岡村靖幸
2012-02-15


【収録曲】
全曲作詞作曲編曲 岡村靖幸
2.5.6.7.10.11.編曲 岡村靖幸・西平彰
3.編曲 清水信之
プロデュース 岡村靖幸

1.Peach Time ★★★★★

2.Dog Days ★★★★★ 
3.Lion Heart (Hollywood Version) ★★★★☆
4.だいすき ★★★★★
5.Out of Blue ★★★★☆

6.いじわる ★★★★★
7.イケナイコトカイ ★★★★★

8.Vegetable ★★★★☆
9.聖書 ★★★★★
10.Shining(君がスキだよ) ★★★☆☆
11.Young Oh!Oh! ★★★☆☆

12.友人のふり ★★★★★
13.Peach Time(修学旅行MIX) ★★★☆☆


1990年3月21日発売
2012年2月15日リマスター盤再発(Blu-Spec CD仕様)
EPIC/SONY RECORDS
最高位3位 売上約4.1万枚


岡村靖幸の1stベスト。シングル、アルバム通して岡村にとって最高位である3位を記録した。(後に「幸福」が3位を記録)
初期の岡村の入門にはうってつけのベスト。岡村靖幸の音楽を初めて聴くという方にもおすすめできる一作。収録されている13曲のうち、4曲はオリジナルアルバム未収録の楽曲であるため、ファンであっても触れておくべきベスト。


しかしながらこの作品には強過ぎるアクがある。その正体はジャケ写である。エメラルドグリーンの背景が既に怪しさを放っているが、薄手の白いトレーナーに花柄のチョッキ姿の岡村が手に取ったあなたを見つめてくる。首を右に傾け、目線は若干の上目遣いであり、ニヤついた顔である。今作を購入したり、レンタルしたりするのは中々に度胸が必要とされる。
「それなら裏面を出せば良いだろ」と思った方は賢い。しかし、それは大きな罠である。裏面も中々にきつい岡村の姿を見せられる。もう逃れられない。
管理人も今作を購入した時はそれなりに覚悟を決めてレジに向かった。レジのお姉さんに笑われたような記憶がある。財布を弄りながら中身を確認するのがやっとであった。
「ネットで買えば良いだろ」と思った方は賢い。しかし、恥ずかしい思いをして買ってこその作品である。



「Peach Time」は先行シングル曲。番組のアイキャッチに使われていそうなくらいのキャッチーの極みと言えるイントロから始まる3分と少しの短い一曲。ハイテンションなサウンドと口ずさむと気持ちの良い歌詞が素晴らしい。「なんでぼくらが生まれたのか 絶対きっと 女の子なら知ってる」というサビの歌詞は岡村の女の子への想いがよくわかる。最早神格化の域に達している。



「Dog Days」は4thシングル。タイトルは「盛夏」という意味のようだ。夏のカラッとした雰囲気を感じさせるアコギの音色がずっと鳴り続けるのが印象的。岡村の歌詞は片想いの歌詞が多いが、その中でもトップクラスの情けない歌詞を味わえる。「あいつより愛してる僕に気付いて 苦しくて 切なくて 泣きだしそうだよ」というもの。「あいつより愛してる」というその保証は何なのか。ちなみに、サビの歌詞に「お前のせいだぜ」とあるが、「お前」のモチーフは吉川晃司だという。吉川とは親友だったそうだ。



「Lion Heart (Hollywood Version)」は2ndアルバム「DATE」の収録曲。「Hollywood Version」とあるが、その意味は聴くとわかる。やけに派手で豪華なアレンジになっている。曲の最初からストリングスがキレキレ。曲はバラードである。



「だいすき」は8thシングル。岡村の楽曲の中で最も知名度が高いと思われる一曲。本当に岡村の楽曲かと疑いたくなるくらい癖が無くキャッチー。車のCMソングに起用されたこともあって車が歌詞に出てくる。このような曲になると、ファンからの評価が低くなりがちではあるが、この曲はファンからも岡村本人からも愛されている。癖が無いとは言っても曲のラストの「へぽたいやー」という意味のわからないコーラスがある。意味はわからないが口ずさむと楽しくなる。不思議なワードだ。



「Out of Blue」は岡村のデビューシングル曲。確かに良い曲ではあるが、岡村にしては平凡過ぎる楽曲。歌詞も不慣れな感じが出ている。横文字が多用されているからだと思われる。スカしたイメージが強く表れている。



「いじわる」は2ndアルバム「DATE」収録曲。岡村の変態系歌詞の先駆けと言えるファンク路線の名曲。サウンドはプリンスそのままと言った方が良いくらいそっくりである。語りも曲中にあり、ドロドロした気持ち悪い世界観を見事に作り出している。



「イケナイコトカイ」は5thシングル曲。岡村のバラードの傑作。思い切り捻り出したようなファルセットが何とも苦しく、切なさを感じさせる。ソウルフルなバラード。



「Vegetable」は3rdアルバム「靖幸」収録曲。犬の呼吸の真似をしているような声が印象的な、無邪気な一曲。相変わらず歌詞は意味不明。とりあえず楽しそうなことはよく伝わってくる。



「聖書」は7thシングル曲。タイトルは「バイブル」と読む。3rdアルバム「靖幸」収録のバージョン。比較的著名な岡村靖幸ファンクの代表作。怪しげで気持ち悪いのに格好良いサウンドはやはり岡村にしか作れない。曲も変態さ溢れる語りから入る。質問形式で自画自賛していくというナルシスト感全開の語り。



「Shining(君がスキだよ)」は4thシングル「Dog Days」のC/W曲。アルバム初収録となった一曲。割と万人受けしそうなサウンドと歌詞の珍しい曲。しかし、そのためか岡村の曲では異質な感じがしてしまう。



「Young oh!oh!」は1stアルバム「yellow」収録曲。その後、3rdシングルとしてシングルカットされている。若さ溢れる一曲。高揚感あるサウンドと熱い歌詞が印象的。



「友人のふり」は3rdアルバム「靖幸」収録曲。後に10thシングルとしてシングルカットされた。イントロから切なさ全開。岡村の名バラードの一つと言える名曲。映画のワンシーンのようなおしゃれな情景描写が光る。



「Peach Time(修学旅行MIX)」は先行シングル「Peach Time」のC/W曲。アルバム初収録曲。タイトルからも察することができるが、リミックスされている。遊び心のあるリミックスとなっている。今作の収録曲の一部が挿入されているため、ベスト盤の最後と言った感じ。ただ、余計だったようにも思える。そもそも「修学旅行MIX」とはどういう意味なのか。



「早熟」というタイトルが岡村靖幸そのものを表すような素晴らしいタイトルである。本人が付けたのではなく、スタッフが考えたようだ。


リマスター再発されているのでリマスター盤を聴くことをおすすめする。岡村靖幸の入門としてとても良い一作。これを聴いて不快感があればもう他の作品は一切聴けないと言っても過言ではない。購入する予定のある方は是非とも店頭で直接購入していただきたい。きっと忘れられない思い出になるだろう。良い思い出になるか嫌な思い出になるか、その保証はできませんが(笑)

★★★★★