聖米夜
米米CLUB
1992-12-10




ストリーミング配信について…現時点では配信されていない。(ベスト盤に収録されている曲のみ聴ける)

【収録曲】
※10.のみ編曲クレジット無し、その代わりに「演奏 石井竜也」というクレジットがある
全曲作詞作曲 米米CLUB
1.作曲 BIG HORNS BEE
4.9.作曲 林部直樹
10.作詞作曲 石井竜也
1.編曲 BIG HORNS BEE
2.編曲 奈良部匠平
3.6.編曲 奈良部匠平&米米CLUB
4.編曲 三沢またろう
5.編曲 得能律郎
7.8.編曲 金子隆博
9.編曲 林部直樹
1.3.7.ストリングスアレンジ 桑野聖
2.コーラスアレンジ 奈良部匠平&AMAZONS
プロデュース  石井竜也
サウンドプロデュース 伊東俊郎

1.ありがとうの星 省略
2.Christmas Honeymoon ★★★★☆
3.ORION ​★★★★☆
4.ガラスの月 ★★★☆☆
5.夜は おシャレに ​★★★☆☆
6.ごきげんよう!PARTY NIGHT ★★★★☆
7.WITH YOU ★★☆☆☆
8.スノー・ボール ★★★☆☆
9.PRAYER ★★★★☆
10.しあわせになれ ★★★☆☆

1992年12月10日発売
2015年10月21日再発(リマスター・Blu-Spec CD2・DVD付属)
Sony Records
最高位2位 売上53.7万枚

米米CLUBの9thアルバム。今作と同日にシングル「ORION」がリリースされた。前作「Octave」からは約6ヶ月振りのリリースとなった。

今作はクリスマスをテーマにした企画アルバム。60万枚限定でリリースされた。フォトスタンド、ハンカチ、石井作の絵本「わすれかた、おしえます」が同梱された豪華なパッケージとなっている。

今作のタイトルは「精米屋」をもじったものだと思われる。


「ありがとうの星」は今作のオープニングを飾る曲。一部コーラスが入った部分があるのだが、ほぼホーンとストリングスの演奏のみで構成されているのでインスト扱いとさせていただく。華やかで楽しげな雰囲気に包まれて今作が始まる。


「Christmas Honeymoon」は前の曲から一転して、しっとりとしたバラードナンバー。聴き心地の良い美しいメロディーと、石井の渋く甘い歌声で聴かせる。シンプルなバンドサウンドに加えてストリングスが随所で使われており、その音色で曲に彩りを添える。
歌詞はタイトル通りクリスマスを舞台に、恋人たちが幸せに過ごす様子が浮かぶもの。愛を誓う言葉が並んでおり、石井の真摯なボーカルでその説得力を強める。
とにかく真面目で直球なバラードであり、前作「Octave」の作風をそのまま引き継いだような感覚がある。


「ORION」は今作と同日にリリースされたシングル曲。爽やかなポップナンバー。一度聴けばすぐに口ずさめるような強いサビがたまらない。コーラスワークに加え、ホーンやストリングスを駆使しながら曲を上品に盛り上げていく。
歌詞はオリオン座をキーワードとしたラブソングと言ったところ。何度も出てくる「サルーテ・レガーロ」というフレーズが謎だった。調べてみるとイタリア語のようだ。「サルーテ」は直訳すると「健康」になるほか、「乾杯!」の挨拶を意味し、「レガーロ」は「贈り物」を意味するようだ。適当な造語だと思っていたが、しっかりとした意味があった。
特大ヒットとなった「君がいるだけで/愛してる」の次のシングルがこの曲。アルバムと同発だったので売上は少ないが、十分なヒット性の高さを持った曲だったと言える。


「ガラスの月」はサポートメンバーのマチコのソロ曲。美しいメロディーが心地良いバラードナンバー。バンドサウンドの他に中華風の弦楽器の音が随所に使われているのが特徴で、曲にアクセントをつけている。
歌詞はタイトルからも想像できるように、ロマンティックな世界観を持ったもの。ただ、「人の心はまるで ガラスのよう 大切なものは あまりにも脆い」とメッセージ性の強い言葉がしれっと入ってくる。
元々インスト曲だったようだが、サウンドを聴いているとそれも頷ける。原曲も聴いてみたいところ。


