DOUBLE
Takashi Kudo
2007-01-24



ストリーミング配信について…現時点では配信されていない。

【収録曲】
1.7.10.作詞 ASKA・松井五郎
2.作詞 石塚貴洋・松井五郎
3.6.作詞 ASKA
4.作詞 CHAGE・松井五郎
5.作詞 松井五郎
8.作詞 CHAGE
9.作詞 石塚貴洋
1.3.6.7.10.作曲 ASKA
2.4.5.作曲 CHAGE・村田努
8.9.作曲 CHAGE・Tom Watts(村田努の変名と思われる)
1.9.10.編曲 澤近泰輔
2.4.編曲 村田努
3.5.6.編曲 十川知司
7.8.編曲 旭純
6.ホーンアレンジ 工藤隆
プロデュース CHAGE and ASKA・山里剛

1.パパラッチはどっち ★★★☆☆
2.Wasting Time ​★★★☆☆
3.地球生まれの宇宙人 ★★★★☆
4.ボクラのカケラ ★★★★★
5.Here & There ★★★★☆
6.36度線-1995夏- album ver. ★★★☆☆
7.僕はMusic ​★★★★☆
8.光の羅針盤 album ver. ★★★★☆
9.crossroad〜いまを生きる僕を〜 album ver. ★★☆☆☆
10.Man and Woman ​★★★★★

2007年1月24日発売
ユニバーサル シグマ
最高位4位 売上5.6万枚

CHAGE and ASKAの21stアルバム。先行シングル「36度線-1995夏-」「僕はMusic」「Man and Woman」「Here and There」を収録。前作「NOT AT ALL」からは約5年1ヶ月振りのリリースとなった。

今作リリース後のツアーからチャゲアスとしての活動が無くなり、2009年には無期限の活動休止を発表。その後もASKAの逮捕や脱退などがあったため、現時点ではチャゲアスにとっての最後のオリジナルアルバムとなっている。


「パパラッチはどっち」は今作のオープニング曲。上品な雰囲気を持ったミディアムナンバー。しっとりと進んでいくが、それでもサビはかなり耳に残る。ホーンやストリングスなどを中心に、柔らかい音使いで曲やボーカルを包み込んでいる。
歌詞はストーリー性のあるもの。もどかしい関係が伝わってくるような詞世界だが、サビを始めとしてどことなくコミカルな言葉選びがされているのが特徴。
この曲がオープニングか?と思ってしまったが、定番のようでいて今までに無いアプローチがされた曲という印象がある。わかっていてもCHAGE曲と勘違いしてしまうのは何故だろう。


「Wasting Time」は暗く重厚感のあるロックナンバー。ダークな雰囲気で進んでいくが、サビは広がりのあるメロディーであり、聴いていて開放感がある。ギターを始めとして、力強く無骨なバンドサウンドが終始中心となっている。
歌詞はメッセージ性の強いもの。時間を無駄にして過ごしてしまう人へのメッセージと言ったところか。「躊躇う間に 時代はゆがむ」「やらないでだめより やってだめな方がいい」といった言葉がCHAGEのボーカルと共に鋭く響いてくる。自分はまさにこの曲で指摘されているような人間なのでなおさら響く。


「地球生まれの宇宙人」は前の曲からの流れを落ち着けるバラードナンバー。優しく聴き心地の良いメロディーが展開されている。サウンド面については、他の曲と比べても音の数は少なめだが、その分メロディーとボーカルが際立っている。
歌詞は「君」と上手く接することができない男性が描かれている。そうした自身を「地球生まれの宇宙人」と例えている。切なさの中にどこか皮肉めいた要素を含ませてくるのがASKAならでは。「自分のために自分を使うのが どうしてこんなにヘタなんだろう」という歌詞が今となっては虚しく聞こえてしまう。


「ボクラのカケラ」はここまでの流れを変える爽快なポップナンバー。日本テレビ系番組『打鐘! 北京五輪への道 走り出したHEROたち』のエンディングテーマに起用された。
サビはもちろん、曲のどの部分も聴いていて心地良い。シンプルなバンドサウンドに加え、ASKAのコーラスワークが曲の爽やかさを演出する。
歌詞は少々難解なのだが、人との関わりそのものについてのメッセージが綴られたものだと解釈している。
CHAGEがここまでストレートでポップな曲をやってくるとは思わなかった。今作のアルバム曲の中でも一番好きな曲。


