【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 小田和正 
プロデュース        小田和正

1.この道を ★★★★☆
2.会いに行く ★★★★★
3.坂道を上って ★★★★★
4.小さな風景 ​★★★☆☆

2018年5月2日発売
Ariola Japan
最高位 売上

小田和正の30thシングル。4曲全てがA面という形のシングル。前作シングル「その日が来るまで/やさしい風が吹いたら」以来5年1ヶ月振りのリリースとなった。


「この道を」は厳かな雰囲気で聴かせるバラードナンバー。TBS系日曜劇場『ブラックペアン』の主題歌に起用された。力強さと美しさを併せ持った、ピアノとストリングスの音色で構成されている。思わず聴き惚れてしまうようなメロディーがたまらない。年齢を重ねて深みを増す一方の小田和正の歌声は、この曲の力強さを何よりも演出している。
歌詞は強い決意を持って生きて行くことを誓った人が描かれている。「どんなに険しくても この道を 信じて行く」という歌詞はこの曲の一番の聴きどころと言っていいだろう。派手さは無いものの、重厚な作風のタイアップ相手に寄り添った、確かな強さがある曲だと思う。「ドラマが書かせてくれた曲」と小田和正本人が語っているが、それも頷ける。


「会いに行く」は爽やかさに満ちたポップナンバー。フジテレビ系情報番組『めざましテレビ』の2018年度テーマソングに起用された。開放感に満ちたサビのメロディーは、聴く度に鳥肌が立ってしまう。音の数はそこまで多くは無いが、それでも輝きを感じさせるサウンドが展開されている。重厚なコーラスワークがこの曲では冴え渡っており、曲の爽やかさを引き立てている。
歌詞はタイトル通り、大切なひとに会いに行くという想いが綴られたもの。タイアップ相手の番組側が全国の人々と番組を通して繋がろうとする姿、小田和正本人がツアーで様々な地域を訪れる姿…そのような姿がイメージできる詞世界である。
晴れ渡る空のような曲調やサウンド、透き通った歌声…1日の始まりに聴く曲として、これ以上無いほどうってつけな曲だと思う。


「坂道を上って」は煌めきに溢れたポップナンバー。映画『坂道のアポロン』の主題歌に起用された。ギターとシンセが使われたイントロから、どこかドラマティックな雰囲気がある。聴き手の心をグッと掴んで離さないサビのメロディーは絶品。「若者たちの物語だから、明るく終わりたい」という小田和正の想いがよく現れていると思う。どこまでも突き抜けていきそうな歌声は圧倒されるばかり。
歌詞は青春賛歌と取れるような内容。青春時代を過ごしている人を、年長者が優しく見守っているようなイメージがある。「その日々はずっと 遠く どこまでも 続いて行くと そう思っていた」という歌詞は何とも切ないが、それでも明るさを失わないのが流石。
この映画は自分も観たが、友情をテーマにした映画の世界観によく合っていたように思う。70代を迎えた大ベテランミュージシャンが、10代が主人公である映画の主題歌を担当する。その字面だけだと中々に違和感があるが、実際に作品を観ると違和感は全く無い。小田和正の楽曲の普遍性を象徴するような曲である。


「小さな風景」はどこか懐かしい雰囲気を持ったミディアムナンバー。テレ朝系ドラマ『遺留捜査(第4シリーズ)』の主題歌に起用された。聴いていると心が段々と落ち着いていくような、優しく美しいメロディーが展開されている。音の数はエレピやストリングスが主体だが、ところどころでバンドサウンドが控えめながらも主張している。
歌詞は失った恋人との思い出が描かれている。あまりにもありふれていて思わず見落としてしまうような、日常の中の「小さな風景」がテーマ。恋人の心の小さな変化に気づけなかった男性の後悔も語られているが、悲観的な感じはあまり無い。言葉の数はかなり少ないのだが、一言一言が確実に心に沁みていく印象。


4曲全てにタイアップがついているだけあって、全曲が確かな存在感を持っている。ポップナンバーも、バラードも。どこまでも伸びるような美しい歌声、流麗なメロディーがたまらない。小田和正は70代を迎えたわけだが、それでも衰え知らずであることはこのシングルを聴けば実感できる。次々と「最年長○○」の記録を塗り替えていくであろう、これからの小田和正に期待するしかない。