SCENE
ASKA
2001-08-22


ストリーミング配信について…現時点で配信されていない。

【収録曲】
全曲作詞作曲 飛鳥涼
2.作詞 西条八十
5.原案 立松和平 ※立松に作詞を依頼したが、曲をつけにくい散文詩の形で来たためASKAが立松に了承を得て書き直した…という経緯。
2.作曲 服部良一
1.3.5.6.編曲 十川知司
2.編曲 瀬尾一三
4.編曲 瀬尾一三・飛鳥涼
7.編曲 澤近泰輔
8.編曲 近藤敬三
9.編曲 雨水英司
10.編曲 平野孝幸・澤近泰輔
プロデュース 飛鳥涼・山里剛

1.伝わりますか ​★★★★☆
2.蘇州夜曲 ★★★★☆
3.予感 ★★★☆☆
4.MY Mr.LONELY HEART ★★★★★
5.夢はるか ​★★★★☆
6.SCENE ★★★☆☆
7.ふたり ★★☆☆☆
8.今でも ★★★★☆
9.最後の場面 ★★★☆☆
10.MIDNIGHT 2 CALL ​★★★★☆

1988年8月21日発売
1989年3月21日発売(GOLD CD)
1990年7月21日再発
2001年8月22日再発
2005年11月23日再発(「SCENE&SCENEⅡ」)
2018年11月21日(Remix ver.)
ポニーキャニオン(オリジナル盤〜1990年盤)
ヤマハミュージック(2001年盤〜2018年盤)
最高位3位 売上11.4万枚
最高位34位 売上1.0万枚(2005年盤)
最高位42位 売上0.2万枚(2018年盤)

飛鳥涼の1stアルバム。先行シングル「MY Mr.LONELY HEART」「MIDNIGHT 2 CALL」を収録。チャゲ&飛鳥のアルバム「RHAPSODY」からは5ヶ月振りのリリースとなった。自分は2018年盤を所有していないため、オリジナル盤の内容で紹介する。

今作はASKA(当時は飛鳥涼・RYO ASUKA名義)のソロとしての1stアルバム。同年の3月には「RHAPSODY」、さらに今作リリースから3ヶ月後は「ENERGY」がリリースされており、当時のチャゲアス及びASKAの制作ペースの凄さがよくわかる。

10曲中実に5曲が提供曲のセルフカバーという構成となっている。それだけ80年代は積極的に提供していたということでもある。作風はミディアム〜バラードで揃えられている。


「伝わりますか」は1988年にちあきなおみに提供した曲のセルフカバー。和の雰囲気を感じさせるアレンジが印象的なバラードナンバー。サビで一気にドラマティックになるメロディーには聴き惚れるのみ。オルゴールの音から始まるアレンジが印象的。他にもピアノやストリングス、フルートなど多彩な楽器が使用され、叙情的な曲を引き立てている。
歌詞は不倫している女性の心情が綴られたもの。「全てを無くす愛なら あなたしかない」「あなたの守る幸せ 消えてくださいな」といった歌詞は情念に溢れている。
ちあきなおみの原曲も素晴らしいので、是非ともそちらも聴くことをおすすめする。どちらも天才だと思わされる。


「蘇州夜曲」は李香蘭(山口淑子)の楽曲のカバー。ASKA以前も以降も多くの歌手にカバーされており、日本のスタンダードナンバーと言える曲。ASKAも子供の頃から大好きな曲だったという。流麗なメロディーは普遍性に満ちている。シンセを主体にしたサウンドなので、今作リリース時点でかなり古い曲ながら当時最新の曲に生まれ変わった感覚がある。
行ったことも無いのに、蘇州の光景が浮かんでくるような詞が印象的。甘く叙情的な味わいを持った詞だと思う。
原曲への愛のこもったボーカルのおかげで、長きに渡って愛され続けるだけの強さを持った曲だと感じることができた。


「予感」は1985年に中森明菜に提供した曲のセルフカバー。静謐なバラードナンバー。重くはあるがそれでいて聴きやすいメロディーに引き込まれる。この曲もシンセを前面に出したサウンドで、それが曲を良い意味で軽くしている感覚がある。
歌詞は恋人と別れようとしている女性の心情が綴られている。アイドルが歌うには重過ぎる歌詞だと思ってしまったのだが、原曲を聴いて考えが変わった。リリース当時の中森明菜は19歳だったが、全く背伸びしている感じがしなかったことには驚くしか無かった。
この曲も原曲とセルフカバーを聴き比べてみて、双方の歌唱力の凄さを実感させられた。


「MY Mr.LONELY HEART」は先行シングル曲にして、ソロデビュー曲。ASKAも出演したテレビ朝日系ドラマ『TV時代劇スペシャル 新選組』の主題歌に起用された。表記はされていないがアルバムバージョン。AOR的な甘さを持ったバラードナンバー。何となく聴いていても複雑だとわかるほどに凝った、それでいて美しいメロディーに圧倒される。サウンド面では、どこか寂しげな音色のシンセや、パワフルかつ手数の多いドラムが印象的。
歌詞は片想いしている男性の心情を描いたものだと解釈している。全編通して切ない詞世界だが、ASKAの「超」が付くほどの高音がそれをさらにドラマティックなものにしている。
後のヒットしたバラードと比べても全く遜色の無い名バラードだと思う。


