サニーデイ・サービス
1996-02-21

【収録曲】
全曲作詞作曲 曽我部恵一
全曲編曲       サニーデイ・サービス
プロデュース 曽我部恵一

1.東京 ★★★★★
2.恋におちたら ★★★★★
3.会いたかった少女 ★★★★☆
4.もういいかい ★★★★☆
5.あじさい ★★★★★
6.青春狂走曲 ★★★★★
7.恋色の街角 ★★★☆☆
8.真っ赤な太陽 ★★★★☆
9.いろんなことに夢中になったり飽きたり ★★★★☆
10.きれいだね ★★★★☆
11.ダーリン ★★★☆☆
12.コーヒーと恋愛 ★★★★☆

1996年2月21日発売(CD)
1996年8月31日発売(LP)
RHYME/MIDI
最高位29位 売上不明(調査不足。すみません)

サニーデイ・サービスの2ndアルバム。先行シングル「青春狂走曲」「恋におちたら」を収録。前作「若者たち」から10ヶ月のインターバルでリリースされた。初回盤はミニポスター入りのボックス仕様となっている。

サウンドは「若者たち」でのフォークロック路線をさらに突き詰めている。サニーデイ・サービスの楽曲が「はっぴいえんど風」「1970年代っぽい」等と評される原因となっているであろう一作。サニーデイ・サービスの出世作と言える。その後は邦楽ロックの世界で活躍することとなる。
曽我部曰く「この作品は僕のソロっぽい」とのこと。曲によっては曽我部以外の二人が参加していない曲もあるからだろうか?
前作よりもポップ感が増している。これは曽我部の意向によるものであると思われる。前作はガレージサウンドと言った感じであったが、曽我部が目指したサウンドはラジオで流れるようなJポップだったようだ。

余談ではあるが、ジャケ写が桜の写真ということもあり、春に聴くと作品の雰囲気をより楽しめる。


「東京」はタイトル曲。アルバムの始めを飾る曲ではあるが、収録曲の中では終わりの方に作られた曲だという。アルバムそのもののイントロのような、短い弾き語りの一曲。吉井勇、中山晋平の影響を受けて作られたようで、クレジットにも表記されている。


「恋におちたら」は先行シングル曲。心臓の鼓動のようなイントロのベースの音色が印象的。この曲が凄いのは全編通して妄想が展開されているということである。サビ終わりの歌詞は「君を迎えに行くよ」というものであるが、迎えに行こうとしているだけでそれ以上のことは何も語られていない。この絶妙な青臭さと情けなさがたまらない。サビになると入ってくるピアノの音も良い。ベストにも収録されており、代表作とも言える一曲。


「会いたかった少女」はカントリーテイストの一曲。片想いの歌である。「めらめらと燃えるような恋を夢見ている今日この頃は」と、これまた妄想が炸裂している。はっぴいえんどの影響を強く受けていた頃というだけあって、語尾には「です」が多用されている。


「もういいかい」はゆったりとした一曲。晴れた日にかくれんぼをする二人が描かれている。二人の笑顔といちゃいちゃしている光景が浮かんでくるような優しい曲。


「あじさい」は曽我部が大正時代の文学に影響を受けて作られたという一曲。曲を通してストリングスが効果的に使われている。ファン人気が高い曲。「さいだぁのストロオに」という歌詞の表記はどことなく大正時代を思わせる。梅雨時になると聴きたくなる。


「青春狂走曲」は先行シングル曲。まさにタイトル通り、青春の日々を過ごす若者が主人公である。酒を飲みながら古くからの友人とたわいもない話に花を咲かせている主人公の姿が浮かんでくる。
管理人はまだ酒を飲めないが、飲めるようになったら友人と飲んでこの曲と同じことを言ってみたい。「そっちはどうだい うまくやってるかい こっちはこうさ どうにもならんよ 今んとこはまあ そんな感じなんだ」と。


「恋色の街角」はフルートの音色が印象的な一曲。通りを颯爽と歩く女性を眺めながら「とってもイカすんだ とってもイカすんだ」と考える主人公。果たしてその通りを二人で歩くことができるのだろうか?


「真っ赤な太陽」はカントリーテイストの一曲。恋人とデートしている途中、「歩き疲れたらそこの珈琲屋で休む振りして他の女の娘を見るんだ」と堂々宣言する主人公。バレたら彼女さんに怒られるだろうなあ… 微笑ましい光景が浮かぶ曲なのでまあいいか。


「いろんなことに夢中になったり飽きたり」はほぼ全てのパートを曽我部が演奏している一曲。ギターの弾き語りが中心になっているゆったりした曲。「答えがないならないでいいんだ」という歌詞が印象的。


「きれいだね」は夕方から夜になる時間を舞台にした一曲。ネオンがきらめき始め、夜が始まる街の様子が想像できる。そして、夕闇に紛れた恋人はいつもよりも少しきれいに見えるのだろう。


「ダーリン」はフォークサウンドそのままのシンプルな曲。「知らない街へ行かないかい 一緒に旅に出ようよ」と誘う主人公の姿が浮かぶ幸せ感溢れる一曲。
 

「コーヒーと恋愛」は「恋におちたら」のC/W曲。シングルバージョンをリミックスして収録されている。アルバムのラストに相応しい優しい曲。コーヒーと恋愛を例えた歌詞が印象的な一曲。聴くとついコーヒーを飲みたくなってしまう。ラストの「娘さんたち気を付けな コーヒーの飲み過ぎにゃ」という歌詞が何とも言えない余韻を残してくれる。


サニーデイ・サービスの出世作ではあるが、中古屋ではあまり見られない。あっても少し高いと思われる。


「はっぴいえんど」「1970年代」というキーワードで語られていた頃のサニーデイ・サービスの傑作。少し懐かしい東京の空気を感じられる。このアルバムを通して描かれている東京の姿は現在ではほとんど見られないかもしれない。下町ならそれっぽい雰囲気が残っているかもしれないが。
生活に寄り添った内容が描かれているので、春のイメージを持ったアルバムだが一年を通して違和感無く楽しめる。

「恋におちたら」「あじさい」「青春狂走曲」等人気のある曲が収録されているため、ベストの後のオリジナルアルバムとしてもおすすめできる。サニーデイ・サービスに興味を持った方は是非とも聴いていただきたい。名盤である。

★★★★★