ether[エーテル]
レミオロメン
2005-03-09


【収録曲】
全曲作詞 藤巻亮太
全曲作曲 レミオロメン
全曲編曲 レミオロメン・小林武史
1.5.6.11.12.ストリングスアレンジ 小林武史&四家卯大
プロデュース  レミオロメン&小林武史

1.春夏秋冬 ★★★★☆
2.モラトリアム ★★★★★ 
3.春景色 ​★★★☆☆
4.アカシア ​★★★★★
5.永遠と一瞬 ​★★★★☆
6.深呼吸 ★★★☆☆
7.ドッグイヤー ★★★★☆
8.五月雨 ★★★★☆
9.コスモス ​★★★★☆
10.3月9日 ★★★★★
11.南風 ★★★★★
12.海のバラッド ​★★★☆☆

2005年3月9日発売
2009年7月15日再発
SPEEDSTAR RECORDS(ビクター・オリジナル盤)
OORONG RECORDS(エイベックス・再発盤)
最高位2位 売上40.2万枚
最高位150位 売上0.09万枚(再発盤)

レミオロメンの2ndアルバム。先行シングル「3月9日」「アカシア」「モラトリアム」「南風」を収録。前作「朝顔」からは約1年4ヶ月振りのリリースとなった。初回盤はピクチャーレーベル仕様。

ほぼ3人のバンドサウンドのみで構成され、オルタナロック色の強かった前作「朝顔」とは打って変わって、かなりポップでヒット性の高い作風になったのが特徴。小林武史のやり方を受け入れ、実践した結果だろうか。

全曲の作曲がバンド名義になっている。これは後にも先にも今作のみ。ベスト盤に今作の曲が収録された際も個人の名義に変更されている。


「春夏秋冬」は今作のオープニング曲。オープニングにしてはやや重厚感のあるミディアムナンバー。リリース当初、再生した途端に流れ出すストリングスに面食らったファンも多いのではと思う。叙情的でどことなく懐かしさを感じさせるメロディーにはついつい聴き入ってしまう。バンドサウンド主体ながら、随所でストリングスも主張している。小林武史ならではのアレンジと言ったところ。
歌詞はタイトル通り四季の光景を描いたもの。その情景や匂いまで想像できるような言葉選びが素晴らしい。全編日本語であり、言葉の響きの良さもよくわかる。
オープニング曲にして、前作までとの違いを実感させてくれるような曲である。


「モラトリアム」は先行シングル曲。テレ東系番組『元祖!でぶや』の2005年度1月期のエンディングテーマに起用された。前の曲から一転、爽快感のあるポップロックナンバー。この曲のどこを切り取っても勢いがあるわけだが、サビの高揚感は群を抜いている。思い切りかき鳴らされるギターと抜けの良いドラムの音が何とも心地良い。
歌詞の意味はよくわからないが、恋人への愛やバンドへの想いを綴ったものだと思っている。全体を通じて、少年とも大人とも断言できないような青臭い雰囲気を持った詞世界だと思う。
ギターロック色が強い曲なので、前作の作風を受け継いだ印象がある。


「春景色」は先行シングル「モラトリアム」のC/W曲。前の曲に続いて勢いの良いロックナンバー。インディーズ時代からあった曲で、当初はバラードだったという。キャッチーな中にも流れるような美しさが感じられるメロディーが見事。バンドサウンドの中でもドラムが特に存在感を放っている。詳しいことはわからないが、様々な奏法が使われていると思う。
歌詞全体としてはよく意味がわからないが、「迷い」がキーワードになっているように感じる。もやもやしたイメージの詞世界と、それをはねのけるような曲調やサウンドの対比がこの曲の面白いところ。
バラードだったというインディーズ時代のバージョンも聴いてみたい。全く印象が違って聴こえるはず。


「アカシア」は先行シングル曲。爽やかなポップロックナンバー。王道ながらもどこかひねりのあるサビのメロディーがたまらない。王道な部分とマニアックな部分との味付けのバランスが絶妙である。他の曲よりもギターサウンドが分厚い印象があるが、清水弘貴がサポートで参加しているようだ。
歌詞はメッセージ性の強いもの。「なくしてしまっても それさえ始まりなのさ」「勇気が足りないかい?それなら僕も同じさ」といった歌詞が特に好き。ここまで聴き手に優しく寄り添った言葉も中々無いと思う。
ちなみに、インディーズ時代のライブで披露されていたバージョンとは歌詞やメロディーの一部が異なる。そちらとの聴き比べも面白いのでぜひ。


「永遠と一瞬」は切なく力強いミディアムナンバー。フジテレビ系スペシャルドラマ『音のない青空』の主題歌及び
映画『太陽の坐る場所』の挿入歌に起用された。イントロやサビ前まではどこか陰を感じさせるが、サビはそれを振り払うかのようにキャッチーで訴求力に満ちたメロディーを堪能できる。メロディーやボーカルを包み込むようなストリングスがこの曲の力強さをより引き立てている。
歌詞は内省的なメッセージが綴られたもの。「僕は僕だよと呟けば ありのままでいる事は これほど難しい」という歌詞が突き刺さる。ただ、最終的には希望が見えたイメージで終わる。ストーリー性のある詞世界である。
初めて聴いた時にはシングル曲かと思ってしまったことを覚えている。今作のアルバム曲の中でもかなり好きな曲。


