LOOKING BACK
小田和正
1996-02-01



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【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 小田和正
プロデュース       小田和正

1.君との思い出 ​★★★☆☆
2.昨日 見た夢 ★★★★☆
3.もっと近くに ★★★★☆
4.緑の日々 ​★★★★★
5.Yes-No ★★★☆☆
6.風に吹かれて ★★★☆☆
7.愛を止めないで ​★★★★★
8.夏の終り ★★★☆☆
9.やさしさにさようなら ★★★★☆
10.秋の気配 ★★★★★
11.僕の贈りもの ★★☆☆☆

1996年2月1日発売
Little Tokyo/ファンハウス
最高位1位 売上59.7万枚

小田和正の1stセルフカバーアルバム。先行シングル「緑の日々」「君との思い出」を収録。前作「MY HOME TOWN」からは約2年3ヶ月振りのリリースとなった。

今作はオフコース時代の楽曲のセルフカバーで構成されている。歌詞の一部が書き換えられた曲もあり、制作時点での小田の意向が強く反映された作品となっている。


「君との思い出」は先行シングル曲。今作では唯一の新曲。ハウスミュージックの要素を取り入れた、打ち込み主体のアレンジが特徴的なミディアムナンバー。「ループもの」を目指して作られたようだが、確かにその通りになっている。サウンド面は少々異色だが、洗練された聴き心地の良いメロディーは今まで通り。
歌詞はかつての恋人との思い出を回想したもの。相手との別れを「間違い」として後悔しているのが何とも切ない。
サウンド面においてこうしたアプローチがされた曲は、ソロとしては後にも先にも少ない印象。


「昨日 見た夢」は1995年リリースのシングル「so long my love」のC/W曲。オリジナルは1988年リリースの14thアルバム「Still a long way to go」に収録。
セルフカバーにあたって、歌詞が一部省略されている。基本的なアレンジは原曲とそこまで変わらないが、こちらの方が生音がより前面に出ているのが特徴。時代に関係無く聴けるようなアレンジに仕上がった。
オフコースのラストアルバムの最後を飾った曲をセルフカバーするという演出が見事。ラブソングの体裁を取りつつも過去を回想した詞世界だが、より言葉の重みが強くなっている感じ。


「もっと近くに」は爽やかなポップナンバー。オリジナルはシングル曲で、1987年リリースの13thアルバム「as close as possible」に収録。
セルフカバーにあたって、後半の英語詞の部分が小田による日本語詞で書き直されている。原曲もシンセを前面に出したキラキラしたアレンジが印象的だったが、原曲の魅力を保ったまま、より疾走感のあるアレンジになっている。
書き直された部分に「思い出は思い出として」というフレーズがあるが、今作のテーマが反映されているように思う。


「緑の日々」は1993年にリリースされたシングル曲。TBCブライダル・キャンペーン・ソングに起用された。オリジナルはシングル曲であり、1984年リリースの11thアルバム「The Best Year of My Life」に収録。
シンセが前面に出た、良くも悪くも時代性の強いアレンジが印象的だったオリジナルとは打って変わって、シンセ主体ながら比較的AOR色の強いアレンジとなった。また、アウトロの歌詞が追加されている。
このバージョンでは、元々のメロディーの良さをより楽しめる印象がある。こちらのバージョンの方が好き。


「Yes-No」は1993年リリースのシングル「風の坂道」のC/W曲。オリジナルはシングル曲で、1980年リリースの8thアルバム「We are」に収録。
「さよなら」と並んでオフコースの代表曲と言える曲だが、原曲からは想像もできないほどメロウなアレンジに変貌を遂げた。シンセによるホーンの使い方がムードを作り出している。気持ちが揺れ動いている感じが上手く表現されている印象。
初めて聴いた時にとてつもない違和感を覚えて以来長年聴かずにいたのだが、これを書くにあたって聴き直したところ、思った以上に良いと感じた。自分の趣味の変化を実感した。


