デラックス・コレクション
オオゼキタク
2006-07-19


【収録曲】
全曲作詞 小林夏海
1.作詞 市川喜康
6.8.作詞 オオゼキタク
7.作詞 SUNNY・オオゼキタク
全曲作曲 オオゼキタク
2.作曲 オオゼキタク・SUNNY
全曲編曲 SUNNY
サウンドプロデュース SUNNY

1.Destination ★★★★★
2.トライアングルライフ ★★★★☆
3.恋と毒薬 ★★★☆☆
4.Bye Bye Summer Girl ★★★★★
5.僕とダリアと週末に ​★★★☆☆
6.虹が丘 ★★★☆☆
7.星のドライブ ​★★★★☆
8.レモン(a cappella) ★★★☆☆
9.ロードムービースター ★★★★★
10.早春列車 ★★★★☆ 

2006年7月19日発売
ビクター
最高位不明 売上不明

オオゼキタクの2ndアルバム。先行シングル「Destination」「トライアングルライフ」を収録。前作「虹が丘」からは約10ヶ月振りのリリースとなった。

オオゼキタクは2004年にメジャーデビューしたシンガーソングライター。いつデビューしたかははっきりわからないが、その前から横浜を拠点にライブ活動をしていたり、インディーズで作品をリリースしたりしていた。TAKUの名義で活動していた時期もあったが、メジャーデビューにあたって改名した。

オオゼキタクの楽曲の魅力はメロディーと伸びやかで美しい歌声にある。フォークソングや歌謡曲からの影響を感じさせる、叙情的かつポップなメロディーが素晴らしい。様々なアプローチができるメロディーセンスは相当なもの。


「Destination」は今作のオープニングを飾る先行シングル曲。フジテレビ系ドラマ『Ns’あおい』のオープニングテーマ、tvkのweather info.の2006年2月期のBGMに起用された。
伸びのある美しいメロディーが心地良いミディアムナンバー。それでいて耳馴染みの良いメロディーが展開されている。骨太なバンドサウンドが主体となったアレンジであり、メロディーやボーカルの力強さを引き立てる役割を果たしている。
歌詞は「キミ」への想いが綴られたもの。ラブソングの体を持ちつつも、メッセージ性の強い詞世界となっている。タイトルは「目的地」を意味するが、これは「僕らの心を結ぶ地」のことのようだ。
オオゼキタクにとっての代表曲と言えるポジションにある曲だと思う。それにふさわしい、確かなメロディーの強さを持った曲である。


「トライアングルライフ」は先行シングル曲。テレビ朝日系ドラマ『富豪刑事デラックス』の主題歌に起用された。しっとりとしたバラードナンバー。落ち着いた曲調ながら、盛り上がる部分はしっかりと用意されている。こうしたところにメロディーメーカーとしての実力を感じる。サウンド面はピアノに加え、随所でトランペットやフリューゲルホルンが使われている。
歌詞は日常に寄り添った応援歌のような形。ラブソングの要素もあるが、応援歌の色の方が強く出ている。タイトルは「昨日と今日と明日」を繰り返す様を例えている。
こうしたバラードは重くなってしまいがちだが、決してそうなっていない。それは彼のメロディーによるものが大きいと言える。


「恋と毒薬」は前の曲からの流れに続いてのミディアムナンバー。甘く美しいメロディーが展開されており、それはサビでも変わらない。打ち込み主体のサウンドになっており、R&Bを思わせる部分もある。無機質な響きにならず、温かみのある音になっているのが特徴。
歌詞は片想いを諦めた人の心情が綴られている。「困らせてごめんね あなたのこと好きになったのが間違いだよね」「傷つくと知ってて 人はなぜ恋をするんだろう」といった歌詞が心に刺さる。女性作詞家ならではの鋭さを持った詞世界になった印象がある。
シングル曲が続いてから最初のアルバム曲だけに、音楽性の幅広さをアピールするような曲になっていると思う。


「Bye Bye Summer Girl」は爽快感に満ちたポップナンバー。サビまでは哀愁を帯びたメロディーが展開されているが、サビは一気に開放感のあるメロディーに変貌を遂げる。それがクセになって何度でも聴きたくなる。ピアノや打ち込みによるストリングス主体の重厚感のあるアレンジが曲に上品さを持たせている。
歌詞は青春時代の夏の恋を振り返ったもの。「あの頃は世界はもっと単純だった 未来なんて火星よりも遠く見えた」「ただ笑い合って 変わらないものを 信じ続けてた」といった歌詞が切なく響く。どうしてこうも「夏」と「青春」の組み合わせは心に沁みるのだろう。
切なさとポップ性が素晴らしい。この今作のアルバム曲の中でも特に好きな曲。


