Come Rain Or Come Shine
paris blue
1994-12-01


【収録曲】
全曲作詞 谷口實希
全曲作曲 日比野信午
全曲編曲 岡本洋
プロデュース 多田勉

DISC1

1.パパに会う日 ★★★★★
2.その手につかまえて ★★★★☆
3.近くにいるから〜帰れなくてもいいな ★★★★★

DISC2

1.あなただけ愛して ★★★★☆
2.ある愛のかたち ​★★★☆☆
3.恋はなぜに ★★★☆☆

1994年12月1日発売
BMGビクター
最高位不明 売上不明

Paris Blueの2ndミニアルバム。先行シングルは無し。前作「going to a go-go それ行けPB」からは約6ヶ月振りのリリースとなった。初回盤は三方背BOX入り仕様・B2サイズのポスター封入。

Paris Blueは1992年にデビューし、1996年に活動を休止した2人組ユニット。ボーカル・作詞の谷口實希、コーラス・作曲・編曲の日比野信午から成る。日比野信午はたまにサックスも演奏する。ユニット名の表記に関しては「PARIS BLUE」「paris blue」「パリスブルー」と様々な表記があるが、当ブログでは「Paris Blue」で統一する。
Paris Blueの活動休止後、谷口實希は谷口美紀名義でソロデビューしてシングルを1枚リリースしたが、その後は行方知れず。日比野信午は作曲家や編曲家として活動しているが、体調のせいか精力的な活動ができているとは言えない状態。

Paris Blueは「新時代のアコースティックサウンド」を標榜し、フレンチポップやシティポップ・AORを取り入れたお洒落なポップスを得意としたユニットである。谷口實希の甘く可愛らしい歌声と、日比野信午のハイトーンボイスを生かした透明感のあるコーラスワークが魅力的。

Paris Blueのアルバムは曲名から取られていることが多いが、今作はジャズのスタンダードとして有名な同タイトルの曲が元ネタ。サブタイトルの「降っても晴れても」はその曲の邦題である。

今作は3曲入りCDの2枚組によるミニアルバムという特殊な作品。ポップで可愛らしい曲が揃ったDISC1と、しっとりとした曲が揃ったDISC2で分かれている。日比野曰く「フルアルバムに入れにくかった性格の極端な曲を集めました。」とのこと。
記事の見出し画像は初回盤のボックスだが、本来のジャケットはこのような感じ。
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↑ピーナッツの着ぐるみを着たメンバー二人というジャケット。日比野曰く、これは「ピーナッツのように、ふたつがワンパッケージ」という意味を込めたものだという。


「パパに会う日」は爽快なポップナンバー。ホーンや弾むようなピアノが前面に出たサウンドはとても明るく、メロディーそのものの持つポップ性をさらに高めている。
タイトルだけ見ると娘が久し振りに父と会う様子を描いたものかと思うが、実際には結婚の許しを得るために彼氏を連れて実家に帰る様子が描かれている。緊張している彼氏の姿が浮かんでくるような、コミカルな詞世界となっている。
サビ終わりの「パパをくどいて」という部分での甘えたような歌い方には思わずニヤニヤしてしまう。この手の曲では谷口の歌声がよく映える。


「その手につかまえて」は爽やかなポップナンバー。ピアノやシンセが主体となったサウンドは軽快なメロディーにはよく似合う。聴き流していてとても心地良いメロディーやサウンドである。
歌詞は既に彼女がいる男性に片想いしている女性の心情が綴られている。タイトルのフレーズはその相手に望んでいること。想像しているだけでも重いシチュエーションだが、メロディーやサウンドの影響でそこまで重くなっていない。
メロディー・サウンドと歌詞のギャップが中々に激しい曲となっている。


「近くにいるから〜帰れなくてもいいな」は1曲扱いではあるが、メドレー形式の曲。近くにいるから」は4分15秒程度、「帰れなくてもいいな」は3分20秒程度の曲。
「近くにいるから」はしっとりした始まり方だが、サビで一気に盛り上がるタイプのポップナンバー。バンドサウンドだけでなくストリングスやホーンも使われており、かなり豪華なアレンジとなっている。
歌詞は「あなた」を励ますようなメッセージが綴られたもの。「いつでも近くにいるから あなたの近くにいるから」という歌詞が優しく響く。谷口實希の歌声が好きならまずやられてしまうであろう歌詞。聴いていると肩の荷が下りるような感覚がある。


「帰れなくてもいいな」はここまでの曲と比べて少し落ち着いた印象のあるミディアムナンバー。この曲もストリングスやホーンが多用されたアレンジであり、分厚いサウンドが展開されている。
歌詞はドライブデートの帰りの車中、渋滞している高速道路…というシチュエーション。「ずっとここに二人きりならば 帰れなくてもいいな」という歌詞はかなりのインパクトがある。そう思ってしまえる主人公も凄いし、そこまで思わせるほどの相手も凄い。
ミディアムナンバーながら、ここまでポップな曲が並ぶとしっとりした曲にさえ感じられる。


「あなただけ愛して」はDISC2のオープニング曲。AOR色の強いミディアムナンバー。甘く美しいメロディーが展開されており、それはサビでも変わらない。ピアノや打ち込みによるストリングスが使われたサウンドはメロディーに寄り添うイメージがある。
歌詞は本命ではない男性と愛し合う女性の想いが綴られている。「男には芝居する女を見破れないの? 感じてるふりなんて簡単なのに」という歌詞が男には刺さる。実体験が盛り込まれていたら…?と妄想してしまうと尚更突き刺さる。
DISC1から続けて聴くと、谷口の歌声の魅力がよくわかる。こちらでは艶のある歌声を楽しめる。


「ある愛のかたち」はグルーヴ感のあるサウンドが展開されたミディアムナンバー。畳み掛けるようなサビはかなり耳に残る。シンセベースや打ち込みによるホーンが主体となったサウンドだが、生音にも引けを取らない力強さがある。
歌詞は前の曲とは打って変わって、浮気されている女性の心情が描かれている。「裏切られていても信じていたいのよ」という歌詞がどこか虚しく響く。二人は結局どうなるのだろうか…?
前の曲と主人公の立場が真逆になっているのが面白いところ。作詞家としての谷口の実力が発揮されているように思う。


「恋はなぜに」はしっとりとしたバラードナンバー。ピアノや打ち込みで構成されたサウンドだが、それらはあまり主張していない。メロディーやボーカルを際立たせるようなアレンジ。ゆったりと流れていくような感覚のあるメロディーはとても心地良い。
歌詞は失恋した女性の心情を描いたものだろうか。「恋はなぜに はかなく消え そしていつも さまよえる」という歌詞は達観してしまったような感じ。前の曲からの流れを意識して聴くと、一つのストーリーになっているとも思える。
ラストは穏やかな終わり方をする。ミニアルバムなのだが、フルアルバムを聴き終えたような充実感がある。


あまり売れた作品ではないので、中古屋ではたまに見かける程度。
ポップナンバー・バラードのどちらもParis Blueの魅力なのだが、その両方を楽しめる作品という印象。そのどちらかに振り切ったような曲が多く、フルアルバムに入っていたら逆に浮いてしまっていたかもしれない。その点で、今作を変則的な形態のミニアルバムとしてリリースしたのは正解だったように思う。
谷口實希の歌声について何度も言及しては褒め称えてきたが、自分にとっての「理想の女性ボーカル」と言える存在のため。似たような歌声の持ち主は沢山いそうで、未だに出逢えていない。幸いYouTubeに楽曲が転がっているので、それを聴いて良いと思った方には是非とも作品を入手していただきたい。

★★★★☆