詞は当時の坂井泉水の男性への理想や願望を詰め込んだイメージのもの。 前向きに日々を過ごす人を対象にしているようでいて、孤独を感じて生きている人に対する深い共感も込められた歌詞だと思う。FIELD OF VIEWの浅岡雄也と比べても遜色のない爽やかさ。聴き比べてみるのも一興。


「サヨナラは今もこの胸に居ます」は先行シングル曲。「負けないで」「きっと忘れない」が主題歌となったドラマ版に引き続き、映画版『白鳥麗子でございます!』の主題歌に起用された。どことなく懐かしい雰囲気を感じさせるバラードナンバー。哀愁を帯びたメロディーは栗林誠一郎ならでは。織田哲郎とはまた違った魅力を持った曲を作り出す、優れたメロディーメーカーであることが分かる。シンセ主体のサウンドの脇を固める力強いギターサウンドも哀愁を帯びている。歌詞は別れた恋人への想いを語ったもの。「好きだから追わないと心に決めたの」と言いつつも相手のことを完全に忘れられないもどかしさが描かれている。しかし、最後には「そしていつの日かあなたから卒業します」と宣言して前向きになる。 この曲の歌詞は複雑な女心を少しだけ分かった気になれるようなものだと思う。相手にとって忘れられない存在になりたい!とも思ってしまうが。


「LOVE〜眠れずに君の横顔ずっと見ていた〜」は栗林誠一郎(Barbier名義)に歌詞を提供した曲のセルフカバー。他の曲と比べると比較的ロック色が強い印象がある。キーボードの独特なリフが曲全体を通して流れているのが特徴的。他の音は少なめで、キーボード主体のサウンドとなっている。あまり変化の無い地味な曲調なのだが、サビは割とキャッチーな仕上がり。2番からボーカルを器械で半音上げたものが使われており、1番と2番以降とで歌声の聴こえ方がかなり変わっている。
歌詞は社会風刺を含んだラブソングと取れるような内容。「景気のいい話ばかり求め 好成績を上げたとしても 用が終われば 捨てられる ボロボロのダンボール」という歌詞は今でも通用するような切れ味を持ったものだと思う。会社に苦しめられている全ての社会人を例えたようなフレーズである。とはいえサビ終わりでは「時代の流れに 溺れてもいいよね 不器用でも 君と生きてゆきたい」とポジティブな歌詞が登場する。管理人も社会人になったらこの曲がより心に沁みるようになるのかもしれない。そうなったら今よりももっと良い曲だと感じられるはず。


「DAN DAN 心魅かれてく」はFIELD OF VIEWに歌詞を提供した曲のセルフカバー。元のバージョンは『ドラゴンボールGT』のテーマソングに起用され、FOVの代表曲と言える存在となっている。突き抜けるような爽やかさを持ったポップロックナンバー。元のバージョンに比べるとキーが高めになっているのが特徴。そして、バンドサウンドが控え目になっている印象。この曲も、2番からボーカルを器械で半音上げたものが使われている。流し聴きしているだけでも「あれ?なんか苦しそう…」と感じてしまうが、器械で弄ってあるだけのようだ。歌詞は恋人のいる女性に片想いしている男性の気持ちが描かれたもの。聴いていると胸がキュッとなるようなピュアな恋心が語られている。 坂井泉水が歌ったことで曲に可愛らしさが生まれたと思う。しかし、この曲に関してはやはり原曲のFIELD OF VIEWの方が好き。聴いている時の高揚感はそちらの方が優っている。


