今回が七回目となる企画です。これは以前行った「私的○○年代ベストアルバム」の続編のようなものです。その企画では管理人が所有する1985年〜2016年リリースのアルバムの中から、好きな作品を1年ごとにベスト5形式(一部それより少なかったり多かったりしましたが)で紹介してきましたが、「曇りめがね的名盤特集」はその中から作品のチョイスに特に迷ってしまった年をピックアップし、好きな作品を紹介していきます。この企画ではランキング形式をやめ、作品及びその解説を並べていくだけの極めてシンプルな形をとります。何作紹介するかという数も決めていません。 
「私的○○年代ベストアルバム」で紹介した作品は解説文がほぼ同じです。既にブログで紹介した作品はリンクも用意しています。紹介している順番については、管理人が使っているCD管理アプリでのアーティストの並び順です。ご了承ください。

「曇りめがね的名盤特集」第七回は1993年です。派手さはそこまで無いですが、聴くほどに魅力がわかってくるような渋い佇まいの名盤が数多く生まれた年と勝手に位置付けています。

2018年11月2日、紹介している作品を追加しました。

追加! ANNA BANANA「High-Dive」


ANNA BANANAの5thアルバム。父親がイタリア系・母親が日系のアメリカ人という歌手・モデルです。今作はORIGINAL LOVEの田島貴男がプロデュースを手掛け、楽曲制作にも深く関与しています。アシッドジャズやAORに傾倒していた時期の田島貴男がプロデュースを手掛けたとなれば、内容もそうなるのは想像に容易いでしょう。上質で洗練された楽曲やサウンド面を楽しめる作品です。ANNA BANANAの清涼感のある歌声も相まって、全編を通して聴き心地が良いのも魅力。



B#「angel Visit」
B#
1993-03-21

B#の3rdアルバム。B#は相当にマイナーなバンドですが、楽曲は何故ヒットしなかったのかと思うほどにヒット性の高いものばかり。ボーカルの吉川みきの可愛らしい歌声やカラフルなサウンドに彩られたポップスの数々は今でも新鮮さがあります。B#はもっと多くの方に知られ、評価されても良いバンドだと思います。中古屋で見かけたら是非とも手に取ってほしいです。


BLANKEY JET CITY「C.B.Jim」 
BLANKEY JET CITY
1993-02-24


BLANKEY JET CITYの3rdアルバム。彼らの代表曲として挙げられることが多い「PUNKY BAD HIP」「D.I.J.のピストル」「3104丁目のダンスホールに足を向けろ」「悪い人たち」などが収録された人気作。映画のワンシーンのような詞世界、緊張感や衝動に満ちたバンドサウンドはいつ聴いても圧倒されてしまいます。単純に格好良いと思えるギターリフは圧巻。そのような作品なのに繊細さも感じられるのも凄いところ。
格好良いロックを聴きたければ今作を聴け!と言いたくなる程の名盤です。


チャゲ&飛鳥
1993-10-09




CHAGE&ASKAの16thアルバム。「"やっぱこいつらすげえよ"って言わせたいんだ そのためのアルバムだと思われてもかまわない」というキャッチコピーが付けられた作品ですが、それに見合ったバラエティ豊かな大作です。収録時間に関してはチャゲアスのオリジナルアルバムの中でも最長。ポップな曲から王道なバラード、ジャズやレゲエを取り入れた曲に至るまで幅広い作風は聴いていて飽きが来ません。 チャゲアスのセールス的な全盛期を象徴する作品だと言えます。


追加! D-project「PAGES」

PAGES
D-PROJECT
1993-12-01



D-projectの3rdアルバム。ジョー・リノイエがーカルとメインソングライターを務めたユニットのラストアルバム。ニューウェーブ色の強い曲を多く生み出してきましたが、このラストアルバムはシティポップ・AORに傾倒した作風。一定のポップ性を保ちつつ、R&Bやソウルのテイストも交えているのが見事。ジョー・リノイエの渋く甘い歌声が映える曲が揃っており、聴き心地の良さは相当なもの。90年代はシティポップ・AOR冬の時代と言われることがありますが、今作はその中でも隠れた名盤だと思います。



