BOφWY(紙ジャケット仕様)
BOφWY(ボウイ)
2007-12-24



BOΦWY
BOΦWY
2012-12-24



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【収録曲】
全曲作詞 氷室京介
1.作詞 布袋寅泰・松井五郎
2.9.作詞 氷室京介・松井五郎
5.作詞作曲 BOØWY
6.作詞 氷室京介・高橋信
8.作詞 JONAH PASHBY
全曲作曲編曲 布袋寅泰
2.4.7.9.10.作曲 氷室京介
プロデュース 佐久間正英

1.DREAMIN’ ★★★★★
2.黒のラプソディー ★★★☆☆
3.BABY ACTION ★★★☆☆
4.唇にジェラシー ★★☆☆☆
5.ホンキー・トンキー・クレイジー ★★★★☆
6.BAD FEELING ★★★★★
7.CHU-RU-LU ​★★★☆☆
8.DANCE CRAZE ★★★☆☆
9.ハイウェイに乗る前に ★★★★☆
10.CLOUDY HEART ​★★★★★

↓「BOØWY COMPLETE」関連は除く
1985年6月20日発売(LP,CT)
1985年7月20日発売(CD)
2005年2月16日再発(リマスター)
2007年12月24日再発(リマスター・紙ジャケ)
2012年12月24日再発(リマスター・Blu-Spec CD2)
2015年8月26日再発(リマスター・LP)
2017年6月28日再発(2007年盤の限定再発)
東芝EMI
最高位48位 売上2.8万枚(LP)
最高位76位 売上0.2万本(CT)
最高位49位 売上2.9万枚(オリジナル盤CD)
最高位84位 売上0.2万枚(2012年盤)

BOØWYの3rdアルバム。先行シングル「ホンキー・トンキー・クレイジー」収録。今作発売後に「BAD FEELING」がシングルカットされた。前作「INSTANT LOVE」からは1年9ヶ月振りのリリースとなった。

今作は東芝EMI移籍後初のオリジナルアルバム。佐久間正英がプロデュースを手がけた。レコーディングはベルリンのハンザトン・スタジオで行われた。佐久間としては、メンバーが音楽に集中できる環境を作りたかったようだ。

布袋は今作の制作中に本格的なアレンジやプロデュースワークを学ぶこととなる。編曲のクレジットは布袋単独だが、実際は布袋と佐久間が共同で手掛けていたようだ。
作詞においても、プロの作詞家である松井五郎が初めて起用された。松井は後に氷室のソロでも数多くの作詞を手掛けることになる。


「DREAMIN’」は今作のオープニング曲。8ビートによる爽快なポップロックナンバー。イントロからして高揚感に溢れている。イントロのギターリフがそれを演出する。布袋のセンスが遺憾無く発揮された、キャッチーかつ口ずさみたくなるようなメロディーが展開されている。
歌詞は現実の中でもがいている青年の姿が想像できるもの。「I’m only Dreamin’ for me」というサビの歌詞は非常に力強い。誰もが共感できるような詞世界となっている。
ライブのラストの定番であっただけでなく、解散後も氷室・布袋共に大切にしている曲というのも納得の名曲。


「黒のラプソディー」はシャッフルビートによるミディアムナンバー。歌謡曲のような雰囲気を漂わせた、どこか懐かしく哀愁のあるメロディーは氷室独特のもの。シャッフルビートが曲の持つムードをより高めている感じ。こうした曲でもキレの良いギターサウンドは全く変わらない。
歌詞は性的な路線のもの。全編通してアダルトな世界観を持った歌詞だが、氷室が歌うと格好良くなってしまうし、下品さが無くなるのが不思議なところ。しかも楽しそうに歌っているのが想像できる。
氷室のボーカリストとしての実力の高さがよくわかる曲という印象。


「BABY ACTION」はノリの良いポップロックナンバー。「もうイヤサ」「マイアサ」と繰り返し歌われるサビは一度聴けばすぐに馴染んでしまう強さがある。サウンド面では、一曲の中で様々な変化を見せるギターが特徴的。特にギターソロはこの曲最大の聴きどころ。弾くのは非常に大変そうなのだが、上手く弾けたら本当に楽しそう。
歌詞は氷室の実体験を基にしたものだという。高校2年生の頃に体験した一夏の恋をテーマにしているようだ。そのエピソードを知った上で聴くと、その時の想いが赤裸々に描かれているような感じがする。
この曲はこれまでの作風に比較的近い印象がある。


「唇にジェラシー」は前の曲からは少しだけ落ち着いたミディアムナンバー。サビに入るまでが長い独特な構成なので、繰り返し出てくる平メロもかなり耳に残る。イントロでのハーモナイザーを駆使したギターサウンドは布袋ならでは。
歌詞は一夜限りの愛を描いたものだろうか。妖艶な雰囲気を持った詞世界となっており、氷室の色気のある歌声との相性はとても良い。
ライブで演奏されることは少なかったようだが、そのライブバージョンは原曲とは大きく異なるという。