「夢はるか」は先行シングル「MIDNIGHT 2 CALL」のB面曲。テレビ朝日系報道番組『ニュースステーション』内の「街シリーズ」テーマソングに起用された。今作の中では比較的ポップな曲。穏やかで親しみやすいメロディーは聴いていて安心感がある。この曲のみチャゲアスのバックバンドだったTHE ALPHAが演奏に参加しているのが特徴。硬軟織り交ぜた演奏が曲をより強くしている。
歌詞は夢を追っていた頃を回想したものだろうか。「声を上げて 泣きたくなるよ 悲しみの数 減らしても 懐かしさ 増えるから」という歌詞は哀愁に溢れている。
歌詞の本当の良さにはもう少し歳を取ってからでないと気付けなさそう。


「SCENE」は今作のタイトル曲。流れるように進んでいくメロディーがたまらないバラードナンバー。ピアノとストリングスを主体としたサウンドが曲の美しさを限りなく高めている。どちらもメロディアスな演奏で、聴いていてとても心地良い。ピアノ・ストリングスメインの曲は多くあるが、こうした演奏がされた曲は珍しいと思う。
歌詞はかつての恋人と街中で再会した男性の心情が描かれている。タイトル通り「場面」「情景」を切り取ったようなイメージがある。緻密かつ繊細な描写が特徴的。
ソロだからこそできるようなアプローチがされた曲で、タイトル曲になったのも頷ける。


「ふたり」は1988年に少年隊に提供した曲のセルフカバー。ここまでの流れと同じく、思い切り聴かせるバラードナンバー。さほどキャッチーなサビではないが、この曲はそれが良い。サウンド面でもシンセやストリングスを前面に出したアレンジだが、あまり主張していない。後半になってより盛り上がる構成が見事。
歌詞は恋人への真っ直ぐな想いが綴られたもの。老成しているとさえ思ってしまうほどの歌詞なのだが、少年隊を大人のアイドルグループとして売ろうとしていたのだろうか。
提供曲ながら、自身が歌うことを意識して書いたという。確かに、ASKAの色が強く出たようなメロディーという印象がある。


「今でも」は1985年にテレサ・テンに提供した曲のセルフカバー。優しく切ないメロディーが展開されたミディアムナンバー。哀愁を漂わせたサビが見事。80年代後半特有のひんやりとした音色のシンセが主体で、その音が好きな自分にはたまらない。
歌詞は過ぎた恋を忘れられずにいる女性の想いが綴られている。「今ならば あなた好みの いい女に なれる気がするのに」という歌詞がどこか虚しく響く。
今作を聴いているとつくづく思うが、ASKAは女性目線の歌詞が本当に上手い。そして、それを歌っても違和感が無いところも凄い。


「最後の場面」は歌謡曲のような雰囲気を持ったバラードナンバー。1984年に作られ、コンサートだけで披露されていたという曲。ASKAにしてはシンプルなメロディーが心に優しく響く。サビでの畳み掛けるようなメロディーは圧巻。力強いバンドサウンドが曲を盛り上げている。
歌詞は女性目線で、恋人と別れるその瞬間を描いたもの。情念のこもった詞世界を思い切り歌い上げており、相当な迫力がある。
今作のタイトルが「SCENE」(場面)ということでこの曲を取り上げたのだろうか…?


「MIDNIGHT 2 CALL」は今作のラストを飾る先行シングル曲。1984年にシブがき隊に提供した曲(布川敏和のソロ曲)のセルフカバー。冒頭に秒針のSEが入ったアルバムバージョン。優しく心に沁みるメロディーが心地良いバラードナンバー。布川のキーに合わせて作られたようで、ASKA独特の高音は控えめ。音の数は少なめで、それがメロディーによく合っている。
歌詞はかつての恋人が泣きながら電話をかけてきた時の男性の心情を描いたもの。「今夜は無理だと言いながら 片手は上着をつかんでた」という歌詞が好きで、格好良い男だと思いながら聴いている。
決して派手さは無いが、隠れた名バラードだと思う。ベスト盤で聴くより、今作の流れの中で聴いた方が良いと感じた。


ある程度売れた作品なので、中古屋ではそこそこ見かける。
当時のチャゲアスはフォーク演歌路線からポップス路線に移行し、それに加えてロック色を強めていた頃。今作はその中で珍しくバラードに振り切った作風で、ASKAの作風やボーカルの幅広さをアピールしたような印象がある。
大ヒット前〜大ヒットを飛ばしてからのASKAはミディアムナンバーやバラードを武器とするようになるが、それは今作が下地にあったからとも考えられる。後のチャゲアスの作風に影響を与えた点で、今作は重要な立ち位置にある作品だと思う。

★★★★☆