追加! Jellyfish「Spilt Milk」

Spilt Milk
Jellyfish
1993-02-09



Jellyfishの2ndアルバム。奥田民生やPUFFYの関連の仕事でも知られるアンディ・スターマー率いるアメリカのパワーポップバンドのラストアルバム。どこかひねくれつつもポップなメロディーに力強いバンドサウンド、分厚いコーラスワークといった絡みはThe BeatlesやQUEEN、XTCといった先達を思わせるものがあります。アンディ・スターマーのボーカルにもこれといった癖がないので、まさしく「日本人好みの洋楽」という印象があり、普段洋楽をあまり聴く方でもない自分もすぐにハマれました。90年代のパワーポップにおける名盤として扱われることが多いのも頷ける作品でした。



KAN
2010-10-27
(再発盤)




KANの7thアルバム。ベストを挟んでリリースされ、当時としては最も長い間隔を経てのリリースとなりました。そのため、今作までと比べて楽曲のクオリティが上がったとKAN自ら評価する作品。前作をリリースしてから、KANにとっては初めてとなるヨーロッパ旅行を経験し、日本を外から見たことが今作にも影響しています。確かに、統一感や一曲一曲のキレが良く、今作までの作品よりもアルバムとしての完成度が上がっている印象があります。人気曲「まゆみ」「KANのChristmas Song」が収録されているため、ベストの次に聴くオリジナルアルバムとしてもおすすめです。



KANの8thアルバム。当時のKANは自らの作品に対しての評価が厳しくなっていたようで、そのせいか全体的にどことなく重い雰囲気が漂った作品となっています。しかし、ピアノ弾き語りバラードからAOR色の強い曲、打ち込みを多用したダンスナンバーに至るまで幅広い作風が展開されています。著名な楽曲が収録されているわけではありませんが、ファン人気の高い曲が多く収録されている「隠れた名盤」と言えるポジションの作品だと思います。


L⇔R
2017-02-08
(リマスター盤)




L⇔Rの4thアルバム。オリジナル盤はレコードを意識した2枚組となっています。日本でミックスダウンされた曲とロサンゼルスでミックスダウンされた曲とで分かれた構成であり、その音作りの違いを楽しめます。これまでの作品よりもアメリカのロックやポップスからの影響を強く感じさせる作風となっています。そのためか、これまでの作品よりも少々マニアックさが薄まっている印象があります。ポリスターに所属していた頃の作風とポニーキャニオンに移籍してからの作風とを繋いでいるような作品だと思います。


追加! MAYUMI「The Art Of Romance」

The Art Of Romance
MAYUMI
1993-11-19



MAYUMIの3rdアルバム。シンガーソングライターの麗美の姉であり、作曲家として活躍しています。今作は作曲家・プロデューサーに専念する形で、ボーカルも演奏も行なっていません。3人の外国人ボーカル(男性2人・女性1人)を曲ごとに使い分ける形の作品。当然全編英語詞。作風はシティポップ・AORの典型といった感じで、演奏も実力派の外国人ミュージシャンが行なっています。作曲家として活躍するだけあって、上質な中にもキャッチーさを忘れないメロディーが見事。とにかく心地の良い曲が揃っています。あまりにも隠れたシティポップ・AORの名盤と言ったところ。



Mr.Children
1993-09-01


Mr.Childrenの3rdアルバム。ミスチルにとっては初となるチャートトップ3入りを果たし、次作以降の大ヒットに繋がった作品。「桜井和寿と小林武史の二人だけで作り込み過ぎてバンド感が無い」という前作の反省を踏まえて制作されました。多数の曲の作曲に小林武史が参加しているのが特徴で、今作ほど楽曲制作に小林武史が関わった作品はありません。暗めの曲と明るい曲が交互に並んだ、タイトル通りの構成も特徴的。アルバム全体としては少々とっ散らかってしまっていますが、一曲一曲の完成度は高いため聴きやすい作品です。


