【収録曲】
全曲プロデュース 山下達郎
DISC1 1.2.大瀧詠一&山下達郎
DISC1 4. Charles Calello
〈DISC1〉
全曲作曲編曲 山下達郎
4.編曲 Charles Calello
2.3.4.7.13.15.16.作詞 山下達郎
5.6.9.10.11.12.14.作詞 吉田美奈子
1.作詞 伊藤銀次
8.作詞 吉岡治
17.作詞 ALAN O'DAY

1.DOWN TOWN ★★★★★

2.雨は手のひらにいっぱい ★★★★☆
3.パレード ★★★★★ 
4.WINDY LADY ★★★★★
5.LOVE SPACE ★★★★★

6.SOLID SLIDER ★★★★★ 
7.PAPER DOLL ★★★★☆
8.LET'S DANCE BABY ★★★★☆
9.BOMBER ★★★★★
10.潮騒(THE WHISPERING SEA) ★★★★☆

11.FUNKY FLUSHIN' ★★★★☆
12.愛を描いて -LET'S KISS THE SUN- ★★★★★
13.RIDE ON TIME ★★★★★
14.SPARKLE ★★★★★
15.LOVELAND,ISLAND ★★★★★
16.あまく危険な香り ★★★★☆
17.YOUR EYES ★★★★★


〈DISC2〉
全曲作詞作曲編曲 山下達郎
5.作詞 ALAN O'DAY


1.悲しみのJODY(She Was Crying) ★★★★★
2.高気圧ガール ★★★★★
3.クリスマス・イブ ★★★★★+2
4.スプリンクラー ★★★★★ 

5.THE THEME FROM BIG WAVE(ビッグ・ウェイヴのテーマ) ★★★★★
6.I LOVE YOU…PartⅠ★★★★☆
7.風の回廊(コリドー) ★★★★★
8.土曜日の恋人 ★★★★☆
9.ゲット・バック・イン・ラブ -Get Back In Love- ★★★★★

10.踊ろよ、フィッシュ ★★★★☆
11.蒼氓(そうぼう) ★★★★★
12.アトムの子 ★★★★☆
13.さよなら夏の日 ★★★★★
14.ターナーの汽罐車 -Turner's Steamroller- ★★★★☆

15.エンドレス・ゲーム -Endless Game- ★★★★☆
16.ジャングル・スウィング -Jungle Swing- ★★★☆☆

17.おやすみロージー -Angel Babyへのオマージュ- ★★★★☆


〈DISC3〉
全曲作曲編曲 山下達郎
特記以外全曲作詞 山下達郎
3.5.作詞 松本隆
8.作詞 竹内まりや

1.ヘロン ★★★★★

2.世界の果てまで ★★★★☆
3.ドリーミング・ガール -DREAMING GIRL- ★★★★★
4.ドーナツ・ソング ★★★★☆
5.いつか晴れた日に ★★★★★
6.君の声に恋してる ★★★★☆

7.2000トンの雨[2003 NEW VOCAL REMIX]★★★★★
8.忘れないで ★★★☆☆

9.FOREVER MINE ★★★★★ 
10.ずっと一緒さ ★★★★☆
11.街物語(まちものがたり) ★★★★★

12.僕らの夏の夢 ★★★★★ 
13.愛してるって言えなくたって ★★★★☆
14.愛を教えて ★★★★☆
15.希望という名の光 ★★★★★


(初回盤のみ)Bonus Disc
全曲作曲 山下達郎
1.作詞 松本隆
2.作詞 山川啓介
3.作詞 竹内まりや
4.作詞 ALAN O'DAY
5.作詞 大貫妙子
6.作詞 山下達郎 

1.硝子の少年(UNRELEASED DEMO VOCAL)  ★★★★★
2.酔いしれてDéjà Vu(UNRELEASED DEMO VOCAL) ★★★★☆

3.GUILTY(UNRELEASED DEMO VOCAL) ★★★★★ 
4.EVERY NIGHT(2012 NEW REMASTER) ★★★★☆
5.夜のシルエット(「ブルー・ホライズン」歌詞違い,FIRST ON CD) ★★★★☆
6.希望という名の光(2012 ACOUSTIC VERSION) ★★★★★


2012年9月26日発売
2012年11月20日発売(クリスマスパッケージ)
MOON/WARNER MUSIC JAPAN
最高位1位 売上約59.7万枚(初動27.6万枚)


山下達郎の公式3rdベストアルバム。前2作とは違ってレーベルを跨いだオールタイムベストとなっている。ソロデビューする前のシュガー・ベイブ時代の楽曲も収録されている。山下のデビューはシュガー・ベイブ時代から数えるとリリース当時で37年となるが、ソロデビューは1976年なのでリリース当時だと35年となる。基本的にはリリース順に選曲されている。一部ずれているところがあるがそれは流れを考慮したものだと思われる。


2012年11月20日にはクリスマスパッケージで発売されたが、これはジャケ写がクリスマスっぽいものになっているだけで内容に違いは無い。このバージョンの初回盤は無い。通常バージョンの初回盤は三方背BOX仕様でデジパック。Bonus Discも付属している。


