We’re in the Mood
ICE
1996-02-07


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【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 宮内和之
5.9.14.作詞 国岡真由美
プロデュース        宮内和之

1.GET DOWN, GET DOWN, GET DOWN ★★★★★
2.I’M IN THE MOOD ★★★☆☆
3.DRIVE ★★★★★
4.We’re In The Mood 省略
5.STAY ★★★☆☆
6.NATURAL HIGH ★★★★☆
7.BABY MAYBE ​★★★★★
8.Dub In The Mood 省略
9.LA-LA-LA(One Is Born Free) ​★★★★☆
10.OVER THE RAINBOW ​★★★★☆
11.Voice In The Mood 省略
12.SHINE ★★★★☆
13.’CAUSE WE KNOW YOUR DREAMS 省略
14.SWEET INSPIRATION ​★★★☆☆
↓2007年盤のみ収録のボーナストラック
15.TOUCH ME, SQUEEZE ME(Part2) ★★★★☆

1996年2月7日発売
2007年12月19日再発(紙ジャケ・リマスター・ボーナストラック)
東芝EMI
最高位8位 売上25.2万枚(オリジナル盤)

ICEの4thアルバム。先行シングル「BABY MAYBE」を収録。今作発売後に「GET DOWN, GET DOWN, GET DOWN」がシングルカットされた。前作「ICE Ⅲ」からは約1年3ヶ月振りのリリースとなった。オリジナル盤の初回盤?はブルーケース入り仕様。

今作は初のチャートトップ10入りを果たし、ICEの出世作となった。理由はよくわからないが、「BABY MAYBE」がラジオ曲でヘビーローテーションされていたようで、それがきっかけだろうか。


「GET DOWN, GET DOWN, GET DOWN」は今作発売後にシングルカットされた曲。銀座ジュエリーマキ「カメリア・ダイヤモンド」のCMソングに起用された。
グルーヴィーなサウンドが展開されたファンクナンバー。メロディー自体はそこまで強くないが、それでもサビは確かに耳に残る。ファンキーなギターと派手なストリングスの絡みがクセになる。
歌詞はノリの良さを重視した感じ。あまり意味を持たせない歌詞だが、その分国岡のボーカルの魅力が引き立つ。
曲全体から溢れるギラギラした雰囲気がたまらない。タイアップ相手もカメリアダイヤモンド以外当てはまらなかっただろう。


「I’M IN THE MOOD」は前の曲からの流れを落ち着けるミディアムナンバー。サビでも大きく盛り上がるような曲ではないが、それがこの曲に合う。派手な打ち込みサウンドとストリングスを織り交ぜた、情感のこもったサウンドが展開されている。
歌詞は土曜の夜を舞台にしたもの。都会の夜の光景が浮かんでくるような詞世界となっている。
歌謡曲になるすれすれの部分を突いた、タイトル通りムードのあるメロディーやサウンドとなっている印象がある。


「DRIVE」は先行シングル「BABY MAYBE」のC/W曲。疾走感に溢れたロックナンバー。英語詞で畳み掛けるようなサビはキャッチーそのもの。イントロから既に非常に格好良くキレの良いギターサウンドが展開されており、終始曲を牽引している。間奏のギターとキーボードの絡みに圧倒されるばかり。
歌詞はタイトルからも想像できるように、恋人とドライブしている女性が描かれている。国岡の艶のある歌声がこうした歌詞によく合っている。
この曲を聴きながら夜の高速や首都高を走ってみたい。きっとぶち上がるはず。


「We’re In The Mood」は今作のタイトル曲。1分足らずのとても短めなインスト曲。淡々とした打ち込みサウンドで構成されたサウンドにどことなく哀愁を感じる。


「STAY」はソウル色の強いミディアムナンバー。しっとりとした甘いメロディーが終始展開されている。打ち込みにタンバリンのような音が絡んだサウンドが主体となっている。ゆったりとした曲調ながら、それによって何とも言えないグルーヴ感を生み出している。
歌詞は一人で夜を過ごし、恋人の大切さを再認識する女性が描かれたもの。「STAY-STAY WITH ME FOREVER」というサビでの歌声は色気に溢れている。
今作の中でも地味な曲だが、ICEにしか出せない魅力を持った曲だと思う。


「NATURAL HIGH」は濃厚なファンクロックナンバー。派手さこそ無いが、サビは確かな引っ掛かりがあって耳に残る。サウンド面の中でもスラップベースとギターはファンキーそのもので、聴いていると思わず身体が動く。
歌詞はラブソングの形ではあるが、当時の国岡を描いているように思える。『「まるでモデルみたいね」っていつも取材で言われるの』『「声がセクシーだ」ってちょっと喋ると言われるの』といった歌詞が顕著。
3分ほどの短めな曲の中に聴きどころが数多く詰め込まれている感覚がある。