「深呼吸」はここまでの流れを落ち着けるバラードナンバー。フォークロックのテイストを感じさせるサウンドが展開されている。ゆったりした曲調ながら、サビは力強いものに変貌を遂げる。聴き心地の良いギターサウンドと優しい歌声の相性はぴったり。
歌詞は忙しい日々の様子とひと時の休息の様子が浮かぶもの。「きっと何事も上手くいくかいかないか分かっているけど したい事だけ解らない」という歌詞には共感するほかない。この歌詞から漂う気だるい雰囲気がたまらない。
今作の中だと埋もれてしまっている印象が否めないのだが、それでも1曲単位ではかなり好きな曲。


「ドッグイヤー」は流れを再び戻すポップロックナンバー。温かみを感じさせつつも、しっかりとキャッチーにまとめられたサビが素晴らしい。バンドサウンドの中でも、独特なギターリフが印象に残る。それがメロディーそのもののポップ性を高めているように感じる。
歌詞…というよりはタイトルに関してだが、2つの意味があると思う。まずは、雑誌(この曲で言う「旅雑誌」)のページの端を三角に折り曲げて栞代わりにする行為のこと。
次に、1年の経過の速さを表現した言葉のこと。具体的に何年の差があるかは個体によると思うが、犬の1年と人間の1年は大きく差があるとされる。歌詞はそうした2つの「ドッグイヤー」が使われているのではないか。
この曲については、メロディーや演奏以上に歌詞が印象に残っている。


「五月雨」は先行シングル「アカシア」のC/W曲。今作の中でも特に激しいギターロックナンバー。もやもやしたサビ前から一転、爽快なサビに変貌するのが特徴。サウンド面では、イントロを始めとした曲の随所で打ち込み音が使われている。ただ、全体としては生音主体。
タイトルは「さみだれ」ではなく「さつきあめ」と歌われている。その方がメロディーに合っていたのだろう。歌詞の意味はよくわからないが、雨の日の情景が浮かんでくるような繊細な描写がされているのが見事。
派手に盛り上がるような曲ではないし、聴き心地の良い曲というわけでもない。それなのについついクセになって聴きたくなってしまうのがこの曲の凄さ。「心地良い違和感」とでも言うべきか。


「コスモス」は爽やかなポップナンバー。サビの高揚感がたまらない。聴き流していても思わず心を掴まれてしまうようなメロディーである。サウンド面ではイントロのみならず曲全体を通じてグロッケンが使われているのが特徴。その影響でポップかつキラキラしたサウンドに仕上がっており、いかにもこの頃の小林武史らしいアレンジとなった。
歌詞は失恋した人の心情が綴られたものだろうか。「十五夜」「月」「コスモス」と秋を思わせる言葉が登場するが、切なく虚無感のある詞世界となっている。
メロディーやサウンドと歌詞のギャップがかなり激しいのだが、それがこの曲の大きな魅力。


「3月9日」は先行シングル曲。TBS系番組『Pooh!』2004年度3月期エンディングテーマ、フジテレビ系ドラマ『1リットルの涙』及び『音のない青空』の挿入歌に起用された。しっとりとしたロックバラードナンバー。歌い出しからサビまでの落ち着いた雰囲気から一転して、一気に盛り上がるサビのインパクトは相当なものがある。これぞレミオロメン!と言いたくなるような曲の展開である。
メンバー共通の友人の結婚式のために作られた曲であり、厳密には卒業ソングではない。ただ、現在ではそちらの需要が圧倒的に高く、卒業ソングの定番となっている。それを意識して聴くと、卒業を直接的に感じさせるフレーズが無いことがわかる。ドラマの影響力の大きさを痛感させられる。
散々聴いてきて飽きたつもりだったが、改めて聴くとやはり名曲だ。レミオロメンの代表曲というポジションは揺らがない。


「南風」は先行シングル曲。映画『亀は意外と速く泳ぐ』の主題歌に起用された。清涼感のあるポップロックナンバー。サビどころか曲全体がキャッチーだと感じるほどのメロディーには聴き惚れるばかり。今までのシングル曲とは異なり、ストリングスが全面的に導入されているのが大きな変化。バンドサウンドの中では、サビでの弾むようなベースが特に好きで、ついついそちらに集中して聴いてしまう。
歌詞は男女が楽しい時を過ごしている光景が浮かぶもの。この二人は付き合っているのか、まだそうではないのか。はっきりとわからないが、何となく男性が女性に片想いしていると解釈して聴いている。
多幸感のある詞世界とメロディー・サウンドがぴったり合っている印象。何度でも聴きたくなるような心地良さがある。


「海のバラッド」は今作のラストを飾る曲。しっとりとしたロックバラードナンバー。穏やかで優しいメロディーとボーカルには身を委ねたくなるような心地良さがある。哀愁を帯びたギターサウンドと流麗なストリングスによって、メロディーの魅力がさらに高められている。
歌詞はタイトル通り海を舞台に、恋人への想いを語ったもの。恋人と手を繋ぎながら波打ち際を歩き、色々なことを話している様子が浮かんでくる。鮮やかな描写は自分も海にいるような感覚にさせてくれる。
まさにラスト曲らしい曲という印象。地味だと言ってしまえばそこまでだが、この曲以外がラストだったら上手くまとまっていなかったのではと感じる。


ヒット作なので中古屋ではよく見かける。
ロック色の強い前作「朝顔」の作風と、以降のポップ性の強い作風との中間に位置する作品という印象が強い。ただ、1曲1曲のメロディーの強さや全体を通しての流れの良さは相当なものがあり、リリース当時ロングヒットしたというのも頷ける。曲単位だと以降の作品の方が好きなものがあるのだが、アルバム単位では今作が一番好き。レミオロメンの魅力が遺憾無く発揮された曲ばかりなので、彼らの作品を初めて聴く際にもうってつけだと思う。

​★★★★★