山下は再録には興味が無いようで、今作に収録されている楽曲も殆どは最初のバージョンである。「その時のトラックがその曲だから」という理由。選曲は相当苦労したようだ。「ラジオでリクエストしたとしてもヘタすると全員が違う曲を選んでくると思う。最大公約数的な選曲と言っても諸説出てくるので結局自分で選ぶしかない」と語っている。


ジャケットのイラストとブックレットの中のイラストはとり・みきが担当している。このキャラクターは「タツローくん」という名前で、山下のファンクラブ会報に連載している4コマ漫画に使われている。ツイッターか何かのトプ画っぽいイラストである。


流石に全曲のレビューはしようがないので、DISCごとに語っていくことにする。


DISC1はシュガー・ベイブ時代からRCA/AIR(BMG→現在はAriolaに社名変更)時代の楽曲が収録されている。この頃は実力派ミュージシャンによる演奏で全曲固められている。そのような楽曲のためか、40年近く前の楽曲も一切古臭さが無い。山下は流行りの音を使わないようにしていたというが、その心がけによって今聴いても違和感が一切無い。やはり一曲一曲のキレでいうと、この時期が一番凄い。演奏に耳を傾けて聴いていただきたい。「WINDY LADY」「LOVE SPACE」「SOLID SLIDER」等を中心に、ミュージシャン同士がバトルを繰り広げているような聴きごたえ溢れる曲ばかりである。



DISC2はMOONレーベル移籍後の楽曲が収録されている。1983年〜1990年代前半くらいの年代。DISC跨ぎになってしまうものの、1995年発売の「TREASURES」収録の楽曲は全て今作に収録されることになった。アナログによるレコーディングからデジタルのレコーディングとなり、山下もかなり苦戦していた時期。自らの演奏や打ち込みによる曲も増え始め、実力派を大量に呼び寄せたDISC1収録の楽曲のような曲はあまり無い。しかし、それでも違和感無く聴けてしまう。やはり山下の実力は凄い。
英語詞の「THE THEME FROM BIG WAVE(ビッグ・ウェイヴのテーマ) 」以外は全曲山下自身による作詞になっている。内省的な詞世界を持った楽曲もあり、DISC1と比べると暗い内容の歌詞が多い。世間的にも著名な楽曲が結構収録されているが、聴きやすさで言うとDISC1の方が良いかもしれない。管理人のリピート率という曖昧過ぎるソースではあるが。



DISC3は1990年代半ばからリリース当時最新の楽曲が収録されている。「TREASURES」に収録された「世界の果てまで」以外は全てベスト盤初収録の曲。後半になると映画やドラマの主題歌に起用されたバラード系のシングル曲が増えてくる。管理人がリアルタイムで聴いた楽曲もある。「ずっと一緒さ」は月9の主題歌だったということもありよく覚えている。打ち込みによるサウンドの曲が多く、生音で聴いてみたくなる。ライトリスナーだとこのDISCが一番聴きづらいだろうか?
長年の熱心なファンでも「山下達郎は劣化した」と言うような楽曲が一部ある。これまでがハイレベル過ぎただけで一般レベルではまだかなり良い曲という感じなのだが… 尋常ではない才能を持ったアーティストだと普通に良いと思える楽曲でもそのように叩かれてしまう傾向にある。



14曲目の「愛を教えて」が新曲。ドラマ『遺留捜査』第2シリーズの主題歌に起用された。今までに無いような曲調で、夜のイメージを持った曲になっている。楽曲のジャンルで言うならAORだろうか?管理人がこの曲を初めて聴いた時の印象は「小沢健二の「麝香」っぽい」というものだった。『遺留捜査』はリアルタイムで観ていたドラマだったので思い入れがある。



Bonus Discは未発表だった、提供曲のデモボーカルが主に収録されている。目玉は何と言っても「硝子の少年」の山下達郎バージョンだろう。初めて聴くと笑ってしまうこと請け合い。KinKi Kidsのイメージで固められているこの曲ではあるが、山下達郎の曲にしか聴こえなくなる。それ程山下のボーカルが独特なものだということだ。3.は原曲を聴いたことがあるが、違いを実感できるほど聴いていないので何とも言えない。2.5.は原曲を聴いたことがないので違いはわからないが、かなり良い曲である。
6.は東日本大震災からちょうど一年経った日に『サンデー・ソング・ブック』の放送があたったため、そのためにレコーディングしたというバージョン。元のバージョンとはまた違った力強さがある。



かなり重厚なベスト盤ではあるが、今から山下達郎の音楽を聴いていきたいという方にはこれが一番おすすめ。この一作で代表曲は完全に網羅できる。リマスターも聴き疲れしないような心地良いものになっている。ゆっくりと聴いていくことで、曲の良さが段々と分かってくる。管理人は山下達郎の曲を生涯聴いていくと思う。歳を経るごとに良いと思える曲が変わってくるだろう。今はあまり聴いていない曲もこれから印象が変わって好きな曲になるかもしれない。
40年程の時を越えて愛され続ける山下達郎の音楽に是非とも触れていただきたい。

★★★★★