Roots of The Tree
木根尚登
1992-12-12


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【収録曲】
全曲作詞作曲 木根尚登
1.5.6.作詞 小室みつ子
全曲編曲    奈良部匠平
プロデュース 木根尚登・奈良部匠平

1.思い出はクレセント ★★★★☆
2.泣かないで ★★★★★
3.H2O ★★☆☆☆
4.Roots of the Tree ★★★★★
5.風に向って走れ ​★★★☆☆
6.I’m on Your side ★★★☆☆

1992年12月12日発売
2015年11月12日再発(リマスター・ボーナストラック2曲・Blu-Spec CD2・Sony Music Shop限定販売)
EPICソニー
最高位18位 売上不明

木根尚登の1stアルバム(ミニアルバム)。先行シングル「泣かないで」を収録。今作リリース後に「思い出はクレセント」がシングルカットされた。

今作はTMN活動中にリリースされた。TM NETWORK時代から木根の手がけるバラードはファン人気が高く、「木根バラ(キネバラ)」という愛称がある程。フォークソングからの影響を受けた、温かく切ないメロディーという魅力は木根のソロでも一貫している。

タイトルは「木根」を表したもの。本人もそれを気に入っているのか、現在でも彼の公式サイトのタイトルに「Roots of The Tree」のフレーズが使われている。


「思い出はクレセント」は今作発売後にシングルカットされた曲。ジャズのテイストを取り入れたサウンドが印象的なバラードナンバー。全体を通して展開された、哀愁を帯びた美しいメロディーは木根の真骨頂と言ったところ。サウンド面はバンドサウンド主体で、メロディーやボーカルの魅力を活かすようなアレンジがされている。
歌詞は別れた恋人への想いが綴られている。「あの時なにを 言えばよかった 今でもわからない 言葉がいつも 足りないまま 悲しませてた」という歌詞が情感のこもったボーカルによって何とも切なく響く。
オープニングらしく木根の魅力がよく現れた曲という印象。シングルカットされたのも納得。


「泣かないで」は先行シングル曲。木根のソロデビュー曲。爽やかなポップナンバー。キャッチーなメロディーの中に切なさを忍ばせているのは木根ならでは。ピアノやシンセを前面に出したサウンドがメロディーをさらにポップなものにしている。
歌詞は遠距離恋愛をしているカップルが再会し、また別れる場面を切り取ったイメージ。「イブが近づく東京駅 16番ホームに 夜を明かせぬ恋人立ち尽くす」という歌い出しから曲の世界に引き込まれる。寂しさを感じさせつつも、あくまで明るい詞世界。
木根は聴けば聴くほど沁みるタイプの曲が多いが、この曲は一聴しただけで良いと思えるタイプの曲。ソロデビュー作にふさわしい充実感がある。


「H2O」はジャズやAORのテイストを取り入れたバラードナンバー。アダルトな雰囲気を持った渋いメロディーやボーカルがたまらない。サビに入っても大きく盛り上がらないメロディーなのだが、この曲の雰囲気に合っていると思う。ピアノやサックスが曲のムードを演出している。
歌詞は耽美的な世界観を持ったもの。恋人同士が愛し合う光景が浮かぶ。サビでの「白い海」というフレーズが様々な想像をかき立てる。
この曲に関しては、メロディーよりもサウンドの主張の方が強い印象。サウンド面は好き。


「Roots of The Tree」は今作のタイトル曲。壮大なバラードナンバー。切なく力強い響きのメロディーには心を鷲掴みされるのみ。ピアノやストリングスに加え、サビではコーラス隊も参加しており、荘厳な雰囲気さえ感じられるほどのアレンジとなっている。
歌詞は恋人との思い出を振り返りつつ、恋人への想いが綴られている。「このまま失うことなく 君を守り続ける」というサビ終わりの歌詞はどこまでもストレート。
ベスト盤にも収録されたり、現在でもよくライブで披露されたりするというのも頷ける名曲。バラード職人としての実力が遺憾無く発揮されていると思う。


「風に向って走れ」はここまでの流れから一転して、爽快なポップロックナンバー。英語詞で構成されたサビはかなり耳に残る仕上がり。イントロでのサックスは聴き手の高揚感をこれ以上無いほど煽る。パワフルなドラミングも曲の爽快さを演出している。
歌詞はこちらも恋人への想いが語られている。サビでの「山よりも高く 海よりも深く 鉄よりも強く あなたを永遠に愛する」という旨の英語詞は非常に力強い。サビを日本語にすると言葉が強過ぎて恥ずかしいくらいなので、英語詞が正解だったと思う。
この曲もサウンド面が自分好みそのもの。


「I’m on Your side」は今作のラストを飾る曲。「Strings Version」が「思い出はクレセント」のC/W曲として収録されている。しっとりとしたバラードナンバー。ピアノとボーカルのみで構成された、とてもシンプルなアレンジがされているが、懐かしさを感じさせる美しいメロディーを引き立てている。
歌詞は恋人と海辺に行った男性の想いが綴られている。「つらいことがあると 僕を海に連れ出す」という相手。「どんな時でも 君の最後の味方でいたい」と願う主人公。どちらも魅力的な人物だと思う。
「Strings Version」は聴いたことが無いので、いずれ聴き比べたい。


大きく売れた作品ではないが、中古屋ではよく見かける。
ソロとしての1stアルバムということで、木根の音楽家としての原点となっているフォークソングやニューミュージックを追求した作品という印象。ところどころ90年代前半の曲とは思えないような感覚があるほど。ただ、木根のソロとしての魅力はこの頃から確立されていたことがよくわかる。

★★★★☆