この時期になると1年の間に起きた出来事や自分のことを振り返りたくなるものですが、音楽の話題をメインとしている当ブログではやはり音楽で振り返っていきます…という挨拶は昨年にもしましたが、今年リリースの曲はあまりにも聴いた量が少ないので「2018年のベストソング」はやりません。
「2018年に出逢ったベストソング」ということで、過去の作品を聴いた中で特にハマった曲を年代問わず紹介していきます。今年リリースの曲も僅かながら混ぜる形で。ただ、それをやるとあまりにも膨大な量になってしまうので、上半期編と下半期編で分けて紹介します。
今年初めて聴いた曲だけでなく、過去に聴いたことがあって今年その良さを再認識した曲も含んでいます。
youtubeなど動画サイトにアップされているものはそのリンクも貼っておきます。
【1月】
・角松敏生「Airport Lady」(1984年)
作詞作曲編曲:角松敏生
ブラスアレンジ:佐藤準
角松敏生の4thアルバム「AFTER 5 CLASH」の収録曲。このアルバムは前から長らく欲しかったもので、内容もそれだけの価値があるものだった。中でも特に気に入ったのがこの曲。青木智仁によるスラップベースが乱れ飛び、高らかなホーンがただでさえポップな曲の高揚感をさらに引き立てる。初めて聴いた時にはその格好良さに鳥肌をおっ立ててしまった。80年代のシティポップにおける名曲の一つであり、この曲が収録された「AFTER 5 CLASH」もそれを代表する名盤である。
・SCUDELIA ELECTRO「DAY AFTER TOMORROW」(1997年)
作詞作曲:石田小吉
SCUDELIA ELECTROの1stミニアルバム「Ultra Sonic」の収録曲。自分はベスト盤の中で聴いた。昨年末の同内容のブログで「GOOD BYE NAUTILUS-さよならノーチラス号」を紹介したが、この曲も大好き。美しく広がりのあるサビのメロディーには一聴しただけで引き込まれた。それでいてポップであり、切なさも織り交ぜられている。石田小吉は素晴らしいメロディーメーカーだと思っているが、その才能が遺憾無く発揮された名曲だと思う。
・blue tonic「激しく長い夜」(1988年)
作詞作曲:井上富雄
編曲:blue tonic
blue tonicの2ndアルバム「GUTS FOR LOVE」の収録曲。初めて聴いたのは昨年だが、作品を入手したのが今年の1月なのでここで紹介させていただく。お洒落でスリリングな雰囲気を持った曲。タイトで隙のないバンドサウンドと軽快なピアノが心地良く、初めて聴いた時から大好きな曲。blue tonicは渋谷系の黎明期に活動していたバンドだが、メンバーは後の渋谷系音楽に強い影響を与えた存在だと思う。バンド・作品共に再評価が望まれる。
・PINK「NAKED CHILD」(1987年)
作詞作曲:福岡ユタカ
編曲:PINK
PINKの3rdアルバム「PSYCHO-DELICIOUS」の収録曲。福岡ユタカや岡野ハジメ、ホッピー神山などPINKはクセのある実力派ミュージシャンが揃ったバンドだったが、バラバラな個性が絶妙なバランスで調和していた。その中でもポップ性・演奏の聴きごたえ共に凄まじい完成度を誇るのがこの曲。どこまでも広がっていくようなサビのメロディーと叫ぶようなボーカルも圧巻。今年自分が特にハマったバンドの一つがPINKだが、楽曲単位の最高傑作はこの曲だと思っている。
・ラ・ムー「夏と秋のGood-Luck」(1988年)
作詞:麻生圭子
作曲編曲:新川博
ラ・ムーの1stにしてラストアルバム「THANKS GIVING」の収録曲。ラ・ムーは「菊池桃子の黒歴史」というような扱いをされがちな印象が否めない。ただ、シティポップ・AOR、ソウルやファンクを取り入れた楽曲はどれも洗練された素晴らしいものばかりで、リリース当時よりも今の方が真っ当な評価をされるのではと思うほど。中でもこの曲が特に好き。美しくどこか気だるい雰囲気のメロディーがたまらない。ギターやホーンを始めとしたサウンド面の聴きごたえもかなりのもの。出てくるのが30年早かったバンドだと思う。
・The Trampolines「(Taking The)Easy Way Out」(1995年)
作詞作曲:Stentorp・Davidsson
編曲:The Trampolines
The Trampolinesの1stアルバム「Splash!」の収録曲。恐らくシングル曲だと思われる。トランポリンズは90年代後半にひっそり盛り上がったスウェディッシュポップブームの中心的存在のユニット。可愛らしささえ感じられる、ポップで甘いメロディーと清涼感のあるサウンドに魅かれた。ボーカルのクセの無い歌声もそうした魅力をさらに引き立てている。そのため、洋楽をそれほど聴いていない自分でもすぐにハマった。この手のジャンルは好きなので、もっと深く聴いてみたいと思う。
