前回の続き。今年リリースの曲はあまりにも聴いた量が少ないので「2018年のベストソング」はやりません。
「2018年に出逢ったベストソング」ということで、過去の作品を聴いた中で特にハマった曲を年代問わず紹介していきます。今年リリースの曲も僅かながら混ぜる形で。ただ、それをやるとあまりにも膨大な量になってしまうので、上半期編と下半期編で分けて紹介します。
今年初めて聴いた曲だけでなく、過去に聴いたことがあって今年その良さを再認識した曲も含んでいます。
youtubeなど動画サイトにアップされているものはそのリンクも貼っておきます。

7月…

Oh!Penelope「I’M GONNA MISS YOU」(1997年)

Oh!Penelopeの唯一のフルアルバム「Milk&Cookies」の収録曲。Oh!Penelopeは詩人の血のボーカル・辻睦詞とギター・渡辺善太郎によるユニット。「Milk&Cookies」は様々なジャンルを取り入れたバラエティ豊かなポップスを楽しめる名盤だが、その中で一番好きな曲がこれ。お洒落な雰囲気溢れるポップナンバー。アコースティックなサウンドと、洗練されたメロディーとの絡みがとても心地良く、一聴しただけでハマった。辻睦詞特有のよく伸びる高音も冴え渡り、それもこの曲のポップ性を引き出しているのではと思う。​この曲及びアルバムが渋谷系の名盤として再評価されることを願っている。


SPANK HAPPY「鉄の馬と女」(1995年)


SPANK HAPPYの1stフルアルバム「FREAK SMILE」の収録曲。疾走感のあるポップナンバー。この頃のSPANK HAPPYは一癖も二癖もある詞世界やサウンドを展開しつつ、それでもポップな曲を得意としていた。ハラミドリの無邪気さと狂気の両面を併せ持ったボーカルも大きな特徴。ただ、この曲は素直にポップな曲という印象。イントロの駆け回るようなキーボードから引き込まれてしまう。それ以降はギターポップのようなサウンドとなるが、そちらもまた爽快感があって良い。クセが強いのに決して取っ付きにくくはない。SPANK HAPPYは絶妙なバランス感覚を持っていたと思う。


8月…

大橋利恵「Sleepless Summer」(1997年)
 

大橋利恵の1stアルバム「Realize」の収録曲。アルバムは五十嵐充がプロデュースを手掛けており、作風は当時のELTそのもの。その頃のELTが好きな自分は違和感無く聴けてすぐにハマったが、中でも特に好きなのがこの曲。爽快感のあるポップナンバー。キャッチーなメロディーにシンセ主体のサウンドはまさに当時の王道。ところどころで坂井泉水のように聴こえる歌声も印象的。タイトル通り夏にふさわしい清涼感を持った曲だ。


加藤いづみ「Snow Bird」(1995年)
 

加藤いづみの11thシングル曲。爽やかかつ多幸感のあるポップナンバー。スキーで勢い良く滑走しているような感覚のあるメロディーがたまらない。聴いていると不思議とワクワクしてくる。↓以下は極私的な話。
加藤いづみはとあるフォロワーの大好きなアーティストというイメージが強い。今でも加藤いづみに対しての熱量は自分よりフォロワーの方が上。その方とお会いした際、この曲を仕事前に聴いてやる気を出すという旨の話を耳にした。その影響を受けて、この曲を通学途中に聴くようになった。この曲に強くハマったのはそれ以降。それまでは普通の好きな曲程度だった。やはりそのフォロワーさんの熱量には勝てない。


あいみょん「マリーゴールド」(2018年)
 

あいみょんの5thシングル曲。あいみょんは昨年のベストソングの記事で「君はロックを聴かない」を紹介した。ただ、正直なところ「へ〜、あいみょんって言うんだ。良いじゃん」くらいの感想だった。そう思っていた自分をぶん殴ってきたのがこの曲。「今夜このまま」と迷ったが、やはりこちらを紹介する。初めて聴いた時、イントロからして「きた…!」と思った。この曲を聴き終えた時、その予感は間違いではなかったと確信した。ここまでサビがポップで美しい曲もそうは無い。感動のあまり全身をぞわぞわさせながら聴いていた。もう既にアルバムのリリースを心待ちにしている自分がいる。


小川博史「ハイウェイ ドライバー」(1992年)
 

小川博史の1stシングル曲。シングル2作・アルバム1作で活動を終え、今は織川ヒロタカ名義で活動している。唯一のアルバム「You Love Me」は90年代シティポップの隠れた名盤とされていて自分も好きな作品だが、そのオープニング曲であるこの曲が特に好き。サビまでは静かに進んでいくが、サビになると一気に盛り上がる。高速道路を優雅に走っているような感覚になれる。現時点で免許も持っていない自分が言うのも難だが。透明感のある甘いハイトーンボイスもこの曲の爽快感を演出していると思う。


