この時期になると1年の間に起きた出来事や自分のことを振り返りたくなるものですが、音楽の話題をメインとしている当ブログではやはり音楽で振り返っていきます…という挨拶は昨年にもしましたが、今年リリースの曲はあまりにも聴いた量が少ないので「2018年のベストソング」はやりません。
「2018年に出逢ったベストソング」ということで、過去の作品を聴いた中で特にハマった曲を年代問わず紹介していきます。今年リリースの曲も僅かながら混ぜる形で。ただ、それをやるとあまりにも膨大な量になってしまうので、上半期編と下半期編で分けて紹介します。
今年初めて聴いた曲だけでなく、過去に聴いたことがあって今年その良さを再認識した曲も含んでいます。
youtubeなど動画サイトにアップされているものはそのリンクも貼っておきます。

1月…

角松敏生「Airport Lady」(1984年)
 

角松敏生の4thアルバム「AFTER 5 CLASH」の収録曲。このアルバムは前から長らく欲しかったもので、内容もそれだけの価値があるものだった。中でも特に気に入ったのがこの曲。青木智仁によるスラップベースが乱れ飛び、高らかなホーンがただでさえポップな曲の高揚感をさらに引き立てる。初めて聴いた時にはその格好良さに鳥肌をおっ立ててしまった。80年代のシティポップにおける名曲の一つであり、この曲が収録された「AFTER 5 CLASH」もそれを代表する名盤である。


SCUDELIA ELECTRO「DAY AFTER TOMORROW」(1997年)
 

SCUDELIA ELECTROの1stミニアルバム「Ultra Sonic」の収録曲。自分はベスト盤の中で聴いた。昨年末の同内容のブログで「GOOD BYE NAUTILUS-さよならノーチラス号」を紹介したが、この曲も大好き。美しく広がりのあるサビのメロディーには一聴しただけで引き込まれた。それでいてポップであり、切なさも織り交ぜられている。石田小吉は素晴らしいメロディーメーカーだと思っているが、その才能が遺憾無く発揮された名曲だと思う。


blue tonic「激しく長い夜」(1988年)
 

blue tonicの2ndアルバム「GUTS FOR LOVE」の収録曲。初めて聴いたのは昨年だが、作品を入手したのが今年の1月なのでここで紹介させていただく。お洒落でスリリングな雰囲気を持った曲。タイトで隙のないバンドサウンドと軽快なピアノが心地良く、初めて聴いた時から大好きな曲。blue tonicは渋谷系の黎明期に活動していたバンドだが、メンバーは後の渋谷系音楽に強い影響を与えた存在だと思う。バンド・作品共に再評価が望まれる。


PINK「NAKED CHILD」(1987年)
 

PINKの3rdアルバム「PSYCHO-DELICIOUS」の収録曲。福岡ユタカや岡野ハジメ、ホッピー神山などPINKはクセのある実力派ミュージシャンが揃ったバンドだったが、バラバラな個性が絶妙なバランスで調和していた。その中でもポップ性・演奏の聴きごたえ共に凄まじい完成度を誇るのがこの曲。どこまでも広がっていくようなサビのメロディーと叫ぶようなボーカルも圧巻。今年自分が特にハマったバンドの一つがPINKだが、楽曲単位の最高傑作はこの曲だと思っている。


ラ・ムー「夏と秋のGood-Luck」(1988年)
 

ラ・ムーの1stにしてラストアルバム「THANKS GIVING」の収録曲。ラ・ムーは「菊池桃子の黒歴史」というような扱いをされがちな印象が否めない。ただ、シティポップ・AOR、ソウルやファンクを取り入れた楽曲はどれも洗練された素晴らしいものばかりで、リリース当時よりも今の方が真っ当な評価をされるのではと思うほど。中でもこの曲が特に好き。美しくどこか気だるい雰囲気のメロディーがたまらない。ギターやホーンを始めとしたサウンド面の聴きごたえもかなりのもの。出てくるのが30年早かったバンドだと思う。


The Trampolines「(Taking The)Easy Way Out」(1995年)
 