「眠り」は先行シングル「サヨナラは今もこの胸に居ます」のC/W曲。2ndアルバム「もう探さない」に収録された「素直に言えなくて」「いつかは…」以来4年振りとなる坂井泉水による曲。坂井泉水自身が手がけた曲はZARDのキャリアを通じてもあまり無い。しっとりと聴かせるバラードナンバー。イントロのアコギのアルペジオが何とも言えない切なさを生んでいる。それ以降も音の数は少なめで、他の曲と比べると少々地味な印象がある。歌詞は「淋しさと戦う夜」を過ごす女性の心情が描かれたもの。「誰かにたった一人でいいから いつも気にかけていてほしい」というフレーズが印象的。 全力で気にかけてあげたいものである。全体的に当時の坂井泉水自身の私生活を描いたような歌詞になっている感じがする。そのため、自ら作曲を手がけたのも頷ける。自分のことは自分が一番よく分かっているはず。


「心を開いて」は先行シングル曲。大塚製薬の「ポカリスエット」のCMソングに起用された。このタイアップは「揺れる想い」以来となった。爽やかかつどこか切なさも感じさせるメロディーが展開されたミディアムナンバー。シングル表題曲としては初めて池田大介が編曲を担当した曲。イントロのキーボードの流麗な音色からこの曲の世界に引き込まれてしまう。何度聴いても鳥肌が立つ圧巻のイントロである。イントロは坂井泉水も気に入っていたという。サビになると入ってくるコーラスもこの曲を盛り上げ、鮮やかに彩っている。
男性に想いを寄せている女性を描いた歌詞。あまりにもありふれたテーマなのだが、この曲は男女どちらも不器用な心の持ち主であるように感じる。拙いながらも一生懸命想いを伝えようとしている女性の姿が浮かんでくるようである。歌詞全編を紹介したくなるほど好きなのだが、特に好きなのは「ビルの隙間に二人座って 道行く人を ただ眺めていた 時間(とき)が過ぎるのが 悲しくて あなたの肩に寄り添った」という2番のサビ。シンプルな情景描写なのだが、好きな人と過ごしている時間の楽しさや短さがこれ以上無いほど伝わってくる。
そして、どの歌詞もメロディーとぴったりハマっている。これ以外無い!と断言できるような言葉のチョイスである。それはこの曲を聴いた時に訪れる心地良さの大きな要因だと思う。メロディー、アレンジ、歌詞、ボーカルのどれを取っても圧倒的な完成度を誇る曲であり、「青春」というフレーズから想像できる「輝き」「ときめき」「切なさ」「甘酸っぱさ」といった要素を全て真空パックしたような曲だと思う。
数え切れないほど多くの名曲を遺し、今でも多くの人々に愛され続けているZARDだが、その名曲たちの中でも管理人が一番好きな曲がこの曲。何度聴いたかも分からないが、初めて聴いた時の感動が今でも醒めていない。そして、聴く度に「とても 優しい気持ち」になれる。


「突然」はFIELD OF VIEWに歌詞を提供した曲のセルフカバー。元のバージョンはFOVにとって唯一のミリオンを達成し、代表曲となっている。真夏の晴れ渡る空や太陽に照らされて輝く海を想像させるような、清涼感溢れるポップナンバー。比較的原曲に寄り添ったアレンジになっているものの、こちらは打ち込みが主体なのでバンドサウンド主体の原曲に比べると音がバタバタしてしまっている印象が否めない。歌詞は主人公の男性が彼女を想う素直な気持ちが描かれたもの。「何かを求めれば何かが 音をたてて崩れてく たとえ今日が終わっても 明日を信じて行こうよ」という歌詞が好き。背中を押されるというよりは、寄り添って悩みを聞いてくれるというようなイメージの優しさがある歌詞だと思う。 FIELD OF VIEWのバージョンと比べても爽やかさは全く負けていない。坂井泉水のボーカリストとしての魅力がよく分かるセルフカバーになっていると思う。


「今日も」は比較的ロック色の強い曲。今作の中では数少ない純粋な新曲である。エレキギターを搔き鳴らした激しいバンドサウンドは他の曲とは一線を画した存在感がある。サウンドだけ聴いていると、ロック色の強い曲が多かった初期のZARDを彷彿とさせる。歌詞は恋人に浮気された女性の心情が語られたもの。「偶然の電話から 聴こえてしまった声」「彼が帰ったあとの 冷たく響いたドア」「今頃 見知らぬあの彼女(ひと)と 背中を向けて眠っているの?」…恐ろしく生々しい描写が連発されている。そのような生々しい描写が登場したあとだと、ラストの 「今日も あなたのことが いちばん好きでした」という歌詞が逆に怖くなる。坂井泉水の闇(病み)の部分が姿を現したような曲になっていると思う。