「僕とダリアと週末に」は哀愁を帯びたメロディーが展開されたミディアムナンバー。キャッチーなのにどことなく切ないサビのメロディーは職人技である。ピアノを前に出したサウンドは渋い響きを持っており、それがメロディーの魅力を引き立てている。
歌詞は恋人と旅に出ようとする男性を描いたもの。タイトルの一部「ダリア」は一切登場しない。ただ、旅とは行っても大層なものではない。「ひとつ手前の駅で降りてみる」とあるように、極めて日常的なもの。ただ、こうした小さな旅は実際にやってみるととても楽しい。それを再認識させてくれるような詞世界だ。
こうした日常を切り取った詞世界とオオゼキタクの歌声の相性はとても良い。


「虹が丘」は前作のタイトル曲のニューバージョン。前作に収録されていたのは50秒くらいのインストだったが、こちらは歌詞がついて曲自体も2分50秒ほどに伸ばされている。懐かしい雰囲気を持ったメロディーに引き込まれるバラードナンバー。全体を通してそうしたメロディーが展開されている。ピアノやエレピで構成されたサウンドはボーカルを際立たせている。
歌詞は主人公が育った街への想いが綴られたもの。「バス停も 錆びた街灯も かくれんぼした路地裏も 色褪せながら 今も そこに生きてた」という歌詞が好き。
誰しもが持つ昔の地元の記憶が蘇るような曲になっていると思う。


「星のドライブ」は先行シングル「Destination」のC/W曲。重厚感のあるロックバラードナンバー。AORの要素も感じられる、力強さと美しさを持ったメロディーが展開されている。バンドサウンドと同じくらいエレピも目立っており、それが曲の美しさを演出している。
歌詞はもタイトルから想像できる通りのロマンティックなもの。月や星、夜を思わせるフレーズが多く登場するが、全体としてはラブソングの形となっている。伸びやかな歌声で思い切り歌い上げるボーカルがこうした詞世界によく合う。
メロディーやサウンドが自分好み。C/W曲というには少々勿体ないくらい。


「レモン(a cappella)」は前作の収録曲のアカペラバージョン。ライブでも人気のある曲だったという。甘く切ないメロディーが魅力的なポップナンバーだったが、こちらはタイトル通りのアカペラ版。曲に入ったコーラスは全てオオゼキタク自らによるものらしいが、とても一人で歌っているとは思えないくらい多彩な歌い方をしている。そこに驚かされる。やはりオリジナルバージョンが一番なのだが、これはこれで良い。


「ロードムービースター」は先行シングル「トライアングルライフ」のC/W曲。tvkの第88回全国高等学校野球選手権神奈川大会の中継テーマソングに起用された。爽やかなポップロックナンバー。焦燥感を煽られるような、スピード感に満ちたサビは今作の中でも随一の存在感がある。シンプルなバンドサウンドはこうした曲調にはぴったり。
歌詞はスクーターで走る人が描かれている。「同じ場所で 足踏みしてる そんな生き方選びたくない」という歌詞はかなりメッセージ性が強い。自分は無性にどこか遠出したくなる時があるのだが、そうした気持ちにさせられるような詞世界だ。
描かれたものは違えど、タイアップ相手のイメージに沿った名曲という印象。こちらが表題曲でも何ら違和感が無かっただろう。


「早春列車」は先行シングル「Destination」のC/W曲。叙情的なメロディーが心地良いポップナンバー。唱歌のような親しみやすさを持ったメロディーが終始展開されている。バンドサウンドと打ち込みによるストリングスの絡んだサウンドはメロディーに寄り添うかのよう。
歌詞は恋人と別れた男性の心情が綴られたもの。相手は夢を追って地元を離れたようだ。「いつだって大事なものは 遠い場所にある気がした」「君のいない明日に すこしずつ慣れてく…」など、切なさに溢れた言葉が次々と登場する。
作詞家は違えど、こうした感覚を持った曲はオオゼキタクの王道だと思う。この曲で今作を締めたのは好采配。


あまり売れた作品ではないので、中古屋ではたまに見かける程度。
インディーズ時代も含めた、オオゼキタクの集大成というような味わいを持った作品だと思う。ポップ、切なさ、懐かしさ…オオゼキタクの曲の持つ様々な魅力がしっかりと表現されており、タイトルも確かな説得力を持っている。
正直なところ、インディーズ時代の作品の方が好きな曲が多いのだが…入手のしやすさはこちらの方が上。今作を起点にして聴き始め、ハマったら過去の作品をあたるのが良いと思う。

★★★★☆