IZUMI-SINGLES&MORE-
加藤いづみ
1994-10-21



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【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 高橋研
9.作詞作曲 木嶋浩史
2.作詞 山上路夫
2.作曲 村井邦彦
プロデュース 高橋研・渡辺博

1.髪を切ってしまおう ★★★★☆
2.美しすぎて ★★★☆☆
3.この街が好きだよ ★★★★★
4.星になった涙(Alternative Take) ★★★☆☆
5.さよならが言えない ​★★★☆☆
6.Zero ​★★★★☆
7.シスター・ムーン ★★★★☆
8.好きになって、よかった ​★★★★☆
9.ナチュラル・ガール(Live) ★★★★☆
10.彼がやって来る ★★★★☆
11.どれだけあなたのことを(Single Mix) ★★★★★
12.あぁ、雪は降る -Merry X’mas ‘94- ​★★★★☆

1994年10月21日発売
ポニーキャニオン
最高位不明 売上不明

加藤いづみの1stベストアルバム。オリジナルアルバム「skinny」からは5ヶ月ぶりのリリースとなった。

加藤いづみは1991年にデビューした歌手。6thシングル「好きになって、よかった」がヒットしたことにより、当時のGiRLPOPムーブメントにおける代表的な存在として扱われた。
現在では、ソロとしての歌手活動に加え、多くのアーティストのライブにコーラスで参加している。

今作は加藤にとって初のベスト盤となった。2004年には今作の続編となる「IZUMI -SINGLES & MORE Ⅱ-」がリリースされている。


楽曲の感想については、今作がアルバム初収録となった曲のみとさせていただく。


「美しすぎて」は1992年にリリースされた4thシングル曲。「シャンプー」とは両A面だった。作詞を山上路夫・作曲を村井邦彦が手掛けた曲。懐かしい雰囲気を持ったメロディーで聴かせるバラードナンバー。素朴かつ訴求力のあるサビがたまらない。ギターを主体としたシンプルなアレンジがメロディーを引き立てている。
歌詞は男性目線で書かれている。かつての恋人と過ごした思い出を忘れられずに苦しむ姿が描かれており、喪失感が伝わって来るような詞世界となっている。
加藤と大御所作家という組み合わせは相性が良かったように思う。


「この街が好きだよ」は1993年にリリースされた5thシングル曲。爽やかなポップナンバー。タイトルのフレーズをサビ頭に持ってくるという高橋研が多用するテクニックが発揮されており、かなりキャッチー。バンドサウンドにシンセを交えたアレンジで曲のポップ性を強めている。
歌詞はタイトル通り街の風景が綴られている。日常生活での何気ないひとときの尊さを教えてくれるような詞世界となっている。加藤の可愛らしいボーカルも詞世界を鮮やかなものにしている。
メロディーやサウンドが自分好みそのもので、加藤の曲の中でも特に好きな方に入ってくる。


「星になった涙(Alternative Take)」は2ndアルバムのタイトル曲の別バージョン。元々は30秒少々の短い曲だったが、こちらは2分15秒程まで長くなった。
曲が長くなっただけでなく、歌詞が追加されたり、アコギがより前面に出るようになったりと大きく変わっている。こちらが完成形という感じがする。


「さよならが言えない」は1993年にリリースされた7thシングル曲。しっとりとしたバラードナンバー。イントロ無しでいきなり歌い出しから始まる。この曲もタイトルのフレーズがサビ頭に来る形となっている。サウンド面では、鈴虫の鳴き声のSEが入っているのが特徴で、曲にどこか物悲しい雰囲気をもたらしている。
歌詞は恋人と別れた女性の心情が綴られている。もう相手との関係が戻らないとわかっているのに、「さよなら」の一言を言えずに苦しんでいる。
「好きになって、よかった」でのバラード路線をそのまま継いだような感覚が潔い。バラードシンガーとして売り出そうとしたのがうかがえる。


「シスター・ムーン」は5thシングル「この街が好きだよ」のC/W曲。素朴な雰囲気を持ったポップナンバー。跳ね上がるような感覚のあるメロディーは非常にキャッチー。サウンド面はバンドサウンドを主体としている。随所でハーモニカがフィーチャーされており、曲に彩りを添えている。
歌詞はタイトル通り月をテーマにしたもの。それと同時に、恋する人の気持ちに寄り添った言葉が並んでいる。月がそうした人たちのことを照らしているようなイメージだろうか。
表題曲に負けず劣らずの開放的な雰囲気がある。アルバム未収録で埋もれるには惜しい曲だっただけに、今作に収録されて良かった。


「ナチュラル・ガール(Live)」は2ndアルバム「星になった涙」収録曲のライブバージョン。1994年6月に行われたライブの音源のようだ。
ピアノを前面的にフィーチャーし、原曲よりもしっとりとしたアレンジに変貌を遂げた。原曲とはまた異なる魅力を持ったバージョンだと思う。


「彼がやって来る」は加藤いづみの6thシングル「好きになって、よかった」のC/W曲。優雅な雰囲気を持ったミディアムナンバー。聴き心地の良いメロディーとボーカルで聴かせる。サウンド面はアコギとトロンボーンがフィーチャーされており、曲の雰囲気を演出している。
歌詞は恋人が主人公の部屋に来る直前の時間が描かれている。生活感と幸福感が伝わってくるような詞世界となっている。
加藤の可愛らしい歌声を前面に出したような曲で、表題曲に魅かれたリスナーをより引き込むには打ってつけな曲だったと思う。


「あぁ、雪は降る-Merry X’mas ‘94-」は今作のために制作された新曲。しっとりとしたバラードナンバー。甘美な質感を持ったメロディーで聴かせる。アコギに加え、鐘の音を思わせるシンセの音色が随所で使われているのが特徴。曲のラストではコーラス隊によるコーラスも起用され、曲を盛り上げている。
歌詞はタイトル通りクリスマスをテーマにしたもの。もうすぐクリスマスを迎えるという時期を舞台に、かつての恋人への想いを馳せる女性が描かれている。可愛らしくもどこか芯の強さを感じさせる歌声が詞世界をより魅力的なものにしている。
切ない系のクリスマスソングにおける隠れた名曲だと思う。


中古屋ではある程度見かける。
タイトル通りシングル曲を基調とした構成のベスト盤なので、初めて聴く作品としてもおすすめ。今作でしか聴けない曲も多く、充実感のあるベスト盤となっている。

★★★★★