「ホンキー・トンキー・クレイジー」は先行シングル曲。2004年放映のTBS系ドラマ『BE-BOP-HIGHSCHOOL』のエンディングテーマに起用された。BOØWYにとっては初のシングルとなった。
跳ねたリズムが楽しげな雰囲気を作り出すポップナンバー。イントロ無しでいきなりサビから始まる構成で、すぐに聴き手の心を掴んでくる。力強いバンドサウンドが曲のポップ性をさらに高める。後半では女性コーラスがフィーチャーされているのが特徴。
歌詞は恋人への愛を誓うもの。ただ、横文字が多く出てくるのが特徴で、歌っている時のノリの良さが重視されている印象がある。
ライブの定番だったというのも頷ける。今ではかつての映像を見ることしかできないが、本当に楽しそうな感じ。


「BAD FEELING」は今作発売後にシングルカットされた曲。当時としては斬新だったであろうファンクナンバー。サビ以上に平メロの方がキャッチーで耳に残る。サウンド面では、何と言ってもギター。この曲のカッティングによるギターリフは何度聴いても気分が高揚する。ロックかつファンキーな響きで、布袋のギタリストとしての引き出しの幅広さがわかる名演。
歌詞は恋人への想いが冷めていく様を描いたものだと解釈している。「アッパッパー」というフレーズが出てくるのだが、そこはかなりのインパクトがある。
恐らく、布袋の趣味が強く現れた曲だと思う。今聴いても格好良いサウンドなのが凄いところ。


「CHU-RU-LU」は重厚感のあるバンドサウンドが展開されたロックナンバー。原曲は高校時代に作られていたという。タイトルのフレーズが繰り返し歌われるサビは一聴しただけですぐ離れなくなる。バンドサウンドのどれを取っても聴きごたえがあり、特に分厚く太い音色のベースに聴き入ってしまう。
歌詞は恋の終わりを描いたもの。一人称ははっきりと描かれていないのだが、女性目線で描かれたものだと解釈して聴いている。
アレンジや歌詞などは原曲と大きく変わっているようだが、これだけのメロディーを高校時代に作っていたことには脱帽するのみ。


「DANCE CRAZE」はBOØWYの楽曲では唯一、布袋がボーカルを担当した曲。大きく盛り上がるような曲調ではないが、タイトルが繰り返し出てくるサビは中々に耳に残る仕上がり。ニューウェーブ色の強い、複雑なギタープレイを終始に渡って楽しめる。どうやったらこのようなフレーズを思いつくのか不思議になるほど。
歌詞は全編英語詞によるもの。タイトル通りダンスをテーマにしたもので、誰かをダンスに誘っているようなイメージの詞世界。
何も情報を入れずに聴いたので、いきなり布袋の歌声が聴こえ始めた時には本当に驚いてしまったことを覚えている。


「ハイウェイに乗る前に」は爽快なロックナンバー。元々はライブハウス時代に演奏されていた曲だったという。耳馴染みの良いポップなメロディーは全編サビと言っていいほど。イントロからパワフルなバンドサウンドを楽しめる。ボーカルと共に歌っているような感覚を持った、サビでのドラムが聴きどころ。
歌詞は少々わかりにくいのだが、別れた恋人との思い出を忘れようとする姿を描いたものだろうか。相手は浮気性な人で、主人公はそれに振り回されていたことが想像できる。
アルバムの終わり際にこの曲が来る構成がたまらない。


「CLOUDY HEART」は今作のラストを飾る曲。ギターやシンセなどが手直しされたバージョンがラストシングル「季節が君だけを変える」のB面曲としてシングルカットされた。
歌謡曲的な哀愁に満ちたバラードナンバー。一気に畳みかけて盛り上がっていくサビは出色の出来。ボーカルに寄り添うような感覚のあるギターが印象的。
歌詞はかつて付き合っていた女性との思い出を回想したもの。話し言葉が多用された歌詞はまるで本当に語りかけているかのよう。喪失感のある詞世界が何とも切なく響く。
先に聴いたのがシングルバージョンなので、そちらの方が好きなのだが、どちらにしても名バラードであることに変わりない。BOØWYの曲の中でも特に好きな方に入ってくる。


旧盤は中古屋でもよく見かけるが、今から入手するから2012年盤がおすすめ。
これまでの2作と比べても格段にサウンドが変わっており、多くのリスナーが想像するBOØWYの楽曲像が今作で出来上がっている感じ。また、ライブでの定番だった曲も数多く収録されている。
セルフタイトルであることから、「バンドの再出発」「第2のデビュー作」というような位置付けをされることが多い作品だが、まさにその通り。BOØWYのキャリアは今作以前と以後で大きく分かれると思う。

​★★★★☆