L⇔R
2017-02-08
(リマスター盤)




L⇔R
2009-04-01
(SHM-CD盤)



L-R
1997-07-25
(1997年再発盤)




L-R
1993-12-20(オリジナル盤)

【収録曲】
FACE-A
全曲作詞作曲 黒沢健一
1.作詞 黒沢健一/海野祥年
5.作詞作曲 嶺川貴子
6.作詞 海野祥年
1.作曲 木下裕晴/黒沢健一
1.5.6.編曲 L⇔R&岡井大二
2.編曲 L⇔R,岡井大二&遠山裕
3.4.編曲 L⇔R,遠山裕
4.Synthe horns arrangement 遠山裕

1.LAND OF RICHES-1 [ランド・オヴ・リッチズ1]  ★★★★☆
2.NOW THAT SUMMER IS HERE [君と夏と僕のブルー・ジーン] ★★★★★
3.AMERICAN DREAM [アメリカン・ドリーム] ★★★★☆
4.CRUSIN' 50~90'S [クルージン] ★★★★★
5.CIRCLING TIMES SQUARE [さよならタイムズスクエア]  ★★★★☆
6.RED&BLUE [レッドアンドブルー] ★★★★★ 

FACE-B
全曲作詞 黒沢健一
2.作詞 海野祥年
3.作曲 黒沢健一/木下裕晴
4.作曲 L⇔R
5.作曲 黒沢秀樹
6.作曲 木下裕晴/黒沢健一
3.4.6.編曲 L⇔R&岡井大二
5.編曲 L⇔R&遠山裕
2.Strings arranged by DAVID CAMPBELL

1.THINGS CHANGE~ 省略
2.EQUINOX [イクイノックス] ★★★★☆
3.TELEPHONE CRAZE [テレフォン・クレイズ]  ★★★★★
4.CAN'T SIT DOWN(INSTRUMENTAL) [エディサンセット&ブレイザーズのテーマ] 省略
5.U-EN-CHI [遊園地] ★★★★★
6.LAND OF RICHES-2 [ランド・オヴ・リッチズ2] ★★★★☆

プロデュース 岡井大二&牧村憲一
1993年12月20日発売(2枚組)
1997年7月25日再発(1枚)
2009年4月1日再発(SHM-CD、2枚組)
2017年2月8日再発(リマスター、UHQCD、1枚)
ポリスター
最高位47位 売上1.4万枚(オリジナル盤)
最高位122位 売上0.05万枚(2017年盤) 

L⇔Rの4thアルバム。今作と同日にシングル「君と夏と僕のブルー・ジーン」がリリースされた。前作「LOST RARITIES」からは半年振りのリリースとなった。

今作をリリースした後、嶺川貴子が脱退することとなったため、今作は4人時代のL⇔Rにとっては最後のオリジナルアルバムである。翌年には今作の収録曲の一部のリミックスがされたミニアルバム「LAND OF RICHES Reverse」がリリースされている。ポリスター在籍時代、4人時代のL⇔Rにとっての最後の作品はそちらとなる。

今作はアナログ盤を意識して制作されたのか、CD1枚で収まる曲数ではあるが2枚組となっている。FACE-Aに収録されている曲は日本で、FACE-Bに収録されている曲はロサンゼルスでミックスダウンされている。それも2枚に分けた理由なのかもしれない。なお、一部の再発盤は1枚にまとめられているものもある。

オリジナル盤には写真が掲載されたブックレットが歌詞カードとは別に付属している。それは収録曲のイメージジャケット写真であり、それを切り取ると、1曲1曲のジャケットになるという仕組み。遊び心に溢れたアートワークであり、とても面白い。