・SAKU「君の記憶の片隅で」(2000年)
作詞作曲編曲:SAKU
SAKUの6thシングル曲。SAKUはCALLの櫻井茂雄のことだが、CALLの曲は昨年から聴いていて大好きだった。今年になってSAKUとしての1stアルバムを聴き、その中で最も好きになった曲がこの曲。6分40秒程度とかなり長めの曲なのに、全く長さを感じないほどにメロディーやサウンド、透明感に満ちた歌声が心地良い。歌詞は恋人との別れを描いたものだが、まるで卒業ソングのように美しく爽やかに別れが描かれている。CALL時代の曲を聴いていても思うが、本当に素晴らしいメロディーメーカーである。
【2月】
・栗林誠一郎「Good-bye to You」(1991年)
作詞:高樹沙耶
作曲:栗林誠一郎
編曲:栗林誠一郎・明石昌夫
栗林誠一郎の2ndシングル曲。作家としての印象が強かったのだが、1月下旬〜2月頃に初めてシンガーソングライターとしての栗林誠一郎の作品を聴いた。AOR色の強い洗練されたサウンドと、キャッチーかつ哀愁を帯びたメロディーが諸作品の魅力だが、それらが遺憾無く発揮されたこの曲が特に好き。伸びのある甘いハイトーンボイスもこの曲ではよく映える。作曲家・栗林誠一郎は高く評価されていると思うが、シンガーソングライター・栗林誠一郎は過小評価されている感が否めない。
・一風堂「すみれ September Love」(1982年)
作詞:竜真知子
作曲編曲:土屋昌巳
http://sp.nicovideo.jp/watch/sm1807942
一風堂の6thシングル曲。SHAZNAによるカバーのイメージが強く、オリジナルは聴いたことが無かった。今年に入って80年代のニューウェーブに興味を持つようになり、その流れで一風堂のベストを入手してこの曲を聴いた。歌謡曲の色が強いメロディーと、ギターを始めとしたキレの良いサウンドの絡みにハマった。土屋昌巳の色気のある歌声も自分好み。この曲だけ有名になって浮いている印象があるが、一風堂(土屋昌巳)はYMOと並んで、日本におけるニューウェーブの代表的な存在だと思う。
・KOJI1200「ナウロマンティック」(1995年)
作詞:KOJI IMADA & TOWA TEI
作曲編曲:TOWA TEI
KOJI1200(今田耕司)の1stシングル曲。テイ・トウワがプロデュースを手掛け、芸人の音楽活動というには本格的過ぎるプロジェクトだった。今田耕司はDuran Duranを始めとしたニューウェーブ・ニューロマンティックに造詣が深いようで、サウンド面やPVにその嗜好が色濃く現れている。うねるベースや高野寛によるアバンギャルドなギターサウンドがとても格好良く、一聴しただけでハマった。時折バラエティ番組でネタにされる今田耕司の音楽活動だが、相当にマニアックかつポップな音楽を展開していたと思う。ネタ扱いだけで済まされるには勿体無い。
・米村裕美「Treasure〜だいじなもの〜」(1992年)
作詞作曲:米村裕美
編曲:亀田誠治
米村裕美の2ndシングル曲。80年代後半〜90年代中頃のガールポップを深掘りしていく中で米村裕美に出逢った。優れたメロディーセンスとふわふわした歌声に魅かれたが、その中で最も好きな曲がこの曲。どこまでもポップなメロディーと、シンセを随所に織り交ぜたキラキラしたサウンドがたまらない。この曲については初めて聴いた時期も良かった。大学受験で失敗してばかりの自分に、サビの「どんなところにたどり着いても 君は君だよ」という歌詞があまりにも優しく響き、何か救いを求めるようにこの曲ばかり聴いていた。そのため、「2018年に出逢ったベストオブベストソング」のようなものを決めるとすればこの曲になると思う。
・山口由子「Smile Again」(1996年)
作詞作曲:山口由子
編曲:葉山たけし
コーラスアレンジ:武部聡志
↑(4:09頃〜)
山口由子の5thシングル曲(シンガーソングライター転向後)。山口由子の作品は昨年に入手していたが、それはこの頃とは路線が異なり、それほどハマらなかった。今作の頃は「ZARDみたいな路線」を突き進み、山口由子の歌声の魅力が生かされた曲ばかり。どの曲も自分好みで、この曲が収録されたアルバム「COVERGIRL」もすぐに大好きな作品になった。中でもこの曲が一番好き。聴けばすぐに耳に馴染む、キャッチーを極めたようなメロディーがたまらないポップナンバー。「COVERGIRL」を入手したきっかけはこの曲にあると言っていい。初めて聴いた時の感動は相当なものがあった。90年代ガールポップを代表する名曲だろう。