The Trampolinesの1stアルバム「Splash!」の収録曲。恐らくシングル曲だと思われる。トランポリンズは90年代後半にひっそり盛り上がったスウェディッシュポップブームの中心的存在のユニット。可愛らしささえ感じられる、ポップで甘いメロディーと清涼感のあるサウンドに魅かれた。ボーカルのクセの無い歌声もそうした魅力をさらに引き立てている。そのため、洋楽をそれほど聴いていない自分でもすぐにハマった。この手のジャンルは好きなので、もっと深く聴いてみたいと思う。


SAKU「君の記憶の片隅で」(2000年)
 

SAKUの6thシングル曲。SAKUはCALLの櫻井茂雄のことだが、CALLの曲は昨年から聴いていて大好きだった。今年になってSAKUとしての1stアルバムを聴き、その中で最も好きになった曲がこの曲。6分40秒程度とかなり長めの曲なのに、全く長さを感じないほどにメロディーやサウンド、透明感に満ちた歌声が心地良い。歌詞は恋人との別れを描いたものだが、まるで卒業ソングのように美しく爽やかに別れが描かれている。CALL時代の曲を聴いていても思うが、本当に素晴らしいメロディーメーカーである。


2月…

栗林誠一郎「Good-bye to You」(1991年)
 

栗林誠一郎の2ndシングル曲。作家としての印象が強かったのだが、1月下旬〜2月頃に初めてシンガーソングライターとしての栗林誠一郎の作品を聴いた。AOR色の強い洗練されたサウンドと、キャッチーかつ哀愁を帯びたメロディーが諸作品の魅力だが、それらが遺憾無く発揮されたこの曲が特に好き。伸びのある甘いハイトーンボイスもこの曲ではよく映える。作曲家・栗林誠一郎は高く評価されていると思うが、シンガーソングライター・栗林誠一郎は過小評価されている感が否めない。


一風堂「すみれ September Love」(1982年)
 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm1807942

一風堂の6thシングル曲。SHAZNAによるカバーのイメージが強く、オリジナルは聴いたことが無かった。今年に入って80年代のニューウェーブに興味を持つようになり、その流れで一風堂のベストを入手してこの曲を聴いた。歌謡曲の色が強いメロディーと、ギターを始めとしたキレの良いサウンドの絡みにハマった。土屋昌巳の色気のある歌声も自分好み。この曲だけ有名になって浮いている印象があるが、一風堂(土屋昌巳)はYMOと並んで、日本におけるニューウェーブの代表的な存在だと思う。


KOJI1200「ナウロマンティック」(1995年)
 

KOJI1200(今田耕司)の1stシングル曲。テイ・トウワがプロデュースを手掛け、芸人の音楽活動というには本格的過ぎるプロジェクトだった。今田耕司はDuran Duranを始めとしたニューウェーブ・ニューロマンティックに造詣が深いようで、サウンド面やPVにその嗜好が色濃く現れている。うねるベースや高野寛によるアバンギャルドなギターサウンドがとても格好良く、一聴しただけでハマった。時折バラエティ番組でネタにされる今田耕司の音楽活動だが、相当にマニアックかつポップな音楽を展開していたと思う。ネタ扱いだけで済まされるには勿体無い。


米村裕美「Treasure〜だいじなもの〜」(1992年)
 

米村裕美の2ndシングル曲。80年代後半〜90年代中頃のガールポップを深掘りしていく中で米村裕美に出逢った。優れたメロディーセンスとふわふわした歌声に魅かれたが、その中で最も好きな曲がこの曲。どこまでもポップなメロディーと、シンセを随所に織り交ぜたキラキラしたサウンドがたまらない。この曲については初めて聴いた時期も良かった。大学受験で失敗してばかりの自分に、サビの「どんなところにたどり着いても 君は君だよ」という歌詞があまりにも優しく響き、何か救いを求めるようにこの曲ばかり聴いていた。そのため、「2018年に出逢ったベストオブベストソング」のようなものを決めるとすればこの曲になると思う。


山口由子「Smile Again」(1996年)
 
↑(4:09頃〜)