管理人が所有しているのはオリジナル盤なのでその収録内容に沿って感想を書いていく。


「LAND OF RICHES-1 [ランド・オヴ・リッチズ1] 」は今作のオープニング曲にしてタイトル曲。タイトルからも察しがつくように、アメリカンロックからの影響が強く感じられるポップロックナンバー。作曲は黒沢健一と木下裕晴の共同で行われた。どこまでも続く広い大地が浮かんでくるようなメロディーやバンドサウンドが展開されている。ライブでは盛り上げ担当の曲としてよく演奏されていた。ライブ音源を聴くと分かるが、今作に収録されている音源よりも格段に疾走感や衝動を感じられるアレンジとなっていて、とにかく格好良い。 ライブバンドとしてのL⇔Rの真骨頂を発揮していた曲だったと言える。この音源もかなりノリが良いのだが、ライブ音源を聴いてしまうとかなり物足りなく感じてしまう。歌詞は語感重視と言った感じで、特に意味は無いと思っている。「USA」と「YOU SAY」をかけて歌われている部分があるが、そこがやたらと耳に残る。 オープニングを飾るにふさわしいノリの良さを持った曲であり、聴き手を「LAND OF RICHES」へと誘う役割を見事に果たしている。


「NOW THAT SUMMER IS HERE [君と夏と僕のブルー・ジーン] 」は今作と同日にリリースされたシングル曲。夏を舞台にしたミディアムバラードナンバーなのだが、今作及びシングルは冬にリリースされた。この一筋縄ではいかないひねくれた感じはL⇔Rならではと言ったところか。アメリカ西海岸のカラッと晴れ渡る空をイメージさせるような、広がりのあるメロディーや爽やかな雰囲気の漂うダイナミックなサウンドが展開されている。サビから入る構成はキャッチーそのものであり、聴き手をこの曲の何とも言えない懐かしい世界に引き込んでいる。 ポップで爽やかなのにどこか切なさや懐かしさも感じさせるメロディーはL⇔Rの魅力だが、それがこの曲では遺憾無く発揮されている。メンバーによるコーラスは曲を効果的に彩っている。歌詞は青春時代の恋模様を想起させるもの。「ジェリービーンズ」「クールミントの香り」「アイスクリーム」といった小道具が多用された詞世界となっており、聴き手が情景を思い浮かべられるような歌詞である。同じようなテーマの曲と言うと、後の「REMEMBER」があるが、そちらよりは少しマニアックな印象がある。しかし、どちらもエバーグリーンな魅力を持った名曲だというのには変わりない。


「AMERICAN DREAM [アメリカン・ドリーム]」はシングル「NOW THAT SUMMER IS HERE [君と夏と僕のブルー・ジーン]」のC/W曲。落ち着いた曲調が心地良いミディアムナンバー。オールディーズの影響を感じさせるサウンドが展開されている。落ち着いた曲調ではあるがサビはしっかりとキャッチーなものに仕上げられている。シンセによるホーンや優しい音色のピアノがこの曲のゆったりとした雰囲気を演出している。曲全体を通して、黒沢健一は囁いているような感じの歌い方をしている。ところどころ別人が歌っているのでは?と思ってしまう箇所がある。歌詞はタイトルからも何となく察しがつくように、 アメリカのポップカルチャーへの憧れが語られたものとなっている。聴いていると、何故か1950年代のアメリカの光景に想いを馳せてしまう。ゆったりした曲調やサウンドや黒沢健一の柔らかい歌声のせいか、微睡みながら聴いているような感覚に襲われる。


「CRUSIN' 50~90'S [クルージン]」は爽快なポップロックナンバー。ビーチ・ボーイズからの影響を強く感じさせる、勢いに溢れたノリの良いサウンドが展開されている。終始跳ね上がるようなテンションである。そのような曲のためか、ライブでもよく演奏されていたようだ。ギターやベースの乾いた音色、飛び跳ねているかのようなピアノの連打、どこまで聴き手の気分を高めれば気がすむのかと言いたくなるようなメロディーやコーラスワーク。どれを取ってもとにかく心地良い。タイトルから想起してしまう、「ゆっくり」「優雅」というような要素は全く無い。歌詞は1960年代を過ごした人々の生活を描いたようなものとなっている。とりあえず楽しそうな雰囲気なのは伝わってくる。60年代からリリース当時の90年代までタイムスリップしているかのようであり、時空を高速で飛び越えているような感覚がある。洋楽に造詣の深いL⇔Rだからこそできた曲だと思うが、この曲にはL⇔Rならではの味もある。