追加!Paris Blue「a groovy kind of Love 恋はごきげん」

A Groovy Kind of Love
paris blue
1993-07-21



Paris Blueの2ndアルバム。ボーカル・作詞の谷口實希、コーラス・キーボード・作曲の日比野信午から成るユニット。フレンチポップやソウル、シティポップなど様々なジャンルを取り入れたお洒落なポップスを展開していました。オールディーズと当時最新のサウンドを組み合わせた曲たちは今でも色褪せていません。谷口實希の甘く艶のある歌声も唯一無二と言えるくらいの存在感を放っています。どれも安定して心地の良い高品質な曲ばかりですが、先行シングルにもなった「雨が降る」は特に傑出した名曲だと思います。



追加! Pas de chat「Pas de chat」

パディシャ
パディシャ
1994-09-28



Pas de chatの1stアルバム。ボーカル・作詞の藤原美穂、作曲・編曲の中野雅仁の2人組ユニット。中野雅仁は後に平井堅の「楽園」を手掛けてヒットさせていますが、作風はそれを予見していたかのような打ち込み主体のR&B。それにAORやソウルのテイストも織り交ぜられています。打ち込みサウンドは今となっては古く感じる部分もありますが、後にも先にもこの頃にしか作り出せなかったような、独特なグルーヴ感があります。近年では再評価されたのかプレミアがつくこともあるようですが、それも頷ける作品。



SING LIKE TALKING
1993-02-25


SING LIKE TALKINGの6thアルバム。SLTにとっては初となるチャート1位を獲得したヒット作。ロッド・アントゥーンがプロデュースに参加した最後の作品です。ポップスからAOR、ファンクなど多彩なジャンルを行き来するSLT独自の作風は最早安定感すら感じさせます。ヒット性の高い王道なポップスに寄りつつも、SLTが本来持っているマニアックな要素もしっかり持っている…そのバランス感覚が魅力的な作風となっています。


Selfish「Colors of Love」
Selfish
1993-02-19


Selfishの1stアルバム。Selfishは少々マイナーなグループですが、AORやソウルを取り入れた洗練されたポップスを得意としていました。今作は1stながらその音楽性が遺憾無く発揮されています。ポップかつお洒落なメロディーに加え、聴きごたえのあるバンドサウンドと90年代前半ならではの打ち込みサウンドとが絡んだサウンドが魅力的。ボーカルの井村裕之の力強い歌声も曲を彩っています。シティポップやAORにおける、隠れた名作の一つだと思います。


Spiral Life「Further Along」 
Spiral Life
1993-09-01


Spiral Lifeの1stアルバム。洋楽からの影響を強く感じさせるポップスやロックを楽しめる作品となっています。シューゲイザーのテイストを持った曲もあります。石田小吉のメロディーメーカーとしての卓越した才能と、車谷浩司の文学的な詞世界。それらが組み合わさってできた楽曲は圧巻の完成度を誇っています。徹底的に作り込まれたサウンドやメロディー、コーラスワークは今聴いても全く色褪せていません。フリッパーズ・ギターやL⇔Rが好きな方には是非とも聴いていただきたい作品。


追加! THE SHAMROCK「WAYOUT」

THE SHAMROCK
1993-04-21

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THE SHAMROCKの6thアルバム。ボーカル・ギターの高橋一路、ボーカル・ベースの山森正之の2人組バンド。彼らにとってのラストアルバムです。デビュー以来ブリティッシュロックやパワーポップの色濃い作品を放ち続けてきましたが、前作「CHEERS」からはシティポップ・AORの色を強めました。今作もその路線に加えてアシッドジャズの要素も取り入れられています。生音と打ち込みを駆使したサウンドに彩られた、都会的でお洒落な楽曲が並んだ作品。この手のジャンルが人気を集める現在では、当時よりも高く評価されるのではと思います。