山口由子の5thシングル曲(シンガーソングライター転向後)。山口由子の作品は昨年に入手していたが、それはこの頃とは路線が異なり、それほどハマらなかった。今作の頃は「ZARDみたいな路線」を突き進み、山口由子の歌声の魅力が生かされた曲ばかり。どの曲も自分好みで、この曲が収録されたアルバム「COVERGIRL」もすぐに大好きな作品になった。中でもこの曲が一番好き。聴けばすぐに耳に馴染む、キャッチーを極めたようなメロディーがたまらないポップナンバー。「COVERGIRL」を入手したきっかけはこの曲にあると言っていい。初めて聴いた時の感動は相当なものがあった。90年代ガールポップを代表する名曲だろう。


the OYSTARS「なんか幸せ」(1997年)


the OYSTARSの4thシングル曲。the OYSTARSは2年前に1stアルバム「a Ragbaby」を入手して、その人懐っこくて温かみのあるポップスの数々にハマった。この曲が収録された2ndアルバム「STUDIO LIFE」を入手する前から聴いていたが、入手してからさらにこの曲が好きになった。日常の何気ない幸せに気付くことの大切さを教えてくれる詞世界や、思わず口ずさみたくなるメロディーがたまらない。今ではthe OYSTARSの中で最も好きな曲となった。これからもこの曲に励まされるのだろう。


Instant Cytron「しあわせな時間」(1995年)
 

Instant Cytronの2ndシングル曲。Instant Cytronの作品を探すようになったきっかけはこの曲にあったと言える。多幸感に満ちたポップナンバー。何度でも聴いていたいと思うような心地良さを持ったメロディーやサウンド、可愛らしさと儚さのある片岡知子の歌声には初めて聴いた時からずっと魅かれている。この曲を聴いている時はまさしく「しあわせな時間」だ。この曲が収録された「Change This World」もまた、素晴らしい完成度を誇る名盤。今年は好きな女性ボーカルに数多く出逢えた年だったが、Instant Cytronもその顕著な例。


3月…

原田真二「永遠を感じた夜」(1985年)
 

原田真二の18thシングル曲。原田真二は一般的にはデビュー当初の曲のイメージが強いが、自分は80年代中頃〜後半の彷彿とさせるエレクトロファンク路線が好きだ。「Princeか?」と思ってしまうほどの曲ばかりの時代で、この曲はその頃の作品。力強いドラムやキレの良いギター、シンセの凝った音作りに引き込まれた。そして、キャッチーそのものなサビに圧倒された。凝った部分と親しみやすい部分とのバランスが絶妙で、それがエレクトロファンク期の原田真二が好きな理由と言える。


I WiSH「明日への扉」(2003年)↓川嶋あいとしてのライブ映像(削除されてます。ご了承ください。)
 
川嶋あい「旅立ちの日に」(2006年)
 

I WiSHのデビュー曲。物心ついた頃のヒット曲だけあって、意識せずとも聴き覚えはあった。ふと聴きたくなってアルバムを入手し、この曲の良さを再認識した。イントロからもう感動してしまった。終始鳥肌をおっ立てながら聴き、聴き終えた頃には涙目になっていた。
この曲の原曲だという川嶋あい「旅立ちの日に」(川嶋あいの8thシングル)もまた、高校の卒業式前後の自分の心に響いた。色々と楽しかったとはいえ、歌詞で描かれたような眩しいほどの高校生活ではなかったのに。むしろ真逆。現実が違ったからこそ、この曲が心に沁みたのだろうか。


大原ゆい子「言わないけどね。」(2018年)
 

大原ゆい子の5thシングル曲。タイアップ相手のアニメを見ていたわけではないので、何がきっかけでこの曲に出逢ったかは覚えていない。ただ、初めて聴いてからすぐに好きになり、その数日後にはシングルを購入していた。柔らかく透明感のある歌声と、どこか懐かしいポップなメロディーが好みだった。何より、ぎこちない恋模様が浮かぶ歌詞にハマった。教室が舞台になっているので、高校生活を終えたばかりというタイミングでこの曲に出逢った自分は悶々としながら聴くのみだった。「もう少し早く出逢っていればなあ…」と思ったのはこの曲くらい。


D-project「夏のリトグラフ」(1993年)
 

D-projectの3rd(ラスト)アルバム「PAGES」の収録曲。ジョー・リノイエ率いるニューウェーブユニットとしてデビューしたが、最終的にシティポップ・AOR色の強い作風となった。その頃の作品。洗練された美しいメロディーと聴き心地の良いサウンドに、ジョー・リノイエの渋く甘い歌声が映える。今年の夏は清涼感を求めてこの曲ばかり聴いていた。作編曲家・プロデューサーとしてのジョー・リノイエしか知らなかっただけに、その歌声にはかなりの驚きがあった。「もっと自分で歌えよ」と思ったくらい。割と真剣に理想の男性ボーカルの一人。