「CIRCLING TIMES SQUARE [さよならタイムズスクエア] 」は嶺川貴子がボーカルを担当した曲。作詞作曲も嶺川が行なった。他のどのメンバーが作る曲にも似ていない、嶺川貴子にしか作れないメロディーが展開されている。イントロや間奏では、少し演奏されてはピタッと止まって空白が生まれる…という独特な仕掛けがあり、その空白が聴き手をこの曲の世界に引き込んでいるように感じられる。空白によって、浮遊感も生まれている。サウンドはキーボードが主体となっている。どことなくチープな音色なのだが、それがインパクト抜群。コーラスで聴いているだけでも、嶺川貴子は透明感に溢れた美しく可愛らしい歌声の持ち主であることがわかるが、この曲ではその歌声を存分に味わうことができる。歌詞はタイトル通りタイムズスクエアを舞台にしている。はっきり言って散文的な歌詞なので意味はよく分からない。
余談だが、ラストに「"Like a motion picture show Everyday's a trip,you know?"」というセリフが入っている。そのセリフの「Like a motion picture show」の部分がPPAPの「ペンパイナッポーアッポーペン」と語感(メロディー?)が似ていて聴く度に笑ってしまう。それさえ気にしなければ、耳が惚れてしまうような、いけない気持ちが芽生えそうな可愛い声を堪能できるのだが…


「RED&BLUE [レッドアンドブルー]」はFACE-1のラストを飾る曲。ピアノが主体となった、聴かせるバラードナンバー。静謐で荘厳な雰囲気に溢れたメロディーやサウンドが展開されている。サビのメロディーは特に美しく、ただ聴き惚れるばかり。キャッチーなのに、儚いほどの美しさや、胸を締め付けられるような切なさも感じさせる。一面に雪が積もった街の光景が浮かんでくるよう。タイトルからは分かりにくいのだが、クリスマスをテーマにした歌詞である。作詞は今までの作品や今作にも参加してきた海野祥年が担当した。これはプロデューサーだった牧村憲一のペンネーム。クリスマスを前にして心の距離が遠ざかっていく恋人たちを描いたもの。タイトルの「BLUE」というのは恋人たちの心を表したフレーズなのだろうか。繊細な描写がされた歌詞なので、聴き手の誰もが主人公になったような感覚で聴けると思う。L⇔Rのクリスマスソングの中では管理人の一番好きな曲。 しかし、全編通して悲しみや切なさに溢れた曲なので、クリスマスの時期に聴くと凄まじい虚無感に襲われるはず。独り身の方が聴いても悲しくなるだろう。切なさに打ち勝つ覚悟で聴いていただきたい。


「THINGS CHANGE〜」はFACE-2のオープニング曲。ブライアン・ペックによる語りで構成されている。もはや「曲」と言っていいのかもわからない。ラジオでも聴いているかのようなイメージ。当然の如く全編英語。かなり渋くて良い声なので逆に何を言っているのか分からない。もし声が違ったとしても聞き取れないというのは言うまでもないが。


「EQUINOX [イクイノックス]」は荘厳なバラードナンバー。重厚なストリングスやピアノで構成されたサウンドは、聴いていると思わず背筋がピンとしてしまう。繊細で美しいメロディーは身を任せたくなるような心地良さがある。サウンドやメロディーを鑑みると、普通ならラストに置くような曲だと思うのだが、この曲を中盤から後半に差し掛かるタイミングに配置されている。それが不思議である。
作詞は海野祥年(牧村憲一のペンネーム)が担当した。タイトルは「昼夜平分時」「春分」「秋分」といった意味がある。昼と夜の長さがほぼ同じになる時を言うのだろう。この曲の歌詞は、タイトルのような季節の移り変わりとそれに伴う別れが描かれている。「ひとりきりでも 歩き疲れても 理想 選んだ」というフレーズが印象的。沢山の出逢いがあれば、その分別れも同じだけある。別れを受け入れることは大変な覚悟が必要だと思う。それでも受け入れなければ次には進めない。別れは残酷なものだが、必ず乗り越えていかなければならない存在だろう。この曲を歌った黒沢健一は旅立ってしまった。それを考えてこの曲を聴くと、胸を抉られるような悲しさや切なさがある。