9月…

ロッキンチェアー「思い出はいらない」(2000年)
 

ロッキンチェアーの1stシングル曲。わずかシングル2作で活動を終えたバンドだが、J-POPの模範のような曲を生み出した。2ndシングル「レター」は昨年に入手して既に好きな曲。ただ、どちらかというとこちらの方がハマった。煌めきさえ感じられるほどにポップなメロディーと、どことなく感じられる切なさ。ギターメインのシンプルなバンドサウンドを主体に、ストリングスをバランス良く取り入れたサウンド。ただただ素晴らしい。聴き惚れるのみだった。自分はなんだかんだ言って王道なポップスが好きだったようだ。それを再認識した。


AKB48「引っ越しました」(2010年)
 

AKB48のチームKの6th公演「RESET」のラストを飾る曲。繊細かつポップなメロディーが心地良いミディアムナンバー。「AKBの真のオリジナルアルバムは劇場公演アルバムだ」という言葉をよくフォロワーさんから聞いていた。その言葉の意味を理解し、劇場公演アルバムを揃えようと思ったのはこの曲との出逢いが大きかった。別れた彼女に自分が引っ越したことや、まだ好きでいることを伝えようとする歌詞が何とも切ない。それを支えるメロディーやサウンドもまた、数多く聴いてきたつもりのAKBの曲の中でも上位に来るほど好き。ヒトカラで思いついたように歌い、その途中で何故か泣きそうになったことを思い出す。


NMB48「想像の詩人」(2014年)
↓ライブ映像
 

NMB48の2ndアルバム「世界の中心は大阪や〜なんば自治区〜」の劇場盤に収録された、当時の研究生による曲。壮大なバラードナンバー。サビのメロディーの高揚感と美しさが凄まじく、初めて聴いた時の感動は相当なものだった。AKBの「永遠プレッシャー」や「11月のアンクレット」などを聴いた時にも思ったが、作曲者の丸谷マナブはやはり天才だ。
秋元康が研究生に送ったように思える、真っ直ぐなメッセージが綴られた歌詞も素晴らしい。NMBはどうしてもノリの良い曲やふざけたような曲が多いように思ってしまうかもしれないが、そう思っている方にこそ聴いていただきたい名曲。


大沢誉志幸「彼女はfuture-rhythm」(1985年)
 

大沢誉志幸の6thシングル曲。自分が初めて入手した大沢のオリジナルアルバム「in・Fin・ity」のオープニング曲で、この曲から早速引き込まれた。曲を通して前面に出ている岡野ハジメのベースが格好良くて仕方がない。意識せずとも身体が動いてしまう。ベース以外にもキーボードとドラムはPINKのメンバーであるホッピー神山と矢壁アツノブが担当しており、演奏の聴きごたえはかなりのもの。「そして僕は途方に暮れる」の影響でバラードシンガーとばかり思っていたが、大沢誉志幸の本流はファンクであることを再確認させてくれた曲。


岩﨑元是&WINDY「サヨナラ、君のロンリネス」(1986年)
 

岩﨑元是&WINDYの2ndシングル曲。彼らはフィル・スペクターや大滝詠一を思わせるど直球なウォール・オブ・サウンドを展開したポップバンド。岩﨑元是の歌声が杉山清貴に似ているのも特徴。この曲はオリジナルアルバムには未収録で、2012年発売の全曲集「The all songs of WINDY」でやっと収録された形。切なく懐かしい雰囲気を持ったミディアムナンバー。小細工の無いストレートにポップなメロディー、キーボード主体のカラフルなサウンドがたまらない。80年代のシティポップが色々と再評価されている中、岩﨑元是&WINDYは未だに知名度そのものが低い印象が否めない。いつ再評価されてもおかしくないと思うが…


Prefab Sprout「Hey Manhattan!」(1988年)
 

Prefab Sproutの3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」からの4枚目のシングル曲。ソウルやAORのテイストを感じさせるミディアムナンバー。洋楽で好きな曲はあっても、好きなアーティストとなると少ない。数少ない好きな洋楽バンドとなったのがPrefab Sprout。ハマったきっかけがこの曲。幻想的なシンセの音色と流麗なストリングスで曲を盛り上げ、サビは一気に高揚感に溢れたメロディーとウェンディ・スミスの透き通ったコーラスを聴かせてくれる。パディ・マクアルーンは天才的なメロディーメーカーだと思った。今後ももっと聴き込みたい。


高橋幸宏「IT’S GONNA WORK OUT(きっとうまくいく)」(1982年)
 