田嶋里香「My Friend」(1996年)
 

田嶋里香の6thシングル曲。よりディープなガールポップ作品を探していく中で田嶋里香に出逢い、この曲に恋した。自分が思う理想の女性ボーカルの一人が田嶋里香なのだが、この曲を初めて聴いた時の衝撃はかなりのものだった。聴いたその日に何度もリピートし、次々に他の曲を探していた。オリジナルアルバム2作をすぐに入手し、ツイッターやブログで「90年代ガールポップの傑作」などと騒ぎ立てるほどにハマった。それくらいこの曲のメロディーやサウンド、歌声が自分好みだった。


Contrary Parade「エイプリルシャワー」(2013年)
 

Contrary Paradeの1stフルアルバム「アイネ クライネ リヒトムジーク」の収録曲。90年代後半のネオ渋谷系やギターポップ系のアーティストを彷彿とさせる作風にハマった。特に好きな曲がこの曲。高揚感に満ちたポップナンバー。疾走感や広がりのあるサビのメロディーや、バンドサウンドとストリングスを織り交ぜた聴き心地の良いサウンドは自分の好みそのものだった。この曲もまた、初めて聴いた時期が良かったと思う。高校から大学と環境が変わり、いつもとはまた違った心持ちで4月を迎えようとしていた当時の自分を優しく包み込んでくれる感覚があった。


スターダストレビュー「Northern Lights-輝く君に-」(1989年)
↓ライブ映像
 

スターダストレビューの15thシングル曲。スタレビは長らく「夢伝説」「今夜だけきっと」「木蘭の涙」くらいしか知らなかったが、ニワカを脱却しようと思うきっかけになったのがこの曲。疾走感のあるポップナンバー。キャッチーかつ力強いサビの高揚感は相当なもので、何度でも聴きたくなる。根本要の突き抜けるようなハイトーンボイスも圧巻で、ライブの盛り上げ担当の定番というのも頷ける。スタレビについては長らく「ちゃんと聴けばハマる」と思っていただけに、「ちゃんと聴く」きっかけになったこの曲との出逢いは大きかった。


飯島真理「ひみつの扉」(1983年)
 

飯島真理のシングル「きっと言える」のB面曲。飯島真理は長らく「愛・おぼえていますか」しか知らず、そもそもシンガーソングライターだったことも知らないくらいだった。80年代を深堀りしようとした時に1stアルバム「Rosé」を入手し、その中で一際異彩を放つファンキーなこの曲にハマった。ホーンや後藤次利によるベースの格好良さが尋常ではない。メロディー自体もとてもポップで、飯島真理のメロディーセンスを実感させてくれる仕上がり。「Rosé」そのものもかなりの名盤であり、広めたいと思う。

 
森丘祥子「唇にラズベリー」(1990年)
↓38秒頃〜
 

森丘祥子(柴田くに子)の1stシングル曲。この曲が収録された1stアルバム「Pink&Blue」は、これまたマニアックなガールポップものを探す中で見つけた。歌声が好みのどストライクであり、アルバムを聴いていてニヤニヤしてしまうほどだったが、オープニングを飾ったこの曲が特に好き。開放感のあるポップナンバー。曲を通して前面に出た、この頃特有の柔らかいシンセの響きとふわふわした歌声の絡みがたまらなく心地良い。この曲がオープニングだった以上、森丘祥子にハマったのは必然だったのではと思う。


4月…

比屋定篤子「まわれ まわれ」(1998年)
 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm22602171

比屋定篤子の4thシングル曲。恐らく本来の音楽性はボサノバやジャズ、沖縄の伝統音楽だと思うが、この曲が収録された2ndアルバム「ささやかれた夢の話」の頃はユーミンや大貫妙子といった70年代のシティポップを彷彿とさせる作風。その2ndアルバムを入手しようと思ったのは、この曲に影響されたからだった。優しく温もりのある比屋定篤子の歌声と、都会的で洗練されたメロディーや演奏の絡みがとても心地良い。近年では再発されたりコンピレーションアルバムに収録されたりと再評価されているようだが、それも頷ける名曲だと思う。