追加! This Time「I LOVE YOU FOR SENTIMENTAL REASONS」

This Timeの2ndアルバム。小森義也・鈴木恵子の男女ユニットですが、両方が楽曲制作に関与していました。シティポップ・AOR、ソウル、ファンク、ジャズなど多彩なジャンルを内包したポップスを得意としており、今作でもそれを楽しめます。ソウルフルで熱い小森義也の歌声と、甘く艶のある鈴木恵子の歌声との絡みが不思議とマッチしており、聴いていてとても心地良いです。ジャケ写からのイメージ通り、夏場に聴くのが一番適しているかなと思います。


To Be Continued「Bitter Sweet Love」
To Be Continued
1993-08-21

To Be Continuedの3rdアルバム。現在では俳優としての活動がメインの岡田浩暉がボーカルを担当していたグループ。ブラックミュージックやシティポップのテイストを取り入れたポップスが展開されたアルバムです。そのような音楽性は後のトゥビコンの王道と言えるものとなりました。次作はその音楽性をさらに飛躍させてヒットします。良くも悪くも90年代前半という時代の色を強く感じさせるサウンド面は好みが分かれるかもしれませんが、管理人は好きな方です。


追加! Venus Peter「BIG “SAD” TABLE」

BIG“SAD”TABLE
ビーナス・ペーター
1993-06-25



Venus Peterの3rdアルバム。渋谷系の初期から活躍していたバンド。元々は全編英語詞によるネオアコやシューゲイザーを展開していましたが、今作では日本語詞の曲が増えたのが特徴。沖野俊太郎のどこか気だるい歌声とキレの良いバンドサウンドの絡みには聴き惚れるばかり。ひねくれたポップセンスを発揮しつつ、お洒落で格好良いサウンドも楽しめるのが魅力。Venus Peterは前作の「SPACE DRIVER」が高く評価される印象がありますが、今作も名盤です。



Voice「♮(natural)」
VOICE
1993-09-09


Voiceの1stアルバム。Voiceは別所秀彦・別所芳彦による双子のユニットです。ロングヒットを記録した1stシングル「24時間の神話」が収録されています。フォークソングからの影響を感じさせるシンプルかつ美しいメロディーやサウンド、別所芳彦の透明感のあるハイトーンボイスに彩られたポップスは普遍性に満ちたものとなっています。双子ということもあり、ぴったりと息の合ったコーラスワークも絶品。Voiceはもっと評価されても良いユニットだと思います。


ZARD
1993-07-10


ZARDの4thアルバム。「負けないで」「揺れる想い」を初めとしたシングル曲が収録され、初のチャート1位及びダブルミリオンを達成したヒット作。ZARD=爽やかなポップスというパブリックイメージは今作で完全に確立されたと言えます。90年代前半のJ-POPの王道中の王道なアレンジはかなり時代性を感じますが、それも魅力の一つ。今作はどのアルバム曲もシングルカットできそうなくらいにポップでキャッチー。売れるべくして売れたポップアルバムだと思います。


追加! b-flower「World’s End Laundry〜メルカトルのための11行詩〜」

b-flower
1993-10-27

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b-flowerの3rdアルバム。彼らにとってはメジャーデビュー作。イギリスのネオアコ系バンドからの影響を強く感じさせる、爽快なギターポップを得意としているバンド。外間隆史と冨田恵一が参加しており、異国情緒のある作品に仕上がった印象があります。洗練された美しいメロディーやサウンド、小説でも読んでいるかのような詞世界も絶品。そして、どこまでも切なく甘い八野英史の歌声も今作のポップ性と美しさを引き出しています。渋谷系が好きな方にはおすすめな作品。