「Here and There」は先行シングル曲。日清製粉グループのCMソング、フジテレビ系番組『ウチくる!?』のエンディングテーマに起用された。
温かみの中に力強さも感じられるメロディーが心地良いバラードナンバー。CHAGEの伸びやかなボーカルがサビのメロディーとよく合っている。サウンド面では、間奏でのストリングスがこの曲の聴きどころ。
歌詞は大きな愛をイメージさせるもの。「幸せが 幸せに 伝うように」という歌詞は非常に大きなスケールを持っている。
CHAGEがメインボーカルなのだが、ASKAとのボーカルの掛け合いが重視されている印象がある。これがチャゲアスだと思わされる。


「36度線-1995夏- album ver.」は先行シングル曲。テレ朝系報道番組『ニュースステーション』のオープニングテーマ(1996年10月7日ー1998年5月8日)に起用された。原曲はサブタイトルと同じく1995年に制作されていてリリースの話も出ていたものの、結局2004年まで放置されていた。
シングルバージョンは爽快なポップロックナンバーだったが、今作収録にあたって、ブラジル音楽のようなテイストを取り入れたアレンジとなった。
歌詞は「東京」をテーマにしたという。街や人々の様子を見ながら思っていることを書いたようなイメージ。「誰もが 流行のように 上書き されあってる」「誰もが自分らしさを 誰かで計ってる」といった歌詞が鋭く響く。
こちらのバージョンは原曲に近いようだが、自分はシングルバージョンの方が好き。


「僕はMusic」は先行シングル曲。今作収録にあたって、フェードアウトしないバージョンとなっている。何度聴いても展開を中々覚えられないような、独特な構成が印象的なポップナンバー。今まで起用されていなかったアレンジャーが起用されているのが特徴。生音と打ち込みを使い分け、ダンスミュージックの要素を取り入れたアレンジは中々に聴きごたえがある。
歌詞はASKAなりの音楽との向き合い方について語られたものだと解釈している。後のASKAソロの楽曲「歌の中には不自由がない」と似た印象。
かなり不思議な印象の曲なのだが、それでもしっかりとポップスとして完成されているのがASKAの凄さ。


「光の羅針盤 album ver.」は先行シングル「36度線-1995夏-」のC/W曲。「羅針盤」は「コンパス」と読む。こちらはライブアレンジを元にしたアレンジのようで、アレンジャーもシングルバージョンから変わっているほか、ボーカルも再録されている。
広がりのあるメロディーが展開されたミディアムナンバー。CHAGE独特の叙情的な質感を持ったメロディーとなっている。バンドサウンドの中でも、特にドラムが前に出て聴こえるのが特徴。
歌詞は恋人への真っ直ぐな想いが綴られたもの。CHAGEの美声が詞世界とよく合っていると思う。
実はシングルバージョンを聴いたことが無いので、いずれ聴き比べてみたい。


「crossroad〜いまを生きる僕を〜 album ver.」は先行シングル「僕はMusic」のC/W曲。しっとりとしたバラードナンバー。ゴスペルのテイストを感じさせるアレンジとなっており、1番はほぼCHAGEのアカペラのような感じだが、段々とストリングスやホーンが入って盛り上がっていく。ASKAによる多重録音のコーラスはこの曲の聴きどころ。
歌詞はかつての恋人への想いや、その相手との再会を願う気持ちが綴られたものだろうか。
これまたシングルバージョンを聴いたことが無いので、シングルを入手したいところ。


「Man and Woman」は今作のラストを飾る先行シングル曲。TBS系番組『2時っチャオ!』のエンディングテーマ、music.jpのCMソングに起用された。
厳かな雰囲気さえ感じられるほどのバラードナンバー。イントロからして名曲を予感させてくる。神がかりレベルで美しさを極めたようなメロディーには思わず心を奪われるのみ。ピアノやストリングスを前面に出したアレンジはメロディーの魅力をさらに高める。
歌詞はラブソングの形を取りつつも、「輪廻転生」に関しての考えも含まれている。非常にスケールが大きく、重くなりかねない詞世界だが、ASKAの力強いボーカルで見事に聴かせている。
アルバムのラストというポジション以外考えられない。チャゲアス末期の傑作にして、キャリアを代表する名曲だと思う。


中古屋ではある程度見かける。
これまで通りの王道な部分と、新規軸の部分がバランス良く共存した作品という印象がある。その一方で、やれることをやり尽くしてしまったような雰囲気もある。結果的に現時点でのチャゲアスのラストアルバムとなっているのだが、それに納得できてしまうのも事実。

★★★★☆