高橋幸宏の4thアルバム「WHAT,ME WORRY?」の収録曲。自分は今作を聴くより前に、前作である「NEUROMANTIC」を聴いていた。そちらも大好きな作品だが、こちらはさらに超えてきた。前作の陰のある作風からガラリと変わり、明るさのある曲。メロディーそのもののポップ性ももちろん、E-BOWなる機材を使ったギターが前面に出ており、近未来的な雰囲気さえ感じられるサウンドが非常に格好良い。高橋幸宏特有の、機械のように精密なドラミングも冴え渡る。
もし「日本におけるニューウェーブの名曲は?」という質問が来たとしたら、自分はこの曲を挙げるつもりだ。


新川忠「カミーユ・クローデル」(2015年)
 

新川忠の3rdアルバム「Paintings of Lights」の収録曲。80年代のニューウェーブ・シンセポップを現代に蘇らせたような作品で、この曲はそのリード曲的な存在。タイトルはフランスの女性彫刻家の名前から取られているという。美しいメロディーが心地良いミディアムナンバー。曲全体で聴こえる、聴き手を包むようなシンセパッドがたまらない。繊細さを感じさせる新川忠の美声もこの曲の心地良さを引き出している。リアルタイムで80年代の音楽を聴いていない世代の方が、この曲及びアルバムをフラットな状態で聴けるかもしれない。


Qlair「眩しくて」(1992年)
 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm23476159

Qlairの4thシングル曲。全曲集「Qlair Archives」を入手し、聴いた中で最も好きなのがこの曲。片想いの心情が歌われたポップナンバー。歌詞は切なくもどかしさのあるものなのに、メロディーやサウンドはタイトル通り眩しいほどにキラキラしていてポップ。そのギャップには一聴しただけでやられた。ボーカルもまた、曲の世界観を見事に表現している。90年代前半はアイドル冬の時代と言われることがあるが、その中でもここまで王道な要素を詰め込んだグループがいた。Qlairは短命に終わったが、今では「楽曲派アイドルグループの元祖」と称されることがある。それだけ優れた楽曲を多く生み出したということの証左だろう。


チェキッ娘「抱きしめて」(1998年)
 

チェキッ娘の1stシングル曲。ЯKこと河村隆一が作詞作曲を担当した。爽やかで透明感に満ちたポップナンバー。メロディーやサウンドには一回聴いてすぐにハマった。キャッチーかつ美しく畳み掛けてくるサビのメロディーは圧巻。
そして、少女漫画か?と思ってしまうほどに可愛らしい乙女心が綴られた歌詞と、それをこれ以上無いほど上手く表現したボーカルやコーラスワークもまた素晴らしい。特にサビのコーラスワークはアイドルポップの魅力が何たるかを教えてくれるよう。現実かファンタジーかわからないギリギリのところを突きつつも、とにかくキラキラした世界観は当時のЯKならでは。当時のЯKとアイドルがここまで親和性が高いとは思わなかった。


10月…

OPCELL「悲しみはオネスティー」(1995年)
 

OPCELLの最初で最後のアルバム「OPCELL」の収録曲。シンガーソングライター・作詞作曲家の山本寛太郎(OPCELLでは"KEN蘭宮"名義)、元GRASS VALLEYのキーボード・本田恭之、エンジニアの井上剛の3人組。時代に逆行して真っ向からシティポップを展開した作品だが、その中で一番好きな曲。爽快感溢れるポップナンバー。弾み上がるようなサビのメロディーがたまらない。本田恭之による幻想的かつカラフルなシンセの使い方が見事で、メロディーそのもののポップ性を引き出している印象。KEN蘭宮の粘っこいボーカルは好みが分かれると思うが、90年代シティポップの隠れた名曲と言っていいだろう。


COKEBERRY「Our Way(Is Goin’ On)」(1996年)
 

COKEBERRYの1stアルバム「Sugar Plum Fairy」のオープニング曲。ソウルやファンクの要素を取り入れたポップナンバー。正直なところ、アルバム自体にハマったかというとそうでもない。ただ、この曲が本当に好きでこればかり聴いてしまう。ボーカルのミーマの突き放すような歌い方と、洗練されたグルーヴ感のある演奏の相性は不思議とぴったり。メロディー自体も聴き流していて心地良い仕上がりで、ボーカルや演奏の魅力を高める役割を果たしている。この手のジャンルは近年人気だと思うが、発掘される日は来るのだろうか。


11月…

大江千里「たまらなく」(2002年)
 

大江千里の17thアルバム「Untitled Love Songs」の収録曲。何が理由かはわからないが、90年代後半以降の大江千里の作品はあまり聴いてこなかった。「Untitled Love Songs」は個人的に大江千里の全盛期だと思っている80年代後半を思わせる名盤だった。爽快感に満ち溢れたこのポップナンバーはそのオープニング曲。メロディーとサウンドの高揚感はかなりのものがあり、初めて聴いた時には中々次に進めないくらいだった。自分の中で定期的にやってくる大江千里の熱が呼び覚まされた。