スピッツ
1993-09-26


スピッツの4thアルバム。プロデューサーに笹路正徳を迎え、これまでの作品よりも格段にポップな作風へと変貌を遂げました。シンセやストリングス、ホーンが多用され、カラフルなサウンドになった一方、あまりにもこれまでと変わり過ぎたため「オーバープロデュース」というフレーズで語られがちな作品です。しかし、そのような音作りの影響で、現在に至るまでの全てのスピッツのオリジナルアルバムの中でも特にポップな作品であるという印象があります。後追いで聴いてもその印象は変わりません。


中西圭三「Steps」
中西圭三
1993-03-03


中西圭三の3rdアルバム。初のチャート1位を獲得したヒット作。中西圭三は「ポスト久保田利伸」という触れ込みでデビューしたのでブラックミュージック系のアーティストとして語られることが多いですが、実際は王道なポップス寄りのアーティスト。ブラックミュージック色の強いサウンドが展開された曲が多いのは事実。しかし、売れ線な味付けがされているので聴きやすい曲ばかりという印象です。今作は全編通してポップでノリの良い作風。中西圭三の優れた歌唱力も聴きどころ。管理人の中では中西圭三の最高傑作は今作。


追加! 佐藤聖子「SEASON」

SEASON
佐藤聖子
1993-06-18



佐藤聖子の3rdアルバム。一般的には中々にマイナーだと思いますが、GiRL POPの代表格とされることも多いアーティスト。「可愛らしい」「透明感がある」「ハスキー」「舌ったらず」「力強い」など、佐藤聖子の歌声を語ろうとすると、不思議と様々なフレーズが出てきます。外部から提供された曲と佐藤の自作曲が半々という構成ですが、全体を通して歌声の魅力を生かした良質なポップスが展開されています。優れたボーカリストであり、再評価されてほしいと思います。



佐野元春「The Circle」
佐野元春
1993-11-10


佐野元春の9thアルバム。前作「Sweet16」ではストレートなロックンロールが展開されていましたが、今作はR&B色の強い作品となっています。全体的に影を感じさせる作風となっており、全編通して明るい作風だった「Sweet16」とは対の関係にあると言っていいでしょう。自らの心の奥底に向き合ったような、鋭く生々しい詞世界は圧巻。ファンキーで重厚感のあるバンドサウンドは聴きごたえ抜群。90年代以降の佐野元春の作品はあまり語られない印象がありますが、今作も好きな作品の一つ。


追加! 加藤いづみ「Sweet Love Songs」

Sweet Love Songs
加藤いづみ
1993-08-04



加藤いづみの3rdアルバム。ブレイクのきっかけとなった「好きになって、よかった」が収録され、セールス面で飛躍した作品。加藤いづみもまた、GiRL POPの代表的存在として挙げられることが多いわけですが、そのきっかけとなった作品でしょう。可愛らしい歌声と、高橋研によるポップでどこか切ないメロディーの絡みがたまりません。ポップな曲でも、バラードでも、歌声が映えるようなメロディーが揃っています。





小沢健二の1stアルバム。フリッパーズ・ギター解散後、ソロとして初めてリリースされたアルバム。フリッパーズ時代とは音楽性がガラリと変わり、フォークロックやソウルの要素が強いシンプルなサウンドに変貌しました。しかし、文学的で難解な詞世界は健在。次作「LIFE」での「王子様」のイメージで聴くと面食らうこと請け合いですが、是非とも歌詞カードを見ながらゆったりと聴いていただきたい作品です。なお、オリジナル盤には今作をより楽しめるセルフライナーノーツが付属していますが、再発された「dogs」には付いていません。できればオリジナル盤を入手していただきたいです。