「BABY MAYBE」は先行シングル曲。テレ朝系番組『走れ!GET』のエンディングテーマに起用された。ソウルやファンクの要素を取り入れたポップナンバー。イントロを始め、曲の随所で使われたクラビネットがクセになる。いつまでも身を任せていたくなるような演奏がたまらない。演奏のインパクトが強めだが、メロディー自体もかなりキャッチー。
歌詞は恋人のことが好きだと再確認する女性が描かれている。国岡の色気のあるボーカルが歌詞の多幸感をより高める。
メロディーもサウンドも自分好みで、ICEの曲の中でも特に好きな方に入ってくる。今聴いても古臭さが全く無いどころか、新曲と言われても信じてしまいそうなレベル。


「Dub In The Mood」はインスト曲。タイトル通りレゲエやダブの要素を取り入れたサウンドで構成されている。1分ほどの短めなインスト曲だが、凝った音作りはかなりの聴きごたえがある。


「LA-LA-LA(One Is Born Free)」は再びのファンキーな曲。タイトルがそのまま歌われたサビは一度聴けば耳に残るほどに強い。曲全体を通して前面に出ているギターに引き込まれる。宮内のギタープレイを聴いているといつも思うが、とても日本人が弾いているとは思えないような質感である。
歌詞は内省的なメッセージが綴られたもの。「憧れに近づきたいと全てを捨てて追いかけた 思いを遂げてふと振り返るとそこに自分は見当たらない」という歌詞が顕著。ファンクと内省的な歌詞は意外と相性が良い。
ファンキーかつロック色の強い演奏が自分好みそのもの。ICEの音楽の魅力がよく出ており、シングル曲でも良かったと思うほど。


「OVER THE RAINBOW」はグルーヴ感のある演奏が心地良いミディアムナンバー。AORのテイストを感じさせる甘く美しいメロディーも相まって、何度も聴きたくなるような聴き心地の良さがある。キレの良いギターサウンドが主体となっているが、シタールのような音がアクセントをつけている。
歌詞は恋人と過ごす時間が描かれている。「理由もなく微笑み合う瞬間を このまま止めていたい」という歌詞を始め、多幸感のある詞世界となっている。
どことなく懐かしい雰囲気があるが、それがこの曲の魅力だと思う。


「Voice In The Mood」はインスト曲。この曲もシタールのような音が使われているほか、ドラムが前面に出たサウンドとなっている。全体を通して幻想的な雰囲気を持ったインストに仕上がっている。


「SHINE」は美しいメロディーが冴え渡るミディアムナンバー。英語詞が多用されており、それが曲にインパクトを与えている。この曲に限ったことではないが、国岡の英語の発音がとても綺麗だと思う。他の曲にも増して豪華なストリングスの使い方がされており、サウンド面でも前面に出ている。
歌詞は一日の始まりと終わりをテーマにした、メッセージ性の強いもの。「誰かが傷ついて 誰もが偽り合ってる 誰もが眠れずに明日に祈る」という歌詞からは特にそれが感じられる。
メロディー・サウンド面共に、今作の中では比較的王道ポップス寄りな曲という印象がある。


「’CAUSE WE KNOW YOUR DREAMS」はインスト曲。宮内のギターを前面に出したサウンドとなっている。叙情的な部分と激しい部分とが一曲の中で共存しており、その変貌振りに引き込まれるばかり。宮内のギタリストとしての魅力を存分に味わえるインストである。


「SWEET INSPIRATION」は今作のラストを飾る曲。ソウルのテイストを取り入れたミディアムナンバー。曲全体を通して展開された、美しく甘いメロディーに心を掴まれること請け合い。哀愁のあるギターサウンドが前に出ているが、随所でホーンも主張する。
歌詞は恋人への想いが綴られたもの。恋人に対して「YOU’RE MY INSPIRATION」と言うところがとてもアーティスティックだと思う。
夜や恋人といったイメージのある曲が揃った作品だが、ラストのこの曲もそうした感じ。一貫した作風は好印象。


「TOUCH ME, SQUEEZE ME(Part2)」は2007年盤のみ収録のボーナストラック。シングル「BABY MAYBE」のC/W曲。「Part2」とあるが、「Part1」は無い。このタイトルは宮内曰く「アイズレーの影響大」とのことだが、サウンド面もそれを彷彿とさせる。ソウルの要素を持った、グルーヴ感のあるサウンドが心地良い。大きく盛り上がる曲調ではないが、サビはよく耳に残る。
歌詞は恋人と愛し合う姿が浮かんでくるもの。それにしても、とても攻めたタイトルという印象がある。日本語では出せないような…
ベスト盤「ICE TRACKS Vol.1」でも聴けるので、この曲が目当てならわざわざ2007年盤を入手する必要は無いと思う。


ICEの中では特に売れた作品なので、中古屋ではよく見かける。
都会的でお洒落、ファンキー、ソウルフルといったICEの音楽の魅力が全編に渡って展開された作品だと思う。随所にインタルードのインストが挟まれており、飽きることなく聴き通せるような構成になっている。
ベスト盤「ICE TRACKS Vol.1」と共に、最初に聴く作品としてはうってつけ。

★★★★★