Twururi-ra
Jack & Betty
1998-11-21


【収録曲】
全曲作詞 中川優美
8.12.作詞 森岡純
全曲作曲 松永俊彦
2.4.9.作曲 高間有一
全曲編曲 Jack&Betty/須貝幸生
2.編曲 Jack&Betty
プロデュース 月光恵亮

1.テレパシー ​★★★★☆
2.あのね!!! ★★★★☆
3.未来がうまれる瞬間 ★★★★★
4.ひとつだけ ★★★★☆
5.気にしないモンネッ ★★★☆☆
6.Sweet Holiday ★★★☆☆
7.隣りのbodyガード ​★★★☆☆
8.STEP BY STEP ★★★★★ 
9.いちごみるくぅ♡ ★★☆☆☆
10.Newsです。 ★★★★★ 
11.Twister ★★★★☆
12.KE-SE-RA-SE-RA ​★★★★★

1998年11月21日発売
フォーライフ
最高位不明 売上不明

Jack&Bettyの1stアルバム。先行シングル「未来がうまれる瞬間」「KE-SE-RA-SE-RA」「テレパシー」「Twister」を収録。C/W曲は全て未収録。

Jack&Bettyは1997年にデビューした4人組バンド。1999年に解散を発表。わずか1年半ほどの活動だった。ボーカルの中川優美、ギターの松永俊彦、ベースの高間有一、ドラムの渋谷憲からなる。バンド名やメンバー構成、ボーカルに比べて年長のメンバーがいるという点はどことなくJUDY AND MARYを彷彿とさせる。中川以外は現在も音楽活動を続けていると思われる。


「テレパシー」は今作のオープニングを飾る先行シングル曲。テレビ東京系番組『Gパラダイス』のオープニングテーマに起用された。イントロではメンバーが遊んでいるような声が入っており、そこからキレの良いギターサウンドが入っていく。いきなりサビから始まる構成は聴き手の心をグッと掴んで離さない。ただ、サビ以外もキャッチーそのもの。疾走感に満ちた曲調とサウンド、勢いのあるボーカルの相性はぴったり。
歌詞はマンネリ化してしまったカップルを描いたもの。前のシングル曲2曲は片想いが描かれていただけに、一気に関係が発展した感覚がある。可愛らしさの中に芯の強さが感じられる詞世界が見事。その歌詞の魅力を最大限に引き出すのはボーカル。「女の子」を表現するのが本当に上手いボーカルだと思う。
オープニングから王道そのものな曲であり、Jack&Bettyの良さを聴き手に誇示するかのよう。


「あのね!!!」は前の曲からの流れをさらに盛り上げ、激しさを増したロックナンバー。パンクロックのテイストさえ感じられるほど。疾走感と力強さを併せ持ったメロディーは聴いているだけでも身体が動いてしまうこと請け合い。次々と言葉を畳み掛けるようなサビでのボーカルも相当なインパクトがある。一回聴けばしばらく忘れられなくなるはず。
歌詞は男子目線となっており、ドライブデートを夢見る様子が描かれている。聴いていて恥ずかしくなってしまうほどに真っ直ぐな想いがぶつけられた詞世界である。他の曲とは少々違った味わいのある歌詞だが、それでも違和感無く聴けてしまうのがボーカルの妙か。


「未来がうまれる瞬間」は先行シングル曲。Jack&Bettyにとってのデビュー曲である。ロッテ「トッポ」のCMソングに起用された。爽快感のあるポップロックナンバー。一回聴いただけで耳を離れなくなるような、ポップ性に満ちたメロディーは絶品。松永俊彦のメロディーメーカーとしての実力が遺憾無く発揮されている。終始ソロかと思うほどに存在感を放つギターサウンドはJack&Bettyの楽曲の大きな特徴。
歌詞は片想いしている女子の想いが描かれたもの。全体を通して可愛らしさのある詞世界なのだが、特に印象に残るのは「ここから始まるstoryは1つ」というフレーズ。告白が失敗に終わる可能性は一切考えられていない。ここまではっきり言ってのけ、想いを突っ走らせるのはまさに青春と言ったところか。
デビュー曲ならではの、これからへの希望に溢れた曲に仕上がっていると思う。詞世界もまた、その雰囲気を高めている。