「風に吹かれて」は前の曲と同じく、しっとりとしたバラードナンバー。オリジナルはシングル曲で、ベスト盤「SELECTION 1978-81」に収録。
セルフカバーにあたって、歌詞が一部書き換えられている。サウンド面も、ロック色の強いバンドサウンドが主体となっていたオリジナルとは大きく異なる。曲の後半まではピアノ主体のしっとりとしたアレンジ、後半からテンポが上がって爽やかな質感になる。
「そう来たか」と思わされるような、チャレンジングなアレンジとなっている印象。


「愛を止めないで」は爽快なポップロックナンバー。オリジナルはシングル曲で、1979年リリースの7thアルバム「Three and Two」に収録。オリジナルよりも格段に明るくロック色の強いアレンジに変貌を遂げた。佐橋佳幸による間奏のギターソロは聴いていて全能感さえ感じられるほどで、この曲最大の聴きどころ。そこを聴きたいがためにこの曲を聴くレベル。これまで聴いてきたあらゆる曲のギターソロの中でも特に好き。
オリジナルと聴き比べる度に、ここまで曲の雰囲気が変わるのかと驚かされる。原曲とは甲乙つけ難い。


「夏の終り」は1994年リリースのシングル「真夏の恋」のC/W曲。オリジナルは1978年リリースの6thアルバム「FAIRWAY」に収録。
オリジナルはサビから始まる構成だったが、セルフカバーにあたってそこが省略されている。音の数がかなり減り、抑制の効いた静かなアレンジになっているのも大きな変化。より切なさが増しているように感じられる。
サビから始まる構成がオリジナルの魅力であり、インパクトを与えていた要素だったと思うので、そこが無くなっているのは少し違和感があった。


「やさしさにさようなら」は先行シングル「君との思い出」のC/W曲。オリジナルはシングル曲で、ベスト盤「SELECTION 1973-78」に収録。
セルフカバーにあたって、歌詞が一部書き換えられている。ソフトロックの要素が強いサウンド面だったオリジナルとは異なり、フォーク色の強いアレンジとなった。SING LIKE TALKINGの佐藤竹善によるコーラスが曲の心地良さを引き立てる。
元々のメロディーの美しさを改めて実感させられるようなセルフカバーだった。


「秋の気配」はここまでの流れに続いて、しっとりとした曲。オリジナルはシングル曲で、1977年リリースの5thアルバム「JUNKTION」に収録。
アコースティックなアレンジでボーカルやコーラスワークを際立たせていたオリジナルとは打って変わって、シンセを前に出したアレンジとなった。90年代的なサウンド面に仕上がった印象がある。
派手な変化を遂げており、ファンからの評価はかなり分かれている。自分はオリジナルよりも先にこちらを聴いて好きになったので、こちらの方が馴染み深い。


「僕の贈りもの」は今作のラストを飾る曲。オリジナルはシングル曲で、1973年リリースの1stアルバム「オフ・コース1/僕の贈りもの」に収録。1988年リリースの2ndソロアルバム「BETWEEN THE WORD & THE HEART」でもセルフカバーされている。
オリジナルや一度目のセルフカバーとは大きく異なり、合唱団の子供による合唱をフィーチャーしたアレンジとなった。もはや主役は子供たちと言っていいほどにフィーチャーされている。このバージョンを聴いた時の驚きは今でも忘れられないほど。
こちらも「Yes-No」と同じく、長らく今作のバージョンを聴かずに過ごしてきたが、久し振りに聴き直したところ、子供たちの合唱によって歌詞の素朴さがより強調されている印象を持った。


ある程度売れた作品なので、中古屋ではよく見かける。
amazonのレビューを見る限り、「LOOKING BACK」2作はオフコース時代からのファンによる評価がかなり低い印象があるのだが、自分は「自己ベスト」から聴いた世代なので、そこまで違和感無く聴けた。一部の曲はオフコースのバージョンよりも馴染み深いほど。
どちらのバージョンの方が好きかどうかはともかく、これはこれでありだと思って聴いている。

★★★★☆