高野寛「Portrait」(2017年)
↓ 35秒頃〜1:06頃
 

高野寛の14thアルバム「Everything is Good」の収録曲。昨年リリースだが、時期を逃して今年の4月に入手した。どの曲も気に入ったのだが、高野寛の作品の中で自分が一番好きな「RING」の頃を意識して作ったというこの曲にハマった。瑞々しさのあるポップなメロディーと勢いのあるバンドサウンドが絡めば外れるはずがない。それでいて、一筋縄ではいかないひねくれたメロディーはまさに「RING」の収録曲「カレンダー」や「BLUE PERIOD」のよう。改めて高野寛に惚れ直した名曲。


斉藤和義「月影」(1997年)
 https://www.dailymotion.com/video/xpvf77

斉藤和義の6thアルバム「Because」の収録曲。斉藤和義はスターダストレビューと同じく「ちゃんと聴けばハマる」枠にいたアーティストで、長らく続いたニワカ状態から抜け出そうと思う原動力になったのがこの曲。非常にシンプルなフォークロックなのだが、その分メロディーが際立つ。心の奥底に沁み渡っていくような、切なく叙情的なメロディーに魅かれた。哀愁漂う詞世界と歌声も素晴らしい。「十年前にもしもちょっと行けるのなら 何をしようかな」という一節が大好き。ついついその頃の思い出を振り返りつつ感傷に浸ってしまう。寝る前に聴くとなおさらこの曲が心に沁みる。


HKT48「最高かよ」(2016年)
 

HKT48の8thシングル曲。底抜けに明るいポップナンバー。MIXを始めとしたコールが随所に盛り込まれているのが特徴。そのテンションのおかげで、聴く度にぶち上がってしまう。人に聴かせられるクオリティでないのは重々承知だが、この曲にハマってからはヒトカラだろうが誰かと行った時だろうがカラオケの1曲目はいつもこの曲。ドルオタの気が無い人がいようが関係ない。そして、テンションがぶち上がった状態で以降も展開していく。
この曲を初めて聴いたのはリリース当初にHKT48が出演していたMステの回だったが、その時は見ていて恥ずかしくなってトイレに駆け込んだほどだった。それを今ではありがたがるように聴いているのだから不思議な話だ。


5月…

佐藤博「I Can’t Wait」(1982年)
 

佐藤博の4thアルバム「awakening」の収録曲。80年代におけるシティポップ・AORの名盤と名高い作品だけあって、かなりの完成度を誇る曲揃いだった。その中で一番好きな曲。「awakening」でフィーチャーされていたウェンディ・マシューズという女性歌手と佐藤博のデュエットによるバラードナンバー。しっとりとした美しいメロディーと、控えめながらも主張する心地の良いサウンドに引き込まれた。ウェンディ・マシューズのソウルフルな歌声と佐藤博の渋い歌声の対比もこの曲の魅力。打ち込み主体によるシティポップの良さを教えてくれた名曲。


岩下清香「新しい風」(1996年)
 

岩下清香の2ndアルバム「眠らせないで」の収録曲。Amazonでの価格を見る限りプレミアが付いているアルバムだが、中でも好きなのがこの曲。シティポップ色の強いミディアムナンバー。洗練されたメロディーと演奏が何とも心地良い。ホーンが乱れ飛び、そこからギターソロに流れていく間奏は聴きどころ。岩下清香は圧倒されるほどの美声の持ち主というわけでもないが、聴き流していても自然と歌声が印象に残る。独特な魅力を持った歌声だと思う。


かの香織「魔法にかかれ」(1995年)
 

かの香織の5thシングル曲。かの香織は鈴木祥子と並ぶ「女性ポップス職人」だと思っている。「夏よ風よ」「青い地球は手のひら」辺りを紹介しようか迷ったが、この曲にした。都会的で爽快感のあるポップナンバー。鉄壁のバンドサウンドとホーンが絡んだサウンドも自分の好みそのもの。それでいて、可愛らしさのある詞世界やボーカルが見事。かの香織は定義が曖昧とはいえ、ガールポップと渋谷系の要素を持ち合わせた数少ない存在と言える。