「ひとつだけ」はここまでの流れを少しだけ落ち着けるミディアムナンバー。少しだけテンポが遅くなり、より重厚な演奏と美しいメロディーを聴かせる曲となった。美しさとポップ性を持ったサビのメロディーが心地良い。それでも重厚なバンドサウンドはトーンダウンすることは無い。
歌詞は彼氏にプロポーズする女子を描いたものだと思っている。ただ、ウェディングソングというにはあまりにも可愛らしすぎる印象。軽いというわけではないのだが…「ギリシャのガイドBook」というフレーズが実にリアル。
高間有一が作曲を担当したわけだが、松永俊彦とはまた違った良さがある。明るく勢いのある曲ばかりではないことを教えてくれる曲。


「気にしないモンネッ」は再びのポップロックナンバー。Bメロ→サビの変貌振りはかなりのもので、そこで思い切り掴まれてしまう感覚がある。サウンド面ではイントロから歪んだギターサウンドが前面に出ており、そのまま曲の最後までサウンドを牽引し続ける。ところどころでシンセによるものと思われる音が入っているのが他の曲との違い。
歌詞は彼氏から別れを告げられた女子の想いが描かれている。タイトルではそれすら気にしない強気な姿をイメージするが、実際は取り乱してしまっている。「全然痛くなんかない」というフレーズさえ痛々しく感じられるほど。歌詞とメロディーやサウンドのギャップが激しいが、それがこの曲の大きな特色と言える。


「Sweet Holiday」は流れを継いでのポップナンバー。次々と言葉をぶつけるかのようなサビの譜割りのせいか、他の曲ほど派手に盛り上がるような所は無いが耳に残る。他の曲よりもシンセが多用されているのが特徴で、そのせいかかなりポップ性の強いサウンドに仕上がった印象がある。
歌詞は彼氏と久し振りに再会した女子を描いたもの。大学が違って離れ離れになった…というシチュエーションを想像しながら聴いている。「1日 イヤでもハナサない」というフレーズは浮かれきった主人公の想いが伝わってくる。ただ、それくらい舞い上がるのも当然だろう。
一曲単位で聴くと良いと思うのだが、同じような曲が並ぶ今作の中で聴くとどうしても埋もれてしまっているように感じる。


「隣りのbodyガード」は前からの流れをさらに継いだポップロックナンバー。初めて聴いたとしても口ずさみたくなるような、わかりやすくポップなメロディーが展開されている。シンプルなバンドサウンドが主体だが、曲の随所でシンセが使われている。また、サビでは中川以上にパワフルな女性コーラスが存在感を放っている。
歌詞は彼氏のことを描いている。彼女を守るために身体を鍛えたり、夜遅く帰った時に送ってくれたり…頼もしい彼氏であることがよくわかる。それを日記のような言葉選びで描き出しているのがこの曲の詞世界の特徴。「守ってあげたくなる人」というのは男女問わずいると思うが、この曲はまさにそうした存在が歌われている。


「STEP BY STEP」はこれまでの流れをさらに盛り上げていくようなポップロックナンバー。イントロやAメロ、アウトロでのギターリフはAerosmithの「Walk This Way」を彷彿とさせる。開放感に満ちたサビのメロディーはついつい鳥肌を立てながら聴いてしまう。松永俊彦はこのような高揚感を持ったメロディーを作るのが本当に上手い。それを一緒に作り出す演奏の数々も素晴らしい。
作詞は森岡純が担当した。ピュアで可愛らしい恋心が綴られたものとなっており、中川のそれと比べても遜色無い。恐らく、曲中のカップルは高校を卒業し、別々の道に進もうとしているのだろう。「勝手に一人で大人にならないで」というサビの歌詞が何とも切ない。
前述したように似たような曲が並んでいるので、どうしても印象が薄くなってしまう曲があるが、この曲は今作の中でも特に好きな方に入ってくる。