BOØWY「B・BLUE」(1986年)
 

BOØWYの4thシングル曲。BOØWYは長らく自分でもよくわからない偏見の影響で聴いてこなかった。その偏見が解消されたきっかけは、親友がカラオケでこの曲を歌っていたこと。「普通に良いじゃん」と思ったのだろうか。曲・ボーカル共にクセが強くてとっつきにくい印象を勝手に持っていたのだが、思いの外メロディアスな曲であることや氷室京介が美声だということに驚いた。曲の随所から漂う、良い意味での時代性の強さが好印象。それ以来、BOØWYの中でもこの曲だけ何度も聴くようになった。これからはBOØWYそのものにもう少しハマっていきたい。


金運上昇Works「生きている時間」(2018年)
 

金運上昇Worksのミニアルバム「生きている時間」のタイトル曲。しっとりとしたバラードナンバー。どうやらDTMをやっている男性による女性ボーカルを迎えたプロジェクトのようで、この曲はいつもお世話になっているフォロワーさんがボーカルを担当した。最初は興味本位で聴いたのだが、歌声がびっくりするほど自分好みだった。透明感、可愛らしさ、力強さ、美しさ、凛とした雰囲気…様々な魅力を持ち合わせた歌声は「理想」そのものだった。理想の女性ボーカルは驚くほど近くにいたのだ。
今を生きる人々の苦悩に寄り添い、優しく励ますような歌詞も素晴らしい。電車が歌詞のキーワードだと思うが、電車通学の自分は特に共感をもって聴くことができた。前述したボーカルはそうした歌詞の魅力を最大限に引き出したものだった。
贔屓目を抜きにしても好きな曲。フォロワーさんのますますの活躍に期待するほかない。


12月…

8分のバニラ「ecstasy」(1995年)
 

8分のバニラの1stシングル曲。ボーカル・作詞の麻紀子、作編曲・ギターの吉野家としやによる2人組ユニット。緻密に作り込まれた奇抜なサウンドとひねくれつつポップなメロディーが魅力。ボーカルの麻紀子の可愛らしい歌声や、独特な言語センス全開の詞世界も特徴。そうした8分のバニラの魅力が発揮されたのがこの曲。18禁な詞世界とコケティッシュなラップ調ボーカルのインパクトは相当なものがあり、一聴したらもう耳を離れない。そして、何度も何度も聴きたくなってしまう。


Venus Peter「Every Planets Son」(1992年)
 

Venus Peterの2ndアルバム「SPACE DRIVER」のオープニング曲。全編英語詞による、どことなくサイケな雰囲気を漂わせたポップナンバー。サビのメロディーの開放感と中毒性は凄まじいものがあり、何度でも聴きたくなってしまう。タイトル通り宇宙的な世界観さえ感じられる。ギターやベースはグルーヴ感のある演奏で、それもまた聴いていてとても心地良い。渋谷系、ネオアコ、シューゲイザー、ブリットポップなどVenus Peterの音楽性を表す言葉は数多くあるが、この曲は彼らの代表曲と言い切っていいと思う。


SKE48「目が痛いくらい晴れた空」(2012年)
 

SKE48の9thシングル「アイシテラブル!」のC/W曲(劇場盤以外の形態に収録)。当時のSKEの研究生による曲。この曲はフォロワーがSKEの好きな曲として挙げることが多いため、それで知った。そしてやっとこの曲を聴いたわけだが、初めて聴いた時には感動のあまり身体をぞわぞわさせてしまった。なんて美しいメロディーなんだと思った。ピアノとギターを主体としたシンプルなサウンドは、メンバーの歌声を際立たせている。感動させるのに余計な小細工は必要無い。常々思っていることを再確認させてくれた。


岡田ひらり「一番愛するあなたに」(1996年)
 

岡田ひらりの1stシングル曲でアルバム未収録。岡田ひらりはマイナーなガールポップを探す中で見つけたアーティスト。シンセをふんだんに使ったサウンドが魅力的なポップナンバー。一聴してすぐに耳に馴染むサビのメロディーがたまらない。透明感があって可愛らしい歌声なのだが、その歌声はまさに自分の好みそのもの。いくらでもいそうで意外といない歌声である。今年は多くの「理想の女性ボーカル」に出逢えたと思うが、まさか一年の終わり際にも出逢えるとは思ってもいなかった。いずれはアルバムも聴いてみたい。


下半期編は以上です。2018年は今回紹介した以外にも、数え切れないほど多くの名曲に出逢えました。2019年も新旧問わず沢山の素晴らしい音楽に出逢えることを願って、今回の記事を終えます。