小田和正
1993-10-27


小田和正の5thアルバム。タイトルからも想像できるように、小田和正の故郷である「横浜」をキーワードにした作品。チャート面ではこれまでの作品ほど売れなかったという不遇な作品。ソロ初期〜90年代前半の小田和正はAOR色の強い曲が多く、今作もまたそれに沿った作風です。突き抜けるようなハイトーンボイスや丁寧に作り込まれたメロディーやサウンドはいつ聴いても良いと感じられるような普遍性に溢れています。


小田育宏「抱きしめたい」
小田育宏
1993-04-21


小田育宏の2ndアルバム。小田育宏は中々にマイナーなアーティストですが、シティポップやAOR色の強い曲を得意としていました。今作は前作よりもシンプルなサウンドが主体となった作品ですが、メロディーの良さがさらに引き立てられている印象があります。シンプルながら聴きごたえのあるサウンドや色気を感じさせる歌声は絶品。AORの人気が下火だった時期の作品なので決して売れたわけではありませんが、シティポップやAORが再興している今ならもっと多くの聴き手に愛される作品であり、アーティストだと思います。中古屋で見かけたら是非とも手に取ってほしい作品。


川崎真理子「GIRL'S TALK」
川崎真理子
1993-10-25


川崎真理子の1stアルバム。90年代前半はガールポップが隆盛を誇っていたわけですが、その中でもふわふわした気だるい感じの歌声や女心を的確に表現した詞世界で存在感を放っていたのが川崎真理子でした。今作は1stではありますが、川崎真理子独特のポップス世界が確立されています。好き嫌いがはっきりと分かれそうな歌声なのですが、好きな方にはたまらない作品だと思います。管理人は当然好きなタイプです。ニヤニヤしながら聴いてしまうくらい。


追加! 有賀啓雄「Innocent Days」

Innocent Days

有賀啓雄
1993-07-01

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有賀啓雄の3rdアルバム。ベーシスト・作編曲家・プロデューサーとして活躍する有賀啓雄ですが、シンガーソングライターとしても活動していました。現時点でのラストアルバムが今作。シティポップの隠れた名盤と称される前2作とは打って変わって、王道なポップスに寄った作風です。ただ、ポップで叙情的なメロディーや丁寧に作り込まれたアレンジは不変。「雨」をテーマにした曲が多いのが有賀啓雄の特徴ですが、今作でも9曲中6曲で「雨」のフレーズが登場します。雨の日のお供にうってつけな作品。



東野純直
1993-09-22


東野純直の1stアルバム。代表作「君とピアノと」「君は僕の勇気」が収録されています。東野純直は洋楽からの影響を感じさせるお洒落かつ爽やかなメロディー、透明感のあるハイトーンボイスが魅力的なアーティスト。王道なJ-POPだけでなく、AORやクラブミュージックのテイストを取り入れた曲もあり、幅広い楽曲を楽しめる作品です。槇原敬之やKANといった90年代の男性シンガーソングライターが好きな方は聴いて損のない名盤。


槇原敬之
1993-10-31


槇原敬之の4thアルバム。前作「君は僕の宝物」に引き続きミリオンを達成したヒット作。タイトル通り、当時の槇原敬之自身の内面を見つめたような詞世界が特徴的な作品。とは言っても内省的な作風というわけではなく、むしろどちらかというと明るい作風。シングル曲の完成度の高さはもちろんのこと、「Witch hazel」「MILK」を始めとしたアルバム曲も圧巻。前作に比べると少し地味な印象がありますが、それでも過小評価するのは勿体無いと感じられる作品です。


横山輝一
1993-04-15


横山輝一の7thアルバム。最大のヒット曲「Lovin' You」やZOOに提供した「YA-YA-YA」のセルフカバーが収録され、オリジナルアルバムの中では最多の売上を記録しました。R&B、ファンク、ソウルなどを取り入れたポップスを楽しめる作品。横山輝一は自らで全曲の作詞・作曲・編曲・プロデュースを手掛ける上に、卓越した歌唱力を持ったアーティスト。才能の割に過小評価されている印象が否めません。ブラックミュージックを得意としているアーティストが好きなら聴いておくべき作品であり、アーティストです。