「夜は おシャレに」は前の曲と同じく、AOR的な質感を持った甘いメロディーが展開されたバラードナンバー。ピアノやホーンなどによって、タイトル通りお洒落な雰囲気を持ったサウンドに仕上がっている。途中からはストリングスも入って盛り上がっていく。
歌詞は好きな人に言い寄っているようなイメージがあるもの。石井の艶のあるボーカルには男でも聴き惚れてしまうほど。
メロディーとサウンドがよく合っている感覚があって、それがこの曲の聴きやすさに繋がっているように思う。


「ごきげんよう!PARTY NIGHT」はシングル「ORION」のC/W曲。TBS系番組『生生生生ダウンタウン』のオープニングテーマに起用された。楽しげな雰囲気を持ったミディアムナンバー。タイトルからのイメージほど大きく盛り上がるわけではないのだが、タイトルのフレーズが何度も繰り返されるサビは非常にキャッチー。
歌詞は楽しいパーティの様子が浮かんでくるもの。ただ、楽しんでいる最中というより、盛り上がった後の最後に歌われる光景をイメージしている。
こちらが表題曲になっていてもおかしくなかったような曲。


「WITH YOU」はシングル「ORION」のC/W曲で、MINAKOのソロ曲。しっとりとしたバラードナンバー。優しく心地良いメロディーが終始に渡って展開されている。あまり主張することのないアレンジだが、間奏ではコーラスが入って華やかに盛り上がっていく。
歌詞は恋人への想いが綴られたもの。はっきりとわからないものの、それでも冬の夜が舞台になっていると思って聴いている。とりわけ可愛らしさが前面に出た詞世界となっている。
この曲も前作「Octave」の作風がそのまま引き継がれている感じ。


「スノー・ボール」は前の曲から一転して、賑やかな雰囲気を持ったポップナンバー。ポップかつどことなく上品さを持ったメロディーが展開されている。ホーンが前面に出たサウンドで、それが曲の賑やかさを演出している。
歌詞は男性同士の恋愛が描かれたもの。タイトルからのイメージもあって、ただ聴き流しているだけだとわかりにくいが、かなり挑戦的な詞世界となっている。
メロディーと歌詞のギャップが激し過ぎるのだが、この曲に関しては本来の米米CLUBらしさが現れているように思う。


「PRAYER」はジェームス小野田のメインボーカル曲。何度もサビが出てくる構成なので非常に耳に残る。今作の中では比較的ファンク色の強い、聴きごたえのあるバンドサウンドが展開されている。一打一打がパワフルなドラムのインパクトは中々のもの。
歌詞は「祈り」を意味するタイトルの通り、メッセージ性の強いもの。ジェームス小野田のソウルフルで熱い歌声がこうした詞世界によく似合う。
これまでのファンクナンバーよりも濃厚さが薄れている感覚があるのだが、それが今作の作風ということなのだろう。


「しあわせになれ」は今作のラストを飾る曲。金子隆博(フラッシュ金子)と石井の妹であるMINAKOの結婚を祝って、ファンクラブ会員を招待して行われたイベント「Octave Symphony」でのライブ音源。
ギターの弾き語りによるバラードナンバー。素朴で優しいメロディーとボーカルで聴かせる。
歌詞はまさに兄から結婚する妹へのメッセージと言ったところ。石井が思っていることをそのまま歌詞に反映させていったのが想像できる。
感情がより伝わってくる感じがするので、ライブ音源をそのまま収録したのは好采配だったように思う。


限定盤ではあるが、ある程度売れた作品なので中古屋ではよく見かける。完品で状態の良いものも多く出回っている。
作風としては、フラッシュ金子とMINAKOの結婚を祝って制作された前作「Octave」をそのまま継いでいる感じ。米米CLUBのもう一つの王道と言えるふざけた路線の曲はほぼ無く、非常に真面目な作風となっている。
クリスマスを意識した作品なので、クリスマス付近以外に聴くことはほぼ無いのだが、こうした作品でもここまで作り込めたところに当時の米米CLUBの充実ぶりを感じる。

★★★☆☆