「Today is another day」は今作のタイトル曲。今作と同年に放送された『YAWARA!』のTVスペシャル『YAWARA! Special ずっと君のことが…。』の主題歌に起用された。ブラスを取り入れた爽やかなポップナンバー。特にバリトンサックスのアレンジにこだわったとか。シンセとブラスとの絡みは心地良い。その脇をがっちりと固める骨太なベースの音も特徴的。サビはとてもキャッチーで、シングル曲にしていても全く違和感の無いようなポップな曲。タイアップがついたのも頷ける。歌詞は男性に片想いしている女性の心情が描かれている。男性は「口のうまい人」と聞いていたのに、実際はそうではなかったようだ。その男性をどう振り向かせようかと難儀する女性の姿が浮かんでくる。この曲は「悲しい現実をなげくより 今 何ができるかを考えよう 今日が変わる」という歌詞が好き。聴き手に向かって優しく語りかけるような歌声も相まって、メッセージがスッと届く。タイトル曲にふさわしい存在感を持った曲だと思う。


「愛が見えない」は先行シングル曲。エフティ資生堂「SEA BREEZE 1995」のCMソングに起用された。PAMELAHの小澤正澄が作曲を担当した。シンセが主体となった、テンポの速いポップナンバー。曲やサウンドだけ聴いているとPAMELAHの楽曲そのものである。シンセだけでなく、ギターサウンドもかなり前面に出ている。そのため、他のシングル曲と比べるとロック色が強めな印象がある。坂井泉水のボーカルも早口になっている。歌詞は倦怠期を迎えたカップルを描いたもの。幸せな描写が過去形になっているのが何とも切ない。喧嘩が絶えなくなってしまったようだが、お互いが憎み合っている訳ではないと思う。この複雑な関係は管理人には理解できない。この曲の歌詞で一番好きなのは「私の 幸せのカギ 握っているのはあなたよ」というもの。「幸せのカギ、握りてぇ!」だの「言われてぇ!」だの思ってしまう。曲やサウンドは小澤正澄のカラーがよく出ており、これまでのシングル曲と比べると少し攻めた印象だが、ZARDらしく見事に料理していると思う。


「見つめていたいね」は今作のラストを飾る曲。今作と同年に放送された『YAWARA!』のTVスペシャル『YAWARA! Special ずっと君のことが…。』の挿入歌に起用された。しっとりと聴かせるバラードナンバー。少ない音の数は坂井泉水の歌声を限りなく引き立てている。この曲の歌詞の背景にはとあるエピソードがある。坂井泉水がスタジオで読んでいた一通のファンレターには、ある高校生がバイク事故で亡くなったことや、そのクラスメイトや担任の想いが綴られていた。高校生はZARDの大ファンで、「キーパー」というあだ名でクラスの人気者だった。 坂井泉水はそのファンレターに心を動かされてこの曲を作詞したのだろう。歌詞カードには亡くなった学生の名前が記載されている。「"3Gのキーパー"」というフレーズはその学生のことを指している。3年G組に所属していたようだ。この曲は聴いた全ての人の心を受け止め、包み込むような大きな愛を持っていると思う。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。前述したように、シングル曲やセルフカバー曲が多いのでベスト盤のような感覚で聴ける作品だと思う。悪く言えば「とっ散らかった」作品なのだが、今作に関してはそれが良い方向に働いている印象がある。一曲一曲それぞれに強い個性がある感じ。初のセルフプロデュース作品ということで、今作は実験段階にあった作品と言えるかもしれない。今作以降はアルバムそのものとしての完成度が高まっていく。

★★★★☆