浜田省吾の14thアルバム。これまでの作品とは異なり、シンセが前面に出た音作りがされているのが特徴。また、これまではバンドメンバーで演奏されていましたが、今作以降は実力のあるスタジオミュージシャンを起用する形となりました。作風としては前作「誰がために鐘は鳴る」と同じく重苦しさの漂うものですが、「星の指輪」や「初秋」を始めとして一曲一曲の完成度は極めて高いです。歌詞カードを見ながら聴くと、作品の味わい深さがさらに増すのでおすすめです。


追加! 源学「kiss,goodbye…」



源学の2ndアルバム。元々はGENというバンドのボーカルでしたが、ソロデビューしてからの作品。前作と同様に、当時ORIGINAL LOVEのキーボードだった木原龍太郎が全曲の編曲とプロデュースを担当しています。GENはブルースやロックを主体としたバンドでしたが、今作はAORやソウル、アシッドジャズがメイン。そのため、当時のORIGINAL LOVEの作風そのままと言ったところ。随所でバンド時代を思わせる熱いボーカルを楽しめるのも聴きどころ。



追加! 牧瀬里穂「P.S.RIHO」

P.S.RIHO
牧瀬里穂
1993-09-17



牧瀬里穂の1stアルバム。秋元康がプロデュースを手掛けました。後藤次利、高見沢俊彦、小室哲哉、小林武史、竹内まりやなど豪華な作家陣が参加しているのが特徴。90年代というよりは、80年代のアイドルポップを思わせる曲が多く、世代でもないのに懐かしいと感じる曲ばかり。聴いていて「大丈夫?」と思うような、少々危うい歌声はご愛嬌。歌手活動についての言及が少ないので黒歴史のような扱いがされているのかもしれませんが、それで埋もれるには惜しい作品です。



追加! 田中友紀子「君たちのくれた夏」

君たちのくれた夏
田中友紀子
1993-07-21



田中友紀子の1stミニアルバム。作編曲・プロデュースは村田和人が手掛けました。彼の作風に沿ってか、タイトル通り夏をイメージさせる曲が揃っています。シティポップやリゾートミュージックの要素が強い作品。洗練されたメロディーやサウンドと、爽やかで可愛らしさも感じさせる田中友紀子の歌声は聴いていると涼しくなれるような感覚があります。90年代GiRL POPの中でもかなりマイナーだったように思いますが、再評価を望んでいます。



追加! 相馬裕子「永遠を探しに」

永遠を探しに
相馬裕子
1993-03-21



相馬裕子の3rdアルバム。知名度が高いというわけではありませんが、GiRL POPの界隈ではかなりの支持を集めたアーティストです。ラブソングと自然派な曲がバランス良く分かれているのが特徴ですが、今作でもそれぞれのテーマの曲を楽しめます。オーストラリアでレコーディングされたようですが、歌声やサウンドはこれまでにも増して伸びがあるように感じます。歌声が好きな方ならまず外すことはないでしょう。是非ともYouTube等で視聴して手に取っていただきたいです。



追加! 詩人の血「i love ‘LOVE GENERATION'」

i love`LOVE GENERATION'
詩人の血
1993-09-22




詩人の血の5thアルバム。彼らのラストアルバム。アルバムごとに全く違った作風を展開してきた詩人の血ですが、今作は生音主体で渋谷系の色が強いポップスを楽しめます。ただ、デビュー以来持っているどこかひねくれた部分は一貫しています。辻睦詞・渡辺善太郎・中武敬文の3人が持つ卓越したポップセンスは今作でも冴え渡っており、ホーンを積極的に取り入れたサウンドともよく合っている印象です。辻睦詞の無邪気ささえ感じられるほどの高音ボーカルとのバランスも良く、自分にとっては詩人の血の最高傑作だと思っています。