「TELEPHONE CRAZE [テレフォン・クレイズ]」は前の曲とは打って変わって爽快なポップロックナンバー。作曲は黒沢健一と木下裕晴の共同で行われた。弾けるような勢いを感じさせるバンドサウンドやメロディーが展開されている。間奏では一転して、シンセによるホーンやジャズを彷彿とさせるドラムを楽しめる。イントロで使われている、シンセによる笛のような音もインパクト抜群。それは電話の着信音のような音色でもある。聴き手を畳み掛けるような勢いのあるサビは圧倒的な高揚感を持っている。嶺川貴子によるコーラスも存在感を放っており、曲に華を持たせている。歌詞は押韻が多用されている。歌詞全体としてはよく意味が分からない。サビ途中の「噂話笑い なんとなく君を愛そう」という部分は特にメロディーとぴったり合っている感じがして、聴いていて気持ちが良い。 今作のアルバム曲の中で管理人が一番好きな曲はこの曲。中毒性が凄い曲なので、まさにこの曲の「CRAZE」になってしまった。


「CAN'T SIT DOWN(INSTRUMENTAL) [エディサンセット&ブレイザーズのテーマ]」はインスト曲。作曲はL⇔R名義となっている。前の曲の勢いをさらに高めたような、ロック色の強いインストとなっている。この曲の聴きどころは何と言ってもSpiral Lifeの石田小吉と車谷浩司がギターの演奏で参加していること。黒沢秀樹、石田小吉、車谷浩司がギターソロを披露しており、それぞれの魅力がよく表れたプレイをしている。それに負けない迫力を感じさせるオルガンも素晴らしい。 ただのインストだと侮るなかれ。聴きごたえに溢れたインストなので飛ばしてしまうのはナンセンス。


「U-EN-CHI [遊園地]」は黒沢秀樹がリードボーカルと作曲を担当した曲。これまではコーラスでその歌声を聴かせてくれたが、今回はリードボーカルとして楽しませてくれる。曲自体は三連符によるしっとりとしたバラードナンバー。バンドサウンドだけでなく、アコーディオンやシンセも効果的に使われている。特に間奏は遊園地にいるかのような楽しげな音作りとなっている。アコギの演奏では高野寛が参加しており、哀愁漂う音色を聴かせてくれる。黒沢秀樹の、線が細くどこか頼りない感じの歌声がこの曲調とよく合っている。歌詞は黒沢健一によるもの。子供の頃に遊園地に行ったことを回想しているようなイメージの詞世界であり、タイトルから連想されるような楽しい詞世界ではない。「誰もが夢を見つづけた あの日を忘れられずに 失くした いい訳を探している」という歌詞が好き。曲や歌詞全体から懐かしさや切なさを感じられる。L⇔Rの隠れた名バラードだと思う。


「LAND OF RICHES-2 [ランド・オヴ・リッチズ2]」は今作のラストを飾るタイトル曲。FACE-1のオープニング曲であった「LAND OF RICHES-1 [ランド・オヴ・リッチズ1]」の別バージョン。1よりもテンポを落としたミディアムロックナンバーへと変貌を遂げた。バンドサウンドだけでなく、ピアノやオルガンも比較的前面に出ており、ピアノロックとしての味わいも感じられる。歌詞も若干書き換えられているが、基本的には1と同じ。管理人はこちらのバージョンの方が好き。今作はアメリカをテーマにした曲で始まるが、その曲の別バージョンという形で幕が下ろされる。


あまり売れた作品ではないので中古屋ではたまに見かける程度。レコードを意識した2枚組になっているため、途中でディスクを変えなければならないのが少々面倒。しかし、レコードに馴染みのない世代である管理人にはそれが新鮮に感じられた。作品としては、一部の曲はアメリカでミックスダウンが行われたという事情もあってか、全体的にアメリカのロックやポップスからの影響を感じさせる。これまでのL⇔Rの作品よりもダイナミックなイメージの曲が並んでいる印象。そのためか、マニアックさが少し薄まっており、聴きやすいと思う。1stほどではないが、ポリスター時代の作品の中では管理人の好きな部類に入ってくる。

★★★★☆