詩人の血「バレンタイン」(1989年)
http://sp.nicovideo.jp/watch/sm2701744 

詩人の血の2ndシングル曲。詩人の血はPINKと同様に今年新たに出逢ったバンドの中でも特にハマり、今や自分の中で普遍的な位置にある。詩人の血の「沼」に浸かるきっかけとなったのがこの曲。どの曲もマニアックでクセが強いが、この曲も同じ。ひねくれているのに美しく、かつキャッチーなメロディーには一聴しただけで心を掴まれた。シンセを始めとした凝った音作りもたまらない。バンド名と音楽性の良い意味でのギャップが印象的だった。


6月…

麻績村まゆ子「あ・こ・が・れ」(1997年)
↓再生開始〜3:48付近
 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm940133

麻績村まゆ子の1stシングル曲。ポップながらも切なさに満ちたミディアムナンバー。上品さと可愛らしさのある歌声が素晴らしい。ここまで聴き心地の良い歌声も中々無い。夏を舞台に、片想いしている時の心情が綴られた詞世界も至高。夏休みは楽しいだけでなく、何故か儚い。自分も何度となく体験してきた心情なのだが、その感覚を呼び覚ましてくれるような詞世界である。夏休みを目前に控えた6月下旬というタイミングでこの曲に出逢えて良かった。


有賀啓雄「あと1センチ傘が寄ったら」(1987年)
 

有賀啓雄の2ndシングル曲。ベーシストや作編曲家のイメージが強かったのだが、この頃にシンガーソングライター時代の作品を聴いてハマった。「Rain Dolphin」「僕の知らない雨が降る」辺りと迷った結果、この曲を紹介することとした。彼の曲はとにかく雨が降るのが特徴。それでいて、ジメジメした雰囲気は無くてむしろ爽やか。この曲はその魅力がよく現れた名バラードだと思う。「鼻詰まりか?」と思ってしまうくらいクセのある歌声だが、弱い男を描いた詞世界にはこれ以上無いほど似合う。何かと憂鬱になる梅雨時に有賀啓雄の曲に出逢えたのは幸運だった。


早川美和「blue gray」(1992年)
 

早川美和の最初で最後のシングル曲。幻想的で美しいバラードナンバー。はっきり言って、初めて聴いた時は「怖い」と思った。感動なのか恐怖なのかはわからないが、今でも終始鳥肌を立てながら聴いてしまう。しかし、メロディーやボーカルはそれでも引き込まれるだけの圧倒的な強さがある。ピアノとストリングスのみという極めてシンプルかつ力強いサウンドも。気高さすら感じられるほどの曲で、自分が今まで聴いてきたどの曲にも似ていないと思った。


Electric Light Orchestra「Twilight」(1981年)
 

Electric Light Orchestra(ELO)の9thアルバム「Time」の収録曲で、シングルカットもされた。この曲といえばドラマ『電車男』のオープニングのイメージ。小さい頃から大好きなドラマで、この曲も自然と耳にしていた。ふと思い立ってELOのベストをレンタルし、この曲と再会した。イントロから高揚感が凄まじい。サビの疾走感には思わず身体が動いてしまった。間奏ではトリップ感さえ味わえるくらいだった。今から37年前の曲なのに、何故か近未来的​な雰囲気がある。すっかりハマってしまい、それからというもの、気分を高めるために通学の際に毎回聴くようになった。小さい頃からの思い入れも考慮すると、現時点で自分の一番好きな洋楽はこの曲だと思う。


高橋徹也「真っ赤な車」(1998年)
http://sp.nicovideo.jp/watch/sm11195192 

高橋徹也の2ndアルバム「夜に生きるもの」の収録曲。全編を通して不穏な雰囲気漂う、ダークでありながらポップな作品なのだが、オープニングを飾るこの曲は疾走感溢れるロックナンバー。メロディーやサウンドはもちろんのこと、ボーカルも相当に力強い。ドライブしている姿が描かれた詞世界だが、止まったら死ぬのでは?と思ってしまうほどに異様な切迫感がある。その生き急いでいるような感覚に引き込まれてしまった。この曲を聴きながらのドライブをしてみたいが、したら大変なことになってしまいそうだ。

上半期編は以上です。2018年は今回紹介した以外にも、数え切れないほど多くの名曲に出逢えました。これからも新旧問わず沢山の素晴らしい音楽に出逢えることを願って、今回の記事を終えます。