浜田省吾
2005-07-06


【収録曲】
全曲作詞作曲 浜田省吾
全曲編曲       星勝
1.編曲           浜田省吾・星勝
プロデュース 浜田省吾・星勝

1.光と影の季節 ★★★★★

2.この夜に乾杯! ​★★★★☆
3.旅立ちの朝 ★★★★☆
4.Thank you ★★★★☆

5.デスク越しの恋 ★★★★☆
6.誰かどこかで ★★★★★

7.I am a father ​★★★★★
8.花火 ★★★☆☆
9.初恋 ★★★★★
10.君と歩いた道(album ver.) ★★★★☆

11.ある晴れた夏の日の午後 ★★★☆☆


2005年7月6日発売
2005年8月31日発売(アナログ盤)
クリアウォーター
最高位2位 売上24.8万枚


浜田省吾の17thアルバム。先行シングル「光と影の季節」「I am a father」を収録。今作発売後に「Thank you」がシングルカットされた。前作「SAVE OUR SHIP」から4年振りのリリースとなった。


浜田曰く「原点に戻りながらも、またひとつ新しいドアを開けた感じ」の快心のロックアルバム。日常生活の中の光と影のシーンを切り取って情景を描いたようだ。発売1年前の2004年に全曲を一気に書き上げてしまったという。


アルバムタイトルの「My First Love」は単純に訳すと「私の初恋」となるが、浜田は「実は俺には初恋の人と呼ぶにふさわしい女のコがいないんです。ひょっとしたら俺の初恋は1963年、10歳のときにラジオから流れるビートルズを聴いて大好きになった、あのときなのかもしれない」と語っている。



「光と影の季節」は先行シングル曲。アルバムの始まりを飾る曲に相応しいストレートなロック。弾き語りから始まるシンプルなイントロ。「君に逢いたくて戻ってきたよ」というサビの歌詞が印象的。この歌詞はファンへの思いが込められているという。ちなみに、この曲はマスターズ甲子園のテーマソングに起用されている。再び夢を追いかける元高校球児たちを応援する曲である。



「この夜に乾杯!」はギターサウンドが前面に出たロック。ライブを意識して作られた曲だという。ライブではほぼ必ず演奏され、盛り上がる曲である。大人の夜をイメージさせる歌詞だが、ハメは外さない紳士的な感じが浜田らしい。



「旅立ちの朝」はホーンセクションが主体となったサウンドが心地良いR&Bテイストの一曲。歌詞は彼女に浮気された男が海外に旅立つ日の朝を描いたものになっている。
歌詞の中に出てくる天気の描写「目覚めた朝は旅立ちにふさわしくて 土砂降りの暗い空 光る稲妻」から「雲の上は青空 旅立ちの朝」への変化が印象的。旅立ちに相応しい天気が土砂降りの暗い空で雷が鳴っているというのは中々に奇妙だが、最終的に青空になっているので問題は無いのかもしれない。



「Thank you」は今作発売後にシングルカットされた曲。今作収録の曲の中では最も早く作られたという。ノリの良い曲ではあるが歌詞は中々に大変な内容である。リストカットして病院に運ばれた幼馴染の女性を見舞いに行く男が描かれている。曲中にはセリフも入っている。
サビの歌詞は「今も君がこの世界に生きていることにThank you」というものだが、タイトルはそこから来ているのだろう。



「デスク越しの恋」は社内恋愛をテーマにしたバラード。まだ学生の管理人には分からない世界であるが、ドキドキするような内容である。
「ひとりきりのオフィスに 真夜中鳴るベル 受話器の向こう 君の声「頑張ってるね!」と…」という歌詞が好き。他の方もブログで語られていたが、「る」が付いているのと付いていないのでは印象がかなり変わってくる。



「誰かどこかで」は浜田自身気に入っているという一曲。ミディアムテンポのポップな曲。ギターの弾き語りから始まるイントロが印象的。色々なところに旅に出る男が主人公。恋愛をしているのか別れた後なのか解釈し辛いが、タイトルも難解。



「I am a father」は先行シングル曲。タイトル通り父親について歌われた軽快なロック。「格好良い父親」像をそのまま表現したような歌詞が好き。妻と子供のために毎日働き、子供に未来を託し、子供を命がけで守り、妻と今日一日を無事に過ごせたことを祈る… 管理人もこのような父親になりたいと思うばかりである。



「花火」は「I am a father」とは打って変わって「良い父親であろうとしたが、どうしても上手く行かなかった男」が主人公の曲。歌詞はファンの間でも解釈が分かれる。主人公の男は家庭を捨てたのだが、その理由が描写されていないこと、妻の存在を思わせるような言葉が無いこと等謎が多い。二十歳の娘と次の春に高校生になる息子がいることは確かなのだが…



「初恋」はタイトル曲。浜田自身の半生を振り返るような内容の歌詞のストレートなロック。「オレの初恋はRock'n' Roll」とサビで高らかに歌い上げ、「そして今も夢中で追いかけてる」という続きの歌詞が印象的。歌詞の中には浜田が影響を受けたビートルズ、ボブ・ディラン、ヤング・ラスカルズ、ビーチ・ボーイズ、ブルース・スプリングスティーン、ジャクソン・ブラウン等のアーティストの名前や、曲名が登場している。



「君と歩いた道(album ver.)」は「I am a father」のC/W曲。シングルバージョンよりもサウンドはシンプルになっている。「もし15才のあの夏に戻って そこからもう一度 やり直せたら どんな人生送るだろう?」という歌い出しが印象的。歌い出しの問いの答えは「やり直せても この人生を選ぶだろう 君と歩いた道をもう一度歩くだろう」というもの。ギターの弾き語りをメインとしたシンプルなサウンドがしんみりさせてくる。浜田もこの曲を「100点満点の曲」と絶賛している。



「ある晴れた夏の日の午後」はアルバムの最後を飾るバラード。真夏の昼間の情景を描いた歌詞が印象的。歌詞の解釈は分かれるが、管理人は「若くして恋人を失い、その悲しみを引きずったままの中年の男性」について歌われていると解釈している。他の解釈として、原爆の被害に遭った広島に救助に向かい、二次被爆した浜田の父親について歌われているというものがある。



ヒット作なので中古屋ではそこそこ見かけるが、未だに値段は高め。浜田省吾のルーツであるロックを中心とした一作。全編通してすっと聴けるようなコンパクトな長さであり、何度も聴ける感覚がある。浜田省吾の音楽に興味がある方は是非とも聴いていただきたい。

★★★★★