「いちごみるくぅ♡」はここまでの流れを落ち着ける曲。メロディー自体もかなり落ち着いており、全体を通してそこまで盛り上がるような部分は無い。サウンド面ではアコーディオンのような音やパーカッションが前面に出ており、他の曲で楽しめる激しいバンドサウンドは影を潜めた形。
歌詞は彼氏とデートしている女子を描いたものなのだろうか…?全体的に「幼い」イメージのある詞世界となっており、一気に幼児退行してしまったような雰囲気がある。あまりにも浮かれ過ぎるとこうなってしまうのだろう。
アルバムの箸休めとしてはこれ以上無いほどの曲だと思う。


「Newsです。」は前の曲で落ち着いた流れをまた戻すようなポップロックナンバー。イントロ無しでいきなりボーカルから始まる構成は曲の明るさを上手く演出している。一回聴けばもう耳に馴染んでしまうようなサビのメロディーがたまらない。この曲でも終始ソロかと思うほどのギターサウンドが冴え渡っている。
歌詞は新たな彼氏ができた女子大生の喜びが描かれたもの。「初めて自分からつかんだ恋」「今まで長かったプロローグ」といったフレーズからもそれがよくわかる。喜びを周りに伝えたくて仕方がない主人公の様子が浮かんでくる。
今回の記事で散々「高揚感」のフレーズを登場させてきたわけだが、この曲でもそれをよく味わえる。メロディーやサウンドだけでなく、歌詞・ボーカルも一体となってワクワクさせてくれる曲だ。


「Twister」は先行シングル曲。TBS系番組『ワンダフル』の中で放映されたアニメ 『LET'S ぬぷぬぷっ』の挿入歌に起用された。パワフルなバンドサウンドが唸りを上げるポップロックナンバー。鋭いギターサウンドや歌うようなベースラインがたまらない。高揚感溢れるキャッチーなサビは一度聴いただけでも忘れられないほどのインパクトがある。
歌詞は激しい恋心が描かれたもの。「タツマキみたいにサラッテよ」「甘いだけじゃ物足りない」「流されるままじゃつまんない」といったフレーズが顕著。かなり際どいことも歌っているように感じるが、中川のボーカルにかかればそれすらさらりと聴けてしまう。
このシングルがアルバムの直前にリリースされたわけだが、これまでに3作もリリースされているとJack&Bettyの王道ができているように思う。そのため、この曲からは安定感すら感じられる。


「KE-SE-RA-SE-RA」は今作のラストを飾る先行シングル曲。TBS系番組『愛のヒナ壇』のオープニングテーマに起用された。爽快なポップロックナンバー。サビの突き抜けるような開放感は何度聴いても引き込まれてしまう。イントロからキレの良いギターサウンドが前面に出ており、曲全体を通してエネルギッシュな演奏を聴かせてくれる。中川優美の可愛らしく力強い歌声もこの曲ではよく映える。
作詞は森岡純が担当した。片想いしている女子の心情を描いたもの。弱気な部分と強気な部分の両方が感じられる、繊細な心理描写がされた詞世界が印象的。タイトルのフレーズは「なるようになる」を意味する「Que sera sera」が元なのだろうが、この曲では主人公を支える「呪文」のような存在として描かれている。
この曲がラストに配置されていることで、最後まで勢いを失わないまま作品が締められている印象がある。


あまり売れた作品ではないので中古屋では滅多に見かけない。しかし、多くのリスナーに知られないまま埋もれるには惜しい作品だ。レベッカ、LINDBERG、JUDY AND MARY、Hysteric Blueといったバンドが好きな方には是非とも聴いていただきたい。
全編を通してポップで勢いのある曲が並んだ作風となっている。流れを落ち着かせるような曲も少なく、最初から最後まで勢いがほぼ保たれている。どれも似たような印象を持ってしまうという弊害もあるが…
「文化祭のヒロイン」とでも言いたくなるような中川優美のボーカルが今作を名盤たらしめる大きな要素である。単純に歌唱力で言えばもっと上手い歌手がいる。ただ、中川ほどに「女子」を可愛らしく表現できるボーカリストはいないと思う。今作を最後に解散してしまったことが悔やまれる。もっとそのボーカルを楽しみたかった。

★★★★★