追加! 近藤名奈「7/360」

7/360
田辺智沙
1993-07-07



近藤名奈の1stアルバム。大きく売れた曲は無いものの、GiRL POPの界隈では一定の地位を築いたアーティスト。ボーイッシュな見た目と清涼感のある歌声が持ち味で、永井真理子の後釜のような存在だったと思います。都会から離れた自然を思わせる詞世界と広がりのあるポップなメロディー、歌声の相性は素晴らしいものがあります。その魅力は1stの今作から遺憾無く発揮されています。こうした「うたのおねえさん」的なアーティストが少ない今こそ、今作のメッセージがより響くと言えます。



追加! 遊佐未森「momoism」

momoism
遊佐未森
1993-05-21



遊佐未森の6thアルバム。デビューから外間隆史によるプロデュースを受け、ファンタジックな作風を確立してきた遊佐未森ですが、外間から離れてセルフプロデュースの路線を進めていた頃の作品。映画音楽の作編曲で活躍する野見祐二をサウンドプロデューサーに迎えて「ドラムレス」をテーマに制作されました。シンセと生音を駆使し、徹底的に作り込まれたサウンドの数々と遊佐未森のボーカルの相性はぴったり。取っ付きにくそうだと思うかもしれませんが、楽曲自体はあくまでポップ。そのバランス感覚も優れた名盤です。



追加! 野見山正貴「Face」

face
野見山正貴
1993-06-21



野見山正貴の1stアルバム。かなりマイナーなアーティストだと思いますが、優れた歌唱力と洗練されたメロディーが持ち味のシンガーソングライターでした。シティポップ・AORの色濃い曲を多く生み出しており、今作もその作風です。突き抜けるようなハイトーンボイスと、都会的で清涼感のあるメロディーがたまらなく心地良い作品です。サウンド面にも聴きごたえのある曲が多く、その面でも楽しめます。



追加! 鈴木祥子「RadioGenic」

RADIOGENIC
鈴木祥子
1993-11-01



鈴木祥子の6thアルバム。アコースティックなサウンドと卓越したメロディーセンスを味わえる作品をリリースしてきた鈴木祥子ですが、今作もそれを楽しめます。Aメロからしっかり耳に残る、キャッチーかつ美しいメロディーは絶品。鈴木祥子は「ポップス職人」と言っていいでしょう。また、今作の大きな特徴は小泉今日子に提供してヒットした「優しい雨」のセルフカバーが収録されていること。原曲との違いを感じながら聴くと面白いでしょう。



電気グルーヴ
1993-12-01


電気グルーヴの4thアルバム。当時、石野卓球はロンドンに渡ってアシッドハウスブームを体感していたようで、その影響を受けて制作されました。今作はこれまでよりも格段に本格的なテクノやハウスミュージックが展開されています。「バッキバキ」というフレーズが似合うサウンドの数々は聴いていると思わず身体が動いてしまいます。インストが多いのに聴いていて飽きが来ないのが魅力的。「富士山」や「N.O.」といった代表曲が収録された作品であり、電気グルーヴのアルバムの中でも特に管理人の好きな作品です。


I<ai>
高野寛
1993-12-08


高野寛の6thアルバム。高野寛は打ち込みを多用した上質なポップスを得意としているイメージが強いですが、今作ではいつになく生音が主体になっています。また、全曲の編曲にギタリストの今堀恒雄が参加しているのも特徴。しかし、優れたポップセンスは健在。これまでの作品よりもラブソングが多いのも特色ですが、それがタイトルの由来なのかなと推測しています。今作以降はしばらく生音主体の作品が発表されているので、高野寛の音楽性を語る上では欠かせない作品と言えます。


色々な作品を挙げてきましたが、どれもおすすめです。中古屋やレンタル店に出向く際に参考にしていただけたら幸いです。今後追記する可能性がありますので、その際にはツイッター(@fumimegane0924)で報告しつつ加筆修正していきます。